ジャズ喫茶で流したい・315
ウェイン・ショーターが亡くなったのが 2023年3月2日。まだ3年しか経っていない。が、ショーターの亡くなった時点での喪失感は半端なかった。そんなショーターの音楽の変遷を俯瞰するのは楽しい。ショーター・ミュージックは「金太郎飴」とする向きもあるが、とんでもない。ショーター・ミュージックは「経年深化」していたと僕は思う。
Wayne Shorter『Footprints Live!』(写真左)。2001年7月14, 20, 24日の録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts, ss), Danilo Perez (p), John Patitucci (b), Brian Blade (ds)。ウェイン・ショーターが2002年にヴァーヴ・レコードからリリースしたライブ・アルバム。ショーターが自身の名義でリリースした初の公式ライブ・アルバムである。
録音日:2001年7月14日は、イタリアのペルージャで開催された ウンブリア・ジャズ・フェスティバルでのライヴ。録音日:2001年7月20日、スペイン、 ビトリア=ガステイス・ジャズ・フェスティバルでのライヴ。録音日:2001年7月24日、フランス、マルセイユの ジャルダン・パレ・ロンシャンでのライヴ。
収録曲を見渡せば、1960年代の代表曲をメインにピックアップした、ショーター自身の活動の足跡を振り返る様な内容。マイルスの『Bitches Brew』収録の「Sanctuary」のショーターの自演から始まる展開は、この「Sanctuary」は、マイルスの傑作アルバムの中の一曲だったが、実は、ショーター・ミュージックの真髄の一曲だったことを教えてくれる。
続く「Masquelero」では、ショーターと、ピアノのペレスの相性の良さが実に良く判る。ショーターのサックスの存在感は抜群なのだが、ショーターが吹けば、ペレスが応じる。演奏全体が、ペレスのピアノに導かれるように徐々に高まっていく激しさ。ショーター・ミュージックの「うねりと捻れ」が懐かしくも新しい。
「Valse Triste」は、1965年のアルバム「The Soothsayer」で初めて演奏したシベリウスの曲をアレンジした曲。軽妙なワルツ曲で、ショーターに追従するピアノ、オールド・スタイルな爽快ドラミング、演奏全体の底をガッチリ支えるベース。この「フットプリンツ・バンド」の優秀性が良く判る演奏。4人編成、カルテットの演奏なのに、出てくる音は分厚い。
と、冒頭3曲だけでも、このアルバムには、ショーター・ミュージックの優れどころが満載。1960年代の代表曲をメインにピックアップしているので、懐古趣味と取られ、ショーター・ミュージックの優れどころは1960年代とされると片腹痛い。アレンジ、奏法、アドリブ・フレーズ、どれをとっても、2001年の旬の「音」である。ショーター自作曲を選んでいるのは「素材」に過ぎないことが良く判る。
このライヴ盤は、それまでのショーター・ミュージックの最終到達点であり、最高到達点である。ショーターの自作曲の、ショーターのアレンジによる、ショーターを振り返る為の『Footprints Live!』。ショーター・ミュージックを体験する上で、このライヴ盤は外せない。
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