Chris Potter『Eagle’s Point』
2024年、コロナ禍も下火になり、コロナ前の日常が戻ってきた中、ジャズも完全復活みたいで、コロナ禍の折には、編成を縮小したりして、振り返れば、抑制的、内省的、思索的な内容のアルバムがメインにリリースされていた印象があるが、2024年に入ってからは、以前の勢いあるジャズが戻ってきている印象が強い。そして、内容的にも、将来の名盤、そのジャズマンの代表作になるであろう、内容良好なアルバムが出てきているから、ジャズ盤鑑賞はやめられない。
現代のジャズ・サックス奏者の代表格の一人、クリス・ポッター(Chris Potter)。米国シカゴ出身、1971年1月1日生まれ。今年で53歳。ジャズ・サックス奏者の中堅。純ジャズのみならず、フュージョン、ファンク的なアプローチにも長ける、オールマイティーなサックス奏者。が、メインストリーム系の純ジャズを吹かせたら、現代ジャズ・サックス奏者の先頭集団に値するパフォーマンスを披露してくれる。
Chris Potter『Eagle's Point』(写真左)。2024年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Chris Potter (ts, ss, b-cl), Brad Mehldau (p), John Patitucci (b), Brian Blade (ds)。メルドー、パティトゥッチ、そしてブライアン・ブレイドという説明不要な、現代の現役ビッグネームを迎えた、ポッターのワンホーン・カルテット。
そんなクリス・ポッターの新作であるが、これがまあ、素晴らしい出来で、驚くやら嬉しいやら。少しだけ、ところどころでアウトするところが、まるで、ジャキー・マクリーン。しかし、マクリーンより遥に端正。余裕のある力感溢れるブロウ。力の入れ具合は8割程度、という感じが。バリバリ吹くというよりは、滑らかなフレージングでポジティヴに吹き進める、という感じ。テクニックは優秀だが、テクニックをひけらかすことはない。
とりわけ、ミッドテンポで、地に足をしっかり落としてテナーを吹き進めるポッターは実に良い。アブストラクトにちょっとフリーキーに吹き上げる瞬間がいくつかあるが、ポッターは変に「羽目を外す」ことは無い。この盤では、ポッターはテナーのみならず、ソプラノ・サックス、そして、バス・クラリネットも吹いている。特にバスクラが印象的。次作以降、もっとバスクラを吹いて欲しい。そんな正な期待を持たせてくれる、ポッターのバスクラ。
この盤の演奏が、一段の高みを実現しているのは、リズム・セクションのメンバーが相当に優秀だから。ピアノにメルドー、ベースにパティトゥッチ、そして、ドラムに我がジャズ・ヒーローの一人、ブライアン・ブレイド。
名前を見ただけで、出てくる音の期待だけで「クラクラ」するほどの、有名、かつ力量のあるリズム・セクションがバックに控えているのだから、ポッターが、何の気兼ねもせず、ただひたすら、ポッターのサックスをバスクラを吹きまくるのは、当たり前と言えば当たり前。ポッターのサックス&バスクラは当然のことながら、このバックのリズム・セクションを聴くだけでも、「おかわり」したくなる様な、素晴らしいパフォーマンス。
この盤は、ポッターの代表作に、また、現代のサックスの名盤に、将来、なっていくであろう、クールでヒップでエクセレントな、内容の充実度の高さ。ポッターのワンホーン・カルテットという編成もグッド。いやはや、とんでもないサックス名盤候補がリリースされたもんだ。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.08.24 更新
・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
最近のコメント