フリーなジャズオケの第一人者
ジャズ・オーケストラの演奏は、概ね端正で整然としたアンサンブルがメインの正統派なものが大多数。フロント楽器のアドリブ以外の部分は、スコアが整えられていて、破綻の無い演奏が良しとされる。しかし、そんな端正で整然としたジャズオケで、フリー&スピリチュアル、アブストラクトなジャズをやるものは無いのか、と思い立った時、出会ったのが「Sun Ra and his Arkestra」である。
Sun Ra and his Arkestra『Space Is the Place』(写真左)。 October , 1972年10月19–20日の録音。ちなみにパーソネルは、Sun Ra and His Astro Intergalactic Infinity Arkestra。訳すと「サン・ラと彼の宇宙銀河の無限オーケストラ」。ジャズの多様性とSFと古代神話の融合を実現したジャズ・オーケストラの秀作。
土星から降臨し、音楽を燃料に大宇宙を旅する宇宙音楽王(笑)である「サン・ラ(Sun Ra)」。米国の前衛ジャズ・ミュージシャン。彼はジャズオケ「アーケストラ」を主宰する。そして、このジャズオケで、フリー&スピリチュアル、アブストラクトなジャズをやる。
この盤はジャズを本格的に聴き始めて2年目くらいで、大学近くの「秘密の喫茶店」で聴かせてもらった。ママさんに、それこそ「フリー&スピリチュアル、アブストラクトなジャズをやるものは無いんですかね〜」と訊いたら、じゃあ、とこの盤をかけてくれた。
冒頭「Space Is The Place」が痛快な面白さ。出だしから、鳴り響くサイレンの様な、サンラ操るスペース・オルガンが唸りをあげる。テナーが先頭を練り歩き、他の楽器が追従する。力感溢れる女性ボーカルが出てきて、コーラスも被る。開始1分くらいで、フリーに傾き、皆が「我が道を行く」(笑)。必要最低限のルールの中で、フリー&スピリチュアル、アブストラクトな演奏が展開される。
ジャズオケのフリー&スピリチュアル、アブストラクトな演奏なので、基本的に迫力満点。それでいて、演奏の底の部分はユルユルで浮遊感が漂う。男性ボーカルが「Space Is The Place」を繰り返す。アルト・サックスの野生的な咆哮。カオスな展開が高揚し、ハンドクラップが入り、サックスの本能赴くままの咆哮。そして、女性のアグレッシブな叫び。
サンラ操るスペース・オルガンが唸りをあげると、新たな「フリー&スピリチュアル、アブストラクト」な演奏の始まり。鳴り響くオルガン、男性のハミング、そして、いつもの「Space Is The Place」を繰り返し、ラストは、スペース・オルガンと「Space Is The Place」だけが残る音空間。サン・ラ・アーケストラの面目躍如な「フリー&スピリチュアル、アブストラクト」なジャズオケ演奏。
2曲目「Images」は打って変わって、スタンダードなジャズオケ。一糸乱れぬ端正で破綻のないジャズオケ展開。そんな中で遊び心満点の展開が見え隠れして、とても親しみのあるスタンダードなジャズオケ演奏に仕上がっている。この演奏を聴くと、サン・ラのジャズオケは決して「ゲテモノ」でないことが判る。かなりの力量とテクニックを兼ね備えたジャズオケである。侮ってはならない。
3曲目以降は、再び、癖のある、サン・ラらしい「フリー&スピリチュアル、アブストラクト」なジャズオケ演奏が展開される。とにかく内容的にユニーク過ぎるジャズオケ演奏が唯一無二、サン・ラの面目躍如である。
ジャズ者一般万民向けのジャズオケ演奏ではないが、ジャズオケに興味があるジャズ者の方々には一度は耳にして欲しいジャズオケ盤。従来の端正なジャズオケ演奏の対極にある、「フリー&スピリチュアル、アブストラクト」なジャズオケの演奏がこの盤に詰まっている。
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