2024年4月10日 (水曜日)

サンチェスの初リーダー作を聴く

昨日、アントニオ・サンチェス(Antonio Sánchez)の『Three Times Three』(2014年)を聴いて、彼は現代ジャズの先端を行くドラマーの一人だということを再認識。そういえば、まだ、当ブログで、彼の初リーダー作を記事にしていないことに気がついた。と言うことで、早急に彼の初リーダー作を聴き直してみた。

Antonio Sánchez 『Migration』(写真左)。2007年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Antonio Sanchez (ds), David Sanchez, Chris Potter (sax), Scott Colley (b), 特別ゲストとして、Pat Metheny (g), Chick Corea (p)。2002年にパット・メセニー・グループに招聘されて以来、メセニーとの共演の傍での初リーダー作。そのメセニーとチック・コリアが特別ゲストとして招かれている。

主役のサンチェスのドラミングの個性とスキルがはっきりと聴き取れる。スネアを中心にスネア・タムとをマシンガンの如く、高速で切れ味よく叩きまくる。どこか、トニー・ウイリアムスを彷彿とさせるところがあるのだが、トニーほどデジタルチックな叩きっぷりではない。サンチェスの高速ドラミングはウェーヴを生み出すような、抑揚のある叩きっぷり。このドラミングはとても個性的。以前のジャズ・ドラマーには無い個性である。
 

Antonio-sanchez-migration

 
演奏全体の雰囲気は、上質のネオ・ハードバップ & ネオ・モード。サックスの二人は一聴すれば、何となくコルトレーン風に聴こえるところはあるが、コルトレーンより、フレーズがシャープで活度が高く、爽快感があってアドリブのイマージネーションが豊か。二人ともしっかりとオリジナリティーを確保している。二人のサックス奏者は「コルトレーンのそっくりさん」では無い。

この二人のサックスのバックでのドラミングと、特別ゲストのチックのバック、メセニーのバック、それぞれでのドラミングは明らかに異なる。二人のサックス、チックのピアノ、メセニーのギター、それぞれの個性が活きるよう、それぞれのフロント楽器の推進力となるよう、サンチェスは、サンチェスの個性そのままに、ドラミングの内容を変えている。これは見事。サンチェスのドラミング・スキルの高さがよく判る。

上質のネオ・ハードバップ & ネオ・モードの演奏の中で、サンチェスのドラミングの個性をはっきり浮き上がらせ、特別ゲスト二人と共演することで、サンチェスのドラミング・スキルの高さを証明する。ジャズの世界で「初リーダー作」は、そのリーダーのジャズマンの個性が明確に出る、というが、このサンチェスの初リーダー作はその好例の一つ。サンチェスのドラミングを理解する上で、必聴のリーダー作だと言える。
 
 

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2024年4月 9日 (火曜日)

ドラマー、サンチェスの力量

現代の一流ドラマーの一人、アントニオ・サンチェス(Antonio Sanchez)。1971年11月1日生まれ。今年で53歳、バリバリの中堅ドラマー。2002年の作品『Speaking of Now』にて、パット・メセニー・グループ(PMG)に参加。初リーダー作は、2007年の『Migration』。これまで9枚のリーダー作をリリース。現在では、押しも押されぬ、現代のジャズ・ドラマーの代表格の一人になっている。

Antonio Sanchez 『Three Times Three』(写真左)。2013年10-12月の録音。トリオというフォーマットにこだわって制作した企画盤。CD2枚組の大作で、3種類のトリオ編成は、1)スタンダードなピアノ・トリオ、2)ギター入りのピアノレス・トリオ、3)テナー入りのピアノレス・トリオ の3種類。

スタンダードなピアノ・トリオのパーソネルは、Antonio Sánchez (ds), Matt Brewer (b), Brad Mehldau (p)。担当する楽曲は、1枚目の1曲目「Nar-this」、2曲目「Constellations」、3曲目「Big Dream」。

ギター入りのピアノレス・トリオのパーソネルは、Antonio Sánchez (ds), Christian McBride (b), John Scofield (g)。担当する楽曲は、2枚目の1曲目「Fall」、2曲目「Nook And Crannies」、3曲目「Rooney And Vinski」。

テナー入りのピアノレス・トリオのパーソネルは、Antonio Sánchez (ds), John Patitucci (b), Joe Lovano (ts)。担当する楽曲は、2枚目の4曲目「Leviathan」、5曲目「Firenze」、6曲目「Firenze」。
 

Antonio-sanchezthree-times-three

 
スタンダードなピアノ・トリオのピアノ担当は、ブラッド・メルドー。ベースがマット・ブルーワー。メルドーのピアノとサンチェスのドラム、さすが、超一流の演奏家同士、素晴らしいインタープレイを聴かせてくれる。そこに一回り若いブルーワーのベースが入るのだが、このブルーワーのベースが現代のネオ・ハードバップ、ネオ・モードを牽引するかの如き、柔軟で新しい感覚のベースで、インタープレイの底をガッチリと支えている。

ギター入りのピアノレス・トリオのギター担当は、ジョン・スコフィールド。ピアノレスが効いていて、ジョンスコのギターとサンチェスのドラムとが、ダイレクトにインタープレイの交歓をするところがスリリング。そこにダイレクトに絡むハイ・テクニックで骨太なマクブライドのベースが、これまたスリリング。

テナー入りのピアノレス・トリオのテナー担当は、ジョー・ロバーノ。こちらもピアノレスが効いていて、ロバーノが自由奔放にテナーを吹き上げる。そこに効果的にリズム&ビートを絡ませるサンチェスのドラミングは見事。そんな柔軟自在なインタープレイを整え前へ進める推進役のパティトゥッチのベー氏がこれまた見事。

3種類のトリオ演奏の中で、明らかにドラミングの内容を変えて、それぞれのトリオでの楽器、共演者の個性に対して、一番、効果的でバンド・メンバーそれぞれの個性が一番はえるドラミングをするサンチェスは素晴らしいの一言。

演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもドラマー次第、というが、このサンチェスの企画盤を聴いていて思わず納得。この企画盤、ドラマー、サンチェスの力量をしっかり確認できる好盤だと思います。ジャズ・ドラマーのリーダー作として白眉の出来です。
 
 

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2023年11月 4日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・267

イタリアン・ジャズの至宝であり重鎮であるピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(以下、エンリコと略)。1949年12月生まれだから、今年で74歳になる。大ベテランの域であり、今までの実績から「生けるレジェンド」的存在。ビル・エヴァンスのバップでリリカルで耽美的なピアノを欧州仕様にした様な、正統派かつ硬派なモダン・ジャズ・ピアニストである。

Enrico Pieranunzi Latin Jazz Quintet『Live At Birdland』(写真左)。2008年11月1日、NYのバードランドでの録音。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Diego Urcola (tp), Yosvany Terry (as, ss, per), John Patitucci (b, elb), Antonio Sanchez (ds)。録音当時、2008年のエンリコ・ピエラヌンツィのニュー・プロジェクトのライヴ録音。

エンリコがラテン・ジャズに寄り道したかの様なバンド名。しかも、バードランドでのライヴ・パフォーマンスの記録。おおよそ、こってこてなラテン・ジャズが展開される、いわゆる「楽しくコマーシャルで娯楽志向」なライヴ盤だと思って、あまり聴く気が起きなかった。

が、リズム隊を見ると、硬派で正統派な現代の純ジャズ志向のベーシストのジョン・パティトゥッチ。そして、これまた、硬派で正統派な現代の純ジャズ志向のドラマーのアントニオ・サンチェスが名を連ねている。これは意外と、現代の硬派でメインストリーム志向の純ジャズではなかろうか、と思わす拝聴である。

冒頭「Talk Introduction」から「Danza 2」「Choro Del Infinito Hombre」と続く演奏を聴いて、まず「これのどこがラテン・ジャズ」なんや、と首をかしげる。というか、「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」が展開されるのだ。
 

Enrico-pieranunzi-latin-jazz-quintetlive

 
ラテンの雰囲気は、ところどころのキーの進行に見え隠れするが、全く「ラテン・ジャズ」色は前に出てこない。ネオ・ハードバップ〜ネオ・モードなアコースティック・ジャズが展開される。

特に前半は、トランペットのディエゴ・ウルコラ(アルゼンチン出身)と、サックスのヨスヴァニー・テリー(キューバ出身)のパフォーマンスが見事。この二人のフロント2管の大活躍で、前半はエンリコのピアノはあまり目立たない。

ありゃ〜?、と思って聴き進めると、明確にラテン・フレイバーの演奏が出てきたりし出して、エンリコのピアノがグイグイ前面に出てくる様になる。明らかにラテンなフレーズが出てきても「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」な雰囲気は変わらない。ネオ・ハードバップ〜ネオ・モードな展開の中で、乾いた「ラテンなフレーズ」が見え隠れする。

不思議な雰囲気のライヴ盤。ラテン・ジャズ基調でありながら、俗っぽくて判り易い、こってこてなラテン・フレーヴァーは皆無。演奏全体の雰囲気は「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」。そんな雰囲気の中で、ストイックなラテン・フレーズが展開される。欧州ジャズが考えるラテン・ジャズ、とでも形容したら良いだろうか。

バンド名に惑わされてはいけない。「ラテン」が付いているからといって、いわゆる「楽しくコマーシャルで娯楽志向」の、こってこてなラテン・ジャズが展開される訳ではない。そんな要素は皆無。現代のネオ・ハードバップ〜ネオ・モードなアコースティック・ジャズの好盤として聴かれるのが良いだろう。充実した内容の好盤である。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2021年3月 8日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・200

何時の頃からか、イスラエル出身のジャズマン達による「イスラエル・ジャズ」が出現した。最初は不思議な響きのする名前のジャズマンやな、なんてボンヤリ感じていたが、最近では、イスラエル・ジャズは、ジャズのサブ・ジャンルとして定着した感があり、コンテンポラリーな純ジャズ志向の中で、着々と成果を上げ、着々と深化を続けている。

Gilad Hekselman(ギラッド・ヘクセルマン)。ヘクセルマンはイスラエル出身のジャズ・ギタリスト。ファンクネスやスイング感は皆無。リリカルで情緒豊かでネイチャー風、少し捻れていてエキゾチック。ちょっとパット・メセニーを想起する面はあるが、基本的に、今までの米国のジャズ・ギターには無い個性である。

Will Vinson, Antonio Sanchez & Gilad Hekselman『Trio Grande』(写真左)。2019年4月18ー19日、NY、クイーンズの「Samurai Hotel」での録音。ちなみにパーソネルは、Will Vinson (sax, key), Antonio Sanchez (ds), Gilad Hekselman (g)。3人のメンバーの共同リーダー名義。ベースがいない、サックス+キーボード、ドラム、ギターの変則トリオ編成。

作品のキャッチコピーが「ニューヨークの現代ジャズシーンで最も独創的でエキサイティングなミュージシャン3人によるトリオ”TRIO GRANDE”のデビュー作品」。
 

Trio-grande-album

 
創造的で柔軟で情緒豊かなコンテンポラリー・ジャズ。3人の共同リーダーな作品ではあるが、サウンド的には、ギラッド・ヘクセルマンのギターがリードしている感が強い。サウンドの基本は「イスラエル・ジャズ」。クールで躍動感溢れる、ちょっとくすんで捻れたヘクセルマンのギターが演奏全体をリードしていく。

ヴィンソンのサックスも切れ味良く、スピリチュアルな響きがヘクセルマンのギターに効果的に絡む。このサックスとギターのアンサンブルの好調さが、この盤の即興パフォーマンスを引き締めている。

そして、リズムの要はサンチェスのドラム。フロントのギター、サックスの変幻自在なパフォーマンスをしっかりグリップし、リズム面ではしっかりとリードしている。このサンチェスのドラミング、聴きものである。

ヴィンソンは英国、ヘクセルマンはイスラエル、サンチェスはメキシコ系米国人。NYのクイーズで録音されているが、音の雰囲気は「イスラエル・ジャズ」であり欧州ジャズ風。多国籍でボーダーレスな、現在進行形のNYジャズの1形態がこの盤に記録されている。好盤である。
 
 
 

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 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.03.06 更新

  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
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2020年9月17日 (木曜日)

メセニー者には避けて通れない 『From This Place』

孤高のアメリカン・ルーツなギタリスト、パット・メセニーも今年で66歳。もはや大ベテラン、若しくはレジェンドの域に達している。そして、盟友のキーボード奏者、ライル・メイズが今年の2月に亡くなって、パット・メセニー・グループ(PMG)は開店休業状態。盟友を亡くしてさぞかし落胆しているだろうと思っていたら、6年振りのスタジオ録音盤が今年の2月にリリースされた。

Pat Metheny『From This Place』(写真)。ちなみにパーソネルは、コアとなるパットのグループとして、Pat Metheny (g, key), Gwilym Simcockv(p), Linda May Han Oh(b, voice), Antonio Sanchez (ds)。そこに、Meshell Ndegeocello (vo), Gregoire Maret (Harmonica), Luis Conte (perc) がゲストで加わり、ストリングスとして「The Hollywood Studio Symphony」が参加している。

今回のパットの新盤、ストリングスを大々的に取り入れていて、素直に聴いていると「ジャズ臭さ」が希薄で、リズム&ビートも決してジャジーでは無いし、ストリングスのアレンジも従来型で平凡。ストリングを活かしたイージーリスニングなフュージョン・ミュージックという雰囲気が濃厚になっている。ここまでストリングスを取り入れ、スインギーなビートを押さえた内容については、ジャズと呼んで良いものか、という疑問を持ってしまった。
 
 
From-this-place  
 
 
しかし、ギターの音色、フレーズについては、明らかにパット・メセニーで、ジャズか否かと思う前に、濃厚な「パット・メセニー節」に包み込まれる。フォーキーで、米国の自然の風景を彷彿とさせる「ネイチャー」な響きの音世界。スイング感やファンクネスを排除した、ニュー・ジャズなリズム&ビート。冒頭の「America Undefined」のギターを聴くだけで、この盤はパットのリーダー作だと判るのだから、その個性たるやユニークかつ濃厚。

それでも、演奏全体の雰囲気については、ジャズらしさは希薄である。従来のライル・メイズが存命の頃のパット・メセニー・グループ(PMG)の音世界とは打って変わって、今回の新盤の音世界は、壮大で叙事詩的な、イージーリスニングなフュージョン・ミュージックと僕は解釈した。ここまでジャズっぽさを排除して、パット・メセニーの音世界だけを全面に押し出した盤は今回が初めてだろう。

ジャズの醍醐味である「即興演奏やインタープレイの妙」もこの新盤の中ではほとんど聴かれず、しっかりと譜面に書かれたであろう、壮大なオーケストラ・ミュージックが展開される。音楽としてはしっかりと聴き応えがある。この盤はジャズか否かということを考えず、パット・メセニー独特の音世界をしっかりと楽しむ、パット・メセニー者の方々には避けて通れない新盤だろう。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 

  ★ AORの風に吹かれて    【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・『Restless Nights』 1979
 
 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・『The Best of The Band』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・僕達は「タツロー」を発見した
 
 
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2017年1月21日 (土曜日)

「パット個人の音」の原点回帰『The Way Up』

パット・メセニーの聴き直しは続く。が、パット・メセニー・グループ(Pat Metheny Group, PMGと略す)名義としては、このアルバムが最新になる。いよいよである。Pat Metheny Group『The Way Up』(写真左)。2005年のリリースである。

パーソネルは以下の通り。Pat Metheny (g), Lyle Mays (p, key), Steve Rodby (b), Cuong Vu (tp), Grégoire Maret (harmonica, perc), Antonio Sánchez (ds)。鉄壁のレギュラー・メンバーである。

前作『Speaking of Now』で、PMGは原点回帰した。米国の大自然を彷彿とさせる、フォーキーでネイチャー・ジャズ(僕が勝手に名付けている)な音の響き。独特の浮遊感と疾走感。あの「Still Life」の頃の音が、PMGならではの個性的な音世界に立ち戻った。

そして、今回のこの現時点での最新作『The Way Up』においては、前作でPMGとしての音世界の原点回帰を実現したことを踏まえて、このアルバムではリーダーのパット・メセニー個人としての原点回帰を実現していると感じる。

もともと、パットは活動初期の頃から、パット個人としての活動とPMGとしての活動の「二足の草鞋」を履いていた。今回は、このパット個人としての活動の色合いが濃い。アルバムの名義が「パット・メセニー with PMG」と形容して良い位の音作りになっている。
 

The_way_up1

 
その音世界の構成が壮大である。序章+3部構成となるコンセプト・アルバムとなっていて、これはもうジャズという範疇からは逸脱しているかもしれない。便宜上、序章+3部構成という4つのパートに分かれてはいるが、曲としては、ひとつの流れを持つ全72分の大曲である。全くもっての力作である。

音世界はPMGの音を基本にはしているものの、PMGのポップな部分をそぎ落として、結構シリアスな、メインストリーム・ジャズを基調としている。そんな音を前提に、ジャズの交響組曲の様な壮大でシリアスな演奏が展開される。

当然、ファンクネスは皆無。米国の大自然を彷彿とさせる、フォーキーでネイチャー・ジャズも基本的に抑制されている。前衛的な音世界も見え隠れして、これは明らかに初期の頃のパット・メセニー個人としての音世界である。

2002年の『Speaking of Now』の時点で48歳、この『Speaking of Now』の時点で、51歳。50歳という人生の節目の前後で、パットはPMGとパット個人の音世界を原点回帰させたことになる。理屈好きなパットらしい話ではある。

 
 

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2017年1月13日 (金曜日)

PMGの原点回帰的な『Speaking of Now』

これだけ寒くなると、どんなに激しいジャズを聴いても汗をかかない。これだけ寒くなると、透明度の高いフュージョン・ジャズが耳に映える。基本的に冬はジャズ鑑賞に適したシーズンであると言えるのでは無いか。

ということで、Pat Metheny Group(以降PMGと略)の聴き直しを進めている。切れ味良く、透明度の高いフュージョン・ジャズ。PMGの真骨頂である。そんなPMGの音が僕は大好きである。で、一昨年から聴き直しを進めていて、結構、こちらの時代に近づいてきた。

Pat Metheny Group『Speaking of Now』(写真左)。2002年のリリース。ベーシスト兼ヴォーカリストにリチャード・ボナを起用している。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Lyle Mays (key), Steve Rodby (b), Antonio Sanchez (ds), Cuong Vu (tp), tRichard Bona (ac-g,b,vo,per)。魅力的なメンバー構成です。出てくる音に期待感が高まりますね。

で、出て来る音を聴けば、往年のPMG者からすると、涙涙のPMGの原点回帰である。米国の大自然を彷彿とさせる、フォーキーでネイチャー・ジャズ(僕が勝手に名付けている)な音の響き。独特の浮遊感と疾走感。あの「Still Life」の頃の音が、PMGならではの個性的な音世界が、この『Speaking of Now』に戻って来ている。
 

Speaking_of_now1

 
音世界の基本は「Still Life」の頃なんだが、音の広がりが違う。この『Speaking of Now』のほうが音の広がりがある。ぶわ〜と横に奥に広がる様な、山水画の様な音の広がり。そこに、パットのエレギがズバっと切り込んでくる。クオン・ブーのトランペットがそれに反応する。官能的で印象的なメイズのキーボードが彩りを添え、ボナのボーカルが郷愁を誘う。

リズム・セクションが実に個性的だ。PMGの音世界の基本的骨格を担う、サンチェスのドラムとロドヒーのベース。この二人の複雑でありながらシンプルなリズム&ビートが、まさに明らかにPMGのリズム&ビートなのだ。この複雑でありながらシンプルなリズム&ビートは他のフュージョン・バンドには無い。

全ての曲の曲調に統一感があって、トータル・アルバムとして聴き応え十分。そういえばこの盤、グラミーのBest Contemporary Jazz Albumを受賞してますよね。ジャズの重要要素である「ジャジーな雰囲気」「ファンキーな雰囲気」が希薄で、米国の大自然を彷彿とさせる様な、ネイチャーな音世界。僕はこの「PMGの原点回帰」的なアルバムが大好きです。

 
 

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2016年3月 8日 (火曜日)

「独特の個性」が欲しいなあ。

紛らわしい名前やなあ。70年代プログレのマニアからすると「こうなる」(笑)。レジェンドなプログレ・バンド、ピンク・フロイドのギタリストが「David Gilmour(デヴィッド・ギルモア)」。

ここでの「デヴィッド・ギルモア」は、ジャズ・ギタリストの「David Gilmore(デヴィッド・ギルモア)」。ピンク・フロイドとは無関係、カナ読みは同じでも、英語表記で「ギルモア」の綴りが違う。それでも実に紛らわしい名前である。

さて、ジャズ・ギタリストの「デヴィッド・ギルモア」。1964年2月の生まれなので、今年で52歳になる。ジャズ・ギタリストとして中堅のポジション。そんな彼がつい3ヶ月ほど前に、ニューアルバムをリリースしている。そのアルバムが、David Gilmore『Energies of Change』(写真左)。

ちなみにパーソネルは、David Gilmore (el-g, ac-g), Marcus Strickland (sax,b-cl), Luis Perdomo(p), Ben Williams (b), Antonio Sanchez (ds), Kofo Wanda (talking drum)。ドラムのアントニオ・サンチェスが目を惹く。アルバムのリリースは2015年11月だが、アルバムに収録された楽曲は、2010年12月と2012年11月の2つのセッションからの収録となっている。

全編に渡って、内容優秀でコンテンポラリーなメインストリーム・ジャズが展開されている。テクニック優秀、ソング・ライティングもなかなかのもの、アレンジも良好、音の彩りも良く、演奏の雰囲気も様々なジャンルの音を織り交ぜて多彩。しかし、どこかで聴いたことがある音世界なのだ。

つまりは個性に乏しいというのが第一感。音世界の雰囲気はパット・メセニーの「Day Trip」や「Unity Band」といったアルバムの音世界に実に似ている。最初聴いた時は、エレギの音が出てくるまではパット・メセニーの新アルバムかと思った。恐らく、ドラムのアントニオ・サンチェスが被っているからではないかと思われる。
 

Energies_of_change

 
マーカス・ストリックランドのサックスの音もどこかで聴いた様な音。ウェイン・ショーターの様でもあり、マイケル・ブレッカーの様でもあり、クリス・ポッターの様でもある。このサックスの音の特色からも、どうしてもアルバム全体の雰囲気が、パット・メセニーの「Day Trip」や「Unity Band」に相通ずるものがあると感じてしまう。

つまりは、バンド・サウンドに独特の個性が確立されていない、ということ。パット・メセニーなんて知らない、ウェイン・ショーターなんて知らない、という若い世代には斬新に感じる音世界かもしれないが、長くジャズを聴いてきた当方としては、どうにもこの『Energies of Change』の音世界は「どこかで聴いた音」になってしまうのが惜しい。

誤解しないでいただきたいのだが、アルバムの内容は実に優れたもので、現代のジャズ界の中でもハイレベルな内容だと思う。だからこそ、バンド・サウンドに独特の個性が確立されていない、というところが「もどかしい」のだ。ギターの音は柔らかでウォームながら切れ味の良い個性的な音なだけに、よけいにそう思う。

やはり、バンド・サウンドには独特の個性が欲しい。1曲聴いただけで「ああ、これはあのバンドの音だ」と判る様な個性が欲しい。ジャズのハイ・レベルな世界では、テクニック優秀、ソング・ライティングもなかなかのもの、アレンジも良好なバンド・サウンドは沢山ある。そんな中で、独特な個性は実に大切なものなのだ。

評論家筋やジャズ者ベテランの方々のブログを見れば、かなり評価は高い様だが、どうなんだろう。僕は次作に期待の「3.5星」。

 
 

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2016年2月 1日 (月曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・30

ゲイリー・バートン(Gary Burton)のヴァイブが好きである。もともとヴァイブの音が好きで、最初は、ミルト・ジャクソンがお気に入り。1978年に友人の家で、チック・コリアとのデュオ盤『Crystal Silence』で、ゲイリー・バートンのヴァイブを知って、以来、ずっとミルトと同じレベルでの「お気に入りヴァイブ」。

ゲイリー・バートンのヴァイブはミルトと違ってファンクネスは希薄。代わって、クラシック音楽に通ずる明快な響きと卓越したテクニック、4本マレットが紡ぎ出すユニゾン&ハーモニー。硬質でクリスタルな響きはバートン独特なもの。意外とクロスオーバーな展開が得意。純ジャズというよりは、フュージョンな要素を交えたコンテンポラリーなジャズの響きである。

そんなゲイリー・バートンの素敵なカルテット盤がある。The New Gary Burton Quartet『Common Ground』(写真左)。2011年のリリース。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Julian Lage (g), Scott Colley (b), Antonio Sanchez (ds)。

冒頭の「Late Night Sunrise」がスッと入ってくる瞬間が素晴らしい。バートンのヴァイブの音がとても躍動感があって美しい。ジュリアン・レイジの官能的でアグレッシブなエレギも良い。アントニオ・サンチェスのドラミングが硬軟自在に絡み、スコット・コレイのベースが演奏の底をガッチリ押さえる。素晴らしいネオ・ハードバップな演奏。惚れ惚れする。
 

Common_ground_1

 
このアルバム、やはりハイライトは、ジュリアン・ラージのギターだろう。パット・メセニーの様でもあるが、官能的なくすんだ音色とアグレッシブなフレーズは、ジュリアン・ラージの独特の個性。テクニックはもちろん卓越したもの。そのテクニックの確かさはアコギの演奏で実感する。

エンディングはキース・ジャレットの「In Your Quiet Place」は懐かしさ漂う新しい雰囲気の演奏。1971年録音のアトランティック盤『Gary Burton & Keith Jarrett』で取り上げられていた曲で、演奏の雰囲気は「クロスオーバー・ジャズ」。そんなクロスオーバー・ジャズの名曲を現代のネオ・ハードバップな切り口で再構築している。

哀愁漂うメロディーが美しく、リズム&ビートは「エイト・ビート」。メロディーの美しいジャズ・ロックな面持ち。インプロビゼーションの後半がカントリーっぽく変容していくところがキースらしい個性。瑞々しい叙情とカントリー・フレーバーが心地良い。このキースの名曲をゲイリー・バートンをリーダーとした「The New Gary Burton Quartet」が再演する。これが実に良い。

このアルバム、全編に渡って佳曲揃い。録音当時68歳のゲイリー・バートンのヴァイブ。まだまだ現役、まだまだいける、そんな思いを持たせてくれる素晴らしい演奏がギッシリと詰まっています。良いアルバムです。我が音楽喫茶『松和』の昼下がりに流したいですね。
 
 
 
★震災から4年10ヶ月。決して忘れない。まだ4年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2012年10月22日 (月曜日)

バートン&パットのリユニオン 『Quartet Live』

今年は秋の足取りが速い。日に日に涼しくなり、肌寒くなっていく。まだ10月の20日を過ぎたところ。冬服に着替えるには早すぎるけど、ここ2〜3日の朝は、夏のジャケットを着ていると、ちょっと肌寒く感じる。

肌寒くはあるが、秋の空気は澄んでいて気持ちが良い。この気持ちの良い空気には、ジャズのヴァイブの音が良く似合う。ジャズ・ヴァイブと言えば「ミルト・ジャクソン」が真っ先に浮かぶ。確かにミルトのヴァイブは良い。でも、僕はこの人のヴァイブも大好きなのだ。

ゲイリー・バートン(Gary Burton)。レッド・ノーヴォが始めた4本マレット奏法をより高度に開拓・確立させた現代ヴィブラフォン奏法のイノヴェーター(Wikipediaより)。まだ、ジャズのトレンドにタイムリーに反応し、コンテンポラリー・ジャズのリーダー格としても有名。30年に及び、バークリー音楽大学で教鞭をとった「ジャズの先生」でもある。

バートンのヴァイヴは、クリスタルでクールで切れ味の良い「ふくよか」な響き。4本マレット奏法で変幻自在にコード奏法をバッキングで繰り広げたり、超絶技巧なソロを繰り広げたり、まるでピアノの様な表現をヴァイブでしてみせる技巧派。

そんなバートンが、2007年6月、パット・メセニー入りのゲイリー・バートン・バンドをリユニオン、オークランドの「ヨシズ」にて、ライブ盤を収録した。タイトルはシンプルに『Quartet Live』(写真左)。確か、発売は2009年の5月だった。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib); Pat Metheny (g); Steve Swallow (el-b); Antonio Sanchez (ds)。うへ〜、錚々たるメンバーやなあ。

冒頭の「Sea Journey」を聴いて、「ああっ」と思わず懐かしさと感嘆の声を上げる。 1977年にリリースされたバートンのリーダー作『Passengers』の1曲目。
 

Gary_burton_quartet_live

 
そう言えば、この『Passengers』のパーソネルは、Gary Burton (vib); Pat Metheny (g); Steve Swallow (el-b); Eberhard Weber (b); Dan Gottlieb (ds)。ドラムだけが異なるだけで、後の3人は同じメンバー。確かに、パット・メセニー入りのゲイリー・バートン・バンドをリユニオンである。

そう言えば、遠く1974年。ゲイリー・バートンは自らのバンドに、当時、弱冠20歳のパットを起用。ECMにて『Ring』『Dreams So Real』『Passengers』という3枚のアルバムをリリース。パットにとってこれがジャズメンとしてのメジャー・デビューであり、そういう意味で、パットにとってバートンは恩師である。

そんなバートン、パットの元にベースのスワローが馳せ参じ、ドラムのサンチェスが参加した。そんな素晴らしいメンバー構成のカルテット。演奏内容は、実に充実した内容のメインストリーム・ジャズ。内容的にはソフトな純ジャズという感じではあるが、「Question And Answer」や「Missouri Uncompromised」など、要所要所は、結構「硬派」で決めている。

どこまでも美しく涼やか。クールなエキサイティング。このバートンとパットの音色のコンビネーションは独特のテイストだ。溶け合う、共鳴し合う、という感じのユニゾン&ハーモニー。リズム・セクションは、クールなエレベのスティーヴ・スワロウに、メリハリのあるドラミングが素晴らしいアントニオ・サンチェス。実に完成度の高いカルテットである。

21世紀になって、こんなアーティスティックで現代的なメインストリーム・ジャズが生まれ出でる。ジャズはなかなかに懐が深い。
 
 
 
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