2025年8月 1日 (金曜日)

ムースピールのスタンダード集

ウォルフガング・ムースピールは、1965年、オーストリアのユーデンブルク生まれ。ボストンのバークリー音楽大学でゲイリー・バートンと出会い、彼のクインテットに招かれる。1995年から2002年までNYを拠点に活動、様々なアーティストと共演。

リーダー作としては、 1989年『Timezones』(Amadeo)が初リーダー作。そして、意外と遅咲きで、2014年、ECMレーベルでの『Driftwood』でメジャー・デビュー。以降、2〜3年に1枚のペースでリーダー作をリリース。堅実な活動を継続している。

デビュー当時は、ジョン・アバークロンビーやビル・フリゼールなどの、「カッ飛んで尖った」コンテンポラリー・ジャズ系ギタリストの後継者と目されていたが、歳を経ることに、メインストリーム志向の、現代のバップ・ギターの担い手に変身しつつある。この「現代のバップ・ギター」然としたプレイが実に渋いのだ。

Muthspiel, Johnson, Blade『Real Book Stories』(写真左)。2001年3月12-14日、NYの「Watermusic Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Wolfgang Muthspiel (g), Marc Johnson (b), Brian Blade (ds)。オーストリア出身の新感覚派ジャズギタリスト、ウォルフガング・ムースピールによる2001年の作品。
 

Muthspiel-johnson-bladereal-book-stories

 
オーストリアのマイナーレーベル「Quinton」からリリースされたこのアルバムは「ムースピールの考える」スタンダード演奏集。マイルス・デイヴィスやコルトレーンの名曲も交えた、有名スタンダード曲を気持ちよさそうに演奏する。スタンダード曲を演奏するムーズピールのエレギは、間違い無く「現代のバップ・ギター」。そう解釈した方が、このスタンード曲集は楽しめる。

「Someday My Prince Will Come」「All The Things You Are」「Lament」「Blue In Green」「Giant Steps」「Solar」など、流麗かつ、ちょっと癖のあるフレーズで、気持ちよさそうに弾き進めて行く。

そして、そんなムースピールを支え、鼓舞する、マーク・ジョンソンのベースとブライアン・ブレイドのドラムが、これまた、このリズム隊あってのムースピール、と言って良い位に素晴らしく、格好良く「現代のバップ」していて良好。

僕のジャズ盤聴きの1つの指針として「ブライアン・ブレイドがドラムを担当する盤に駄盤なし。好盤のみが存在する」というのがあるが、この盤も他の例に漏れず、現代のバップ・パフォーマンスとして、実に魅力的な好盤である。そして、ムースピールの確実な成長を見る思いの、良い意味での発展途上のムースピールを感じることが出来る好盤でもある。
 
 

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2015年10月26日 (月曜日)

昼下がりSP・デュオ盤特集・8

最近、ジャズ・ギタリストを聴き漁っている。もともとギタリストは苦手。ジャズ者初心者の頃は、ジャズ・ギターとボーカルは後回し。ジャズ・ギタリストについて勉強して、アルバム・コレクションを本格的に始めたのが10年ほど前だ。

ジャズ・ギターの世界も奥が深くて、新しいギタリストがどんどん出てくるので、なかなか面白い。Wolfgang Muthspiel(ウォルフガング・ムースピール)もそんな新しいジャズ・ギタリストの一人だ。オーストリア出身、1965年3月生まれだから、今年で50歳になるので、若手とは言い難いが、日本ではなかなか聞かない名前だ。

ムースピールとの出会いは、ドラマーのBrian Blade(ブライアン・ブレイド)のアルバムを辿っていって、このアルバムでムースピールの名前を知った。Wolfgang Muthspiel & Brian Blade『Friendly Travelers』(写真左)。2007年のリリースになる。

ちなみにパーソネルは、Wolfgang Muthspiel (g, vo), Brian Blade (ds, g, vo)。なんと、ギターのムースピールとドラムのブレードのデュオ盤。それにしては音がぶ厚いのは、多重録音を上手く駆使しているからだろう。加えて、ギターの巧みなエフェクターの使用が秀逸。
 

Friendly_travelers

 
ムースピールのギターは、Bill Frisell(ビル・フリゼール)やJohn Scofield(ジョン・スコフィールド)の系列の音で、ビルフリやジョンスコから「捻れ」を取っ払って素直になった様な音である。聴いていて心地良い音。ストレートで判り易いエレギである。ところどころ、Pat Metheny(パット・メセニー)をイメージさせる響きもあって、思わずニヤリとする。

そして、このアルバムについては、ブレイドのドラミングが実に効いている。様々な音でバリエーション豊かに、メリハリの効いたドラミングでムースピールのギターを盛り立てる。決して、演奏の音が痩せることが無い。豊かな響きと適度な音の厚さをしっかり保っているのは、ブレイドのドラミングに負うところが大きい。

とにかく聴いていて楽しいギターとドラムのデュオ盤である。明らかに新しい響きのエレギは意外と聴きものである。しばらく、ムースピールのギターを追いかけてみようと思っている。

聴き心地の良い響きと判り易いフレーズを連発、欧州的な雰囲気を漂わせる爽快感溢れるギターの音色は個性的。聴き応え抜群。いいぞ、このギタリスト。

 
 

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2011年1月25日 (火曜日)

最近気になるドラマーって・・・

最近、気になるドラマーがいる。ブライアン・ブレイド(Brian Blade・写真右)。1970年7月生まれだから、今年41歳。ジャズ界では中堅どころである。
 
ブレイドのドラムは、多彩かつ大胆かつ繊細。非常に味のあるドラミングを披露してくれる。聴いていて惚れ惚れするくらい耳に心地良い、小粋なドラミングを聴かせてくれる。最近、ブレイドのドラミングがかなり気に入っている。実にクレバーで多彩なテクニックを駆使した歌うようなドラミング。良い感じだ。
 
例えば、こんなアルバムがある。Brian Blade, Marc Johnson & Wolfgang Muthspielの『Air, Love & Vitamins』(写真左)。ドラムのBrian Blade、ベースのMarc Johnson、ギターのWolfgang Muthspiel の並列、平等なリーダーレスのユニットであるが、ブレイドのドラミングが際立った、聴き心地の良いコンテンポラリー・ジャズの佳作である。
 
冒頭のタイトル曲「Air, Love & Vitamins」が、このユニットの良さの全てを表している。聴き心地の良い響きと判り易いフレーズを連発、コンテンポラリー・ジャズのギタリストとして、これって意外と凄いかも、と思わせてくれる Wolfgang Muthspiel(ウォルフガング・ムースピール) のギター。ムースピールはオーストリア出身。欧州的な雰囲気を漂わせる爽快感溢れるギターの音色は個性的。聴き応え抜群。いいぞ、このギタリスト。
 
Air_love_vitamins
  
ガッチリと重心の低い、それでいてメロディアスでロマンティシズム漂う個性的なベースを聴かせてくれる Marc Johnson(マーク・ジョンソン)。そして、そのムースピ−ルのギターとマークのベースを際立たせ、それでいてしっかり自己主張をするブレイドのドラミング。
 
よくよく聴き耳を立てると、ブレイドのドラミングは、とても多彩なテクニックと音で構成されていることが判る。何本の手があるんだ、と思うくらいの目眩く多彩さ。それでいて耳障りではない。
  
そして、しっかりと周りのメンバーの楽器の音を際立たせる。このドラミングって、ジャズの世界では基本中の基本だが、その基本中の基本のドラミングをいとも簡単に、当たり前の様にパフォーマンスするブレイドって、その実力たるやどれほどのものか、と思って、ちょっとビックリする。
 
この『Air, Love & Vitamins』ってアルバム、全編に渡って、とても心地良い、とてもポジティヴで繊細なインプロビゼーションがギッシリと詰まっていて、とにかく良い感じなのだ。朝の一発目に最適、季節を選ばない爽やかさは特筆もの。
 
良いアルバムです。ブレイドの多彩なドラミングとマークの歌う様なベースラインに乗って、ムースピールのギターが爽やかにポジティブに歌い上げる。爽快感と透明感のある、そのアルバム全体の音のコンセプトは、1970年代のECMレーベルのギターセッションの諸作を聴くような、そんな錯覚を覚える位、その爽快感は抜群です。ジャズ者初心者の方々にお勧めです。聴き易く、親しみ易い。良いアルバムだと思います。
 
 
 
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