2025年2月14日 (金曜日)

ベイシー楽団のダイナミズム

レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集は「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。これは実に興味深い特集だ、と思う。ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、リズム&ビートのキープ役が主だが、実は、このドラムの立ち回りによって、ジャズ/フュージョンの演奏内容がガラッと変わる。

一昨日、Benny Goodman & His Orchestra、いわゆるビッグバンドにおけるドラムについて、史上初の「スター・ドラマー」、ジーン・クルーパのドラミングについて語ったのだが、確かに、ビッグバンドのダイナミズムを支えるリズム&ビートは「ドラム」に依るところが大きい。

Count Basie『Basie Plays Hefti』(写真左)。1958年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p) がリーダーの "Cont Basie Orchestra" 。今回、注目のドラマーは、Sonny Payne (ds)。カウント・ベイシー楽団の二代目ドラマー。僕はこのソニー・ペインというドラマーを「ベイシー楽団の爆弾男」と呼んで敬愛している。

冒頭「Has Anyone Here Seen Basie」を聴けば、1曲目から「ベイシー楽団の爆弾男」の面目躍如。ホーン・セクションが一斉に吠えるテーマ部では、ペインは「爆弾を落とすが如く」叩きまくり、フロント管がソロを取ると、思いっきりバスドラを「爆弾を落とすが如く」踏み込んで、フロント管を鼓舞しまくる。
 

Count-basiebasie-plays-hefti

 
2曲目「Cute」では、ミッドテンポのゆったりした演奏の中、ペインは絶妙のブラッシュ・ワークを披露する。ほんと、これが「絶妙」で、フロント管のユニゾン&ハーモニーのバックで、キッチリとリズム&ビートをキープし、ミッドテンポの優しい演奏に効果的なアクセントを散りばめる。

繊細できめ細やかな「紳士的な」ブラッシュ・ワーク。「爆弾を落とす」だけがペインのドラミングではないことが良く判る。この辺りが、「ペインは、間違いなく最高のビッグバンド・ドラマーだ」とされる所以だろう。

以降、全編に渡って、爆弾男と紳士的な男、二つの顔で、ベイシー楽団のダイナミズムを支え、ダイナミズムをベイシー楽団の個性の一つに仕立てあげる。ベイシー楽団のダイナミズムは、このペインのドラミングに依るところが大きい。

時々、ブレイクにトリッキーなフィルインを入れて客を笑わせるユーモア溢れるドラミングもペインの個性。「爆弾を落とすが如く」叩きまくり、繊細できめ細やかな「紳士的な」ブラッシュ・ワークを披露しつつ、ベイシー楽団のダイナミズムを音にする。そういう意味で、ペインも「スター・ドラマー」だと言える。ビッグバンドには「スター・ドラマー」が不可欠である。
 
 

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2025年2月12日 (水曜日)

『Sing, Sing, Sing』のドラム

レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集は「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。これは実に興味深い特集だ、と思う。ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、リズム&ビートのキープ役が主だが、実は、このドラムの立ち回りによって、ジャズ/フュージョンの演奏内容がガラッと変わる。

演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っているのが「ドラム」。そんなャズ/フュージョンにおける「ドラム」にスポットを当てて、楽曲評論をする。これは僕もやったことが無い。ということで、僕もやってみることにした。

Benny Goodman & His Orchestra『Sing, Sing, Sing』(写真左)。1987年のリリース。演奏自体は1930年代後半の演奏。ちなみにパーソネルは、Benny Goodman (cl) がリーダーの "Benny Goodman & His Orchestra"。今回、注目のドラマーは、Gene Krupa (ds)。ベニー・グッドマン楽団の「要のドラマー」であり、史上初の「スター・ドラマー」である。

「King of Swing」、スイングの多様、ベニー・グッドマンと彼のオーケストラのオムニバス盤である。演奏の基本は「スイング」。迫力あるダイナミズム溢れる、高速にスイングするビッグバンドは圧巻。ムード満点に印象的にバラード展開するビッグバンドは流麗。そんなビッグバンド演奏のリズム&ビートをガッチリ支えているのが、ジーン・クルーパ(写真右)のドラム。
 

Benny-goodman-his-orchestrasing-sing-sin

 
通常はどの曲でも、ジーン・クルーパは演奏の基本である「リズム&ビート」をしっかりと支え、ソロイストのパフォーマンスを鼓舞する正確無比で判り易いドラミング。バンド全体にしっかりと「リズム&ビート」を供給し、その叩きっぷりで、バンド全体に「躍動感」を与えている。

そして、お目当ての「Sing, Sing, Sing」である。この曲だけは、ドラムのジーン・クルーパは、バンド演奏のリズム&ビートを支える役割を超えて、ソロイストとして、躍動感溢れるドラムを叩きまくる。

史上初の「スター・ドラマー」というが、確かに、ジャズの歴史を振り返って、ソロイストとして、ドラムという楽器をたたきまくり、ドラムという楽器の音を強烈にアピールする、というパフォーマンスは、クルーパが初めてではないか。演奏途中のドラムソロも躍動的でビートが効いて相当に印象的。史上初の「スター・ドラマー」の面目躍如である。

この「Sing, Sing, Sing」のジーン・クルーパのドラミングを聴くだけで、ドラムは、ジャズ/フュージョン演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っていることが良く判る。

元々のオリジナルの演奏はボーカルがメインの大人しめの小曲だったらしいが、それをこんなに躍動感溢れるインスト・ナンバーに変身させ、ビッグバンドの演奏に耐えるリズム&ビートを供給する。ジャズ/フュージョンにおけるドラムの位置付けは、意外と奥が深い。
 
 

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