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2026年7月12日 (日曜日)

スーパーサックスの4枚目の盤

スーパーサックスは、モダンジャズの父であるアルトサックス奏者チャーリー・パーカー(愛称:バード)の残した天才的な即興ソロを、5人編成のサックス・セクションによって完璧にハモらせて再現するというコンセプトで作られた超絶技巧集団である。本作は彼らの4作目にあたるアルバムで、ドイツの老舗ジャズレーベルであるMPSレコードからリリースされた。

Supersax『Chasin` The Bird』(写真左)。1976年7月〜9月の録音。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell, Conte Candoli (tp), Frank Rosolino (tb), Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopes, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Lou Levy (p), Fred Atwood (b), Jake Hanna, John Dentz (ds)アレンジが、Buddy Clark (#8), Med Flory (曲: #1 to #3, #5-6, #9), Warne Marsh (曲: #4, #7)。

緻密にハモる5本のサックス・セクションと、ソロ層を支える一流のリズム・セクションおよび管楽器のゲストで構成されている。タイトル曲をはじめ、パーカーの歴史的名演や珠玉のビバップ・ナンバーが、驚異的なスピード感と一糸乱れぬアンサンブルで鮮やかに蘇っている。その職人技とも言える極上のアンサンブルは見事という他は無い。
 

Supersaxchasin-the-bird

 
アルバムの冒頭「Shaw 'Nuff」は、超高速ビバップ・ナンバー。チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーの伝説的な演奏をベースに、5本のサックスが一糸乱れぬ驚異的なスピードでシンクロする、グループの超絶技巧が最も堪能できる1曲。この1曲だけでも、スーパサックスの実力が良く判る。とにかく、聴いていて楽しい。

続く「A Night in Tunisia(チュニジアの夜)」は、超有名スタンダード曲。パーカーが残した有名な「アルトサックス・ブレイク(無伴奏のソロフレーズ)」の瞬間を、なんと5本のサックス全員で完璧にハモらせて再現している。これにはビックリした。6曲目の「Round Midnight」だけが、直接、パーカーにゆかりの無い曲なので、あしからず(笑)。

こういう企画には優れたアレンジが必須。サックス・セクションの緻密な編曲には、グループのリーダーであるメド・フローリーのほか、クール・ジャズを代表するテナー・サックス奏者のウォーン・マーシュらもアレンジャーとして名を連ねている。ビバップの歴史的名曲・名演を、スーパーサックス用に見事にアレンジしている。1970年代のジャズ好盤である。
 
 

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2020年9月27日 (日曜日)

「Plays Bird」の第2弾である

「Supersax(スーパーサックス)」。チャーリー・パーカーの不朽の名アドリブを、5人のサックス奏者がそっくりそのままハーモナイズして甦らせる驚異のグループである。アルトとテナーが2人ずつ、さらにバリトン1人という、ドライブ感抜群、迫力満点な分厚いサックス・アンサンブルで、パーカーのアドリブ・フレーズの魅力を余すところなく伝えてくれる。

Supersax『Salt Peanuts』(写真)。1974年の作品。ちなみにパーソネルは、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopes, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Carl Fontana (tb), Conte Candoli (tp), Lou Levy, Ronnell Bright ,Walter Bishop (p), Buddy Clark (b),Jake Hanna (ds) 。サブタイトルが「Supersax Plays Bird Vol. 2」。デビュー盤に続く「Plays Bird」の第2弾である。

ジャケットがチープになったのが悪かったのか、ほとんど採り上げられない第2弾だが、内容的には、デビュー盤を凌ぐほど充実している。まあ、1974年で、しかもメインストリーム・ジャズ系のアルバムで、このジャケット・デザインは無いだろう。デビュー盤がサックスの大写しで、なかなか洒落たデザインだっただけに、この「ラヴ&ビース」の様な、ヒッピー文化的雰囲気のデザインには首を傾げる。
 
 
Salt-peanuts-supersax  
 
 
もともと、チャーリー・パーカーのアドリブ・フレーズは、これが即興演奏の賜なのか、とビックリするくらいに、流麗で美しいものが多いのだが、この盤の選曲については、そんな流麗で美しいパーカーのアドリブ・フレーズの中でも、特に優れたものをピックアップしている様で、5人のサックス奏者が奏でるフレーズを聴いているだけで、どんどん引き込まれていく。

アレンジについては相変わらず優れている。デビュー盤は、5人のサックス奏者のユニゾン&ハーモニーをじっくり聴かせるアレンジだった。が、この盤については、5人のサックス奏者のユニゾン&ハーモニーをメインに、トランペット、トロンボーン、そして、リズム・セクションもしっかり目立って、さながらビッグバンドの演奏を聴いているような、そんな気分にさせてくれるアレンジである。

この盤も「チャーリー・パーカーの不朽の名アドリブを、5人のサックス奏者がそっくりそのままハーモナイズして甦らせる」という企画が成功している好盤。ジャケット・デザインでかなり損をしているが、このジャケットに「引かず」に一聴をお勧めする。特にビッグバンド者、パーカー者の方々にお勧めの好盤である。 
 
 
 

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2020年9月16日 (水曜日)

内容良好な「With Strings」盤

ジャズ、特にビッグバンド系のジャズは「アレンジ」がとても大切な要素であると思っている。ソロイストの力量・技術も絶対要件だとは思うが、そのソロイストのアドリブを引き立てるのが、バンド全体のアンサンブルだろうから、その「アレンジ」はとても重要な要素となる、と僕は感じている。

『Supersax Plays Bird With Strings』(写真)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、Supersaxとして、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopez, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Frank Rosolino (tb), Conte Candoli (tp), Buddy Clark (b), Jake Hanna (ds), Lou Levy (p)。ここに上質のストリングスが入る。

スーパーサックスとして、デビュー盤の『Supersax Plays Bird』、第2作目の『Salt Peanuts : Supersax Plays Bird Vol. 2』に続く3枚目のアルバムになる。スーパーサックスの「With Strings」なので、チャーリー・パーカーの大名盤『Charlie Parker With Strings』全曲のスーパーサックスの演奏に置き換えるのか、と思った。
 
 
Supersax-plays-bird-with-strings  
 
 
が、チャーリー・パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」からは「April in Paris」「I Didn't Know What Time It Was」「If I Should Lose You」の3曲。他はパーカーが残した名演の中から「With Strings」に向いた演奏をピックアップして、「With Strings」アレンジしている。「Kim」がアレンジされているのが、個人的には目を引く。

この盤もアレンジが良い。スーパーサックスとしてのアレンジも良好、ストリングス・アレンジも現代的で良い雰囲気。パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」は、パーカーの演奏は凄いのだが、ストリングスのアレンジが如何せん古すぎる。このストリングスのアレンジが古すぎて、パーカーの素晴らしいフレーズがちょっと色褪せるのだが、このスーパーサックスのストリングス・アレンジは良好で、パーカーのアドリブ・フレーズが心ゆくまで楽しめる。

出来たら、パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」の全曲をアレンジして再演して欲しかったなあ、と思わせてくれるほど、この「With Strings」盤は良く出来てます。「With Strings」盤って、イージーリスニング風であまり好きでは無いのだが、この盤は別格。やはりアレンジとソロ・パフォーマンスが優れていることが、純ジャズ盤として成立する絶対条件ですね。
 
 
 

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2020年9月13日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・187

先日、World Saxophone Quartet(WSQ)のアルバムをご紹介した。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本、サックス計4本のみの「四重奏」バンド。ジャズの世界では実にユニークな存在なんだが、他にも同じコンセプトのバンドがあったぞ、と思いを巡らせた。それも、遠い遠い昔、ジャズを聴き始め、初めて購入したジャズ盤紹介本にあって、強く興味を持ったバンドだった。

そうそう、そのバンドとは「Supersax(スーパーサックス)」。チャーリー・パーカーの不朽の名アドリブを、5人のサックス奏者がそっくりそのままハーモナイズして甦らせる驚異のグループである。アルトとテナーが2人ずつ、さらにバリトン1人という、ドライブ感抜群、迫力満点な分厚いサックス・アンサンブルで、パーカーのアドリブ・フレーズの魅力を余すところなく伝えてくれるのだ。

『Supersax Plays Bird』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopes, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Buddy Clark (b), Jake Hanna (ds), Ronnell Bright (p), Charley Loper, Ernie Tack, Mike Barone (tb), Conti Candoli, Larry McGuire, Ralph Osborn, Ray Triscari (tp)。アルトとテナーが2人ずつ、さらにバリトン1人、ブラスは、トロンボーンが3 人、トランペットが3人という布陣。そこに、ピアノ・トリオのリズム・セクションがバックに控えている。
 
 
Supersax-plays-bird  
 
 
Capitolレコードからのリリースなので、米国西海岸ジャズの範疇でのバンド・サウンドになる。こういう企画バンドについては、絶対に「アレンジ」が鍵を握る。このSupersaxのデビュー盤については、それはそれは見事なアレンジで、パーカーのアドリブを、ドライブ感抜群、迫力満点なアンサンブルに仕立て上げている。

こうやって、ブラスの分厚い、疾走感溢れるアンサンブルに置き換えると、ビ・バップ時代のアドリブ・フレーズって、実に魅力的かつアーティスティックなものだったことが良く判る。この様なフレーズを「即興演奏」で吹き上げてしまうのだから、そのアドリブの主、チャーリー・パーカーもとてつもなく凄い。そんなビ・バップの凄さを、自分がジャズ者初心者駆け出しの頃、このSupersaxの演奏で理解した思い出がある。

硬派なジャズ者ベテランの方々の中には「パーカーを冒涜している」との意見もある様なのだが、この優れたアレンジ、一糸乱れぬアンサンブル、そして、そこからダイレクトに伝わるパーカーのアドリブの凄さを思うと、逆にパーカーを真剣に「トリビュート」し、尊敬の念を持って演奏しているように感じるのだ。とにかくこのブラス・アンサンブルは凄い。パーカーのアドリブを知らなくても良い。是非、一聴をお勧めする。
 
 
 
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2017年6月29日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・83

我が国では「企画盤」の評価はイマイチ。「企画盤」というと「作られた感じ」が強くするのだろうか、即興を旨とするジャズの世界ではこの「作られた感」がどうにも駄目らしい。「企画盤」になると、人工的だとか商業主義だとか、あまり良い評価は得られない。ジャズについては「偶発的に発生する優れた即興」を最高のものとする習わしがあって、我が国では「企画盤」はうけない。

例えば、こういう企画盤も基本的に評価がイマイチ。というか、ピックアップすらしてくれない。アルバム紹介本についても、日本ではこのブラスバンドの名前が挙がることはないし、ましてやアルバムの名前が挙がることも無い。その「ブラスバンド」の名前とは「Supersax(スーパーサックス)」。

Supersax『Salt Peanuts』(写真左)。Med FloryとBuddy Clarkの2人が中心となり、ビ・バップの創始者の一人、アルトサックスの巨匠Charlie Parkerに捧げたブラスバンド「Supersax(スーパーサックス)」の1974年リリースのセカンド盤。スーパーサックスとは、Charlie Parkerの名演奏を、サックス・アンサンブルで再現しようとしたユニークな企画系のバンドである。
 

Salt_peanuts1

 
発想が素晴らしい。2アルト、2テナー、1バリトンの5人のサックス・セクションが、原曲のメロディだけでなく、パーカーのアドリブソロのラインまで、一糸乱れぬアンサンブルで再現するのだ。疾走感溢れ、心地良く複雑に捻れたチャーリー・パーカーのアドリブラインを忠実にサックス・アンサンブルで実現する。その迫力とパンチ力たるや、凄まじいものがある。

冒頭は、Charlie Parlerのビ・バップの名曲「Yard Bird Suite」を、重厚なサックス・アンサンブルで完璧にカバー。2曲目は、Dizzy Gillespie作の「Groovin' High」、そしてラストの「Salt Peanuts」等、ビ・バップの名曲を圧倒的な迫力で吹き上げていく。聴けば判るが、スーパーサックスのメンバーは全てテクニックが高い。実質的なリーダーはMed Floryですが、他のメンバーも全員リーダー盤を持っている実力者揃いです。

ジャケットを見れば、明らかに時代を感じるデザインではあるが、中身はなかなか硬派で、サックスの音色を愛でるに効果的な企画盤です。このサックス・アンサンブルの企画盤が我が国では、知る人ぞ知る、マニアな盤の位置付けに甘んじているのか理解に苦しみますが、どうして、聴けばスカッとする爽快感溢れる好盤です。
 
 
 
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2009年8月19日 (水曜日)

金管楽器アンサンブル「もう一枚」

最近、朝夕は涼しい風が吹いて、ちょっと通勤し易くなった、我が千葉県北西部地方。今週の週間予報を見ていても、予想最高気温も30度を超すことは無く、そこはかとなく「秋の気配」である。

さて、バリサク3本のアンサンブル、ビッグバンド・ベースの優れたアレンジによる「ユニゾン&ハーモニー」を楽しんでいたら、ふと、もう一枚、金管楽器のアンサンブルの優れものを思い出した。Supersaxの『Supersax pleys Bird』(写真左)である。

ジャズ入門用のアルバム紹介本で学生時代からその存在は知っていたのだが、LPが見当たらない。無い無いと思っていたら、CDの時代になった。CDで再発されるのを心待ちにしていたのだが、なかなか再発されない。まあ、当時は、外国盤の発売情報って全く無かったから、日本盤での発売に期待するしかなかったのだが、これがなかなか出ない。

出ない出ないと思っていたら、1999年になって、なんとサンフランシスコのタワレコで、このCDを見つけた。嬉しかったなあ。即ゲットである。アルバム蒐集の醍醐味である(笑)。

Supersaxとは、アルトのMed Floryを中心としたサックス・アンサンブル。ちなみに、この『Supersax pleys Bird』のパーソネルは、Med Flory、Joe Lopez(as) Warne Marsh、Jay Migliori(ts) Jack Nimitz(bs) Ray Triscari、Larry McGuire、Conte Candoli、Ralph Osborne(tp) Charley Loper、Mike Barone、Ernie Tack(tb) Ronnell Bright(p) Buddy Clark(b) Jake Hanna(ds)。しかし、知らん顔ばっかしやなあ。1972年の録音である。
 

Supersax_bird

 
さて、このアルバム、題名のとおり、ビ・バップの創始者の一人、天才アルト・サックス奏者であるチャーリー・パーカー(彼のニックネームは「Bird」である)の演奏を、アドリブ部も含めて譜面に落として、スモールコンボ・ベースのアレンジを施した、なかなかの「アイデアもの」である。

どの曲もチャーリー・パーカーの歴史的名演で有名なものばかり。チャーリー・パーカーの歴史的名演を知らない、ジャズ者初心者の方々でも、ビ・バップの名曲名演は、その疾走感や印象的なフレーズは素晴らしいものばかりなので、純粋にその演奏を楽しむことが出来る。

とにかくアレンジが良い。金管楽器のユニゾン、ハーモニー、アンサンブルが、キラキラ輝かんばかり、はちきれんばかりの迫力で迫ってくる。抑揚強弱も効果的で聴き応え十分。このアルバムはひとえに、アイデアとアレンジの勝利と言えるでしょう。ジャズの楽しさを十分に感じることが出来ます。

最近では、ネット・ショップ経由で、CDの入手が容易になったみたいなので、是非一度聴いて頂きたいアルバムです。ビ・バップの名演を部も含めて譜面に落として、スモールコンボ・ベースのアレンジを施すなんて、ジャズじゃない、という辛口の評論も見受けられ、ちょっと「際物」っぽく思えるんですが、ジャズの「アレンジの妙」を楽しむには、このアルバムみたいな企画物も「あり」なんではないでしょうか。

あまり肩肘張らずに、金管楽器のユニゾン、ハーモニー、アンサンブルが、キラキラ輝かんばかり、はちきれんばかりの迫力を楽しむのも、またジャズ者の楽しみのひとつではないかと思っています。
 
 
 
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    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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