2025年12月13日 (土曜日)

マルの秀作『The Quest』です。

フロントに、ドルフィーのアルト・サックスと、アーヴィンのテナー・サックスの2管。リズム・リズム・セクションは、リーダーでピアノ担当のマルに、ベースにチェロのロン、ウッドベースにベンジャミンの「ダブル・ベース」、そして、ドラムにパーシップというセクステット編成。

Mal Waldron『The Quest』(写真左)。1961年6月27日の録音。New Jazz (Prestige)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Eric Dolphy (as, b-cl), Booker Ervin (ts), Ron Carter (cello), Joe Benjamin (b), Charlie Persip (ds)。ハードバップとアヴァンギャルドの中間に位置するユニークなパフォーマンスが個性際立つ好盤である。

マルのリーダー作という扱いではあるが、まず耳がいくのはドルフィーのアルト・サックス&クラリネット。この人のアルト・サックスは嫌が応にも、アドリブを2〜3フレーズ聴けば、もう「ドルフィー」と直ぐに判るくらい、個性的で特徴的な吹奏。この盤、ドルフィーのリーダー作扱いでリイシューされたことだってあるくらい(写真右)。

ただ、この人の吹奏ではフリーでは無い。他のジャズマンと同じフレーズを絶対に吹かない、他のジャズマンと全く異なるフレーズを吹くことを旨として、アドリブ対応している様に僕には感じる。

当然、そのフレーズはアブストラクトに傾くが、ちゃんと聴くと、必ず、ドルフィーなりの法則というか、マナーというか、吹き回しの理屈がある様に感じる。ただ、ドルフィーはモードではない。モーダルな吹奏もあるが、彼はモードだけを彼のパフォーマンスの拠り所としている訳では無い様なのだ。これが彼のユニークなところであり、唯一無二なところ。
 

Mal-waldronthe-quest

 
ドルフィーのフロントの相棒、アーヴィンのテナーも検討している。ドルフィー独特の吹き回しに、アーヴィンは堂々モードで対抗している様で、これが、ドルフィーを際立たせ、逆に、アーヴィンを際立たせる。アーヴィンのモードに照らし併せてドルフィーはモード・オンリーでは無いということが判り、ドルフィーの個性的な吹奏と比較すると、アーヴィンのテナーの吹奏がモードに準拠していることに、しっかりと気が付くのだ。

そんなフロント管の2人を支え鼓舞するマルの「黒い情感と適度なラフさ」が個性のピアノが、フロント2管の吹奏イメージに相性バッチリなのだ。硬質なややパルシヴなタッチでフロント2管を鼓舞し、ややアフストラクトに傾くが、決してフリーに走らない、伝統の範囲にギリギリ留まる「適度なラフさ」が、ドルフィーの唯一無二はアドリブ・フレーズに合致する。アーヴィンのモーダルなフレーズに合致する。これが、この盤の「キモ」の一つ。

ベース担当の二人、ロンはチェロでソロ・パートに対応し、ベンジャミンはアコベで演奏全体のリズム&ビートを支える。パーシップのドラムの大健闘。フロント2管のモードとアヴァンギャルド、マルのピアノの「適度なラフさ」によく対応し、的確に追従し、リズム&ビートの正しき方向をフロント2管とマルのピアノに指し示すような、示唆に富むドラミングに感心する。

マルのリーダーとしての「サウンド・コーディネート」力に感心する。やはり、このアルバムはマルのリーダー作が相応しい。この盤のそれぞれの演奏を追っていると、マルのピアノが演奏全体をリードし、サポートする雰囲気がそこはかとなく漂って来る。このマルのピアノのリーダーシップがあったからこそ、ドルフィーとアーヴィンは心おきなく、自らのアドリブ・波フォーマンスに集中出来たのだろう。秀作です。
 
 

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2025年10月11日 (土曜日)

アーヴィンの初ブルーノート盤『The In Between』

ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)は、早逝のコルトレーン・スタイルのテキサス・テナーマン。モーダルでアグレッシブで自由度の高いテナーで、時々、フリーに走り、アヴァンギャルドに傾倒する。このフリー&アヴァンギャルドな展開も趣味が良く、耳触りでないので、意外とアーヴィンは、フリー&アヴァンギャルドなテナーマンとされることも多い。

Booker Ervin『The In Between』(写真左)。1968年1月12日の録音。ブルーノートの4283番。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin (ts, fl), Richard Williams (tp), Bobby Few Jr. (p), Cevera Jeffries Jr. (b), Lenny McBrowne (ds)。1970年、39歳で急逝してしまう、幻の「ポスト・コルトレーン」最右翼のテナーマンの1人、ブッカー・アーヴィン生前のラスト作である。

ブッカー・アーヴィンは、フリー&アヴァンギャルド系のテナーマンという印象が強い。が、完全にフリー&アヴァンギャルドという訳では無く、伝統的なハードバップとモード・ジャズを基本にしつつ、アドリブ展開において、いきなりフリー&アヴァンギャルドに傾く、といった、モード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズが真骨頂。ダンディズム溢れる豪快な吹きっぷりが爽快である。
 

Booker-ervinthe-in-between

 
アーヴィンのテナー・サックスは、テキサス・テナーをベースとした「コルトレーン・スタイル」。そんなスタイルで、モード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズをやる。コルトレーンのフォロワーと思いきや、出てくる音は、すっと伸びたブロウはコルトレーンっぽいが、モーダルな吹き回し、アヴァンギャルドへの傾倒については、あまりコルトレーンっぽくは無い。

このブルーノート第一作で最終作となったアルバムでは、オーソドックスなブロウが魅力的。確かに、モーダルなブロウがメインで、限りなく自由度の高いブロウが得意ではあるが、ここでは、決して、フリー・ジャズの人では無い。意外と伝統の範囲内で、限りなく自由度を高めつつも、従来のジャズの枠の中に留まるブロウ。コルトレーンのそれよりもスッキリ見通しが良くて、整ったモーダルな吹奏は、当時、意外とアーヴィン以外、見当たらない。そういう音世界がこの盤の魅力である。

アーヴィンの個性とセンスが上手くまとまった、「ポスト・コルトレーン」的テナー、アーヴィン独特のモード・ジャズ時々フリー&アヴァンギャルドなジャズ。アーヴィンは、この盤の録音後、1970年8月末、腎臓病のため39歳で急逝する。この盤を聴く限り、アーヴィンの「ポスト・コルトレーン」なテナーは発展途上。まことに急逝が惜しまれるテナーマンであった。
 
 

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2025年1月16日 (木曜日)

アーヴィンの端正で小粋な秀作

小粋なジャズ盤を探索している中で、ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)にぶち当たった。早逝のコルトレーン・スタイルのテキサス・テナー・マンなのだが、かなりしばらくの間、聴いていないのに気がついた。実は当ブログに、アーヴィンのリーダー作をそれなりにアップしていると思い込んでいたが、なんと「カテゴリー」にも、アーヴィンの名前が無かった。あれれ。

Booker Ervin『Structurally Sound』(写真左)。1966年12月14〜16日の録音。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin (ts), Charles Tolliver (tp), John Hicks (p), Red Mitchell (b), Lenny McBrowne (ds)。 Pacific Jazzからのリリース。いわゆる米国ウエストコースと・ジャズの範疇でのリリースだが、中身は、端正で聴かせるハードバップ。アーヴィンは1970年、NYで腎臓病のため39歳で亡くなっているが、この盤は、アーヴィンの最後期のリーダー作になる。

アーヴィンのテナー・サックスは、テキサス・テナーをベースとした「コルトレーン・スタイル」。フリージャズ基調のブロウという印象が強いが、意外とオーソドックスなブロウが多い。確かに、モーダルなブロウがメインで、限りなく自由度の高いブロウが得意ではあるが、決して、フリー・ジャズの人では無い。意外と伝統の範囲内で、限りなく自由度を高めつつも、従来のジャズの枠の中に留まるブロウ。
 

Booker-ervinstructurally-sound

 
この盤では、そんなアーヴィンのテナーが、一番、オーソドックスなブロウに寄った、端正でスムーズで聴き易いテナーでのパフォーマンスになっている。そして、そんなパフォーマンスに、テキサス・テナー志向な音を付加して、ダンディズム&力感溢れる、ジャジーなテナーに仕上げている。そんな端正で聴かせるテキサス・テナーで、「Dancing in the Dark」「Stolen Moments」「Take the "A" Train」「Shiny Stockings」など、お馴染みのスタンダード曲を吹き上げている。

モーダルなブロウがメイン、限りなく自由度の高いブロウは、短い曲の演奏の中、アドリブの一部に留まっているが、テキサス・テナー・スタイルのちょっと陽気でジャジーな吹奏は、ストレートな音色と相まって、スタンダード曲の中で映えに映える。米国ウエストコースト・ジャズの代表的レーベルでのリーダー作である。小粋なアレンジと聴かせるジャズがメインなので、フリージャズ基調のブロウは全く無い。これはこれで良い。

フロント管の相棒、チャールズ・トリヴァーも好調。色鮮やかで明るい色調のピアノのジョン・ヒックスも好調。堅実実直なレッド・ミッチェルのベースも好調。このリーダー作『Structurally Sound』は、オーソドックスなブロウに寄りに寄ったアーヴィンのテナーを捉えた「小粋な」秀作だと思う。
 
 

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  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

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2018年11月15日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・106

ジャズはシンプルなアレンジが良い。シンプルなアレンジは即興演奏を際立たせる。人工的なアレンジがゴテゴテしたジャズは、ジャズの本質である即興演奏が際立たない。シンプルなアレンジだからこそ、それぞれのジャズメンの楽器プレイが良く聴き取れ、その特徴が手に取るように判る。そういう意味で、即興演奏を楽しむには、シンプルなアレンジが良い。

Booker Ervin『The Book Cooks』(写真左)。1960年4月6日の録音。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin (ts), Zoot Sims (ts), Tommy Turrentine (tp), Tommy Flanagan (p), George Tucker (b), Dannie Richmond (ds)。ベツレヘム・レーベルからのリリース。このなかなか興味深い組合せは期待が膨らむ。リーダーのブッカー・アーヴィンのテナーに、ズート・シムズのテナーがパートナー。

ジョージ・タッカーのベースとダニー・リッチモンドのドラムが意外とプログレッシブ。冒頭の「The Blue Book」を聴けばそれが良く判る。冒頭、いきなりタッカーのベース・ソロから始まる。このベース・ソロのラインが斬新。このベース・ソロに導かれるように、フロントのサックス2本のユニゾンがドーンと迫ってくる。バックでリッチモンドのドラムがシンプルに絡む。アレンジなど、殆ど施されていない。最低限の決め事だけで、この即興性の高さ。
 

The_book_cooks

 
アドリブ部に入って、トミフラのピアノが絶品。ハードバップの時の流麗で小粋なフレーズは全く聴くことが出来ない。アドリブ・フレーズはかなりプログレッシブ。これがトミフラのピアノか、と思わず感心する。さすが燻し銀のジャズ・ピアノ職人。何時になくモーダルな展開で新しい響きが魅力的。このプログレッシブなトミフラのピアノを受けて、トミタレのトランペットも何時になくモーダルに傾く。これがまた良い。冒頭の「The Blue Book」1曲で、この盤の魅力を十分に確認することが出来る。

主役のテナー2本のパフォーマンスは申し分無い。どちらのテナーもそれぞれの個性をふんだんに振り撒いていて、聴いていてとても楽しい。この盤には、特にリーダーのアーヴィンの個性が実に良く出ている。太くてブルージーで大らかなテナー。それでいて、ややアブストラクトでモーダルで予測不能なフレーズの飛び方が実にユニーク。そこに、オーソドックスなテナーのズートが絡む。アーヴィンとズートの対比。これが、この盤の最大の聴きどころ。

ベツレヘム・レーベルって不思議なレーベルで、録音された演奏は垢抜けないところが残るのだが、演奏自体は意外とプログレッシブなものが多い。この「垢抜けない」ところがこのレーベルの特徴だと思っていて、他のレーベルの様な、強烈なプロデュース力は感じられない。それでも、音はしっかりと太く、ジャジーなところが不思議。あまり人手に頼らず、自然でシンプルな演奏を基本とするところが良い結果を生んでいるのだろう。ジャズにオーバー・プロデュースは御法度である。

 
 
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2017年6月23日 (金曜日)

ジャズ・テナーの裾野は広く深い

梅雨に入ったには入ったらしいが、あまり梅雨らしい日が無い、雨が降っても続かない、我が千葉県北西部地方である。朝は結構涼しいし、夜は夜で、湿ってはいるが涼しい風が吹き抜ける。今年はなかなか良い感じの夏至の季節である。こういう時は、スカッと吹き抜けるテナーの音色が良い。バリバリ吹き上げるテナーが良い。

誰が良いかな〜、とアルバムを物色して選んだアルバムがこれ。Booker Ervin『Booker 'N' Brass』(写真左)。1967年9月の録音。フレディ・ハバード、チャールズ・トリヴァーらが参加したブラス・アンサンブルをバックに、ブッカー・アービンがテナーを吹きまくる。ブッカー・アービン with ブラス・セクション。

ブッカー・アービンのテナーは、フリージャズ基調のブロウという印象が強いが、意外とオーソドックスなブロウが多い。確かに、モーダルなブロウがメインで、限りなく自由度の高いブロウが得意ではあるが、決して、フリー・ジャズの人では無い。意外と伝統の範囲内で、限りなく自由度を高めつつも、従来のジャズの枠の中に留まるブロウで、これはこれで好ましい。
 

Booker_n_brass1

 
バックのブラス・アンサンブルもテクニック豊かでドライブ感も抜群なのだが、それにも増して、アービンのテナーが素晴らしい。フリーなブロウは限りなく封印して、意外と正統派な、重厚なテナーを聴かせてくれる。そう、この盤はブッカー・アービンのテナーを心から愛でる盤である。それほどまでに、アービンのテナーは素晴らしい。

ブルージーである。そしてソウルフル。シュッとしたスッキリしたファンクネス濃厚。速いフレーズが耳に心地良く響く。もしかしたら、アービンのベストプレイのひとつかもしれない。コッテコテの電光石火のアービンのブロウ。ジャズのテナーってこれほどまでに吹きまくることが出来るんやなあ、と変に感心してしまう。

シンプルな旋律が個性のアービン。ジャズ・テナーを愛でるのに最適の一枚である。僕がこの盤に出会ったのは10年ほど前。この盤を聴いた時は「目から鱗」ならぬ「耳から鱗」(笑)。コルトレーンとロリンズに比肩するテナーは無い、と思っていたが、アービンも凄い。ジャズ・テナーの裾野は広く深い。以来、僕はジャズ・テナーの森を彷徨っている。
 
 
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2015年10月29日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・51 『Setting the Pace』

ジャズのアルバムを漁り始めて、はや37年。さぞかし、聴く対象も少なくなっただろうと思いきや、登り来て未だ山麓。ジャズ盤紹介本や雑誌を読み直しては、ネットで漁る毎日だが、聴く対象はまだまだある。恐らく、この命尽きるまで、聴く対象は枯渇することは無いだろう。

例えば、こんなアルバムが、まだ聴くことも無く残っていたりするのだ。本当にジャズ盤漁りは奥が深く裾野が広い。その「こんなアルバム」とは、Booker Ervin and Dexter Gordon『Setting the Pace』(写真)。

1965年10月の録音になる。当時「西ドイツ」はミュンヘンでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Booker Ervin, Dexter Gordon (ts), Jaki Byard (p), Reggie Workman (b), Alan Dawson (ds)。デックスこと、当時、ベテランの域に達していたテナー奏者デクスター・ゴードンの参加が目を惹く。当時42歳。

ドラムのアラン・ドーソンは当時中堅のドラマー。あの天才ドラマーであるトニー・ウィリアムスの唯一の師匠ということで有名。いかにフリーに近い、自由度の高い演奏になっても揺らぐことの無い、堅実でエネルギッシュなドラミングは上質のバッキング。当時36歳。

ピアノのジャッキー・バイアードは、「ジャズ界において最も説得力に富んだ多芸多才なピアニストのひとり」と謳われる、当時遅咲きのオールラウンドなピアニスト。当時43歳。そして、ベースのレジー・ワークマンは、当時、若手の新進気鋭なベーシストの一人。そのモーダルで限りなくフリーなベース・ラインは斬新な響き。
 

Setting_the_pace

 
さて、そんな猛者揃いのメンバーで、思いっきり限りなくフリーでモーダルなハードバップを演奏しまくるのがこのライブ盤。音も良好。迫力満点。こんなライブ盤があったんやなあ、と思わず感慨に耽ったりする。

オリジナル盤では収録曲はたったの2曲。アービン作曲の「Setting the Pace」が約19分の演奏。もう1曲は、デックス作曲の「Dexter's Deck」で23分弱の演奏。とにかく、限りなくフリーでモーダルな、熱気溢れる大ブロウ大会である。

アービンは、もともとモーダルでアグレッシブで自由度の高いテナーを吹いていたので違和感は無いが、デックスがこんなにモーダルで自由度の高いブロウに追従するとは思わなかった。これだけモーダルで自由度の高いデックスは聴いたことが無かった。う〜ん、デックスは単にハードバップなテナー奏者では無かったのだ。いや〜驚いた。

さすがに、こういうモーダルでアグレッシブなブロウについては、アービンの自家薬療中のものである。かなり充実度の高いブロウを繰り広げていて聴き応え満点である。とにかくテナーが良く「鳴って」いる。

収録曲2曲とも長尺のライブ盤だが、間延びしたり、マンネリに陥ることは無い。というか、アービンとデックスのフロントのテナーのブロウが全くもって充実していて、バイアード、ドーソン、ワークマンのリズム・セクションは、当時の新主流派風の新しいモーダルなバッキングを供給する。

濃厚な内容の、思いっきり限りなくフリーでモーダルなハードバップな演奏に、一気に聴き終えたあと、精神的に心地良くヘロヘロになる、爽快感溢れるライブ盤です。思わず「こんなアルバムあったんや〜」。
 
 
 
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2007年5月29日 (火曜日)

適度に「トンガっている」ジャズ

忘れた頃に食べる、ミスタードーナツの「オールドファッション」って、やっぱり美味い。この「オールドファッション」が、我が家特製のトマト玉子スープに、実に「あう」。特製トマト玉子スープを飲みながらの「オールドファッション」って、絶品である。今日の晩ご飯は「満足」である。

ジャズを聴き続けて、30年以上になるが、名盤・定盤の類を聴いていると、極端に「トンガっている」ジャズ、例えば、フリー・ジャズとか、フリー一歩手前のコルトレーン的ブロウとか、「トンガった」モード・ジャズとか、を聴いていると、徐々に「疲れてくる」。

といって、バリバリ、コテコテの「伝統的な」、絵に描いたようなハード・バップも、聞き続けると、徐々に「もたれてくる」。そんな時、「無いものねだり」ではではないのだが、適度に「トンガっていて」、適度に「伝統的な」ジャズってないのか、と思ったりする。

適度に「トンガっていて」、適度に「伝統的な」ジャズ、と考えると、ブッカー・アービンの名前が浮かぶ。ミンガス・グループでお馴染みテナー奏者、ブッカー・アービン。

1930年テキサス州生れ。1970年、ニューヨークで癌のため死去。ハイスクール時代、トロンボーンを始め、空軍バンドに在籍中にテナーに転向。54年、バークリー音楽院に学ぶ。1958年、ニューヨークに進出。1960年からは自己のバンドを率いる。ホレス・パーランとの双頭コンボはプレーハウス4の名で知られる。
 

Booker_ervin

 
このブッカー・アービンのテナーって、適度に「トンガっていて」、適度に「伝統的な」テナーで、実に具合が良い。後期コルトレーンほどアブストラクトでは無く、50年代後半のハード・バップほど、コテコテの「伝統的な」テナーでは無い。

その適度に「トンガっていて」、適度に「伝統的な」テナーで、このテナーの音が心地良いほどに太くて、ほのかに「アーシーな香り」がする。そんな彼のアルバムの中でも、ちょっと伝統的な方に偏ったアルバムが、Booker Ervin『Cookin'』(写真左)。

リズム隊を務めるのは、ホレス・パーラン(p)、ジョージ・タッカー(b)、ダニー・リッチモンド(ds)の3人。そして、ブッカー・アービンとフロントを務めるのが、リチャード・ウィリアムス(tp)。アービンのテナーは素晴らしいのは、当たり前として、トランペットのリチャード・ウィリアムスが実に上手い。

リー・モーガンの様なブリリアントな響きではあるが、モーガンより癖が無い。適度に癖があるが、基本はストレートな「これぞトランペット」って音とテクニックが素晴らしい。バックのリズム隊3人も秀逸。特に、ホレス・パーランの個性的でアーシーなピアノは、フロントの2人にピッタリ。

ジャケット・デザインもなかなかのもの。適度に「トンガっている」部分で感性を刺激され、適度に「伝統的な」部分で心が癒される。これぞジャズの醍醐味を味わうことの出来る「隠れ名盤」の一枚である。
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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