坂本龍一『サマー・ナーヴス』
振り返って、今の耳で聴く、1970〜80年代の和クロスオーバー&フュージョンは、実に味わい深い。
当時は、リアルタイムに、1970〜80年代の和クロスオーバー&フュージョンを「凄い凄い」とただ感動して聴いていただけだったが、今の耳で聴くと、米国や欧州のクロスオーバー&フュージョンとの違いや、和クロスオーバー&フュージョン固有の特質などが理解できて、とにかく聴いていて面白い。
坂本龍一&カクトウギセッション 『サマー・ナーヴス(Summer Nerves)』。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、以下の通り。
坂本龍一 (key, vo), 小原礼 (b), 高橋ユキヒロ (ds), 鈴木茂 (g, track:1,2,4,6), 大村憲司 (g, track:3,7), 松原正樹 (g, track:4,5), アブドゥーラ・ザ・"ブッシャー" = 渡辺香津美 (g, track:3,7), ペッカー (perc, track:3,5,7), 浜口茂外也 (perc, track:1,2,4,6), 多グループ (strings) 等々。4曲目「Theme for "KAKUTOUGI"」にブラス・セクションが入り、矢野顕子、EVE、山下達郎、吉田美奈子がバックボーカルに客演している。
YMO結成以前、坂本龍一のソニーに残した1979年作品。契約の関係で、当時、若手ギターの雄、渡辺香津美が「アブドゥーラ・ザ・"ブッシャー"」の変名で参加している。パーソネルを見渡せば、和ロック畑、和クロスオーバー&フュージョン畑の名うてのミュージシャンが一堂に介して、「日本発」ならではの、和クロスオーバー&フュージョンなアルバム・セッションを繰り広げている。
といって、アルバム全体の音のトレンドは「レゲエ」。レゲエ=2拍子の世界が、この『サマー・ナーヴス』というアルバム全体を覆っている。
「カクトウギ・セッション」というから、丁々発止とテクニックを駆使したインタープレイを想起するが、冒頭のタイトル曲「サマー・ナーヴス」から、レゲエのリズム全開で、思わず「およよ」と仰け反ってしまう(笑)。
和クロスオーバー&フュージョンの音世界とはいえ、この盤の音世界のポップ度は高い。しかし、高橋ユキヒロと小原礼のリズム隊のリズム&ビートが、太くてタイトなので、この盤をポップなイージーリスニングに留めていない。そう、この盤、ユキヒロ=小原のリズム隊の叩き出す、太くてタイトなリズム&ビートが「キモ」である。
そこに、坂本のキーボードとボコーダーによるボーカル、そして、大村憲司、松原正樹、変名ギタリストの渡辺香津美、のエレギが縦横無尽に飛び回る。3人の我が国屈指のクロスオーバー&フュージョン志向のギタリストが、その技と個性的な音で、ガンガンに弾きまくっている。
有名な「カクトウギのテーマ」が代表的演奏で、ファンキーなボーカル・コーラスが入っているが、ファンクネスは希薄で乾いている。オフビートのダンサフルなリズム&ビートも粘りは少なく切れ味よくタイト。フレーズはメロディアスでキャッチー。この楽曲には、和クロスオーバー&フュージョンの個性と特性が詰まっている。
ロックとクロスオーバー&フュージョンとレゲエとソウル、そしてテクノポップが「ごった煮」に融合された、坂本龍一ならではの音世界には思わず聴き惚れる。特にラス前「Sweet Illusion(スウィート・イリュージョン)」から「Neuronian Network(ニューロニアン・ネットワーク)」が大好き。
この「融合」な音世界は、米国や欧州のクロスオーバー&フュージョン・シーンでは絶対に生まれ得ない、我が国ならではの、我が国独特のクロスオーバー&フュージョンの音世界である。この、とことん突き詰めると「国籍不明」な、独特な「融合」の音世界。今の耳で聴いても、実にユニークである。
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