ヒップでダンサフルなピアノです
屈指のソウルフル・ジャズ・ピアニスト、レス・マッキャン。「一流と目されるジャズ・ピアニストの中で、我が国と米国で、その評価が大きく異なるピアニスト」の一人である。そんなマッキャンの「ソウル・ジャズな+聴いて楽しい」リーダー盤をもう1枚、ご紹介したい。
Les Mccann『Soul Hits』(写真左)。1963年10月29 & 30日、ハリウッドの「Pacific Jazz Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Les McCann (p), Joe Pass (g), Paul Chambers (b), Paul Humphrey (ds)。パシフィック・ジャズ・レコードからのリリース。ソウル・ジャズなピアノ・トリオに、ジャズ・ギターの名手、ジョー・パスが入ったカルテット編成。
演奏全体の雰囲気は「ライトなソウル・ジャズ」。どっぷりファンクネスを湛えた、ジャズ・ファンクでは無く、この時点のマッキャンのピアノの基本は「ハード・バップとソウル・ジャズの融合」。まだ、ジャズ・ファンクへは至っていない。ファンキー・ジャズよりも、コッテコテ黒くて、グルーヴ感濃厚。ゴスペル・フィーリングに根ざしたソウルフルでジャジーなフレーズが特徴。
この盤は、有名ジャズ・スタンダード曲、ファンキー・ジャズの名曲をチョイスして、ソウル・ジャズのアレンジを施した、実にヒップでダンサフルなピアノ・トリオ+ギター演奏である。この盤の面白さは、ファンキー・ジャズとソウル・ジャズの違いが意外と良く判る点にある。
選曲されたスタンダード曲は、ファンキー・ジャズ志向の名曲揃い。「Back at the Chicken Shack」「Groove Yard」「Sermonette」「Sister Sadie」「Work Song」などは、正統派ファンキー・ジャズの名曲なんだが、これらを、ソウル・ジャズなアレンジを施して、ヒップでダンサフルな演奏に早変わり。
ファンキー・ジャズは、ファンクネス濃厚で、粘るオフビートは「ハードバップ志向」。一方、ソウル・ジャズは、ゴスペル・フィーリング濃厚で、リズム&ビートが「ポップ&ダンサフル」。
そう、ソウル・ジャズのリズム&ビートは「ポップ&ダンサフル」。例えば、選曲されたスタンダード曲の中で、ハードバップ時代の名曲、例えば「Sonnymoon for Two」「Bags' Groove」「Li'l Darlin」などが、ソウル・ジャズなアレンジが施されて、ヒップでダンサフルな曲に仕上がっている。ダンサフルな「Bags' Groove」なんて、この盤でないと聴けない。
ベースに、ハードバップ時代のファースト・コール・ベーシスト、ポール・チェンバース(略して「ポルチェン」)が入っているのには、ちょっとビックリする。しかし、このポルチェン、しっかりソウル・ジャズなベースを弾いているから凄い。ジャズ・ギターのレジェンド、ジョー・パスも同様。一流のジャズマンは、彼らの持つ「応用力」も半端ないことが良く判る。
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