2024年12月29日 (日曜日)

今一度『Moanin’』を聴き直す

モダン・ジャズ期の名盤の数々が、再リマスターされたり、廉価盤になって再発されたりで、サブスク・サイトを賑わしている中で、ほほう、これは懐かしいなあ、と、暫く聴き直したことの無かった「ハードバップ期のファンキー・ジャズの名盤」に出くわした。

Art Blakey and The Jazz Messengers『Moanin'』(写真左)。1958年10月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b), Art Blakey (ds)。サックスのベニー・ゴルソンが音楽監督と務めた、ジャズ・メッセンジャーズの最初のピークを迎える黄金メンバーの最初のアルバム。

ベニー・ゴルソンを音楽監督に迎えることによって、親分のブレイキーを含め、日頃の生活から演奏時まで、怠惰な面を排除し、音楽に演奏に100%注力する姿勢をメンバー全員に浸透させ、ゴルソン自身は後に「ゴルソン・ハーモニー」と呼ばれる、ゴルソン独特のユニゾン&ハーモニーに形式を編み出し、それをこのジャズ・メッセーんジャーズの演奏に全面適用している。これが「大当たり」になる。

このゴルソン・ハーモニーに加え、前走にコール&レスポンスの演奏方式を適用させ名曲&名演になった曲がタイトル曲の「Moanin'」。超有名な前奏のコール&レスポンス。これはゴルソン・ハーモニーが適用されていて、ユニゾン&ハーモニーが独特の響きと音の重ねが、このコール&レスポンスをさらに印象的なものにしている。そして、テーマ部の演奏に入ると、チェイスという演奏方式にゴルソン・ハーモニーが適用され、このチェイスの部分が、ジャズ・メッセンジャーズ独特の個性として、新しい響きを醸し出す。
 

Art-blakey-and-the-jazz-messengersmoanin

 
続く「Are You Real」もゴルソン・ハーモニーを効果的に配し、ジャズ・メッセンジャーズ独特の個性的な音で、チェイスを多用することによって疾走感を押し出す。その疾走感をブレイキー親分の個性的なバップ・ドラミングでさらに推し進め、フロント2管のモーガンのトランペットと、ゴルソンのテナーを鼓舞しまくる。

以降、「Along Came Betty」から「Come Rain or Come Shine」まで、どの曲にもゴルソン・ハーモニーが要所要所で適用され、全ての曲において、ジャズ・メッセンジャーズ独特の個性的な音で彩られる。

そして、このゴルソン・ハーモニーの音の響き、音の重ねかたは明らかに「ファンクネス濃厚」、いわゆるファンキーな響きと音の彩りが濃厚なので、この『Moanin'』は、ファンキー・ジャズの名盤と歌われるのだ。この頃のジャズ・メッセンジャーズ=ファンキー・ジャズの公式は、ゴルソン・ハーモニーとゴルソンの音楽監督としての優れたアレンジの適用の産物である。

そして、「The Drum Thunder Suite」と「Blues March」は、ブレイキー親分のドラミングを全面的にフィーチャーしていて、ブレイキーのバップ・ドラミングが心ゆくまで堪能することができる。このブレイキー独特なドラミングと「ナイアガラ・ロール」と呼ばれる得意技は、ジャズ・メッセンジャーズ独特の個性と音の響きとして、ブレイキーが亡くなるまで、バンド・サウンドに君臨することになる。

やはり、この『Moanin'』は、ファンキー・ジャズの名盤として良い。今の耳で聴き直しても古さは感じない。演奏メンバーの演奏レベルもかなりの高さで、演奏内容、演奏精度としても最高位に位置するものだと感じている。
 
 

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2021年6月13日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・207

ブルーノート・レーベルには、今となっては「ほぼ無名」だが、個性溢れるジャズマンの数少ない録音がある。それも、とても「ブルーノート」らしい音で記録されているのだから、絶対に無視出来ない。こういう内容のある、希少価値のある録音が残っているところが、ブルーノートは「ジャズの老舗レーベル」と一目置かれる所以である。

Sonny Redd『Out of the Blue』(写真)。全8曲中、1-6曲目が1959年12月5日、7-8曲目が1960年1月23日の録音。ブルーノートの4032番。ちなみにパーソネルは、1-6曲目が、Sonny Red (as), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Roy Brooks (ds)、7-8曲目が、Sonny Red (as), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。CDリイシュー盤は、この8曲に5曲のボートラが追加されている。このボートラ部分の録音は、7-8曲目と同じく1960年1月23日の録音。

ブルーノート・レーベルのアルバム作りには珍しく、複数に録音日がまたがる構成になっている。聴いてみても、あまり明確な理由は見当たらない。CDリイシュー盤の全13曲仕様を全曲聴き通すと、1959年12月5日の録音と1960年1月23日の録音、共にリーダーのソニー・レッドのアルト・サックスと、リズム隊の要、ウィントン・ケリーのピアノが、突出して良いパフォーマンスを展開しているのが印象に残る。
 

Out-og-blue

 
リーダーのソニー・レッドのアルト・サックスの音がとても良い。とても良く鳴っている。ブラスのブリリアントな響きを伴って、とても良い音で気持ちよさそうにアルト・サックスを吹き上げている。テクニックは中庸、速弾きをする訳でも無いし、情感タップリにバラードを吹き上げる訳でも無い。レッドはとても良い音で、ゆったりとしたミッド・テンポで、スタンダード曲を自作曲を印象的なフレーズで吹き上げる。

そして、そのアルト・サックスを支えるのが、ウィントン・ケリーのハッビー・スインガーなピアノ。そこはかとないファンクネスとマイナーな響きを宿しつつ、明るくハッピーでスインギーなピアノで、フロントのレッドのアルトを鼓舞し、サポートする。ベースとドラムのリズム隊はいずれも、安心かつ安定したハードバップなリズム&ビートを供給する。

録音年が1959-60年。ハードバップ全盛期を過ぎて「ハードバップ多様化」の時代。そんな時代に「ハードバップど真ん中」な、とりたてて注目する特徴は無いが、とても良い音でアルト・サックスが鳴る。そして、そんなアルト・サックスに、ブルーノート・レーベルらしい独特のエコーがかかって、それはそれはとてもブルーノートらしい音で鳴り響く。ジャケ・デザインもブルーノートらしくて秀逸。ジャケ良し、演奏良し、録音良し、有名盤では無いけど、一聴に値する3方良しの好盤です。
 
 
 

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  ・この熱い魂を伝えたいんや

 
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2021年6月 8日 (火曜日)

コンガは決して俗っぽくない『The Time Is Right』

オールドなジャズ者の方々を中心に、コンガやボンゴなどのパーカッションについては「俗っぽい」ものとされていた。カウベルやスチールパンなども駄目。とにかく、パーカッションの入った、特にコンガやボンゴの入ったジャズは「俗っぽい」ものとされ、アーティスティックなものでは無いとされた。

僕はジャズを聴き始めた頃から、この感覚が全く理解出来ない。もともと、ジャズを聴き始めた頃、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズの中で、ワールド・ミュージック志向のアフリカン・ネイティブなパーカッションや中南米音楽のパーカッションに慣れ親しんでいたので、パーカッションについては違和感は全くない。どころか「俗っぽい」と感じたことは一度も無い。

Lou Donaldson『The Time Is Right』(写真左)。1959年10月31日と11月28日の2セッションでの録音。ブルーノートの4025番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Horace Parlan (p), Blue Mitchell (tp) が2セッション共通で、Tracks 1, 2, 4-7のリズム隊が、Laymon Jackson (b), Dave Bailey (ds), Ray Barretto (congas)。Track 3のリズム隊が、Sam Jones (b), Al Harewood (ds)。
 

The-time-is-right
 

ルーさんはコンガ好き。この盤も全7曲中6曲がコンガ入り。冒頭の「Lou's Blues」なんて、イントロからコンガ。恐らく、オールドなジャズ者の方々からすれば、この冒頭イントロのコンガを聴くだけで、ジャズ喫茶の席を立ったと思われる(笑)。でも、今の耳で聴いても、そんなに俗っぽい響きは感じられない。逆に、演奏全体に漂うファンクネスを増幅する役割を果たしている。

ピアノがホレス・パーランなので、リズム・セクションのリズム&ビートは古くない。当時の先端を行くクールなリズム&ビートで、コンガは入っているが、なかなか硬派なファンキー・ジャズが展開されている。ルーさんとトランペットのミッチェルの2管フロントの相性が抜群で、ユニゾン&ハーモニーの響きはとっても「ブルーノートらしい」。ルーさんのアルトも実にブルージーでファンキーで、当時のハードバップの先端を行く音だ。決して古く無い。

多弁で底抜けに明るいアルトなので、俗っぽいと低く見られがちなルーさんのアルトだが、とんでもない。多弁はバップなアルトなので当然だし、ファンキー・ジャズを奏でる中では、ルーさんのアルトはブルージーでクールな音で鳴り響く。音全体の印象はドップリと「ブルーノート・サウンド」。典型的なブルーノートなファンキー・ジャズが素敵な好盤です。
 
 
 

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2021年6月 5日 (土曜日)

バレルを心ゆくまで愛でる盤『On View At The Five Spot Cafe』

ケニー・バレルというギタリスト、僕は大好きである。最初に彼のギターを聴いたのは、1980年頃、『Guiter Forms(ケニー・バレルの肖像)』だったと思う。邦題通り、様々な編成でバレルのギターの魅力を引き出した好盤なのだが、このバレルのギターが良かった。僕は「漆黒ファンキーなアーバン・ギター」と形容している。

Kenny Burrell With Art Blakey『On View At The Five Spot Cafe』。1959年8月25日、NYの「Five Spot Cafe」でのライヴ録音。ブルーノートの4021番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Art Blakey (ds), Bobby Timmons (p), Roland Hanna (p), Tina Brooks (ts), Ben Tucker (b)。 リーダーはギターのバレルとドラムのブレイキーの双頭リーダー盤。バレルのギター、ブルックスのテナーの2人がフロントのクインテット編成。

パーソネルを見渡すと、とても個性の強いメンバーが集められている。漆黒ファンキーなアーバン・ギターのバレルに、大胆かつ繊細なドラマーのブレイキー、どっぷりとブルージーなテナーのブルックス、ハードバップ・ベースの名手のタッカー。そして、ピアノは、明快なファンキー・ピアニストのティモンズと、典雅なピアノ職人のハナの2人を使い分けている。
 

On-view-at-the-five-spot-cafe
 

このメンバーはとってもブルーノートらしいラインナップ。そして、ブルーノートらしいブルースなサウンドが充満している。バレルのギターはファンネス溢れ、滴るようにブルージー。どのソロ・パフォーマンスも申し分無し。ピアノが明快なファンキー・ピアニストのティモンズだと、バレルの「ファンクネス」が強調され、ピアノが典雅なピアノ職人のハナだと、バレルの「アーバン」な雰囲気が強調されるのが面白い。

双頭リーダーのブレイキーについては、その「ドラミングの妙」に感心する。このライブでのバンド・サウンドの要である「ファンクネス」と「アーバン」そして「ブルージー」をしっかり踏まえて、ドラミングを最適化している。決して仰々しくフロントを鼓舞することは無い。逆に趣味良く粋なドラミングで、バンド・サウンド全体をしっかりとコントロールしているように感じる。

「Birk's Works」におけるバレルのギターとティモンズのピアノの「ファンクネス」な絡み、バレルの自作曲「36-23-36」のアーバンでブルージーな展開が良い感じ。テナーのブルックスも好調で、タッカーのベースは盤石。ジャケット・デザインも、バレルの横顔のアップを半分切り取った印象的なもので「グッド」。バレルの「漆黒ファンキーなアーバン・ギター」を心ゆくまで愛でることが出来る好ライヴ盤です。
 
 
 

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2021年5月23日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・91 『Good Deal』

最近、好んで聴き直しているピアノ・トリオがある。「The 3 Sounds」である。アルフレッド・ライオン率いるブルーノート・レーベルの企画型のピアノ・トリオ。ブルーノート・レーベルは意外とピアノ・トリオ盤が少ない。そんな中で、この「The 3 Sounds」は、トリオ名義のアルバムが20枚程度、リリースされている。如何に破格の扱いの売れっ子ピアノ・トリオであったことが窺い知れる。

ただ、我が国では何故か人気が低い。ピアノ好き、ピアノ・トリオ好きの日本人ジャズ者の方々の中でも、何故か人気が薄い。スタンダード曲中心で「商業臭さ満載」と感じているのか、軽妙で聴いて楽しい「判り易さ」がいけないのか、どうにも我が国のジャズ者の方々からは人気が無い。しかし、最近やっと、ネット上で再評価される兆しが見えてきた。

The 3 Sounds『Good Deal』(写真左)。1959年5月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルから4枚目のトリオ盤になる。トリオの3人が腕を組んで街を歩く写真をあしらったジャケット。メンバーの表情が生き生きとしていて、充実した内容が想像出来る良いジャケットである。
 

Good-deal
 

一言で言うと、The 3 Soundsの実力が遺憾なく発揮された、素晴らしい内容のトリオ盤である。収録曲全8曲中、6曲がスタンダード曲。しかも、聴いて楽しい、シンプルな曲が多く収録されていて、収録曲を見ただけでは、このトリオ盤、イージーリスニング風のライトでカクテルなトリオ盤に思えて、なかなか触手が伸びないのは理解出来る。

しかし、聴けばその印象は「吹っ飛ぶ」。活きの良いスイング感が程好い、ブルース・テイスト芳しいトリオ演奏がてんこ盛り。しかも、トリオのメンバー、三人三様、そのテクニックの限りを尽くして、ドライブ感溢れる、端正で軽妙でファンキーなアドリブ展開を披露する。それにしても実に「上手い」。上質のトリオ演奏であり、ハードバップな逸品である。

ジャズ盤紹介本などでは、まず紹介されることが無い盤であるが、どうして、その内容は「超一級品」。僕は「The 3 Sounds」の代表作の一枚と評価している。録音のバランスも良く、ブルーノート・サウンドの見本の様な音世界がこの盤にギッシリ詰まっている。今までの評価の低さは忘れて、是非聴いていただきたい逸品である。
 
 
 

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2021年5月19日 (水曜日)

大好きなジミー・スミス盤 『Crazy! Baby』

当時、ブルーノートの看板ジャズマンの1人だった「Jimmy Smith(ジミー・スミス)」。デビューした1500番台では、前へ前へ出て、ブイブイとオルガンを弾きまくって、目立ちに目立っていた。

が、4000番台に入ってからは、ちょっと落ち着いて、ブルーノート・オールスターズをバックしたセッションなどでは、リーダーとしてしっかりバックに控えて、セッションをコントロールする立場に変化している。

ブルーノートの4000番台を聴き直していて、ジミー・スミスのリーダー作に出会う度に、大人になったなあ〜ジミー・スミス、と感心する反面、あの「前へ前へ出てブイブイ弾きまくる」姿も彼の個性なので、これはこれで聴きたいよな、なんて思っていたら、このアルバムにぶち当たって、ジミー・スミスのオルガンって、これでなくっちゃ、と思うのだ。

Jimmy Smith『Crazy! Baby』(写真左)。1960年1月4日の録音。ブルーノートの4030番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Quentin Warren (g), Donald Bailey (ds)。4000番台に入って、ブルーノート・オールスターズとの演奏が主だったのだが、ここでは、1500番台の頃の「ベースレス、ギター入りのトリオ編成」のレギュラー・トリオである。
 

Crazy-baby
 

この盤の最大の魅力は「ゴスペル調のアーシーな演奏を熱く繰り広げている」こと。ジミー・スミスのオルガンは、確かに「黒い」が、ソリッドで切れ味の良い、疾走感溢れる演奏が多かったので、アーシーな雰囲気はあまり感じられなかった。が、この盤では、とても「アーシー」で、どっぷりと「黒い」。

録音時期から見ると、ジミー・スミスならではの「ファンキー・ジャズ」に対する回答なのかもしれない。冒頭の「When Johnny Comes Marching Home(ジョニーが凱旋する時)」などを聴くと、普通にハードバップな演奏をすると、ちょっとチープになりがちな旋律を持った曲だが、ここまでアーシーにゴスペルチックにアレンジすると、なかなか滋味溢れるファンキーなジャズに変化するから面白い。

ジャケットがカラー写真なのも当時としては珍しい。如何にブルーノート・レーベルにとって、ジミー・スミスが「売れっ子」ジャズマンだったのか、アルフレッド・ライオンの秘蔵っ子だったのか、が良く判る。確かにこの盤を聴けば、それが実感出来る。凄まじいスイング感とアーシーなグルーヴ感。この盤のジミー・スミス、大好きだ。
 
 
 

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2021年5月18日 (火曜日)

軽妙で聴いて楽しいトリオ『Bottoms Up!』

ブルーノート・レーベルが企画したピアノ・トリオ「The 3 Sounds(スリー・サウンズ)」。職人肌のメンバーが集結したピアノ・トリオであるが、ピアノ好きの我が国では何故か人気が低い。ジャズの老舗レーベルが「企画した」のが気に入らないのか、スタンダード曲中心で「商業臭さ満載」なのが気に入らないのか、良く判らないが、確かに「人気が低い」。

確かにジャズ・ピアノ入門本などでも、スリー・サウンズのアルバムは1枚程度しか紹介されない。ブルーノートの1500番台〜4300番台の間には 20枚程度のアルバムをリリースしていて、どのアルバムも僕の耳には「水準以上」のレベルのピアノ・トリオの演奏だと思うんですけど。こういうところが、我が国のジャズ盤評論の不思議なところ、である。

The 3 Sounds『Bottoms Up!』(写真左)。ブルーノートの4014番。1958年9月と1959年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p, celeste), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。収録曲全8曲中、6曲目の「Jinne Lou」のみ、ジーン・ハリスの自作、以外の7曲はスタンダード曲で占められている。
 
 
Bottoms-up  
 
 
このスタンダード曲の演奏、アレンジが秀逸なのが、この盤の特徴。冒頭の「Bésame Mucho」を聴けばそれが良く判るが、アレンジと演奏力次第では「チープ」な演奏に陥り易いラテン調のスタンダード曲が、お洒落で粋なアレンジと燻し銀的な渋くて流麗なテクニックで、なかなかシュッとして軽妙な演奏に仕上げている。

7曲目の「Nothing Ever Changes My Love for You」など、ちょっとカリプソ調のアレンジに乗って、スリー・サウンズの個性である「軽妙」なパフォーマンスを展開、この「軽さ」が絶妙で、ピアノ・トリオの演奏が「重く」ならずに、シンプルで軽妙に仕上がっているところが、この「スリー・サウンズ」の良いところ。

軽妙でハイ・テックニックなピアノ・トリオである「スリー・サウンズ」。そんなトリオの個性が手に取るように判るアルバムがこの『Bottoms Up!』。聴いて楽しい、シンプルで判り易い「スリー・サウンズ」の面目躍如。ジャケット・デザインも洒脱で、僕にとってこの「スリー・サウンズ」、大好きなピアノ・トリオの1つです。
 
 
 

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2021年5月14日 (金曜日)

モードに変化するJM 『The Big Beat』

ブルーノート・レーベルの1500番台、そして、4000〜4423番の中で、アート・ブレイキー単独名義とアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ名義のアルバムを併せると全部で23枚あるのだそうだ。この記録は「第2位」。ちなみに第1位は、ジミー・スミスで27枚。

取りも直さず、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズはブルーノートの看板バンドだったのだが、我が国では意外と盤毎に人気のバラツキがある。ファンキー・ジャズの代名詞的アルバム『Moanin'』は大人気盤なのだが、その次は、と問われれば、意外と具体的な盤名が出てこないジャズ者の方々が多い。どうも、ジャズ・メッセンジャーズって、我が国では意外と人気が薄いのではないか、と思っている(僕にはお気に入りバンドのひとつですが)。

Art Blakey & Jazz Messengers『The Big Beat』(写真左)。1960年3月6日の録音。ブルーノートの4029番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp, flh), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。モーガンのトランペット、ショーターのテナーの2管フロントのクインテット編成。

実はこの盤、かのファンキー・ジャズの代名詞的アルバム『Moanin'』のすぐ後のスタジオ録音盤なのだ。『Moanin'』の録音が1958年10月末なので、この『The Big Beat』は、僅か4ヶ月後の録音になる。メンバーを見渡すと、テナーがベニー・ゴルソンからウェイン・ショーターに代わっているだけ。
 

The-big-beat
 

しかし、この盤を聴くと、内容的に『Moanin'』を踏襲したファンキー・ジャズかと思いきや、これまた違った雰囲気のファンキー・ジャズになっているから面白い。『Moanin'』は「こってこてファンキー」な内容だったが、この『The Big Beat』は、「クールで大人でアーバンな」ファンキー・ジャズに変化している。

ショーターのテナーが引き金になっている。ショーター以外のメンバーは、ファンキー・ジャズを踏襲した、正統なハードバップ志向だが、ショーターのパフォーマンスだけ、ちょっと響きが異なる。モーダルでクールなフレーズが見え隠れしていて、熱いファンキーな雰囲気というよりは、クールで理知的な雰囲気になっている。そして、他のメンバーが、このショーターの「異質な雰囲気」に感化されて、演奏全体が「クールで大人でアーバンな」ファンキー・ジャズに変化しているのだ。ショーター恐るべし、である。

曲の雰囲気もどこか「クールで理知的な」雰囲気が漂う楽曲があって、作曲者を見ると、やはりショーターが書いている。正式には全6曲で、その6曲中、半分がショーター作。どこかエキゾチックでどこかモーダルなショーターの曲の存在が、この盤の雰囲気を「クールで大人でアーバンな」ファンキー・ジャズに変えている。

ジャズ・メッセンジャーズが、こってこてファンキーなジャズからモーダルなジャズへ変貌する、最初の姿がこの盤に記されている。この盤に記録されている「クールで大人でアーバンな」ファンキー・ジャズ、なかなかお洒落で聴き応えがある。特にラストの「It's Only a Paper Moon」はずっと僕のお気に入り曲の1つで、典型的な「クールで理知的な」ファンキー・チューンに仕上がっている。
 
 
 

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2021年5月10日 (月曜日)

ハッピーなハードバップな演奏『Davis Cup』

ジャズマンの中には、バックに回って結構な数の「他のリーダー作」のセッションに参加している割に、自らのリーダー作については、全くの「寡作」のジャズマンが結構いる。そんな「リーダー作が寡作」なジャズマンの代表的存在の1人が、ピアニストの「Walter Davis Jr. (ウォルター・デイヴィス・ジュニア)」。

ディヴィス・ジュニアは、ブルーノートの4000番台、4100番台に、ちょくちょく「他のリーダー作」に顔を出している。振り返って見ると、サイドマンとして「他のリーダー作」への参加もそんなに多くこなしている訳では無い。しかも、リーダー作については、ブルーノート時代の1950年代から1960年代は「1作」のみ。1970年代以降も10数枚程度。地味なリーダー作がほとんど。

Walter Davis Jr.『Davis Cup』(写真左)。1959年8月2日の録音。ブルーノートの4018番。 ちなみにパーソネルは、Walter Davis Jr. (p), Donald Byrd (tp), Jackie McLean (as), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。ドナルド・バードのトランペットとジャキー・マクリーンのアルト・サックスの2管フロントのクインテット編成。
 

Davis-cup

 
内容的には実に充実した、実にハッピーなハードバップな演奏が充満している。このポジティヴでハッピーなハードバップな雰囲気を創り出しているのが、リーダーであるディヴィス・ジュニアのピアノである。本当に楽しげにスインギーなピアノを弾くピアニストやなあ。そんな楽しげでハードバップなピアノに乗って、バードとマクリーンが吹きまくる、吹き上げる。

サム・ジョーンズのベースは実直で堅実なビートを弾き出し、アート・テイラーのドラムは自由自在、変幻自在のビートを叩き出す。そんなリズム隊に恵まれて、ディヴィス・ジュニアはノリノリでスインギー。バリバリ弾き倒している。ディヴィス・ジュニアのフレーズは、ちょっと「金太郎飴」的なところがあるが、これはこれで立派な個性。もっと自らのプレイに自信を持って、リーダー作をもっと作って欲しかったなあ。

ハードバップのセッションとして上質の内容です。ちなみに、タイトルの『デイヴィス・カップ』というのは、ディヴィス・ジュニアの「ディヴィス」とテニスの国際大会の名称(デビス・カップ)をひっかけたもの(といっても内容はテニスに関係無く、国別対抗戦でも無いんですけどね)。ジャケットのディヴィス・ジュニアの顔写真は、何とも野性的な風貌ですが、荒々しい演奏をするピアニストと誤解することなかれ、です(笑)。
 
 
 

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2021年5月 8日 (土曜日)

モブレー再評価 『At the Jazz Corner of the World』

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey And The Jazz Messengers)は、ブルーノート・レーベル黄金時代の看板バンド。ジャズ・メッセンジャーズは、有望新人の登竜門的役割を果たしていて、後世に名を残した一流ジャズマンの中でも、このジャズ・メッセンジャーズ出身のジャズマンが多くいる。

そんなアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズだが、我が国において人気の高いアルバムについてはかなり偏りがある。『Moanin'』『Art Blakey et les Jazz-Messengers au club St. Germain』など、ファンキー・ジャズの代表盤とされるものは人気があるが、他のアルバムについては、あまりジャズ盤紹介本には登場しない。う〜ん、良く判らないなあ。

Art Blakey And The Jazz Messengers『At the Jazz Corner of the World, Vol. 1& 2』(写真)。1959年4月15日の録音。ブルーノートの4015、4016番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b), Pee Wee Marquette (announcer)。

ファンキー・ジャズの大人気盤『Moanin'』録音の半年後のライブ録音になる。『Moanin'』の録音時に音楽監督だったテナー・サックス担当のベニー・ゴルソンが抜けて、ピンチヒッター的にハンク・モブレーが参加してのライヴ・パフォーマンス。ゴルソンの残した「ゴルソン・ハーモニー」もしっかり残っていて、極上のファンキー・ジャズが展開されている。
 

At-the-jazz-corner-of-the-world-vol-1-2

 
特に、モーガン〜モブレーの2管フロントが好調。モーガンのトランペットはこの時期、絶好調なのだが、もう1人のフロントマン、録音の度に好不調の波があるモブレーが、この盤ではガンガンに吹きまくっている。このモブレーのテナー・サックスが一番の「聴きもの」。モブレーって、上手いのか下手なのか、良く判らないテナー・マンだったが、このライヴ盤では素晴らしいパフォーマンスを披露している。

バックのリズム隊も素晴らしいパフォーマンスで、特にティモンズのピアノが、むっちゃ「ファンキー」。もともとこのライブ盤、ファンクネス濃厚なライヴ・パフォーマンスのオンパレードなんだが、特にティモンズのピアノ・ソロが出てくると、この盤の雰囲気が、さらに思いっ切り「ファンキー」な音世界に変わる。

良い内容の上質のファンキー・ジャズがこの盤に詰まっている。のだが、意外とあまりジャズ盤紹介本には登場しない。ファンキー・ジャズは俗っぽい、という評価もあるので、それが影響しているのだろうか。

しかし、である。ファンキー・ジャズは俗っぽいなんて、俗っぽくて何が問題なのか、理解に苦しむ。とにかく、このライヴ盤には、ファンキー・ジャズという上質の「モダン・ジャズ」の優れたパフォーマンスが詰まってる。

当時のライヴ・ハウスの雰囲気をダイレクトに伝えてくれる、ピー・ウィー・マーケットのアナウンスで始まる、目眩くファンクネス濃厚なパフォーマンス。ハードバップ黄金時代の素晴らしい演奏の記録である。
 
 
 

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