2025年5月 4日 (日曜日)

ECMの無国籍ニュー・ジャズ

欧州のニュー・ジャズの牽引役であるECMは、欧州ジャズらしい「エキゾチックでありながら、無国籍的なワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズ」が得意ジャンルの一つだったりする。ワールド・ミュージック志向の音を敬遠せず、音志向の一つとして、しっかり認識し適応した、珍しい類の懐の深いレーベルである。

Collin Walcott, Don Cherry & Nana Vasconcelos『Codona 3』(写真左)。1982年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Collin Walcott (sitar, tabla, hammered dulcimer, sanza, voice), Don Cherry (tp, org, doussn' gouni, voice), Naná Vasconcelos (perc, berimbau, voice)。

シタール兼タブラ奏者のコリン・ウォルコット、トランペット奏者のドン・チェリー、パーカッショニストのナナ・ヴァスコンセロスからなるジャズ・トリオ、コドナの3枚目で最後のアルバム。コドナは「free jazz and world fusion group」とされており、欧州ジャズ独特の整然としたワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズが、ECM独特の録音とエコーを纏って展開されている。
 
Collin-walcott-don-cherry-nana-vasconcel  
 
エキゾチックでありながら、無国籍的なワールド・ミュージック、国籍不明のニュー・ジャズなところが、この盤の個性で、即興演奏をベースとした、確実にフリーな展開なのだが、どこか理路整然としていて、規律の取れたインタープレイが独特。国や地域の音の色が付かないが、土着的なリズム&ビート、タブラなどの民族音楽楽器の響きが、どこまでも「ワールド・ミュージック志向」。それでいて無国籍なのが、いかにも欧州ジャズらしい。

そして、途中から入ってくる「ボイス」の存在が、そんな「ワールド・ミュージック志向」を、「無国籍的なエキゾチックな雰囲気」を増幅する。しかし、ECM独特の録音とエコーが、アフリカンな、土着的な雰囲気を抑制する。どこかアーバンっぽい雰囲気も漂う、独特のワールド・ミュージック志向」を振り撒いている。

欧州のニュー・ジャズの牽引役であるECMらしい、不思議な響きと魅力に満ちた、無国籍的なエキゾチックな雰囲気を色濃く宿した「ワールド・ミュージック志向」のニュー・ジャズ。ウォルコット、チェリー、ヴァスコンセロス、それぞれが、自らの個性を最大限に発揮して、即興にフリーに展開した、極上のパフォーマンスがここに記録されている。
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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2025年3月31日 (月曜日)

1980年代のタウナー・サウンド

月刊誌レココレの2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この特集のアルバム・セレクトが興味深く、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きをしている。どの盤にも新しい発見があって、実に楽しい。今回の盤は「1980年代のタウナー・サウンド」の最初の成果。

Ralph Towner『Blue Sun』(写真左)。1982年12月の録音。翌年のリリース。ECMの1250番。ちなみにパーソネルは、Ralph Towner (12-string guitar, classical-g, p, Prophet 5 syn, French Horn, cornet, perc)。ECMのハウス・ギタリスト、ラルフ・タウナーのソロ・アルバム。

ECMのニュー・ジャズの具現化の筆頭。ECMの音志向である「耽美的で、音の「間」と「拡がり」を活かした、即興演奏をメインとした、限りなく自由度の高いインタープレイ」の担い手の一人。欧州ギターの吟遊詩人、ラルフ・タウナーのソロ・アルバム。1980年代仕様のラルフ・タウナーがここにある。

1970年代の「硬質でシャープで耽美的で、少しマイナー志向の思索的なアコギ」がトレード・マークだったタウナー。そう、2枚目のリーダー作『Diary』のジャケット写真の様な、明るい鉛色の、どこか硬質でシャープな、海の風景の様なギター。そんなタウナーのギターが、このアルバムでは、少し明るく、温かみのあるメジャーな響きが加わって、とてもカラフルな、ポジティヴでバリエーション豊かな音に変化している。
 

Ralph-townerblue-sun

 
しかも、このアルバムでは、マルチ・プレイヤーとして、お得意の12弦ギターに加え、クラシック・ギター、ピアノ、プロフェット5・シンセ、フレンチ・ホルン、コルネット、パーカッションを、一人でこなしている。そして、それぞれの楽器の演奏を多重録音にて、一つの作品に仕立て上げている。

タウナーのギターの音は「硬質でシャープで耽美的で、少しマイナー志向の思索的なアコギ」。1970年代の音と変わらない。しかし、そこにメジャーな響きのピアノの音やシンセの音が絡んで、硬質でシャープなギターの音を少しラウンドさせ柔和な雰囲気を醸し出し、フレンチ・ホルンとコルネットの管楽器が硬質なギターの音を包みこみ、1970年代のタイナー・サウンドに、明るさと温かみを加味している。

タウナーは「OREGON」というグループの一員として活動していたが、オレゴンの音志向は「実生活と音楽を切り離すのではなくて、あくまで自然の=海、川、風=リズムを基盤にしたアース・ミュージックの具現化」。このOREGONが志向する「アース・ミュージック」の音要素を、効果的に、自らのソロ・アルバムの音世界に反映している様に感じる。それが「少し明るく、温かみのあるメジャーな響き」なのだろう。

ラルフ・タウナーのディスコグラフィーの中で、ほとんど話題に上がらないアルバムなので、内容はイマイチなのかな、と思って敬遠した時期もあったが、初聴してビックリ。1980年代のタイナー・サウンドの最初の成果がこの盤に詰まっている。マイナーな存在のアルバムだが、これはタイナーの傑作、ECM名盤の一枚だと僕は思う。
 
 

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2025年3月30日 (日曜日)

ブリュニングハウスのECM好盤

月刊誌レココレの2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この特集のアルバム・セレクトが興味深く、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きをしている。どの盤にも新しい発見があって、実に楽しい。今回の盤は「初聴き」盤。

Rainer Brüninghaus『Freigeweht』(写真左)。1980年 7月から8月、オスロの「Talent Studio」での録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Rainer Brüninghaus (p, syn), Kenny Wheeler (flh), Jon Christensen (ds), Brynjar Hoff (oboe, cor snglais)。ピアニスト、ライナー・ブリュニングハウスがECMの「ハウス・タレント」と共に録音した、ECMにおける初リーダー作である。

変則な楽器編成である。フリューゲルホルンのケニー・ホイーラー、ドラムのヨン・クリステンセン、オーボエ奏者のブリンジャー・ホフ、そして、リーダーでピアニストのライナー・ブリュニングハウス。まず、定番のベーシストが不在。そして、なぜかオーボエが入っている。パーソネルの楽器記号「cor snglais(仏語・コーラングレ)」は、英語でいう「イングリッシュ・ホルン」。
 

Rainer-bruninghausfreigeweht

 
この変則な楽器編成から、ECMならではの、現代音楽&現代クラシック志向、即興演奏をメインとした「ニュー・ジャズ」だと当たりをつける。ベースが不在だが、ブリュニングハウスのピアノがあるので、ベースラインはピアノが代替している。加えて、演奏メンバーは、ブリュニングハウスがドイツ、ホイーラーはカナダ(英国)、クリステンセンとホフはノルウェーと、欧州ジャズ志向の面々で固められていて、従来の4ビート・メインのモダン・ジャズの雰囲気は皆無。

冒頭の「Stufen」から、即興演奏をメインとした、自由度の高いインタープレイが展開される。ブリューニングハウスの硬質で叙情的で印象派的なピアノ、ホイーラーとホフの、拡がるが如く、漂うが如くの瞑想的なフレーズが、欧州的で叙情的な響きと共に展開、そんな拡がりと間を活かしたインタープレイを、クリステンセンの変幻自在、硬軟自在、緩急自在な、切れ味よく推進力溢れるドラムが演奏全体を牽引する。

このアルバムの持つ、現代音楽&現代クラシック志向の欧州ジャズ的なサウンド志向、即興演奏をメインとした、柔軟でスピリチュアルなフレーズの展開、そして、拡がりと間を活かしたインタープレイが、ECMのサウンド志向とピッタリと合致して、唯一無二な響きを宿した、コンテンポラリーな欧州ジャズの好盤に仕上がっている。ECMレーベルにしか制作できない、ECMならではの好盤の一枚である。
 
 
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2025年3月 8日 (土曜日)

傑作 Jan Garbarek ”Eventyr”

昨年の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集に「ECMレコーズ」がある。これは「創設者マンフレート・アイヒャーのコンセプトと55年の歴史の概説」と「今聴きたいECMアルバム45選」の2本立ての特集。

特に、後半の「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入った。ということで、この45枚のアルバムについて、ブログ記事としてアップしようと思い立った。ということで、久しぶりの「今聴きたいECMアルバム45選」の聴き直し記事、である。

Jan Garbarek『Eventyr』(写真左)。1980年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (ss, ts,fl), John Abercrombie (g), Naná Vasconcelos (berimbau, talking drum, perc, voice)。ノルウェーのジャズ・サックス奏者で作曲家のヤン・ガルバレクが、ECMからリリースした変則トリオ盤。

この変則トリオには、ヤン・ガルバレクのサックス&フルートに、ギタリストのジョン・アバクロンビーとパーカッショニストのナナ・ヴァスコンセロスが参加している。ピアノ&ベースレス。ピアノとベースがいない、そして、ドラム・セットが無い。

演奏全体の雰囲気は「現代音楽&現代クラシック」。演奏形態は即興演奏。現代音楽&現代クラシック志向の即興演奏に、パーカッションのリズム&ビートを添えて「ジャズ」として捉え、それが、ECMの考えるニュー・ジャズであり、現代の欧州ジャズとした、そんな雰囲気がビンビンに伝わる傑作。
 

Jan-garbarekeventyr

 
ECMの創立者、マンフレート・アイヒャーの音の美意識、ECMの標榜する音世界を具現化した、その大成功例の一つ。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」、限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音、そんな、アイヒャー自らの監修・判断による強烈な「美意識」を、このアルバムはしっかりと捉えている。

一曲目「Soria Maria」の冒頭、ガルバレクのソプラノ・サックスが、ピューッと伸びて飛翔するだけで、この盤の音世界は『ECMのニュー・ジャズ」。そして、ガルバレクに寄り添う様に絡む、アバークロンビーのエレギ。演奏が進むにつれ、曲が進むにつれ、その二人の演奏の音志向はどんどん「現代音楽&現代クラシック志向の即興演奏」になっていく。もはやこれはジャズでは無いなあ、と思いきや・・・。

ナナ・ヴァスコンセロスの、トーキング・ドラムをはじめとする、ワールド・ミュージック志向&エスニック志向のリズム&ビートが、ガルバレクとアバークロンビーの「現代音楽&現代クラシック志向の即興演奏」を「ジャズ」の音世界に連れ戻してくれる。欧州ジャズらしからぬ、アフリカン・ネイティヴなリズム&ビートは、ガルバレクとアバークロンビーの「現代音楽&現代クラシック志向の即興演奏」を、モーダルな音世界に瞬間移動させてくれる。

のちのECMレコードが標榜する「ワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズ」を、思いっきり先取した、素晴らしいECMレコード志向のニュー・ジャズ盤である。ガルバレクとアバークロンビー、そして、ヴァスコンセロスの途方もない音の「バリエーションと表現力」。欧州ジャズ、ECMジャズの傑作です。

ちなみにタイトルの「Eventyr(イベントュル)」は、ノルウェー語で「冒険」を意味する単語だそうです。 
 
 

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2025年1月23日 (木曜日)

リピダルがプログレに接近した盤

Terje Rypdal『Descendre』(写真左)。ECMの1144番。1979年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Terje Rypdal (el-g, key, fl), Palle Mikkelborg (tp, flh, key), Jon Christensen (ds, perc)。ノルウェー出身の「欧州の変態ギタリスト」、テリエ・リピダルのリーダー作である。編成はトリオだが、ベースレス、フロントがリピダルのエレギとミッケルボルグのトランペットの変則トリオ。

リピダルのエレギは、アタッチメントを駆使した浮遊感溢れる、切れ味の良いフリーなエレギで、ジャズロック寄りというよりは、プログレッシヴ・ロック寄りといった方が座りの良い、実に個性的なギターである。とても自由度の高い弾き回しで、モードからフリーに、アブストラクトにスピリチュアルに弾き上げる様は、空間に飛翔するビロードの如く、である。

そんな印象派バリバリのリピダルのギターがいきなりガーンと来るかと思いきや、まずは、ミッケルボルグのトランペットが先行して飛翔する。ミッケルボルグはデンマーク出身のトランペッター。出てくる音は、さしずめ、リピダルのエレギをトランペットに置き換えた様な、とても自由度の高い吹き回しで、モードからフリーに、アブストラクトにスピリチュアルに吹き上げる。
 

Terje-rypdaldescendre

 
全曲リピダルのオリジナル。エレギとトランペットがフロントだが、リズム&ビートは、ドラム&パーカッションが司り、音の雰囲気と広がりとテンポはエレピ&アコピがリードする。エレギとトランペットとエレピ&アコピ、そして、ドラム&パーカッションを多重録音でまとめて、統一した音世界を表現する。出てくる音は、たゆたうエレギとトランペット、インプロを耽美的に印象的にリードするエレピ&アコピ、そして、アクセントを付ける様に、効果的に出てくるドラム&パーカッション。

浮遊感溢れる自由度の高いフレーズが音空間を乱舞する。エレピ(シンセ)とトランペットが耽美的で印象的なフレーズを展開し、ドラム&パーカッションがリズム&ビートのアクセントを効果的に付加する。ジャジーなリズム&ビートのパフォーマンスがなければ、この盤の音世界はまるで、印象派志向のプログレッシヴ・ロック。そう、一言で言うと、この盤の音世界は「プログレッシヴ・ジャズ・ロック」。

典型的なECMレーベルのニュー・ジャズの音世界。演奏の基本が「即興演奏」メインに展開されているので、かろうじてジャズの範疇に軸足を留めてはいるが、この盤は、リピダルのエレギが、一番、プログレッシヴ・ロックに接近した音世界を捉えた秀作と言える。そして、この盤の音世界は絶対に「欧州的」。欧州のニュー・ジャズのリーダー的レーベル、ECMの面目躍如である。
 
 

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2025年1月 5日 (日曜日)

ECMニュー・シリーズの一枚

ECMレコードには幾つかの「傍系」シリーズが存在する。その一つが「ECMニュー・シリーズ」。西洋クラシック音楽の作品を収録するために1984年に創設。現代作曲家の作品をメインにリリース。多くのリリースにおいて、ECMのジャズとクラシック音楽への志向が組み合わされている。

Steve Reich Ensemble『Reich: Music for 18 Musicians』(写真左)。1978年の録音。邦題「18人の音楽家のための音楽」。ECMニュー・シリーズにてのリリース。スティーヴ・ライヒが1974年から1976年にかけて作曲したミニマル・ミュージックの作品。演奏者はタイトル通り18名で、18のパートに分かれている。

現代作曲家、スティーヴ・ライヒの作曲。スコア上では演奏時間は約55分。しかし、反復の回数が多ければ1時間を超える。「反復」演奏が基本だが、その「反復」の中で、旋律のパターンの変化、新しい演奏モチーフの開始などは、ヴィブラフォン奏者はの聴覚による合図、第1クラリネット奏者の視覚による合図(キュー)を全プレイヤーに送ることで行われる。

指揮者無しの「アンサンブル」で演奏される。ミニマル・ミュージック(音の動きを最小限に抑え、パターン化した音型を反復させる音楽)の「反復」が基本となっており、旋律のパターンやセクションの交換と変化、フェードアウトの開始、新しい演奏モチーフの開始は、プレイヤーの合図(キュー)によって行われる。
 

Steve-reich-ensemblereich-music-for-18-m

 
ECMニュー・シリーズの中では「クラシック部門」にあるが、クラシックの様な、完全に譜面通りの演奏ではなく、「反復」の展開は柔軟に行われるので、ある程度の自由度が与えたれた現代音楽で、厳密に言うと「クラシック」とは特性が異なる。

この盤を演奏を聴いていると、1970年代より活躍した、欧州のテクノ・ミュージック、テクノ・ロックのタンジェリン・ドリームやクラフト・ワークの演奏を想起する。タンジェリン・ドリームやクラフト・ワークの演奏展開は、この「ミニマル・ミュージック」を応用していて、そういう観点で、スティーブ・ライヒの現代音楽に通じるものがあると感じる。

このスティーヴ・ライヒの現代音楽の響きは、クラシック音楽の基本の上に成り立ち、進化していて、いかにも「欧州」らしい音に満ちている。キューによる旋律のパターンやセクションの交換と変化は、どこかクロスオーバー・ジャズの即興展開に通じるものがあって、聴いていて実に心地良い。
 
 

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2024年11月15日 (金曜日)

ECMの個性は「ニュー・ジャズ」

ECMレコードの個性は「ニュー・ジャズ」。従来の4ビートがメインのモダン・ジャズではない、即興演奏と他のジャンルの音楽との融合をメインとした新しいジャズ。クラシック音楽や現代音楽を育み、国々での個性的な民族音楽が存在する欧州だからこそ生まれた「ニュー・ジャズ」。

Egberto Gismonti『Sol Do Meio Dia』(写真左)。1977年11月、オスロの「Talent Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Egberto Gismonti (8-string g, kalimba, p, wood-fl, voice, bottle), Naná Vasconcelos (perc, berimbau, tama, corpo, voice, bottle : tracks 2, 3 & 5), Ralph Towner (12-string g : tracks 1 & 5), Collin Walcott (tabla, bottle : track 2), Jan Garbarek (ss : track 5)。

タイトル『ソル・ド・メイオ・ディア』は、ポルトガル語で「真昼の太陽」。ブラジルの作曲家、ギタリスト、ピアニストのエグベルト・ジスモンチのアルバム。その内容は、典型的な「ECMのニュー・ジャズ」。楽曲はすべてジスモンチのオリジナル。出てくる音は、ワールドミュージック志向の静的な即興演奏。どこか現代音楽にも通じるクールで透明度の高い即興演奏。
 

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ECMでのジスモンチは「ジャズ的な奏者」に軸足を置いている。ギターやピアノを抜群のテクニックで奏でるジスモンチが、たっぷり記録されている。ジスモンチの曲も個性的で良いが、各曲、静的でスピリチュアルな即興演奏が聴きもの。曲ごとに、ECMの「ハウス・ミュージシャン」的ミュージシャンが充てられ、スリリングで耽美的なインタープレイが繰り広げられる。

ナナ・ヴァスコンセロスのパーカッションが静的なインタープレイに躍動感を与え、ラルフ・タウナーの12弦とヤン・ガルバレクのソプラノ・サックスがスピリチュアルな響きを増強し、コリン・ウォルコットのタブラがワールド・ミュージックな音要素を強調する。そこに、ジスモンチのギターやピアノが絡み、対話し、対峙する。

このアルバムは、エグベルトがアマゾンのシングー族と過ごした時間にインスピレーションを受けており、アルバムはシングー族に捧げられている、とのこと。確かに、ジスモンチのピアノやギターのフレーズが入ってくると、そこに「ブラジリアン・ミュージック」の響きが、ワールドミュージック志向の静的な即興演奏に滲み出てくる。ECMレコードならでは、のワールドミュージック志向の「ニュー・ジャズ」である。
 
 

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ECMサウンドのモード・ジャズ

月刊誌レココレの2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この特集のアルバム・セレクトが興味深く、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きをしている。どの盤にも新しい発見があって、実に楽しい。今回のアルバムは初めて聴く「初聴き」盤。

Arild Andersen『Shimri』(写真左)。1976年10月、オスロの「Talent Studios」での録音。ECMの1082番。ちなみにパーソネルは、Arild Andersen (b), Juhani Aaltonen (ts, ss, fl, perc), Lars Jansson (p), Pål Thowsen (ds)。ノルウェーのジャズ・ベーシスト兼作曲家アリルド・アンダーセンの2枚目のアルバムである。

典型的なECMサウンド。耽美的でリリカル、静的スピリチュアルな展開、力強くブリリアントな管の響き、切れ味良く透明度の高いリズム隊のリズム&ビート。リーダーのアンダーセンがノルウェー出身、サックス担当のアールトネンはフィンランド出身、ピアノ担当のヤンソンはスウェーデン出身、ドラム担当のトーセンはノルウェー出身。カルテットのメンバー全員が北欧出身だが、北欧ジャズ独特の響きとフレーズは希薄。
 

Arild-andersenshimri

 
ゆったりとしたミッド・テンポの演奏がメイン。演奏される展開はモーダル。演奏の雰囲気、響きはECM流のヨーロピアンな純ジャズ。そう、この盤の演奏は「欧州的なモーダルな純ジャズ」。ピアノのヤンソンのモーダルなアドリブ・フレーズは、どこか米国的。しかし、音の響きは「欧州的」。この盤の音世界は、米国的なモーダルな純ジャズを、ECMレーベルというフィルダーを通して、ECMサウンドを纏った「欧州的な響きのするモーダルな純ジャズ」に変換したが如くの音世界。

アンダーセンのベースは力感溢れる、しっかり「胴鳴り」のする、骨太なアコースティック・ベース。モーダルな演奏のベース・ラインをしっかりと押さえ、フロント楽器がアドリブ・フレーズを奏でる時は、しっかりと展開の底を支え、時に自らが前面に出て、印象的で骨太なアドリブ・ソロを聴かせる。ピッチもしっかりあって破綻が無い、いかにも「欧州ジャズ」的なアコベの音。聴き味抜群なベース音。

ECMレーベルのアルバムについては、即興演奏をメインとした、伝統的なジャズとはかけ離れた「ニュー・ジャズ」なアルバムが多数あるが、この盤は違う。この盤は、典型的なECMサウンドの中での欧州的なモード・ジャズ。静的でリリカルでクールで透明度溢れるモード・ジャズ。この盤では、ECMレーベルの中では、ちょっと異質な、伝統的なジャズが展開されている。とても興味深く、ECMとしてユニークな盤だと僕は思う。
 
 

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2024年11月 4日 (月曜日)

ECM流クロスオーバー・ジャズ

John Abercrombie『Night』(写真左)。1984年11月20日、NYでの録音。ミックスはオスロ。ECM 1272番。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g), Michael Brecker (ts), Jan Hammer (key), Jack DeJohnette (ds)。

ECMのハウス・ギタリスト、ねじれのジョン・アバークロンビー(略して「ジョンアバ」)、当時、若き精鋭テナーマンのマイケル・ブレッカー、伝説のロック・ギタリストのジェフ・ベックとの共演歴もある「キーボードの怪人」ヤン・ハマー、そして、ポリリズミックなレジェンド・ドラマーのジャック・デジョネットの変則カルテット。

よく見るとベーシストがいない。が、演奏を聴いていると、ベース音が無い方が明らかに、この盤の演奏の音世界に向いているので、ECMの総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーがリハの段階でベースをオミットした可能性がある。ハマーがエレクトリック・キーボードでありながら、ベースペダルでベースラインも弾いているので、演奏全体として、ベースラインは必要最低限でキープされている。

そして、よくよく振り返ってみると、アルバム『Timeless』のトリオに、マイケルのテナーが参加したイメージの音世界である。マイケルのテナーが入ったことによって、『Timeless』よりジャズ色が強まり、このアルバムについては、ECM流ジャズロック&クロスオーバー・ジャズな音世界が個性的。
 

John-abercrombienight

 
ジョンアバは、従来通り、ECM仕様の浮遊感とねじれとシャープな、ちょっとディストーションのかかったエレギの音でガンガン攻める。そんなECM仕様のジョンアバのギターに習って、モーダルにフリーに振れながら、浮遊感を漂わせながらストレートなマイケルのテナーが突入してくる。極上のフロント楽器の、官能的なインタープレイは見事。

ハマーの不思議で変態チックなフレーズを連発するエレクトリック・キーボードは実に印象的で、ジョンアバとマイケルとはまた違った、浮遊感を伴った、どこかエキゾチックな、どこか不思議にモーダルに捻れるフレーズを繰り出している。ここまでは、どこか、英国のプログレッシブ・ロックに通じる雰囲気が見え隠れするところが個性的。

しかし、デジョネットのポリリズミックなドラミングが、とてもジャジーで、このデジョネットのドラミングが、この盤の音世界の軸足を「ジャズ」に残している、と感じる。変幻自在、硬軟自在、緩急自在な、即興性溢れるドラミングは明らかに「ジャズ」で、このドラミングによって、この盤の音世界は、ECM流ジャズロック&クロスオーバー・ジャズな音世界に落ち着いている。

ロックっぽいところが、ECM流のジャズロックとも捉えることができて、この盤は、ECMのカタログの中ではちょっと異質な内容なんだろう。このジョンアバの「ECM流ジャズロック&クロスオーバー・ジャズ」といった内容のアルバムは他にない。ECMらしからぬ、極上のエレ・ジャズの世界。「一聴もの」であることは確かである。
 
 

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2024年10月25日 (金曜日)

ECM流クロスオーバーの名盤

レコード・コレクターズ 2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが気に入って、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きしている。今回のアルバムは、実は初めて聴く「初聴き」盤である。

Barre Phillips『Three Day Moon』(写真左)。1978年3月の録音。ECM 1123番。ちなみにパーソネルは、Barre Phillips (b), Terje Rypdal (g, g-syn), Dieter Feichtner (syn), Trilok Gurtu (tabla, perc)。米国のジャズベーシスト、バレ・フィリップスがECMに録音した、ECM+JAPOで、通算4枚目のリーダー・アルバム。

このアルバムの印象はズバリ「プログレッシヴ・ロック(プログレ)とモード+フリー+スピリチュアル・ジャズとの融合」。リズム&ビートがはっきりしている演奏部分は「プログレ」。ボ〜っと聴いていたら「あれ、このプログレ、誰だっけ」と思ってしまうほど、プログレの要素が入っている。タブラの音が効果的、バイオリンの音の様なギター・シンセが、プログレ的な雰囲気を増幅する。
 

Barre-phillipsthree-day-moon  

 
リズム&ビートの供給が途絶えた途端、今度は、フリー・ジャズ志向、スピリチュアル・ジャズ志向に展開する。この展開は、ギターを担当するテリエ・リピダルの真骨頂で、リピダルのエレギ、ギター・シンセは、縦横無尽、変幻自在に浮遊し、突進し、拡散する。パーカッションのフリーな打ち込みがスピリチュアルな雰囲気を増幅する。

そして、フィリップスのベース音がフリーでスピリチュアルな展開を規律あるものに仕立て上げているのは立派だ。プログレ的な展開も、フリーでスピリチュアルな展開も、チェンジ・オブ・ペースを促したり、ブレイクを誘ったり、調性と無調のチェンジを指し示したり、さすがリーダー、フィリップスのベースが要所要所で「いい仕事」をしている。

タイトルが「Three Day Moon」=三日月。なんかどこか、ピンク・フロイドの名盤「Dark Side of The Moon」を想起したりして、これって、ECMレコード流のクロスオーバー・ジャズなのかしら、と直感的に感じてしまう。昔々、プログレ小僧だった僕としては、この盤の内容は全く違和感なく聴くことが出来ました。ECM流クロスオーバーの名盤だと思います。
 
 

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