2026年4月11日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・320

フランク・シナトラとカウント・ベイシー楽団の共演ライヴ・アルバム。シナトラの歌唱力素晴らしさとカウントベイシーの演奏力の素晴らしさが、確実に「化学反応」を起こしている、見事な内容のジャズ・ボーカル盤である。シナトラにとって初のライブ・アルバムであり、その後、シナトラと最も強く結びつく楽曲の決定的な演奏が数多く収録されている。聴き応え抜群である。

Frank Sinatra『Sinatra At the Sands』(写真左)。1966年1月と2月、ラスベガスのザ・サンズ・ホテル&カジノのコパ・ルームでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Frank Sinatra (vo), Count Basie (p), Bill Miller (p), and The Count Basie Orchestra、そして、Quincy Jones (arr, cond)。

シナトラの歌唱が絶品。ダンディズム溢れる、魅力的でセクシーな中低音ボーカル。ポジティヴに語りかける様に、耳元で囁きかける様に、硬軟自在、緩急自在、変幻自在にシナトラはボーカルをコントロールする。そう、シナトラはボーカルを「支配」している。クールにジェントルにダイナミックに唄いまくる様は見事である。

冒頭「Come Fly with Me」から始まり「I've Got a Crush on You」「I've Got You Under My Skin」「The Shadow of Your Smile」「Street of Dreams」「One for My Baby」と続く熱唱に次ぐ熱唱。そして、7曲目「Fly Me to the Moon」。僕はこのシナトラの「Fly Me to the Moon」が大好き。何回何十回聴いても良い。シナトラのこの曲の歌唱が好きで、遂には曲自体までもが好きになってしまった。
 

Frank-sinatrasinatra-at-the-sands

 
バックを司るカウント・ベイシー楽団の演奏も素晴らしい。加えて、アレンジがクインシー・ジョーンズ(略して「Q」)。この「Q」のアレンジに乗って演奏するカウント・ベイシー楽団、アーバンで洒落て、良い意味でポップなビッグバンド・サウンドに変化していて、シナトラの歌唱を効果的にバッキングし、シナトラの歌唱の個性を映えに映えさせる。これだけ、フロントのボーカルにぴったりあったビッグバンドのバッキングも珍しい。

ライヴ録音としての臨場感も良い。聴き始めると、自宅のリスニング・ルームが、たちどころに、ラスベガスの「ザ・サンズ・ホテル&カジノのコパ・ルーム」に変わるような、そんな臨場感が心地良い。これぞ、ライヴ盤という雰囲気は、シナトラのボーカルとカウント・ベイシー楽団の演奏に思わず集中してしまうほどの臨場感。

シナトラのしゃべりをそのまま収録しているところが凄い。これがまた、長々しゃべってるんですが、シナトラはMCの名手で、観客は笑いっぱなし。シナトラは早口でペラペラまくしたてるんで、何を言っているか、ほとんど判らないんですが、観客の洒落た笑いと楽しそうな雰囲気がダイレクトに伝わってきて、思わず、こちらも口元を緩めながら聞いてしまう。

シナトラは、僕が小学五年生、親父のラジオをくすねて、NHK第一放送の『夜のしらべ』で、シナトラの歌唱を聴いて以来、ずっとお気に入りの男性ボーカルである。シナトラは、1998年5月に亡くなっているのだが、つまりは、僕は1970年代から亡くなるまで、シナトラをリアルタイムで聴いていたことになる。これは、実に光栄なことであった。この『Sinatra At the Sands』を聴く度に、そんなことをつらつらと思い出す。
 
 

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2024年12月 3日 (火曜日)

シナトラのクリスマス名盤です

今日、昼ごはんを買いに近くのコンビニに寄ったのだが、店内で流れているBGMは「クリスマス・ソング」。そうか、もう12月。クリスマス・シーズンなんだ、と認識を新たにする。そして、このコンビニの店内に流れる「クリスマス・ソング」のBGMはジャジー。イージーリスニング・ジャズ志向のクリスマス・ソングで、さあ、今年もクリスマス・ジャズ盤を聴く季節が来た、とワクワクする。

Frank Sinatra『A Jolly Christmas from Frank Sinatra』(写真左)。1957年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Frank Sinatra (lead vo), The Ralph Brewster Singers (back vo), Gordon Jenkins (arr, cond)。「20世紀を代表する偉大な歌声」という意味で、「ザ・ヴォイス」というニックネームで称賛される、アメリカのエンターテインメント界の伝説の至宝、フランク・シナトラの最初のクリスマス・アルバムである。

男性ジャズ・ボーカルとして、僕はフランク・シナトラが大のお気に入り。小学生高学年の頃から、シナトラの歌声に親しんできた訳だが、ほんと、シナトラの声が良い、シナトラの声が大好きなのだ。そんな魅惑的な男性ボーカルが、親しみのあるフレーズを湛えたクリスマス・ソングを唄いまくるのだ。悪い訳がない。諸手を挙げて、このクリスマス・ソング盤は名盤だ。
 

Frank-sinatraa-jolly-christmas-from-fran

 
収録曲は、王道とも言うべき「クリスマス・スタンダード曲」が選ばれている。どの曲も馴染みのある曲ばかりだが、その「クリスマス・スタンダード曲」の持つ流麗な旋律を、シナトラの魅惑的なダンディズム溢れるボーカルで、しっとりと唄い上げていく。そう、全曲「しっとり」と唄い上げていく。あのアップ・テンポの「ジングル・ベル」ですら「しっとり」と唄い上げる。この「しっとり」感が、クリスマスの厳かな雰囲気を想起させてくれる。

バックのラルフ・ブリュースター・シンガーズとゴードン・ジェンキンス指揮のオーケストラも良い感じ。クリスマス・ソングは、バックのオケのアレンジやサウンド、コーラスのアレンジや出来、それぞれが平凡だと、俗っぽいイージーリスニングな、ちょっと陳腐な演奏に陥ってしまうのだが、この盤ではそれについて、全く心配が無い。コーラス、オケ共々、アレンジ優秀、パフォーマンス優秀、シナトラの「しっとり」歌唱をガッチリサポートし引き立てる。

とても優れた内容の「クリスマス・ジャズ」盤。シナトラの歌唱も優秀。バックのコーラス&オケも優秀。シナトラの、シナトラによる、シナトラらしい、クリスマス・ソングの歌唱。敬虔で品格あるクリスマス・アルバム。クリスマス・ジャズ盤の名盤の一枚です。
 
 

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2024年2月28日 (水曜日)

染みる『In The Wee Small Hours』

子供の頃、小学校5年生の頃だったと記憶している。親父のAMラジオをくすねて、寝床に入ってイヤホンで聴くようになった。夜の10時頃、NHK第一だったと思うが、アメリカン・ポップスを聴かせる番組があった。その番組の中で、時々、ジャズ・ボーカル曲がかかる。

大人の雰囲気で演奏はしっとり落ち着いている。英語で歌われているので、何を歌っているのか、基本的に判らない。8ビートのポップスやロック曲と比べて、基本的に地味で、時々、「こぶし」を効かしたり、フェイクを入れたり、癖のある歌い方がどうにもいけない。そんな中で、この男性ボーカルだけ、何故か気に入った。フランク・シナトラである。

Frank Sinatra『In The Wee Small Hours』(写真)。1954年3月、1955年2, 3月の3セッションからの収録。1955年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Frank Sinatra (vo), Nelson Riddle (arr, cond), バックにジャズ・オーケストラが付く。

フランク・シナトラは、ポピュラー・ヴォーカルの帝王として、20世紀の音楽界に君臨、ジャズ・ボーカルとしても数々の実績を残した、歴代最高の男性ボーカリストである。

アルバムの収録曲は、内省、憂鬱、失恋、失敗した関係、うつ病、ナイトライフなどのテーマを扱う、失われた愛に関する「不安に満ちた」バラード曲で統一されている。歌い上げるのに、かなり難度の高いボーカル曲ばかりだが、そこはさすが「ソフト・バラードの名手」「ザ・ヴォイス」と呼ばれたシナトラ、ゆったりとしたテンポで、じっくりと魅惑的なテナー・ヴォイスで、囁く様に、語りかける様に唄い上げていく。
 

Frank-sinatrain-the-wee-small-hours

 
「オレはあの頃、シナトラやナット・キング・コールやオーソン・ウェルズの節回しまで聴いて、フレージングについてはずいぶんと勉強した。連中は、楽節とか文節とか句を声で言い回す真の達人だった」(『マイルス・デイビス自叙伝』より引用)

マイルスさえもが指摘する様に、シナトラは「楽節とか文節とか句を声で言い回す真の達人」で、シナトラの歌唱を聴いていると、ボーカルとは「歌」ではなく「楽器」の一つなのか、と唸ってしまう。深夜の寂寞感や失恋の悲しみ、真夜中から夜明けの間の真っ暗な「闇」の雰囲気を、メランコリックにムーディーに唄い上げている。思わず、じっくりと聴き入ってしまうほどの説得力と訴求力。

冒頭のタイトル曲「In The Wee Small Hours」がとりわけ良い。この1曲でこの企画盤の全てを表現している。英語で歌われているので、何を歌っているのか、基本的に判らない、と思うのだが、これだけの歌唱をぶつけられると、歌詞の和訳に手をつけたくなる。ボブ・ヒリアード作詞の歌詞が良い。そして、その歌詞に曲を付けたデイビッド・マンの旋律が染みる。

最初のコンセプト・アルバムの1つと評価されている企画盤であるが、このアルバムは商業的に成功を収め、米国ビルボード200チャートで最高2位を記録、18週間チャートに留まり、 シナトラの最高チャート・アルバムとなった。ジャケも良い。シナトラに古めかしい街灯のある風景が良く似合う。ジャケ良し、内容良し、実績良し、のジャズ・ボーカルの傑作の一枚である。
 
 

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2014年7月26日 (土曜日)

西海岸ロックの歌姫のデュエット集

学生時代の夏、聴くロックと言えば「米国西海岸ロック」。ウエストコースト・ロック。ロサンゼルス、サンフランシスコを拠点に活動するロックであり、結構複雑なバリエーションがあるが、C&W風の爽やかでフォーキーなノリと、小粋な兄ちゃん達の小粋なソング・ライティングが特徴。カリフォルニアの爽やかな太陽と風が、1970年代のロックの思い出と共に蘇ります。

そんな西海岸ロックの歌姫と言えば「リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)」。彼女は生粋のボーカリスト。西海岸ロックの典型的なC&W風の爽やかでフォーキーなノリをバックに、小粋な兄ちゃん(イーグルスやニール・ヤング、ジェームス・テイラー、ジャクソン・ブラウン、J.D.サウザー等々)の提供する楽曲を唄いまくった。

パンチのある豊かな声量と色艶のあるボーカルが身上で、バックのロック色の強い演奏にも負けること無く、それを従えるが如くのボーカルは爽快感抜群。特に、1970年代全般に渡って、その優れた歌唱力を活かし、カバー曲を中心に魅力的な米国西海岸ロック色豊かなアルバムを多くリリースしました。西海岸ロックの歌姫と呼ばれる所以です。

そんなリンダ・ロンシュタット、優れた魅力的なデュエット曲を多くリリースし、ヒットさせたことも彼女の個性のひとつ。そんなデュエット曲を集めてリリースした、実に魅力的な内容のアルバムがお目見えした。その名もずばり『Duets』(写真左)。大活躍していた1970年代の彼女の魅力的な写真のジャケットも凄く良い。往年の西海岸ロック者には堪えられない内容の企画盤である。

収録されたデュエット曲は以下の通り。1970年代の彼女の大活躍した時期のみならず、彼女のボーカリストとしての活動期全般に渡って幅広く選曲されている。いやはや、錚々たるデュエット曲のオン・バレードである。

彼女のソロアルバムとしても、『悪いあなた』(1974年作品)、『哀しみのプリズナー』(1975年作品)、『風にさらわれた恋』(1976年作品)、『夢はひとつだけ』(1977年作品)、『ゲット・クローサー』(1982年作品)などから選曲されており、各々のソロ・アルバムには、必ず、魅力的なデュエット曲を収録していたことが良く判る。
 

Linda_duets

 
01. “Adieu False Heart” with Ann Savoy
02. “I Can’t Get Over You” with Ann Savoy
03. “Walk Away Renee” with Ann Savoy
04. “The New Partner Waltz” with Carl Jackson
05. “I Never Will Marry” with Dolly Parton
06. “Pretty Bird” with Laurie Lewis
07. “I Can’t Help It (If I’m Still in Love With You)”with Emmylou Harris
08. “Hasten Down The Wind” with Don Henley
09. “Prisoner In Disguise” with J.D. Souther
10. “I Think It’s Gonna Work Out Fine” with James Taylor
11. “Don’t Know Much” with Aaron Neville
12. “All My Life” with Aaron Neville
13. “Somewhere Out There” with James Ingram
14. “Sisters” with Bette Midler
15. “Moonlight In Vermont” with Frank Sinatra

アルバム全体の雰囲気は、もうこれは完璧に「米国西海岸ロック」の音世界。やっぱりリンダって、米国西海岸ロックの歌姫やったんやなあ、と改めて感じ入ってしまいます。どのデュエット曲でも、パンチのある豊かな声量と色艶のあるボーカルが映え、だからと入って、デュエット相手の歌声を凌駕すること無く、しっかりと寄り添って唄い上げていく。やはり、リンダのボーカリストとしての力量は素晴らしいものがありました。

昨年、パーキンソン病を患いもう歌うことができなくなったという、往年のファンとしてはショッキングなニュースがありましたが、今年になって、アメリカの2014年度の「ロックの殿堂」入り受賞者となったという、素晴らしいニュースも飛び込んできて、往年のファンとしては、このところ、明るくなったり暗くなったり、久々にリンダの話題に振り回されております(笑)。

 
 

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2012年4月16日 (月曜日)

「春」はジャズ・ボーカルの季節

春になると、ジャズ・ボーカルが恋しくなる。温かくなって、ホンワカして、ゆったりリラックスして、のんびりジャズが聴きたくなる。のんびりジャズを聴くとなると、最近はジャズ・ボーカルである。

ジャズを聴き初めて、ボーカルは一番後回しになった。とにかく、ボーカルは何を歌っているのかほとんど判らない。判らないのであれば、歌詞は、歌はいらないだろう、ということで、インスト中心にジャズを聴きまくった。

しかし、ジャズと言えば、ボーカルは避けて通れない。そろそろボーカルにチャレンジしないと、ジャズ・ボーカルをしっかりと聴かずに、あの世に逝ってしまうことになる。

そうこうしているうちに、歳を重ね、45歳を過ぎる頃から、ジャズ・ボーカルを聴いていて、なんとなく何を歌っているのかが判る様になってきた。それではということで、徐々にボーカルに手を出すようになった。

僕にとっては、ジャズ・ボーカルは聴く季節を選ぶ。聴く季節は「春」と「秋」。「夏」は暑苦しくていけない。「冬」は寒々としていけない。「春」はホンワカして、ゆったりリラックスして、のんびりボーカルを聴くことが出来る。「秋」はしみじみして、じんわり感傷に浸りながら、じっくりボーカルを聴くことが出来る。
 

Swing_easy

 
さて、今、季節は「春」である。僕にとって、ジャズ・ボーカルの季節が来た。そして、聴くのは、小学校6年生の頃からのお気に入り、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)である。ジャズ・ボーカルの王道、「ザ・ヴォイス」と謳われたフランク・シナトラです。

選んだアルバムは『Swing Easy!』(写真左)。1953年11月と1954年4月の録音。この頃のシナトラは絶好調、無敵のボーカルである。収録された曲全てがシナトラのベストである。シナトラの黄金時代のボーカルがここにぎっしりと詰まっている。

シナトラの声には惚れ惚れする。そして、卓越したリズム感。ノリが抜群のドライブ感。颯爽とした爽快感溢れるボーカルは唯一無二。スイング感抜群。この『Swing Easy!』はスイング集。スイングしながら曲にのりまくるシナトラ。こんなに魅力的な男性ボーカルは他に無い。

この『Swing Easy!』はもともとSP盤で出ていたもの。最近、流通しているCDは、同じくSP盤の『Songs for young lovers』とカップリングされたものだ(写真右)。この『Swing Easy!』はスイング集。『Songs for young lovers』はバラード集。どちらもシナトラの黄金時代を捉えたアルバムで素晴らしいの一言。

シナトラの大らかでノリの良いスイング感は、「春」のうららかな雰囲気にピッタリ。今日はシナトラの傑作『Swing Easy!』を、春のホンワカした雰囲気の中、ゆったりリラックスして、のんびりと愛でる。春爛漫のひととき、至福の時である。

 
 

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2012年1月23日 (月曜日)

シナトラの歌は小粋でダンディ

男性ジャズ・ボーカルで、代表的なボーカリストをひとり選べと言われたら、僕は、迷わずに、フランク・シナトラの名を挙げる。とにかく、シナトラの歌唱は別格。今日、僕たちが、ジャズ・スタンダードとして知られている曲の歌唱は、シナトラの歌い方をベースにしながら、それぞれのボーカリストの個性を付加していると言っても過言ではない。

そして、バレンタインデーが近づくと聴きたくなるアルバムが、Frank Sinatra『Songs for Young Lovers』(写真左)。1954年のリリース。録音は、1953年の11月5〜6日。

フランク・シナトラの歌声は、ダンディズムの極地。どこまでも男らしく、優しく語り掛ける。その歌声は男性ジャズ・ボーカリストの源と言える。どの曲をとっても、その素晴らしさには、変わりが無いんだけど、とりわけ、ラストの『Violets for Your Furs』は絶品。

この曲、トミー・ドーシー楽団の専属アレンジャーだったマット・デニスが、1941年に作曲した冬の定番ラヴソング。日本では「コートにすみれを」の邦題でも知られていますが、ここでのシナトラの歌は絶品。男らしく、優しく、語りかけるように、しっかりと小細工なしに、この曲の想いをストレートに伝えます。とにかく「格好いい」んですよ。これが・・・。

シナトラのドカッと安定した、王道を行く歌声は、男と女の「幸せなスチュエーション」に花を添えます。
 

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そして、バレンタインデーが近づくと聴きたくなる理由が、冒頭の「My funny Valentine」。このシナトラの歌は、この歌の決定的名唱のひとつ。とりわけダンディな歌声で、このラブソングを小粋にサラリと歌い上げていきます。

「私の可笑しなバレンタイン、愛しく面白いバレンタイン、貴男は私を心の底から笑わせてくれる。貴男の顔は吹きだしそう。写真写りも良くない。けど、あなたは私にとってお気に入りの芸術品なのよ」と、ケチョンケチョンに、けなしておいて、それでもそういうあなたが好きなのよ、という「女性から男性へのラブソング」となっています。

もう一度言いますが、この「マイ・ファニー・バレンタイン」というラブソングは、女性から男性へのラブソングです。これが逆のシチュエーションだったら、大変なことになります(笑)。まあ、歌詞通りに女性から男性へのラブソングだとしても、この歌詞を添えて、バレンタインデーにチョコレートを貰っても、ちょっと気持ちは複雑ですが・・・(笑)。

でも、このシナトラの様に「クール&ダンディ」な歌声で、この歌詞を囁くように歌われたら、男性から女性という、逆のシチュエーションでも「OK」かも・・・(笑)。とにかく、シナトラの歌はダンディで小粋で実に渋い。

ちなみに、この『Songs for Young Lovers』ってアルバム、LPが存在しなかった時代の10インチ(25センチ)盤としてリリースされたもので、現在は同じく10インチ盤の『Swing Easy!』とカップリングされてCD化されています。

 
 

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2010年9月22日 (水曜日)

フランク・シナトラ=ニューヨーク

故あって、まだまだニューヨークにまつわる、ニューヨークを彷彿とさせるジャズ・アルバムの特集は続きます。ニューヨーク、そしてジャズ、そして男性ボーカルとくれば、まず思い浮かぶのが、フランク・シナトラとメル・トーメ。

メル・トーメについては、今年2010年6月13日のブログ(左をクリック)にて、『Songs of New York』をご紹介している。一度、ご覧下さい。で、フランク・シナトラと言えば、数々の名盤、名唱があるので、一枚を選べと言われれば、ちょっと困るのだが、やはり、ジャズを聴き始めて、ジャズ初心者駆け出しの頃に出会った、フランク・シナトラのアルバムをご紹介することにしたい。

そのアルバムは、Frank Sinatra 『Trilogy : Past, Present and Future』(写真左)。1979年の作品。僕が本格的にジャズを聴き始めたのが1978年なので、本当にジャズ者初心者駆け出しの頃に、この『Trilogy』というアルバムに出会った。が、このアルバムがなんと非常に重厚なアルバムで「LP3枚組」。とても当時の財力で購入できるものでは無い。そこで、大学時代の「秘密の喫茶店」のママさんのお世話になることになる(笑)。

この『Trilogy』は3部構成で,当時60歳を過ぎたシナトラの見果てぬ夢を歌で綴ったような、シナトラのキャリアの集大成の様なアルバムである。シナトラが最も信頼し、都度共演してきた3人のアレンジャー、Billy May (LP1枚目「The Past」を担当), Don Costa (LP2枚目「The Present」を担当), Gordon Jenkins (LP3枚目「The Future」を担当)とのコレボレーションにより、シナトラの「過去」「現在」「未来」という3つの「時を」表現するというコンセプト・アルバム。

全編を通じて、実にゴージャズなストリングスがバックに着く。もうそれはそれは豪華絢爛なストリングス。そして加えて、これまたゴージャズなコーラス隊も着く。贅の限りを尽くした、重厚で洒脱なストリングスのアレンジ、そしてコーラス。フランク・シナトラの後期〜晩年に相応しい内容である。
 

Sinatra_trilogy

 
巷の評では、やはりLP一枚の「The Past」に対する評価が高い。シナトラの若かりし頃〜中堅として一番脂の乗り切った頃の「十八番の曲」を、ここで改めて、ゴージャズなストリングス・アレンジにのって、シナトラは朗々と歌い上げていく。貫禄抜群。もうここでは、ジャズ・ボーカルの粋を超えて、ここでは、もう「シナトラ・ミュージック」と呼んで良いほど。従来のジャズ・ボーカルの域を超える、一般万民、老若男女問わず、感動を呼び込む「シナトラ・ミュージック」がここにある。

でも、「フランク・シナトラ=ニューヨーク」という図式を強く感じるのは、LP2枚目の「The Present」。新ジャズ・スタンダードへのチャレンジが爽快である。特に、ビリー・ジョエルの名曲「Just The Way You Are(素顔のままで)」そして、ジョージ・ハリソンの名曲「Something」の2曲が秀逸。ジャジーなビートに乗って、ダイナミックにスイングするシナトラの歌唱は素晴らしいの一言。「Love Me Tender」もええなあ。甘さに流れず、ダンディズム溢れる硬派なシナトラの歌唱には痺れっぱなしである。

LP3枚目の「The Future」は意欲作、異色作の類。一言で言うと「ジャズ・ボーカルがメインのミュージカル仕立て」といった面持ち。とにかく、全編に判って「ゴージャズ & ブリリアント」、そして一言「ミュージカル」(笑)。

豪華なストリングス・アレンジと重厚なコーラスのバッキングを背に、シナトラは、朗々とダイナミックに、時に繊細に、硬軟自在、縦横無尽に歌いあげていく。とにかく「ゴージャズでブリリアント」な内容で、とにかく圧倒的に「トゥー・マッチ」なゴージャスさ。故に、繰り返し聴くことは無い(ほんの時々しか聴かないなあ)LP3枚目ではあるが、その内容は思いのほか正統派で「濃い」。このLP3枚目は、若かりし頃から売れに売れた人だからこそ、ジャズ・ボーカルの巨人だからこそ許される「仕業」なんだろう。

僕は、LP2枚目の「The Present」にシナトラのジャズを感じます。60歳を過ぎたシナトラが、ビリー・ジョエルの名曲「Just The Way You Are」を、そして、ビートルズ&ジョージ・ハリソンの名曲「Something」をカバーするという、シナトラのボーカリストとしての懐の深さを圧倒的に感じます。そして、このLP2枚目の「The Present」に、僕は強くニューヨークを感じます。特にジャジーでスインギーな「Just The Way You Are」は絶品でしょう。これぞ、ニューヨーク。

ゴージャズなストリングス中心のデコレーションなアレンジは全編に渡り長々と続くので、LP3枚目に入ると、流石に、ちょっと「ご勘弁」をという感じですが、それを差し引いても、このシナトラの意欲作『Trilogy : PAST, PRESENT AND FUTURE』は、シナトラ入門盤として、はたまたベテラン・ジャズ者の「隠れた名盤」として、十二分に楽しめるジャズ・ボーカルな一枚です。 
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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