2025年3月11日 (火曜日)

ヒップでダンサフルなピアノです

屈指のソウルフル・ジャズ・ピアニスト、レス・マッキャン。「一流と目されるジャズ・ピアニストの中で、我が国と米国で、その評価が大きく異なるピアニスト」の一人である。そんなマッキャンの「ソウル・ジャズな+聴いて楽しい」リーダー盤をもう1枚、ご紹介したい。

Les Mccann『Soul Hits』(写真左)。1963年10月29 & 30日、ハリウッドの「Pacific Jazz Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Les McCann (p), Joe Pass (g), Paul Chambers (b), Paul Humphrey (ds)。パシフィック・ジャズ・レコードからのリリース。ソウル・ジャズなピアノ・トリオに、ジャズ・ギターの名手、ジョー・パスが入ったカルテット編成。

演奏全体の雰囲気は「ライトなソウル・ジャズ」。どっぷりファンクネスを湛えた、ジャズ・ファンクでは無く、この時点のマッキャンのピアノの基本は「ハード・バップとソウル・ジャズの融合」。まだ、ジャズ・ファンクへは至っていない。ファンキー・ジャズよりも、コッテコテ黒くて、グルーヴ感濃厚。ゴスペル・フィーリングに根ざしたソウルフルでジャジーなフレーズが特徴。

この盤は、有名ジャズ・スタンダード曲、ファンキー・ジャズの名曲をチョイスして、ソウル・ジャズのアレンジを施した、実にヒップでダンサフルなピアノ・トリオ+ギター演奏である。この盤の面白さは、ファンキー・ジャズとソウル・ジャズの違いが意外と良く判る点にある。
 

Les-mccannsoul-hits

 
選曲されたスタンダード曲は、ファンキー・ジャズ志向の名曲揃い。「Back at the Chicken Shack」「Groove Yard」「Sermonette」「Sister Sadie」「Work Song」などは、正統派ファンキー・ジャズの名曲なんだが、これらを、ソウル・ジャズなアレンジを施して、ヒップでダンサフルな演奏に早変わり。

ファンキー・ジャズは、ファンクネス濃厚で、粘るオフビートは「ハードバップ志向」。一方、ソウル・ジャズは、ゴスペル・フィーリング濃厚で、リズム&ビートが「ポップ&ダンサフル」。

そう、ソウル・ジャズのリズム&ビートは「ポップ&ダンサフル」。例えば、選曲されたスタンダード曲の中で、ハードバップ時代の名曲、例えば「Sonnymoon for Two」「Bags' Groove」「Li'l Darlin」などが、ソウル・ジャズなアレンジが施されて、ヒップでダンサフルな曲に仕上がっている。ダンサフルな「Bags' Groove」なんて、この盤でないと聴けない。

ベースに、ハードバップ時代のファースト・コール・ベーシスト、ポール・チェンバース(略して「ポルチェン」)が入っているのには、ちょっとビックリする。しかし、このポルチェン、しっかりソウル・ジャズなベースを弾いているから凄い。ジャズ・ギターのレジェンド、ジョー・パスも同様。一流のジャズマンは、彼らの持つ「応用力」も半端ないことが良く判る。
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

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2025年3月10日 (月曜日)

エレ・ジャズ・ファンクな名盤

ロバータ・フラックを「発掘」し、デビューさせるなど、1970年代のニュー・ソウルの隆盛を陰で支えたジャズ・ピアニスト、レス・マッキャン。そんなニュー・ソウルから影響を受け、その要素をソウル・ジャズに融合、クロスオーバー&ソウル・ジャズな音志向にステップアップしていった。

Les McCann『Layers』(写真左)。1972年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Les McCann (ac-p, el-p, syn, clavinet, ds, timpani), Jimmy Rowser (ac-b, el-b, bells, perc), Donald Dean (ds, bells, perc), Buck Clarke (congas, ds, bongos, blocks, bells, perc), Ralph MacDonald (congas, bells, perc)。

ニュー・ソウルから影響を受けたソウル・ジャズ作品を70年代に多く残しているレス・マッキャン。この『Layers』は、そんな中でも、白眉の出来のクロスオーバー&ソウル・ジャズ盤である。とにかく、どっぷりとソウルフルでメロウ。トロトロのファンクネス。ここまでくれば、1970年代半ば以降の「エレクトリック・ジャズ・ファンク」の先駆けと言っても良いだろう。
 

Les-mccannlayers

 
冒頭の「Sometimes I Cry」から、エレ・ジャズ・ファンク全開。浮遊感タップリのエレピ&シンセの音が実にソウルフル。しっかりと音の底に、濃厚なファンクネスを感じる。「Let's Gather」「Anticipation」と短い小粋でソウルフルなパフォーマンスが続いて、どっぷりグルーヴィーなジャズ・ファンク「The Dunbar High School Marching Band」が熱演。

メロウで静謐な「Soaring (At Dawn) Part I」。メロウな熱演が続く。トロトロなジャズ・ファンク「The Harlem Buck Strut Dance」。次々とメロウなナンバーが続く。メロウなエレピが芳しい、印象的なスローな演奏「Before I Rest」、シンセが鳴り響く、ジャジーでグルーヴィーな「Let's Play ('til Mom Calls)」「It Never Stopped In My Home Town」が続く。ラストはラテン・ムード漂うメロウなナンバー「Soaring (At Sunset) Part II」。

ニュー・ソウルから影響を受けたソウル・ジャズ作品の中での白眉の出来。この「エレクトリック・ジャズ・ファンク」に眉をひそめる硬派なジャズ者の方々もいるだろう。しかし、これもジャズ。モダン・ジャズの歴史の中で、燦然と輝くジャズの演奏トレンド「ソウル・ジャズ」。その濃厚でトロトロ&メロウなグルーヴ感は「ジャズ」でしか出せない。隅に置けない名盤である。 
 
 

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2025年3月 9日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 107

「いつの時代も、我が国と米国で、大きく評価が異なるミュージシャンって結構存在する。特に、我が国でジャズが一般的になりつつあった、1960年代後半から1970年代にかけて、我が国では不当な評価に甘んじたジャズマンが結構いた(もちろん、その逆もあったのだが・・・)」と書いたが、今回、ご紹介するピアニストも、そんな「一流と目されるジャズ・ピアニストの中で、我が国と米国で、その評価が大きく異なるピアニスト」の一人である。

Les McCann『Les McCann Ltd. in San Francisco』(写真左)。1960年12月のライヴ録音。1961年、パシフィック・ジャズ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Les McCann (p), Herbie Lewis (b), Ron Jefferson (ds)。屈指のソウルフル・ジャズ・ピアニスト、レス・マッキャンのサンフランシスコ・ジャズ ワークショップでのライヴ録音。

レス・マッキャン初期の作品。3枚目のリーダー作。初期の作品なので、マッキャンはアコピだけを弾いている。アコピだけのシンプルなトリオ演奏なので、マッキャンのピアノの個性の根本が良く判る。基本はソウル・ジャズ。ファンキー・ジャズよりも、コッテコテ黒くて、グルーヴ感濃厚。ゴスペル・フィーリングに根ざしたソウルフルでジャジーなフレーズが個性的。
 

Les-mccann-ltd-in-san-francisco

 
マッキャンはうなり声を上げながらノリノリの演奏。基本的な内容は、短いソウル・ジャズなピアノ・ナンバーがメインで、演奏を彩るグルーヴには教会(ゴスペル)の要素がタップリ注入されている。「Come On & Get That Church」「We'll See Yaw'll After While, Ya Heah」「I Am In Love」「Big Jim」「Oh Them Golden Gates」など、好曲、好演が目白押し。

ベーシストのハービー・ルイス、ドラマーのロン・ジェファーソンのリズム隊も、マッキャンのゴスペル・フィーリングに根ざしたソウルフルでジャジーなピアノを効果的にサポートし、ソウルフルなリズム&ビートで、マッキャンのソウル。ジャズ・ピアノを鼓舞する。このリズム隊も意外と聴きもの。

マッキャンとルイス+ジェファーソンのリズム隊が、ブルース、ゴスペル、ポップスを同等に効果的に取り込み、初期のハード・バップとソウル・ジャズのスタイルに、如何にシームレスに織り込んでいるか、がとても良く判る、ソウル・ジャズなピアノ・トリオの最高のパフォーマンスの一つがこのライヴ盤に記録されている。ソウルフルなピアノ・トリオの代表的名盤の一枚として、取り上げたいと思う。
 
 

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2023年12月20日 (水曜日)

エディ・ハリスの「転身」盤です

エディ・ハリス(Eddie Harris)を聴き直すことにした。もともと、Les McCann and Eddie Harris『Swiss Movement』を聴いて、エディ・ハリスの名を知った。ソウルフルなテナーがとても気に入った。それから、彼のリーダー作を2〜3枚聴いて以降、忘れた存在になっていた。

エディ・ハリスは、シカゴ出身のテナー奏者。スムージーでイージーリスニング・ジャズ志向のファンキー・ジャズでデビュー、1966年にソウルフルでグルーヴィーなエレ・ジャズへ転身。電気増幅サックスを導入したことでも知られ、それ故、我が国では「キワモノのテナー奏者」扱いされる傾向がある。が、彼のテナーは素性が良く、彼の奏でるソウルフルなジャズ・ファンクは今の耳にもしっかりと訴求する優れものである。

Eddie Harris『Mean Greens』(写真左)。1966年3, 6月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Harris (ts, el-p), Ray Codrington (tp, tamb), Cedar Walton (p), Sonny Philips (org), Ron Carter (b), Billy Higgins (ds), Melvin Jackson (b), Bucky Taylor (ds), Ray Codrington, Ray Barretto & Bucky Taylor (perc)。
 

Eddie-harrismean-greens

 
革新的なラテン リズム、グルーヴ感溢れる柔らかなトーン。エディ・ハリスのジャズ・ファンク、クロスオーバー・ジャズの走り的な、ソウルフルでグルーヴィーなエレ・ジャズへ転身した最初のアルバムだろう。もともとデビュー当時は、スムージーでイージーリスニング・ジャズ志向のファンキー・ジャズを趣味よくやっていたのだが、この盤で突然、ソウルフルでグルーヴィーなエレ・ジャズへ転身である。

ソウルフルなテナーを吹き上げる、ストレートなジャズ・ファンク、タイトル曲の「Mean Greens」。ジーン・ハリスのカヴァーから、エディ・ハリス自身のセルフ・カヴァーなどで知られる代表曲「Listen Here」。「Goin' Home」のワイルドで柔軟なシャッフル。アルバム全編に渡って、エディ・ハリスならでは、のジャズ・ファンク~ソウル・ジャズが展開される。

ソウルフルでグルーヴィーなエレ・ジャズ志向のジャズ・ファンク。ラテンのリズムの導入など、クロスオーバー的な音の融合もあり、単純にソウル・ジャズの範疇に留めるよりは、先に控えるクロスオーバーなジャズ・ファンクの先駆と捉えた方が座りが良い。そういう意味で、再評価するに値するエディ・ハリスの「転身」盤である。
 
 

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2018年3月 3日 (土曜日)

こってこてのソウル・ジャズ

ソウル・ジャズ。1960年代、ブルースや教会音楽を基本にした曲を元にしたジャズの流行の演奏スタイル。ブルースのフィーリングが強く、ゴスペルの要素を折り込んで、黒人音楽的要素を前面に押しだしたところが特徴。ポップで大衆的な雰囲気で、高揚感が漂い、今の耳で聴くと、スピリチュアルな側面が見え隠れする、ファンキーなジャズという雰囲気。

僕がジャズを聴き始めた1970年代後半では、ソウル・ジャズは異端であり、俗っぽく、本気で聴くジャズでは無い、とされた。僕の印象としては、演奏自体はソウル・ミュージックからR&B基調の音なので、違和感は無い、というか大好きなのだが、ボーカルが入るところがどうにも気恥ずかしくて、ステレオやカセットテレコから音を出しながら聴くということが出来なかった。

全く、許容量の少ないことであった(笑)。でも、である。50歳を過ぎることから、このソウル・ジャズについては、全く拘ること無く聴くことが出来ようになった。恐らく、年齢がそうさせたのだろう。もともと子供のころから、ソウル・ミュージック、特にモータウン系が好きだったので、ソウル・ジャズのボーカルについても実は全く抵抗が無かった。
 

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Les McCann『Talk to the People』(写真左)。ソウル・ジャズの中核的存在、キーボード奏者レス・マッキャンの好盤。1972年3月30日の録音。もう米国の最大のポップ・ミュージック・ジャンルは「ロック」の時代である。そこにこの「こってこてのソウル・ジャズ」。この盤、聴けば判るが、徹頭徹尾、こってこてのソウル・ミュージックである。バックの演奏は確かにファンキー・ジャズではあるが、ボーカルが入ると、これはもう「ソウル」でしょう。

演奏を聴いていると、思わず足でリズムを取り始め、体が動き始め、遂には踊り出してしまう。そして、このソウル・ジャズ盤、聴きどころは、レス・マッキャンのフェンダー・ローズ。ローズ独特の丸く揺れる鋭角な音が実にソウルフル。ゴスペル的な和音を重ねつつ、徐々にクレッシェンドしている様は、まさに「高揚感溢れるスピリチュアル」なもの。リズム&ビートはダンサフル。

若い頃は自らの耳で確かめること無く、つまりはジャズ雑誌の硬派な評論に左右されていたんだなあ、と今になって苦笑している。ということで、この盤である。これが実に良い雰囲気の、ポップでブルージー、ゴスペルチックでスピリチュアル。聴いて楽しいソウル・ジャズ。週末の晴れた朝、ゆったりと気持ちを高めたい朝。このソウル・ジャズは最適のBGMである。

 
 

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2017年11月20日 (月曜日)

ファンキーなタレンタインを聴け 『That’s Where It’s At』

ファンキー・ジャズに凝っている。判り易くて、簡単に「のれる」。沈みがちな心がパッと明るくなる。寒い冬にはピッタリ。暖かい部屋の中で、ファンキー・ジャズに聴き入り「のる」。足で手でリズムを取って「のる」。少し体がポカポカする。ファンキー・ジャズを聴く季節は「冬」が良い。

今日は、Stanley Turrentine『That's Where It's At』(写真左)。1962年1月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Les McCann (p), Herbie Lewis (b), Otis Finch (ds)。バックのリズム・セクションの面子を見ると、完璧な「ファンキー仕様」。このパーソネルを見るだけで、この盤は「ファンキー・ジャズ」盤と推察出来る。

スタンリー・タレンタインのテナーは「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」と、「ど」の3連発が付くほどの「滴り落ちるファンクネス」が特徴。吹き方は、オールド・スタイルとコルトレーン・スタイルの間をいくもの。レトロでも無く、最先端でも無い。流行のスタイルに対して「我関せず」と言わんばかりのオリジナリティー。
 
 
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この盤の面白いところは、ファンキー・ジャズに必須のアイテムである「ギターやらオルガンやら」が一切入っていないところ。タレンタインのテナー1本がフロント。まずこれだけでかなりファンキー。加えて、バックにアコピ・ベースのピアノ・トリオがあるのみ。それでもこってこてファンキーなジャズをやるのに不足は無いところがこのメンバーの凄いところ。

レス・マッキャンのアコピがパワフル。勢い余ってリズムを乱すところはご愛嬌(笑)。ブルージーでアーシーなサウンドがファンキー・ジャズにピッタリ。ベースのハービー・ルイス、ドラムのオーティス・フィンチのリズム隊もアーシーでファンキー。よくよく聴けば、ファンキー一色のリズム・セクションである。

ゆったりした演奏なんだが、音はパワフル。音に芯がグッと入っていて、しなやかでソウルフル。しかし、ブルーノート・レーベルって凄く柔軟なレーベルなんだなあ、と改めて感心する。さすがはブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオン。ハード・バップのみに固執せず、どんどん新しいトレンドを取り入れ、ミュージシャンに録音の機会を提供し続けた、そのセンスと手腕に脱帽である。
 
 
 
東日本大震災から6年8ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

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2017年7月10日 (月曜日)

ソウル・ジャズの人気ライブ盤

意外とソウル・ジャズが好きだ。結構、俗っぽいので「ソウル・ジャズなんてな〜」と思って控えようかと思うんだが、あの独特のノリとファンクネスが忘れられず、やっぱり聴いてしまう(笑)。肩肘張らずに笑顔で「ノリノリ」で聴けるところが良いよね。ソウル・ジャズって、ジャズのこと、何も知らなくても十分楽しめるから隅に置けない。

ソウル・ジャズの好盤と言えば、このアルバムが良く出てくる。僕も最初、ジャズ盤紹介本で読んで、誰か判らんなあ、と思いつつ、紹介本で絶賛されているもんだから、手に入れて聴いてみて、ありゃ〜これは、コッテコテのソウル・ジャズではないの。良い感じです。Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(写真)。

1969年6月。スイスはモントルー・ジャズ・フェスでのライブ録音。ソウルフルなテナー奏者エディ・ハリスとソウルフルなピアノ奏者レス・マッキャンが初共演。ジャズメンによる、コッテコテのR&B大会の様相。これが「ソウル・ジャズ」だ、と言わんばかりの独特のノリとファンクネス。
 

Swiss_movement

 
冒頭、ロバータ・フラックの名唱でも知られる、ソウルフルな「Compared To What」から、リズミカルな演奏が心地良い「Cold Duck Time」と1〜2曲目の流れを聴くだけで、これは本当のコッテコテの「ソウル・ジャズ」であることを確信する。聴いていて、自然と身体がスイングし、足でリズムを取りつつ、顔はいつの間にか笑顔でニコニコ、強調されたオフビートのリズムでクラップハンド。

我が国では「踊れるジャズ」は敬遠される傾向があって、どういう訳か全然人気のない2人、レス・マッキャンとエディ・ハリス。このライブ盤もなかなか表に出ることは無かった。つい10年位前からかなあ、このライブ盤がジャズ盤紹介本で取り上げられるようになったのは。ソウル・ジャズって俗っぽいという評価だが、そんなことは全く無い。とにかく聴いていて楽しい。それが一番ではないか。

このライブ盤に収録されたライブ演奏について面白いエピソードがある。このライブ演奏、レス・マッキャンとエディ・ハリスのスケジュールが合わず、なんとリハーサル無しの一発勝負でライブ録音されたらしい。いや〜リハ無しの一発勝負でこれだけノリの良い、コッテコテのソウル・ジャズが展開できるなんて、やはりジャズのフィールドで培われた「即興の底力」ですね〜。素晴らしい。
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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