ECMの個性は「ニュー・ジャズ」
ECMレコードの個性は「ニュー・ジャズ」。従来の4ビートがメインのモダン・ジャズではない、即興演奏と他のジャンルの音楽との融合をメインとした新しいジャズ。クラシック音楽や現代音楽を育み、国々での個性的な民族音楽が存在する欧州だからこそ生まれた「ニュー・ジャズ」。
Egberto Gismonti『Sol Do Meio Dia』(写真左)。1977年11月、オスロの「Talent Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Egberto Gismonti (8-string g, kalimba, p, wood-fl, voice, bottle), Naná Vasconcelos (perc, berimbau, tama, corpo, voice, bottle : tracks 2, 3 & 5), Ralph Towner (12-string g : tracks 1 & 5), Collin Walcott (tabla, bottle : track 2), Jan Garbarek (ss : track 5)。
タイトル『ソル・ド・メイオ・ディア』は、ポルトガル語で「真昼の太陽」。ブラジルの作曲家、ギタリスト、ピアニストのエグベルト・ジスモンチのアルバム。その内容は、典型的な「ECMのニュー・ジャズ」。楽曲はすべてジスモンチのオリジナル。出てくる音は、ワールドミュージック志向の静的な即興演奏。どこか現代音楽にも通じるクールで透明度の高い即興演奏。
ECMでのジスモンチは「ジャズ的な奏者」に軸足を置いている。ギターやピアノを抜群のテクニックで奏でるジスモンチが、たっぷり記録されている。ジスモンチの曲も個性的で良いが、各曲、静的でスピリチュアルな即興演奏が聴きもの。曲ごとに、ECMの「ハウス・ミュージシャン」的ミュージシャンが充てられ、スリリングで耽美的なインタープレイが繰り広げられる。
ナナ・ヴァスコンセロスのパーカッションが静的なインタープレイに躍動感を与え、ラルフ・タウナーの12弦とヤン・ガルバレクのソプラノ・サックスがスピリチュアルな響きを増強し、コリン・ウォルコットのタブラがワールド・ミュージックな音要素を強調する。そこに、ジスモンチのギターやピアノが絡み、対話し、対峙する。
このアルバムは、エグベルトがアマゾンのシングー族と過ごした時間にインスピレーションを受けており、アルバムはシングー族に捧げられている、とのこと。確かに、ジスモンチのピアノやギターのフレーズが入ってくると、そこに「ブラジリアン・ミュージック」の響きが、ワールドミュージック志向の静的な即興演奏に滲み出てくる。ECMレコードならでは、のワールドミュージック志向の「ニュー・ジャズ」である。
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