ステップス・アヘッドの傑作盤
コルトレーン&ロリンズ時代の「後を継ぐ」ジャズ・サックスのリーダー格、1970年代以降での「早逝の天才サックス奏者」であった、マイケル・ブレッカー。
マイケルはグループで吹くのが好きだった様で、1975年〜1982年と1992年には、ブレッカー・ブラザーズ。1980年〜1986年は、ステップス〜ステップス・アヘッド。キャリアの3分の1をグループで活躍している。何故なのか、は本人に訊くしかないのだが、恐らく僕が想像するには、グループは、自らのサックスにだけ集中できるところが良いのかもしれない。
Steps Ahead『Modern Times』(写真左)。1984年1-2月、NYでの録音。。エレクトラ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Michael Brecker (ts), Mike Mainieri (vib, syn-vib, marimba, syn, perc), Warren Bernhardt (key), Eddie Gómez (b), Peter Erskine (ds)。イリアーヌに代わり、ウォーレン・バーンハートが加入した。ステップス・アヘッドのエレクトラ第2弾。
ステップス・アヘッドは、1980年代のコテンポラリーなエレ・ジャズの代表格。クロスオーバー〜フュージョン・ジャズの流行を経て、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズの「好要素」を反映した、1980年代ならではの純ジャズ志向のコンテンポラリーなエレ・ジャズである。
雰囲気的には1970年代後半〜1980年初めのウエザー・リポートの音の作りをベースに、シーケンサーの活用、アフリカ音楽の要素の融合、リズム&ビートの洗練、ポップ度の増強、即興度合いの拡大。つまり、ウエザー・リポートの音をさらにステップアップし深化させた、純ジャズ志向のコンテンポラリーなエレ・ジャズである。
マイケル・ブレッカーの位置付けは、ウエザー・リポートのウエイン・ショーターの様な「コ・リーダー」的な存在。マイケルのソロの入るタイミングや、ソロの展開の雰囲気は、ウエザー・リポートのウエイン・ショーターに似ている。が、似て非なるもので、マイケルの方が流麗でしなやかで暖かい。切れ味の良い、というより、爽快で疾走感溢れるテナーと形容した方が良いかもしれない。
ウエザー・リポートよりは音は軽めではあるが、これは音がポップになった結果なので、気にすることはない。音の展開や構成はステップス・アヘッドの方か確実に「深化」しており、アフリカ音楽の要素の融合など、ワールド・ミュージックの取り込みにについても、ウエザー・リポートよりもスムーズで自然。
我が国では、1980年代のコテンポラリーなエレ・ジャズの好盤として、この盤のタイトルが挙がることはまず無いのだが、この盤は、1980年代のコテンポラリーなエレ・ジャズの傑作。コテンポラリーなエレ・ジャズ好きのジャズ者の方々に是非お勧めの好盤である。
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