2026年1月27日 (火曜日)

エロール・ガーナーを再聴する

昔、僕がジャズを本格的に聴き始めた約50年前。ジャズ初心者向けのアルバムの紹介本や、紹介記事、紹介チラシに、なぜか必ず入っていたピアニスト、エロール・ガーナー(Erroll Garner)。僕は、当時、このエロール・ガーナーのリーダー作、それも何故か『Concert By The Sea』ばかりが紹介されていて、これも勉強とばかりに購入、意気込んで聴き始めたのだが、これが、なんとも良く判らない。戸惑った。

Erroll Garner『Contrasts』(写真左)。1954年7月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner (p), Wyatt Ruther (b), Fats Heard (ds)。エロール・ガーナーが1954年に発表したスタジオ録音のアルバムである。1988年のCDリイシュー時には「The Original Misty」というタイトルでリイシューされた。

ガーナーの個性は、スイング・ジャズを踏まえたピアノだったり、当時の流行の弾き方だったブギウギ・ピアノであったり、スライド・ピアノであったりする。つまりは、モダン・ジャズの基となった、モダン・ジャズ以前の、モダン・ジャズの要素となった、ポップで大衆的なピアノの響きなのである。つまり、モダン・ジャズにおけるピアノとは、アプローチ、テクニック、響きが違う。そこが「戸惑い」の原因。

ガーナーの個性は、即興性というジャズの基本を踏まえつつ、テクニックは優秀、そして、曲の美しいフレーズを捉えて、歌心満点のピアノを弾きまくるという点。つまり、聴き手を十分に意識した、聴き手に「聴いて楽しませる」ことn主眼を置いた、ジャズ・ピアノの「エンタテインメント性」を表出した、最初のピアニストということになる。
 

Erroll-garnercontrasts 
 

例えば、アート・テイタムは、ガーナーと同じ時代を生きたピアニストだが、テイタムは、驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。ガーナーは、逆に、テクニックの高さはあるが、それよりも歌心溢れるフレーズ、いわゆる、聴き手を意識したエンタテインメント性をウリにしたピアノであると言える。

そんなガーナーの個性がとても良く理解出来るアルバムがこの『Contrasts』。ガーナーはテクニックの高さを優先しないで、歌心を重視した弾きっぷりで、明らかにビ・バップとは違う切り口での弾き回し。スイング・スタイルのピアノは、この歌心だけを重視して、テクニックは二の次、あとはリズム楽器としての役割を追求するものだったので、ガーナーのピアノとは全く性質が違う。

ガーナーの「ビハインド・ザ・ビート」が心ゆくまで感じる事ができる。「ビハインド・ザ・ビート」とは、左手でビートを刻み、右手のメロディーが、左手のビートから若干遅れて出てくる弾き方。弾き方というか、エロル・ガーナーの場合は、自然発生的にこの弾き方になっている。これが、このアルバムでは良く判る。

モダン・ジャズ期にテイタムのテクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を弾き継いで、モダン・ジャズ・ピアノとして成立させたのが「バド・パウエル」、歌心溢れるフレーズをウリにした、エンタテインメント性を弾き継いで、モダン・ジャズ・ピアノとして成立させたのが「ビル・エヴァンス」。そんな単純な解釈を僕はして、彼らのピアノを楽しんでいる。
 
 

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2022年7月17日 (日曜日)

エロール・ガーナーのソロ盤『Afternoon of An Elf』

最近、天候が不安定な千葉県北西部地方。梅雨明けしたのは良いが、その後、1週間ほど酷暑の日が続いたと思ったら、一転、2週間前の土曜日辺りから、ほどんど晴れない、雨模様の日々、そして、いきなりゲリラ豪雨と、特にこの2週間、戻り梅雨のような状態になって鬱陶しい。おまけに天気予報が当たらない。その日になっても予報が当たらないなんて、どんな予報システムをしているのやら。

鬱陶しい不安定な日に加えて、湿度が異常に高くて、不快指数MAX。ここまでくると、エアコンの効いた部屋の中でも、難しいジャズは聴けない。パッと聴いてパッと判って楽しめる、シンプルなジャズが良い。ピアノ・ソロやピアノ・トリオ、そして、爽快感溢れるハードバップなジャム・セッション。聴いて心地良く疲れるフリー・ジャズなどは控えたくなる。

Erroll Garner『Afternoon of An Elf』(写真)。1955年3月14日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner (p)。孤高のスライド・ピアノの名手、エロール・ガーナーのピアノ・ソロ盤。聴かせるジャズ・ピアノ。エンタテインメント性バリバリのジャズ・ピアノのソロ・パフォーマンスが満載である。
 

Erroll-garnerafternoon-of-an-elf

 
エロール・ガーナーとは、1921年生まれ。1977年1月没。左手のベースラインをメインに、メロディを弾く右手は自由自在にタイム感を後ろにずらす「ビハインド・ザ・ビート」が特徴。エロール・ガーナーは、生涯楽譜が全く読めなかったとのことだが、ジャズも場合、それは全く関係無い。ジャズとは「感性」の音楽である。二度と同じフレーズが無い、究極の即興演奏が、このソロ・ピアノ盤に詰まっている。

難解なところは全く無い。オープンで大らかでハッピー・スインガーなガーナーの面目躍如。スイング・ジャズを踏まえたスインギーなフレーズ、当時の流行の弾き方だったブギウギ・ピアノで大立ち回り、スライド・ピアノで歌心満点な弾き回しを披露する。ピアノ・ソロだけに、ガーナーのピアノの個性にだけ集中出来るのが良い。「ビハインド・ザ・ビート」が心地良く耳に響く。

妖しい魅力を持った、打楽器的ピアノ・エンタテインメント。独創性溢れる究極の即興演奏。これが難しく響かず、判り易く心地良く聴くことが出来る「聴かせる」ピアノ・ソロ。エンタテインメント性バリバリのピアノ・ソロ。ガーナーのピアノは「ブレ」が無い。聴いて爽快な「ビハインド・ザ・ビート」。パッと聴いてパッと判って楽しめる、シンプルなピアノは個性濃厚である。
 
 

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2016年12月16日 (金曜日)

エロール・ガーナーは素晴らしい『The Complete Concert By The Sea』

最近、日本の若手ジャズ・ピアニストの談話の中で、このピアニストの名前が良く出てくる。聞けば意外に感じる「エロル・ガーナー(Erroll Ganer)」。バップ系のピアニストでは無い。それ以前、モダン・ジャズ以前、スイング系のピアニストで「ビハインド・ザ・ビート」と形容される独特の演奏が個性とされる。

そんなエロル・ガーナーであるが、このピアニストの代表作が『Concert By The Sea』(写真右)。しかし、このアルバムはLP時代、1枚のアルバムで収録時間は40分そこそこ。その40分そこそこの中にノリノリの「ビハインド・ザ・ビート」が展開される。

なんとなく、エロール・ガーナーの個性を理解し始めた頃に終わってしまう、僕にとっては、そんな物足りなさが「てんこ盛り」のアルバムだった。収録時間が短いのか、乗りきれないまま、理解しきれないまま、終わってしまうような、そんな物足りなさ。

それが、である。長生きしているものである(笑)。昨年のことである。この『Concert By The Sea』のコンプリート盤がいきなり出た。『The Complete Concert By The Sea』(写真左)。1955年9月のライブ録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner (p), Edie Calhoun (b), Denzil Decsta Best (ds)。一応、ピアノ・トリオの体である。

CD3枚組、トータルで2時間半強。これだけ長尺だと、やっとのことで、エロ−ル・ガーナーのピアノ・プレイを心ゆくまで堪能出来る。逆に、途中で飽きるのではないか、という懸念も出てくる。とにかくトータルで2時間強の中で、ノリノリの「ビハインド・ザ・ビート」が展開。
 

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しかし、聴き終えて「圧倒的」であった。2時間半強の「ビハインド・ザ・ビート」の饗宴。飽きるどころか、ノリノリの一気に聴き終える。迫力満点、ドライブ感満点のガーナーのアドリブ展開。エロル・ガーナーと言えば「ビハインド・ザ・ビート」ばかりがクローズアップされるが、それだけでは無い。

ガーナーのピアノは、スイング・ピアノの雰囲気そのままに、アドリブ展開が「ビ・バップ」。ノリの幅が広く、スイング感が強烈。アドリブ展開の時の右手の展開がクラシック・ピアノの様に「流麗」。それでいて「ビハインド・ザ・ビート」を織り込むことで、ファンクネスを強烈に印象付ける。

ガーナーのピアノは「ノリに乗る」。ソロ・ピアノの展開だって、トリオ演奏の展開だって「ノリに乗る」。しかし、展開の流麗さが、その「ノリ」を「いやらしく」聴かすことは無い。かつ、加えてタッチが硬質。フレーズの音を拾いやすい程の硬質なタッチ。明朗で判り易い、そしてノリが良くスインギー。

なるほど、このコンプリート盤を聴いて、ガーナーのピアノ・プレイの良さが十分に理解出来て、彼のピアノの良さが良く判った。最近の若手ピアニストの中で人気が高いのも頷ける。温故知新。21世紀も15年が過ぎた現時点において、エロール・ガーナーのプレイ・スタイルって、意外と新しく響くのかもしれない。
 
 
 
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2014年3月11日 (火曜日)

聴いていて楽しいジャズ・ピアノ『The Most Happy Piano』

エロール・ガーナーのピアノは、最初は全く判らんかった。彼のピアノは、ビ・バップ以降、バド・パウエルが確立した「モダン・ジャズ・ピアノ」の流れには全く乗っていない訳で、ということは、ガーナーのピアノは、ビ・バップ以降の「モダン・ジャズ」としての特徴を兼ね備えてはいない。

エロール・ガーナーの個性は、スイング・ジャズを踏まえたピアノだったり、当時の流行の弾き方だったブギウギ・ピアノであったり、スライド・ピアノであったりする。つまりは、モダン・ジャズの基となった、モダン・ジャズ以前の、モダン・ジャズの要素となった、ポップで大衆的なピアノの響きなのである。

そんな判り難い個性を、なんとか判り易く聴き分けることが出来るアルバムがある。Erroll Garner『The Most Happy Piano』(写真左)。1956年6月と9月の録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner (p), Al Hall (b), Specs Powell (ds)。ガーナー以外のベースとドラムは、僕には馴染みが全く無い。

「ビハインド・ザ・ビート」と呼ばれる独特のピアノ・スタイルが、エロール・ガーナーの売りなんだが、この『The Most Happy Piano』では、この「ビハインド・ザ・ビート」が良く判る。「ビハインド・ザ・ビート」とは、左手でビートを刻み、右手のメロディーが、左手のビートから若干遅れて出てくる弾き方。弾き方というか、エロール・ガーナーの場合は、自然発生的にこの弾き方になっている。これが、このアルバムでは良く判る。
 

The_most_happy_piano

 
その「ビハインド・ザ・ビート」を駆使しつつ、スイング・ジャズを踏まえたピアノや、当時の流行の弾き方だったブギウギ・ピアノや、スライド・ピアノを弾きまくる。遅れて出てくる右手のメロディーも、このアルバムでは、意外と端正に弾き進めていて、演奏全体が聴き易くなっている。いわゆる「ハッピー・スインガー」としてのエロル・ガーナーのピアノの個性が、とても良く判る。

エロール・ガーナーのお勧め盤としては、『Concert By The Sea』(2014年2月21日のブログ)や『Contrasts』(2011年6月16日のブログ)が挙げられることが多いが、意外とこの『The Most Happy Piano』がお勧めかもしれない。特に、ジャズ者初心者の方には、聴き易くて取っ付き易い内容となっています。

日本のジャズ・シーンでは、「バド・パウエル」がジャズ・ピアノの祖としてもてはやされており、「バド・パウエル」の影響を全く受けないエロール・ガーナーは「異端」とされた。技を主体とする「バド・パウエル」は正統であり、「聴かせる」エンタテインメントの「エロール・ガーナー」は異端とされた。

そんな異端のジャズ・ピアニストであるエロール・ガーナー。しかし、この『The Most Happy Piano』を聴けば、エロール・ガーナーのピアノは、エンタテインメント性の高い、聴いていて楽しいピアノ。難しいこと無しに、聴き流す感じで聴けば、違和感は全く感じることはありません。

ちなみに、このエロール・ガーナーって、あの俳優・映画監督のクリント・イーストウッドが最も愛するピアニストの一人だそうです。イーストウッドってジャズが好きなんでしょうね。渋いなあ。
 
 
 
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2014年2月21日 (金曜日)

ガーナーはジャズ者上級者向け『Concert By The Sea』

もう既に36年もの間、ジャズを聴き続けて来た訳なんだが、ジャズ入門本で名盤と勧められようが、ジャズの定盤と言われようが、何度聴いても、どこから聴いても、どうにも良く判らない、どうにもどこが良いのかが判らないアルバムが幾枚かある。

そんな何度聴いても、どこから聴いても、どうにも良く判らない、どうにもどこが良いのかが判らないアルバムの一枚が、Erroll Garner『Concert By The Sea』(写真左)。Erroll Garner(エロール・ガーナー)は1921年、ペンシルベニア州の生まれ。1977年、56歳で鬼籍に入っている。僕がジャズを聴き始めたのが1978年なので、僕がジャズを聴き始めた頃には、この世に居なかったことになる。

エロール・ガーナーは、ジャズ・ピアノの歴史において、どの系譜にも属さない独特のポジションに居る。ガーナーは、1921年生まれなんだが、ガーナーが20歳台であった、1940年代のビ・バップのムーブメントには、彼は全く無縁だった。

ということは、彼のピアノは、ビ・バップ以降、バド・パウエルが確立した「モダン・ジャズ・ピアノ」の流れには全く乗っていない訳で、ということは、ガーナーのピアノは、ビ・バップ以降の「モダン・ジャズ」としての特徴を兼ね備えてはいない、ということになる。

僕の場合、このビ・バップ以降の「モダン・ジャズ」としての特徴を兼ね備えてはいない、というところが、ジャズを聴き始めた頃の耳には、全く馴染まなかった。遅れて強力なタッチで入る左手、明るすぎるくらいに弾けまくる右手、情緒という言葉は全く関係無い、テクニックの続く限り弾きまくるアクロバティック性。

若い頃、これにはついていけなかったなあ。Erroll Garner『Concert By The Sea』は聴く度に「敗退」の気分を味わう、僕にとっては、かなりの「難物」だった。とにかく、何が良いのか、どこを聴いて良いのかが判らない(笑)。

でも、40歳を過ぎた頃からだったか、ビ・バップ以降の「モダン・ジャズ」としての特徴を兼ね備えてはいない、ということは、モダン・ジャズ以前のジャズの流儀を踏まえたピアノということになる。モダン・ジャズの響きがしない、1920年代から1940年代までの、当時のポップで大衆的で、エンタテインメントなピアノの響きということになる。
 

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ということは、スイング・ジャズを踏まえたピアノだったり、当時の流行の弾き方だったブギウギ・ピアノであったり、スライド・ピアノであったりする。つまりは、モダン・ジャズの基となった、モダン・ジャズ以前の、モダン・ジャズの要素となった、ポップで大衆的なピアノの響きなのである。

つまりは、モダン・ジャズとして聴くからややこしいのであって、モダン・ジャズ以前のモダン・ジャズの要素となり礎となった、ポップで大衆的なピアノの響きを愛でると考えると、実は思いっきりスッキリする。まあ、この感覚がなんとなく理解できるようになったのは、つい最近。

もうこの歳になると、エロール・ガーナーのビ・バップ以降の「モダン・ジャズ」としての特徴を兼ね備えていないピアノを聴いても、違和感は感じない。ひとつのポップ・ピアノのスタイルとして聴くことが出来る。モダン・ジャズ以前の、モダン・ジャズの要素となり礎となった、ポップで大衆的なピアノとして聴くと、なかなかに興味深い。

とは言っても、判り易いピアノとは言えない。ガーナーのピアノのフレーズのオフ・ビートが、ジャズのスタンダードなオフ・ビートが、ちょっとズレるというか、ちょっと調子が違う。よって、このエロル・ガーナーをモダン・ジャズ・ピアノとして、聴くのは辛い。やはり、モダン・ジャズ以前の、モダン・ジャズの要素となり礎となった、ポップで大衆的なピアノとして聴くのが一番。

ということは、エロール・ガーナーは、我々、ジャズ者の世界では「上級者向け」のピアニストになる。モダン・ジャズ以前の、モダン・ジャズの要素となり礎となったピアノ、ということを理解するには、モダン・ジャズのピアノを理解することが大前提であり、モダン・ジャズ・ピアノの要素を理解する必要がある。

いやはや、エロール・ガーナーのピアノは意外と難物であった。私の経験から言えること。エロール・ガーナーのピアノには、ジャズ者初心者の時代に手を出してはいけない(笑)。ちなみに、エロール・ガーナーの『ミスティ』については、2011年6月16日のブログ(左をクリック)で語っています。よろしければどうぞ。
 
 
 
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2011年6月16日 (木曜日)

「聴かせる」ジャズ・ピアノ『Contrasts』

先週は、レイ・ブライアントの追悼週間だった。レイ・ブライアントのピアノは、演奏を如何に聴かせるかという「鑑賞」の世界への適用に重点が置かれている。そこが、当時の流行だった、技を徹底的に追求する「パウエル派」とは全く違う点である。

ブライアントのピアノは、オフビートを強調した、アーシーでゴスペルタッチなピアノが特徴で、その強調はタッチの強い、テンションの強い右手と、低音の響きを活かしたハンマー打法の様な左手の使い方が実に印象的。このブライアントを聴くと、僕は決まって、「エロール・ガーナー」と「ミシェル・ペトルシアーニ」を思い出す。

今日はその「エロール・ガーナー」について語りますね。エロール・ガーナーとは、1921年生まれ。1977年1月没。左手のベースラインをメインに、メロディを弾く右手は自由自在にタイム感を後ろにずらす「ビハインド・ザ・ビート」が特徴。左手のベースラインがメイン、というところが、もう既に「バド・パウエル」とは異なるアプローチ。

1940年代後半〜1950年代前半、ビ・バップの時代は、ジャズ・ピアノは「バド・パウエル」が全てとされる。しかし、同時代に活躍したエロール・ガーナーは、この「バド・パウエル」の影響を全く受けない、唯一無二な個性を展開した。

まあ、日本のジャズ・シーンでは、「バド・パウエル」がジャズ・ピアノの祖としてもてはやされており、「バド・パウエル」の影響を全く受けないエロール・ガーナーは「異端」とされた。技を主体とする「バド・パウエル」は正統であり、「聴かせる」エンタテインメントの「エロール・ガーナー」は異端とされた。
 

Contrasts

 
でも、僕は、このエロール・ガーナーが好きなんですよね。やっぱり、音楽は「技」よりも「エンタテインメント」でしょう。「バド・パウエル」だって、僕は「エンタテインメント」だと思っている。

そんなエロール・ガーナー、なかなかまとまったアルバムを残していなくて、どれが入門盤なのか、選択肢が狭くて困るのだが、世の中のジャズ本を紐解くと、決まって「コンサート・バイ・ザ・シー」というライブ盤を挙げているが、僕はこのライブ盤、音があまり良くない。良くないと、ガーナーの「ビハインド・ザ・ビート」が良く聞き取れ無い。 

そんなエロール・ガーナーを愛でるには、僕はこのアルバムを真っ先にかける。そのアルバム名は『Contrasts』(写真左)。エロール・ガーナーのスタジオ録音盤なんだが、音も良好、エロール・ガーナーの「ビハインド・ザ・ビート」が心ゆくまで感じる事ができる。

1954年7月、ジャズ界はビ・バップ時代後半の録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner(p), Wyatt Ruther(b), Eugene "Fats" Heard(ds)。ベースとドラムは、僕にとって全くの無名。リズム・キープは堅実だが、ここでのリズム・セクションはそこまで。このアルバムは、徹頭徹尾、エロール・ガーナーのピアノを愛でることのみに存在する。

エロール・ガーナーは、生涯楽譜が全く読めなかったとのことだが、ジャズも場合、それは全く関係無い。ジャズとは「感性」の音楽である。二度と同じフレーズが無い、究極の即興演奏がこのスタジオ盤に詰まっている。

硬質なタッチ。左手のベースラインをメインに、メロディを弾く右手は自由自在にタイム感を後ろにずらす「ビハインド・ザ・ビート」。聴かせるジャズ・ピアノ。エンタテインメント性バリバリのジャズ・ピアノ。一度填れば、暫く「病みつき」になる。そんな妖しい魅力を持った、打楽器的ピアノ・エンタテインメント。

ちゃんと「Misty」も入っています。パキパキのタッチでありながら、溢れ流れるようなバラード演奏。これ、本当に名演です。ついつい聴き惚れてしまいます。「聴かせる」ジャズ・ピアノの面目躍如です。
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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