マハビシュヌのラスト・アルバム
マハビシュヌ・オ―ケストラのエレクトリックなクロスオーバー・ジャズな音世界は、昔からのお気に入り。マハヴィシュヌは、ジャズとロックの融合からのジャズロック。そこにクラシックの要素や英国プログレッシヴ・ロックのテイストを取り入れた、マハヴィシュヌの音の志向は「クロスオーバー」。
Mahavishnu Orchestra & John McLaughlin『Inner Worlds』(写真左)。邦題『内深界』。1975年7-8月の録音。1976年1月のリリース。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g, g-syn), Stu Goldberg (org, p), Ralphe Armstrong (b), Narada Michael Walden (ds, congas, b-marimba, shaker)。第2期マハビシュヌ・オ―ケストラのラスト・アルバム、マハビシュヌとしては5枚目のアルバム。
マハビシュヌ・オ―ケストラとしては初めてヴァイオリン奏者が不在。その不在となったヴァイオリンに代わって、マクラフリンのギターシンセサイザーがメイン楽器として活躍している。まだ、扱いが難しかった初期のギターシンセサイザーをメイン楽器として導入し、かなり実験的な内容になっている。
その反動なのか、その実験性を中和させる狙いがあったのか、ヴォーカル入りのポップな楽曲もあって、硬派な「マハビシュヌ者」の方々からは評判芳しくないアルバムとして敬遠されている(笑)。
このヴォーカル入りのポップな楽曲は、当時、流行しつつあった、ソフト&メロウなフュージョン・サウンドの先取りとも捉えることが出来、1975年という時代、マハビシュヌの様な硬派でサイケで攻撃的なクロスオーバー・ジャズが過去のものになりつつあった、ということを実感する。
このヴォーカル入りのポップな楽曲を除けば、初期のギターシンセサイザーの積極導入、「360 Systems Frequency Shifter」という装置を活用して、アンビエント・ノイズな音世界の現出など、実験的なサウンド作りが前面に押し出されている。
ギターとヴァイオリンのバトルを、マクラフリン一人での再現とか、12弦ギターでも速弾きで弾きまくるテクニックとか、も含めて、マクラフリンの実験的冒険的なアプローチがてんこ盛り。しかし、これでは「マハビシュヌ・オ―ケストラ」というバンド・サウンドとしては外れたもので、このアルバムが、マハビシュヌ・オ―ケストラのラスト・アルバムになったのも頷ける。
ジャズロックというよりは、プログレッシヴ・ロックとエレクトリック・ジャズとのクロスオーバー・ジャズな内容で、かろうじてマハビシュヌ・サウンドはキープされているが、目立つのはマクラフリンのギターシンセ。アルバムの内容的には統一感に乏しく、趣味性の高いアルバムだと言える。逆に、マクラフリン者には一聴の価値がある実験作ではある。
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