2024年7月23日 (火曜日)

アジムス初期のライヴ音源です

酷暑の日が続く。ここまで暑いと「爽やかなフュージョン」が聴きたくなる。ブラジリアン・フュージョンの代表的バンド「アジムス」を選択。ソフト&メロウなフレーズに、軽快なファンクネスをベースに、スペーシーな音の広がりとサイケデリックなブレイクダウン、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴが、涼しいエアコンが効いた部屋の中で聴くのにピッタリ。

Azymuth『Live at the Copacabana Palace』(写真左)。1979年3月、リオデジャネイロの「Copacabana Palace Hotel」での録音。オリジナルは1985年にフランスのSBAからリリースされている。ちなみにパーソネルは、José Roberto Bertrami (key), Alesandre Malheiros (b), Ivan Conte "Mamao" (ds), Aleuda (perc)。ベルトラミ、ママォン、マリェイロスに加え、アレウーダがパーカッションで参加した4人編成。

ブラジリアン・フュージョン・グループ代表格、アジムスが1979年にコパカバーナ・パレス・ホテルで行った、とされるライヴ録音。アジムス初期のキレキレの演奏が聴ける。爽快感、軽快感溢れる、ブラジリアンな8ビートのグルーヴ感が独特の感覚。このアジムス独特のグルーヴ感を、このライヴ音源でもしっかりと感じることが出来る。
 

Azymuthlive-at-the-copacabana-palace

 
アブストラクトな音の空間を演出がアジムスらしい「Light As A Feather」、ブラジリアン・フュージョンの古典的ダンスフロア・ミュージックな「Jazz Carnival」、NHK-FMのクロスオーヴァー・イレブンのオープニングで懐かしい「Voo Sobre O Horizonte」など、アジムスの個性的で代表的なフュージョン・ミュージック曲の数々を聴くことが出来る。

アジムスのフュージョン・ミュージックは、米国のそれとは全く違う、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ独特の音作りが基本なんだが、スペーシーな音の広がり、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴ、シンセのギミックな使い方は、米国のフュージョン・ジャズには聴かれない、アジムス独特のもの。

スタジオ録音に歓声を被せるなど小細工しただけの「疑似ライヴ盤」という評価もあるみたいだが、演奏の内容、演奏の精度については、スタジオ録音と比較して劣ることはない。真偽のほどはよくわからないが、スタジオ録音の初期の名盤『Light As A Feather』と合わせて、じっくりと味わいたいアジムスのライヴ音源です。
 
 

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2024年5月 4日 (土曜日)

Azymuth『Light As A Feather』

ブラジリアン・フュージョンの雄、未だに愛され続ける人気グループ「アジムス」。現代においても、レアグルーヴ、サイケ、ヒップホップなど様々なシーンからリスペクトされている唯一無二の音世界。ソフト&メロウなフレーズに、スペーシーな音の広がりとサイケデリックなブレイクダウン、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴは独特の個性。

Azymuth『Light As A Feather』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、José Roberto Bertrami (key, syn, vo,perc), Alex Malheiros (b, g, vo), Ivan Conti (Mamão) (ds, syn), Aleuda (perc)。オリジナル・メンバーのトリオ+パーカッションの編成。アジムスがワールド・ワイド契約締結の下、米国音楽シーンに進出した記念すべきアルバムである。

爽快感、軽快感溢れる、ブラジリアンな8ビートのグルーヴ感が独特の感覚。このグルーヴ感が「アジムス」の独特の個性だった訳だが、米国進出に向けて、ブラジリアンな雰囲気を少し後退させて、当時流行の米国フュージョン・ジャズの味付け「ソフト&メロウ」な面を明快に前面に押し出している。かつ、シンセサイザーを活かしたギミックなビート音を含め、リズム&ビートもしっかりとメリハリを付けている印象。
 

Azymuthlight-as-a-feather
 

それでも、アジムスの基本的な音世界はしっかりとキープされていて、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ独特の音作りのバックで、スペーシーな音の広がり、ライトなファンクネスを忍ばせつつ、しなやかでソリッドにうねるようなグルーヴを醸し出した音世界は「アジムスの独壇場」である。シンセのギミックな使い方は明らかに米国向け仕様。どこか懐かしい響きが愛おしい(笑)。

どの曲もオールドなフュージョン・ジャズ者の我々にとっては印象的なものばかりだが、やはり、まずは4曲目の「Fly Over The Horizon = Vôo Sobre O Horizonte」だろう。1977年の作品の、Azymuth『Aguia Não Come Mosca』に収録されていたものの米国向け再録音版なのだが、これが一番印象的。なぜなら、当時のNHKのクロスオーバーイレブンのオープニングで流れていた「あの曲」なのだ。どっぷりと懐かしさに浸れる名曲・名演である。

6曲目の「Jazz Carnival」は、ワールドワイドなヒットとなったディスコ・フュージョン曲。これもまた懐かしい。この辺りは「ブラジリアン・ジャズ・ファンク」の名盤としても評価できる切り口だろう。

懐かしさが先行する Azymuth『Light As A Feather』だが、今の耳にもしっかりと訴求する、聴き直して新しい音の発見もあるフュージョン・ジャズの名盤。これだけ、筋が一本通った、意外と硬派な音作りのフュージョン・ジャズはそうそう無い。フュージョン・ジャズを語る上で、避けて通れない名盤として僕は評価している。
 
 

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2024年4月20日 (土曜日)

Azymuth『Aguia Não Come Mosca』

我がバーチャル音楽喫茶「松和」は、フュージョン・ジャズも分け隔てせず範疇に入れて、ジャズ盤の感想を掲載している。フュージョン・ジャズも「良い音楽」と「悪い音楽」とがあって、当然、「良い音楽」なアルバムも沢山ある。決して、「時代の徒花」などと突き放すことはしていない。

今月の最新号、レコード・コレクターズ 2024年5月号の「【特集】 フュージョン・ベスト100 洋楽編」を読んでいて、ベスト100に選ばれたアルバムは、どれもが僕にとっては「良い音楽」で、やっぱフュージョン・ジャズも捨てたもんやないな、とホクホクしながら読み進めていて、ふと目が止まった。「Azymuth(アジムス)」である。

アジムスについては、当ブログでは記事として扱ったことが無かった。しかし、アジムスは、特に我が国における人気の高かったフュージョン・バンドとして無視することは出来ない。これはいかん、と、もう一度、アジムスの全アルバムを聴き直すことにした。

Azymuth『Aguia Não Come Mosca』(写真左)。1977年の作品。邦題『涼風』 。ちなみにパーソネルは、Alexandre Malheiros (b, g, vo), José Roberto Bertrami (key, vo), Nenem (cuica), Ivan Miguel (Mamão) (ds, perc, vo), Ariovaldo (ganzá, triangle, tamborim), Jorginho (pandeiro), Doutor (repinique), Paulo Moura (ss, tracks: A2)。

ブラジリアン・フュージョンの雄、未だに愛され続ける人気グループ「アジムス」のセカンド盤。NHK-FMの名番組:クロスオーバー・イレブンのオープニング・テーマに使われていた「Voo Sobre O Horizonte」を収録している。
 

Azymuthaguia-nao-come-mosca

 
このクロスオーバー・イレブンのオープニングについては、当初は、この盤の冒頭に収録されている「Voo Sobre O Horizonte」を使用、米国デビュー盤となった次作『Light as a Feather』がリリースされた後、4曲目「Fly Over The Horizon(Fly Over The Horizon(Voo Sobre O Horizonte))」に移行している。僕としては、どっちも懐かしい「クロスオーバー・イレブン」のオープニング曲である。

フュージョン・ジャズを「融合」が前提の音楽とするなら、このアジムスの音世界は明らかにフュージョン・ジャズである。エレクトリックなジャズ・ロックとブラジリアン・ミュージックの「融合」。フレーズはボサノバの如くの「軽快で爽快なソフト&メロウ」。米国フュージョンの「ソフト&メロウ」とはテイストが全く異なる。

リズム&ビートは、サンバなどブラジル音楽で活用される楽器が入っていて、米国フュージョンとはテイストが異なる、明らかにブラジリアンなリズム&ビートが爽やかな印象を残していて心地良い。爽快感、軽快感溢れる、ブラジリアンな8ビートのグルーヴ感が独特の感覚。このグルーヴ感が「アジムス」の独特の個性になっている。

キーボードの使い方が独特で抜群に良い雰囲気。シンセの使い方のセンスが良い。弾き過ぎず、それでいてしんせっぽさは濃厚。それでいて重くならず、ブラジリアン・ミュージックらしい軽妙さがある。漂うが如きローズの揺らいだ響きも心地良く、そよ風にたなびくヴヴェールの様なストリングス・シンセの厚みのあるユニゾン&ハーモニー。このキーボードの使い方も「アジムス」の独特の個性。

このアジムスのセカンド盤は、ブラジル・ミュージックらしい、仄かな熱気とビートもしっかりと「融合」されていて、次作以降、徐々にアメリカン・フュージョンぽい部分が増えていく中で、明快にコッテコテな「ブラジリアン・フュージョン」を味わうことの出来る、フュージョン名盤だと思う。
 
 

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