ピアノ・トリオの代表的名盤 118
ジャズの好盤は、なにも、ジャズの歴史に名を残した、一流ジャズマンだけが創り出したのでは無い。意外と無名に近いジャズマンが、ある日突然、一瞬の輝きの様に、素晴らしい好盤を残すことがある。その好盤がジャズ評論家の誰かが見出して、その当時は好盤として評価されるが、時が経つにつれ、その評価の印象が、忘却の彼方に埋もれてしまった好盤は沢山ある。
Albert Dailey Trio『That Old Feeling』(写真左)。1978年7月13日の録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Albert Dailey (p), Buster Williams (b), Billy Hart (ds)。優れたピアニストでありながら、生涯を通して完全に無視され評価されることの無かった不遇のピアニストの1人、アルバート・デイリーのトリオ盤。
アルバート・デイリーは1939年、ボルチモア生まれ。1968年から1969年にかけてはアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズにも断続的に参加、1970年代、デイリーはソニー・ロリンズ、スタン・ゲッツ、エルヴィン・ジョーンズ、アーチー・シェップらと共演。しかし、特に注目されることも無く、1984年、45歳で死去してしまう。リーダー作はたった5枚。しかも、今でもサブスク等で聴くことの出来るリーダー作は、1970年代の3枚のみ。
その3枚の中でも、このスティープルチェイスから『That Old Feeling』は、ピアノ・トリオの演奏ということもあって、アルバート・デイリーのピアノの個性と、その優れた実力が、とても良く判る内容になっている。
というか、これ1枚だけがデイリーのジャズ・ピアニストとしての実力を推し量れる好盤と言える。バックのリズム隊のバスター・ウイリアムスのベース、ビリー・ハートのドラムが、そのデイリーの実力を前面に推し出している。
熱のこもったトリオ演奏。タイム感覚とハーモニー感覚、そして、フレーズ展開において、オリジナリティ溢れる多様性と独創性を発揮、バリバリ、モーダルに弾きまくるポスト・バップな展開。このデイリーのピアノの弾き回しは唯一無二。速いフレーズは疾走感に溢れ、左手のコードは演奏全体の推進力。そんな個性的なピアノが冒頭の「Music That Makes Me Dance」から全開。
続く「Lover Man」のバラード演奏での表現も個性的。繊細なタッチでバラードなフレーズを弾き始め、演奏が進むにつれ、硬質で美しいピアノの響きで、徐々にテンポが上がり、独特のハーモニーとタイム感覚で、この有名スタンダード曲「Lover Man」を、デイリー独特の解釈で弾き上げていく。見事という他ないパフォーマンス。
3曲目の有名スタンダード曲「Yesterdays」、4曲目のレノン=マッカートニーの「Michelle」そして、続く「That Old Feeling」「Body and Soul」「Night and Day」など、ハードバップ時代に「手垢の付いた」スタンダード曲でのテンポを上げた弾き回しも見事。デイリーの個性が満載。デイリーの唯一無二はフレーズの弾き回しがてんこ盛り。
聴き終えれば、スタンダード曲を中心に、デイリーの個性的なピアノが確認出来、堪能出来る。非常に優れたトリオ盤であることに気が付く。デイリーのトリオ演奏の秀作はこの盤だけだが、この盤も謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の1枚とさせていただきたい。
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