2024年11月11日 (月曜日)

実質の「マイルス盤」が第3位!

レココレ 2024年11月号」に掲載された「ブルーノート・ベスト100」。この「ブルーノート・ベスト100」は、創立以降、ジャズの潮流が変わりつつあった、1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」が掲載されている。この「ベスト100」のアルバムを1位から順に聴き直していこう、と思い立っての3日目。

Cannonball Adderley『Somethin' Else』(写真左)。1958年3月9日の録音。ブルーノート・レーベルの1595番。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Miles Davis (tp), Hank Jones (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。アルト・サックスの個性的な達人、キャノンボール・アダレイのブルーノートでの唯一のリーダー作である。

が、実質のリーダーは、ジャズの帝王「マイルス・デイヴィス」。この「実質のリーダー」の件には訳がある。

歴史を遡ること、1950年前後、マイルスは「ジャンキー」であった。マイルスは麻薬中毒の為、レコーディングもままならない状態に陥っていた。しかし、彼の才能を高く評価していたブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレット・ライオンは彼を懇切にサポート。1952年より1年ごとに、マイルスのリーダー作を録音することを約束。実際、1952年〜1954年の録音から、2枚のリーダー作をリリースしている。

しかし、1955年、麻薬中毒から立ち直ったマイルスは、大手のコロムビア・レコードと契約をした。契約金が半端なく高額だった。生活がかかっていたマイルスについては、このコロムビアとの契約は仕方のないところ。しかし、この契約により、ブルーノートへの録音は途切れることになる。
 

Somethinelse_1

 
が、マイルスは「ライオンの恩義」を忘れていない。自らがオファーして、このキャノンボールのリーダー作にサイドマンとして参加したのである。当然、ライオンは狂喜乱舞。当時の録音テープには「マイルス」の名前を記していたという。

この盤は、先にご紹介した、ブルーノートでの唯一盤『Blue Train』のコルトレーンと同じく、プロデュースはライオンだが、メンバー選びや選曲などはマイルスに一任されている。が、マイルスの対応は一味違う。マイルスは「ライオンの音の好み」を勘案して、メンバーを選んでいる。

他のレーベルとの専属契約があったので、ブルーノートでの録音は、したくても叶わなかったであろう、当時、新進気鋭のアルト・サックス奏者のキャノンボール・アダレイを選出。ピアノに流麗なバップ・ピアノの名手、ハンク・ジョーンズ。ベースに堅実骨太のサム・ジョーンズ。ドラムに名手アート・ブレイキー。このリズム・セクションの人選が渋い。

内容の素晴らしさについては、既に様々なところで語り尽くされているので、ここでは書かない。が、この盤は、恩人アルフレッド・ライオンに向けての、マイルス・ディヴィスがプロデュースの「ブルーノート盤」であることは確かである。

コーニー(俗っぽい)な曲を嫌い、コーニーな演奏を嫌うライオンに対して、マイルスは、冒頭、実に俗っぽい有名スタンダード曲「「枯葉(Autumn Leaves)」を持ってきている。しかし、この「枯葉」の演奏が絶品かつ、素晴らしくブルーノートっぽい演奏なのだ。ブルージーでファンキーで気品溢れる、アーティステックなアレンジと演奏。これには、恐らく、ライオンも感嘆したに違いない。この1曲だけでも、この盤は「ブルーノートらしい」。

この盤が「ブルーノート・ベスト100」の第3位である。キャノンボール・アダレイの唯一のブルーノートでのリーダー作だが、実質リーダーはマイルス・ディヴィスと言う「変化球」の様な超名盤。ブルーノートらしさは色濃いが、徹頭徹尾、ストレートにブルーノートらしいか、と問われれば、ちょっとひいてしまう。が、そこは、人情味溢れる、義理堅いマイルスに免じて、これは明確に「ブルーノートのアルバム」と言って良いだろう。
 
 
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2022年2月 6日 (日曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・13

ジャズ名盤には、ジャズの歴史を彩る「エピソード」が必ず付いて回る。そのエピソードを知ることによって、よりジャズの歴史を理解することになる。この盤、マイルスの、ブルーノート・レーベルの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの恩義に報いる「サイドマン」参加盤である。

Cannonball Adderley『Somethin' Else』(写真左)。1958年3月9日の録音。ブルーノート・レーベルの1595番。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Miles Davis (tp), Hank Jones (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。キャノンボールのアルト・サックスと、マイルス・デイヴィスのトランペットがフロント2管のクインテット編成。マイルスがサイドマンとして入っている珍しい盤。

1950年辺り、マイルスは「ジャンキー」であった。マイルスは麻薬中毒の為、レコーディングもままならない状態に陥っていた。しかし、彼の才能を高く評価していたブルーノートの総帥アルフレット・ライオンは彼をサポート。1952年より、1年ごとにマイルスのリーダー作を録音することを約束。1952年〜1954年の録音から、2枚のリーダー作をリリースしている。

しかし、1955年、麻薬中毒から立ち直ったマイルスはコロムビア・レコードと契約をした。この契約により、ブルーノートへの録音は途切れることになる。が、マイルスは「ライオンの恩義」を忘れていない。自らがオファーして、このキャノンボールのリーダー作にサイドマンとして参加したのである。当然、ライオンは狂喜乱舞。当時の録音テープには、マイルスの名前を記していたという。
 
このキャノンボール盤の録音メンバーもマイルスが人選したらしい。ピアノに流麗なバップ・ピアノの名手、ハンク・ジョーンズ。ベースに堅実骨太のサム・ジョーンズ。ドラムに名手アート・ブレイキー。このリズム・セクションの人選が渋い。明らかに、マイルスが「ライオンの音の好み」を勘案して選んだメンバーだろう。マイルス自身がリーダーだったら、当時のマイルスの先進的な音からすると、こんな人選は絶対にしない。
 

Somethin-else

 
演奏内容は、当時のバリバリ「ハードバップ」な演奏。マイルスは既に「モード・ジャズ」に手を染めていたが、このブルーノートでの録音では、従来のハードバップな演奏に立ち戻っている。前進あるのみのマイルスが「一時後退」しているが、この後退はライオンの為の後退。ライオンにハードバップの究極な演奏をプレゼントしたい、そんなマイルスの気持ちの表れだろう。

この盤は、ハード・バップというジャズ・フォーマットの最高到達地点のひとつ。アーティスティックで高尚な響きが充満し、参加メンバー各人の最高のパフォーマンスを聴くことが出来る。ハンクの旨さ、ジョーンズの堅実さ、ブレイキーの天才的ドラミング、そして、そして、キャノンボールの情感タップリで、そこはかとなくファンキーな香りがかぐわしい、絶妙なアルト・サックス。

マイルスのトランペットは別格。マイルスの生涯に渡っての、最高の部類のパフォーマンスを聴くことが出来る。ミュートもオープンもベストに近いプレイ。しかし、気合いの入ったマイルスは凄い。ちなみにマイルスがブルーノートに残したパフォーマンスはどれもが素晴らしいものばかりである。

ジャズのスタンダード中のスタンダードとされる「枯葉」の決定的名演。曲想は既にハード・バップの先を行く、先進的な響きが素晴らしい、マイルス作の「サムシン・エルス」。芸術的で高尚な響きのスタンダードの定番曲「ラブ・フォー・セール」。情感タップリで、そこはかとなくファンキーな香りが芳しい「ダンシング・イン・ザ・ダーク」。収録曲のいずれもが、ハードバップの最高峰レベルの演奏で占められる。

この盤は、マイルスが、麻薬中毒の苦しい時代にマイルスを見捨てず、マイルスの才能と人格を信じてくれた、ライオンの恩義に報いた結果。そんな背景をしっかりと踏まえて、キャノンボール以下、録音メンバーが最高のパフォーマンスを聴かせてくれる。名盤中の名盤とはこういう盤のことを言うのだろう。
 
 
 
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2021年4月22日 (木曜日)

パーカーの非凡な才能・その8

今でも良く聴くチャーリー・パーカーは、彼の音楽活動の晩年、ヴァーヴ時代のアルバムが聴き易くてお気に入りだ。特に1950年前後以降のセッションは、来るハードバップ時代の演奏トレンドを先取りした様な内容の濃い演奏もあって、聴きどころ満載。ビ・バップからハードバップへの移行は、様々な優秀なジャズメンのセッションを経て、比較的緩やかに実行されたと考えるべきだろう。一夜にして、ビ・バップからハードバップに移行した訳では無い。

『The Genius Of Charlie Parker #8 : Swedish Schnapps』(写真)。ヴァーヴ・レーベルからのリリース。tracks 1-6,13が、1951年8月8日の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Red Rodney (tp), John Lewis (p), Ray Brown (b), Kenny Clarke (ds)。tracks 7-12が、1951年1月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Parker (as), Miles Davis (tp), Walter Bishop Jr. (p). Teddy Kotick (b), Max Roach (ds)。

1951年のセッションのパーソネルが興味深い。いずれのメンバーも、後の「ハードバップ時代」に活躍するジャズマンばかり。あの、後に「ジャズの帝王」と呼ばれるマイルス・デイヴィスも参加して、この時点で既に、いかにも後のマイルスらしいトランペットを披露している。他のメンバーも同様で、パーカー以外、かなりハードバップ的な、アーティスティックで「聴かせる音楽」としてのインプロビゼーションを強く意識して展開している様に感じる。
 

Swedish_schnapps

 
「ビ・バップ」だの「ハードバップ」だの、と言う前に、パーカーはパーカーらしく、ハイテクニックな、力感溢れるブリリアントな音で流麗に吹き進める。とにかく、晩年とは言え、運指のテクニックが素晴らしい。パーカーらしい、しっかりクッキリと硬派なブロウが堪らない。「ビ・バップをしっかり聴かせてくれる」ジャズ盤として、このアルバムの存在は価値がある。

この盤にはブルース曲が多く収録されているところが聴いていて楽しいところ。1曲目 の「Si Si」からブルース曲が炸裂。「Back Home Blues」と「Blues for Alice」も題名を見てのとおり、それぞれ順にCそして、Fのブルース。「Au Privave」はFのブルース。マイルスがなかなか張りのあるソロを披露している。

僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半は、まことしやかに「ヴァーヴのバードは駄目だ」と言われていましたが、とんでもない。この『Swedish Schnapps』は、僕の大好きなバーカー盤。1950年前後の録音なので、録音状態もまずまずで、鑑賞に十分に耐えるレベルであるというのも嬉しいところ。これからバードを聴きたいなあ、と思われているジャズ者初心者の方々に、お薦めの一枚です。
 
 
 

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【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・Journey『Infinity』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.03.06 更新

  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
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2020年3月18日 (水曜日)

「この盤の内容」侮るなかれ 『Legrand Jazz』

ジャズには、興味深いエピソードを携えた「話題のアルバム」というものが幾つかある。例えば「マイルスとモンクのクリスマスの夜の喧嘩セッション」。これは作り話ということで一件落着しているが、作り話としても、このエピソードは面白い。ロリンズの数回に渡る「雲隠れ騒動」だってそうだ(これは事実だけど)。意外とジャズ盤って、その録音にまつわるエピソードが豊富にある。これはこれで面白いのだが、その盤の音の評価にはあまり影響しないと思うのだが。

Michel Legrand『Legrand Jazz』(写真)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは、と言いたいが、様々な有名ジャズメンが集結して、ビッグバンド形式で録音しているので、主だった名前だけ列挙しておきたい。Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Bill Evans (p), Ben Webster (ts), Hank Jones (p), Art Farmer (tp), Donald Byrd (tp), Paul Chambers (b), Herbie Mann (fl), Phil Woods (as) 等々。

ミシェル・ルグランは、仏映画音楽界の巨匠。「シェルブールの雨傘」「華麗なる賭け」「おもいでの夏」など、手掛けた有名曲は多数。そして、優秀なジャズ・ピアニスト兼アレンジャーでもあった。本場米国のジャズマンや批評家からも高く評価されていたというから立派なものだ。そんな彼の最初のジャズ・アルバムにして最高傑作の1つがこのアルバムになる。
 
 
Legrand-jazz   
 
 
1958年の晩春。ルグランは米国旅行に出かけます。名目は新婚旅行。しかし真の目的は、様々な有名ジャズメンを集めて、自らのアレンジによるジャズ盤を録音すること。ちゃっかりしてますね。当時、既に超売れっ子だったルグランだから、我が儘も通ったのだろう。集まったジャズメンを見渡すと、錚々たるメンバーである。そして、驚くことに、かのマイルス・デイヴィスが参加している。但し、有名ジャズメンを集めた「お気楽な企画盤」では無い。

冒頭の「The Jitterbug Waltz」を聴くだけで、この盤は当時の米国ジャズとは全く異なる、クラシックに比肩する優雅さと繊細さを兼ね備えていることが判る。マイルスやビル・エヴァンス、コルトレーンという超一流のジャズメンが演奏するのだ。優雅さと繊細さの中に、グッと一本の「ジャズの音の芯」が通っているのがよく判る。やはり、先の「The Jitterbug Waltz」を含め、マイルスが参加の楽曲「Django」「Wild Man Blues」「'Round Midnight」が飛び抜けて出来が良い。

この盤、米国ジャズメンで演奏された欧州ジャズである。この手の音世界は米国ジャズには無い。しかし、ここまで一本の「ジャズの音の芯」が通っ優雅さと繊細さを兼ね備えた純ジャズは、欧州のジャズメンにはまだ難しいところがあったと思う。ルグランはそこに目をつけて、米国旅行の折に、録音のチャンスを見出し、それを実現したと思われる。しかし、さすがは「仏映画音楽界の巨匠」、クールな聴き易さをしっかりと付加している。ルグランのアレンジの才が如何に優れていたか。この盤の内容が証明している。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

【更新しました】2020.03.02
  ★ まだまだロックキッズ ・・・・ クールで大人な『トリロジー』

【更新しました】2020.03.15
  ★ 青春のかけら達 ・・・・ チューリップ『魔法の黄色い靴』
 

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2014年10月30日 (木曜日)

晩秋にマイルスの「枯葉」が良い

晩秋になると、毎年、決まって聴くアルバムが幾枚かある。大体、収録されたお目当ての曲がメイン。秋がテーマの曲で「Autumn Leaves(枯葉)」と「Autumn In New York(ニューヨークの秋)」。

今年もまずは「Autumn Leaves(枯葉)」をお目当ての曲として、アルバムを物色する。まあ「枯葉」と言えば、まずはマイルスの名演でしょう。マイルスは「枯葉」が好きみたいで、何枚かのアルバムで演奏していて、それぞれ違った表情の「枯葉」が聴ける。

が、まずはこれでしょう。Cannonball Adderley『Somethin' Else』(写真左)。ブルーノートの1595番。あれれ、マスター、マイルスのリーダー作じゃないですよ。とまあ、ジャズ者初心者の突っ込みなら、まあ仕方なく受け止めますが、ジャズ歴5年以上のジャズ者方々からの突っ込みなら「お主、勉強不足じゃ」と活を入れますね(笑)。

このアルバムは、1958年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Cannonball Adderley (as), Hank Jones (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。ちゃんとマイルスがいます。見渡して見ると、なかなか考え抜かれた人選です。しかし、まずは、ブルーノート・レーベルでよく見るパーソネルでは無い。

このアルバムが作成された切っ掛けは「マイルスの恩返し」。1950年代前半、マイルスは麻薬にはまって演奏が不安定になり、仕事も干された状態になっていた時期がある。そんな時期に、マイルスの才能に敬意を払い、録音の機会を与えてくれたプロデューサーがアルフレッド・ライオン。ブルーノートの総帥である。

その後、マイルスは麻薬禍を自力で抜け出し復活。大手レコード会社のCBSに迎えられる。専属契約なので、他のレーベルには吹き込めない。しかし、マイルスはライオンへの恩義を忘れなかった。CBSに特例を認めさせ、マイルスはブルーノートへのレコーディングを計画する。
 

Somethin_else

 
パーソネルは、マイルス自らが人選したと聞く。さすがに、専属契約の無いマイルスが、ブルーノートでリーダーのアルバムを出す訳にはいかないので、そのリーダー役をアルトのキャノンボール・アダレイに担わせた。しかし、実質上は、マイルスのリーダー作である。

このアルバムの一番の目玉が、やはり冒頭の「Autumn Leaves(枯葉)」でしょう。本当にこの「枯葉」の演奏は良く出来ています。しかも、マイルスのペットが凄く良い雰囲気を出している。この演奏が、ジャズの「枯葉」の標準になっている、と言っても過言では無い。

他の曲も良いですよ。リーダー役を担ったアルトのキャノンボール・アダレイをフィーチャーした演奏が怒濤の如く続く。陽気にポジティブに吹きまくる「動」のアダレイ。そして、クールにアーティスティックに吹きまくる「静」のマイルス。この「動」と「静」のコントラストがマイルスの好み。

リズム・セクションの3人の音は、まったくもってブルーノートの雰囲気をバッチリと醸し出している。さすがはマイルス。このアルバムは、ブルーノート・レーベルのアルバムである。アルフレッド・ライオンの音でなければならない。マイルスは心得ていた。Hank Jones (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)のリズム・セクションの音は「ブルーノートの音」。

このアルバムは、ジャズ者初心者の方々にお勧めの一枚。高い演奏レベルと言い、アーティスティックなハードバップの響きと言い、アルバムにまつわるエピソードと言い、モダン・ジャズの面白いところ全てが体験できる「お徳用」な一枚です。ジャケットも渋くて格好良いです。
 
 
 
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2014年7月25日 (金曜日)

僕の大好きなバーカー盤はこれ

ジャズ初心者の頃、なかなか難物だったチャーリー・パーカー。ダイヤル・セッションを聴いて敗退し、ルースト・セッションを聴いて敗退し、サボイ・セッションを聴いて敗退する(笑)。そんなジャズ者初心者の時代を過ごした訳で、ジャズを聴き初めて10年位は、僕は「ビ・バップ」が苦手だった。 

ジャズを聴き初めて、15年位経った頃だろうか、憑きものがとれたように、自然にしっくりとビ・バップが耳に馴染むようになった。恐らく馴れたんだろう、ビ・バップのアドリブ・ラインや吹き回しのテクニックが理解出来る様になった。不思議なものである。

そんなこんなで、耳に馴染んだ「ビ・バップ」。チャーリー・パーカーのアルバムについても、ジャズ初心者の頃、なかなか難物だったダイヤル・セッションを克服、ルースト・セッションを聴いて克服、サボイ・セッションを聴いて克服して、なんとか、ジャズ者としての面目を保ったというか、ジャズ者としてなんとか自信を持つことが出来た。

でも、今でも良く聴くチャーリー・パーカーは、彼の音楽活動の晩年、ヴァーヴ時代のアルバムが聴き易くてお気に入りだ。特に1950年前後以降のセッションは、来るハードバップ時代の演奏トレンドを先取りした様な内容の濃い演奏もあって、聴きどころ満載。ビ・バップからハードバップへの移行は、様々な優秀なジャズメンのセッションを経て、比較的緩やかに実行されたと考えるべきだろう。一夜にして、ビ・バップからハードバップに移行した訳では無い。

そんな1950年前後以降のチャーリー・パーカーのアルバムで、僕が大好きなアルバムが、Charlie Parker『Swedish Schnapps』(写真)である。1949年5月と1951年8月のセッションから成るアルバムである。ちなみに、1951年のセッションのパーソネルが興味深い。Charlie Parker (as), Miles Davis (tp), Walter Bishop Jr. (p), Teddy Kotick (b), Max Roach (ds)。
 

Swedish_schnapps

 
いずれのメンバーも、後のハードバップで活躍するミュージシャンばかりで固められている。あの、後に「ジャズの帝王」と呼ばれたマイルス・デイヴィスも参加して、この時点で既に、いかにも後のマイルスらしいトランペットを披露している。他のメンバーも同様で、パーカー以外、かなりハードバップ的な、アーティスティックで聴く音楽としてのインプロビゼーションを意識して展開している。

パーカーは、ビ・バップだ、ハードバップだ、と言う前に、いつものパーカーらしく、大きな音でハイテクニックでメロディアスに吹き進める。パーカーらしい、しっかりクッキリと硬派なブロウが堪りません。「ビ・バップ」を「聴かせる」ジャズ盤として、このアルバムの存在は大きいですね。ハードバップな耳にも十分に馴染みます。

思い起こせば、このアルバムはジャズ者初心者の頃、清水の舞台から飛び降りる気分で、思い切って購入した3枚目のパーカー盤でした。僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半は、まことしやかに「ヴァーヴのバードは駄目だ」と言われていました。でも、このアルバムは違うぞ、と感じました。ただ、ジャズ者初心者の感じた感想です。決して口外することは無かったんですが(笑)。

この盤にはブルース曲が多く収録されているところが聴いていて楽しいところ。1曲目 の「Si Si」からブルース曲が炸裂です。「Back Home Blues」と「Blues for Alice」も題名を見てのとおり、それぞれ順にCそして、Fのブルースです。「Au Privave」はFのブルース。マイルスがなかなか張りのあるソロを披露しています。

マイルスと言えば「She Rote」では、ミュート・ソロを聴かせてくれます。後のマイルスの十八番となった「ミュート・トランペット」。この「She Rote」のマイルスは、若き日のマイルスの代表的なミュート・ソロのひとつと言えます。逆に「K.C. Blues」でのマイルスはとてもぎこちない(笑)。演奏毎に好不調の波があるマイルスというのも、若さ故という感じで、とても微笑ましいです。

このCharlie Parker『Swedish Schnapps』は、僕の大好きなバーカー盤。1950年前後の録音なので、録音状態もまずまずで、鑑賞に十分に耐えるレベルであるというのも嬉しいところ。これからバードを聴きたいなあ、と思われているジャズ者初心者の方々に、お薦めの一枚である。
 
 
 
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2014年4月17日 (木曜日)

1960年・過渡期のマイルス 『Manchester Concert』

過去にリリースされたらしいが、マイルス者の僕にとって、このライブ盤は「新譜」である。このライブ盤内容はブートに近い。
 
僕は基本的に「ブート」には手を出さない。手を出し始めたら「底なし」だし、当たり外れが大きいギャンブルに手を出すほど、資金的に豊かでは無い。こうやって、正式盤として発売されると入手し易くて良い。

そのライブ盤とは、Miles Davis『Manchester Concert - Complete 1960 Live At The Free Trade Hall』(写真左)。1960年9月27日、英国マンチェスターのThe Free Trade Hallでのライブ録音。なんだが、なぜかDisc2のボートラには、1963年5月29日、米国セントルイスのJazz Villaでのライブ音源が入っていて、ちょっと紛らわしい。

さて、それぞれのパーソネルを確認しておくと、英国マンチェスターのライブ音源は、Miles Davis (tp), Sonny Stitt (as,ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。米国セントルイスのライブ音源は、Miles Davis (tp), George Coleman (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。音はあまり良くない。

1960年9月27日の演奏は、ジョン・コルトレーン脱退後、ソニー・スティットを加えてのクインテットでの欧州ツアーの演奏。ソニー・スティットのサックスが、かなり溌剌としていて元気だ。しかも、かなりのハイテクニックで飛ばしまくっている。ソニー・スティットって、こんなに速吹きだったけ、とビックリするほどである。

思わず「聴き易いシーツ・オブ・サウンド」だと思ってしまった(笑)。明らかに、前任のコルトレーンを意識している。でも、コルトレーンはモードだが、スティットはコード。コルトレーンを意識しているとは言え、スティットのサックスは、ハードバップ時代のコード奏法のコルトレーンに似ているが、コルトレーンよりシンプルでバリエーションに乏しい。

それでも、このライブ盤でのソニー・スティットは大健闘している。が、どうにもこうにも、シンプルでバリエーションに乏しいが故に、聴き続けていると飽きてくる。どの曲のどのアドリブ・フレーズも似通っている。このスティットのブロウを聴いていると、コードをベースとしたハードバップはマンネリズムに陥りやすい、ということが良く理解出来る。

逆に、マイルス御大は、何時になく絶好調。テクニック充実、ブロウ充実、ハイノートも難なくクリアし、ミストーンも無い。このライブ盤でのマイルスは絶好調。このライブ盤を聴くと、やはりマイルスは上手いと思う。やはりマイルスのトランペットの腕前は超一流だということを再認識する。
 

Miles_manchester

 
溌剌としたスティット、充実のマイルスに比べ、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブのリズム・セクションは、余り目立たない。やや平凡なリズム&ビートに終始する。覇気が無いというか、おきまりのリズム&ビートをなぞっている感じのリズム・セクションが惜しい。フロントの二人が吹きまくっているだけに、化学反応が起きなかったのは実に惜しい。

そして、Disc2のボートラ、1963年5月29日、米国セントルイスのJazz Villaでのライブ音源は、そのパーソネルを見ても判る様に、モーダルなマイルス・バンドの始まりを捉えたもの。それまでのコード奏法中心のハードバップとは、一線を画した、全く異なる雰囲気と演奏手法であることが凄く良く判る。

当時、従来のスタイルであった、スティット参加のコード奏法中心のハードバップと、最先端の奏法であったコールマン参加のモード奏法中心のコンテンポラリーな演奏と、その差は歴然である。比較して聴けば、コード奏法中心のハードバップは、早々にマンネリズムが訪れ、ちょっと平坦なメリハリの無い演奏に陥りがちで、聴き進めると徐々に退屈になってくる。

モード奏法中心のコンテンポラリーな演奏は、確かに、コード奏法中心のハードバップに比べて、バリエーション豊かで、変化に富み、アドリブの展開も拡がりがあるものなんだが、コールマンのフレーズがちょっと一本調子で、演奏全体に渡って変化に乏しいのが難点。さすがに、ハービー、ロン、トニーのリズム・セクションは、完全に新しい音を出し続けている。

最後にまとめると、このライブ盤、コード奏法中心のハードバップについては、どうにもこうにも、ちょっとマンネリズム漂う、意外性に乏しい、平板な演奏に終始していて、ちょっと残念。特に、マイルス御大が絶好調なだけに、この結果は惜しい。逆に、モード奏法中心のコンテンポラリーな演奏は、コールマンだけが浮いていて痛い。コールマンとマイルス、フロントの相性は良くない。

あまり評価が芳しくは無いですが、スティット参加の珍しいライブ音源として、絶好調のマイルスが聴けるライブ音源として、マイルス者ベテランの方は持っておいて損は無いでしょう。一般のジャズファンの方々には、敢えてお勧めすることはしません。正式盤にもっと優れたライブ盤が沢山あります。
 
 
 
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2013年1月20日 (日曜日)

動くマイルス、動くクインテット

今日は午後から風が強くて、まるで台風が来た時のよう。これではリハビリの散歩どころではない。今日の午後は、ゆっくりと昼寝をしつつ、資料の整理や録画した番組を観たりで、ゆったりと「仕事のリハビリ的な」時間を過ごした。

そんな録画した番組の中に、ジャズのライブ映像があった。WOWOWで2013年1月8日の21時から放映された「マイルス・デイヴィス・クインテット ライブ・イン・ヨーロッパ 1967」の録画である。

番組は、1967年10月31日、ストックホルム(スウェーデン)の「Konserthuset」と、11月7日、カールスルーエ(西ドイツ・当時)の「Stadthalle」でのライブで、どちらもテレビ番組用に収録されたもの。

ちなみに、この時のマイルス・クインテットのパーソネルを改めて並べておくと、Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。1960年代マイルスの「黄金のクインテット」である。

CD音源も良いが、たまには映像による「動くジャズメン」を観るのも良い。どんな格好で、どんな姿勢で、どんな指捌きで、どんな吹きっぷりで演奏しているのかが、映像では手に取るように判るので、これはこれで観ていてとても楽しい。とにかく、一流ジャズメンの至芸を動画で追体験することが出来るのだから、楽しいことこの上ない。
 

Miles_quintet

 
このマイルス・クインテットの動画もそうで、動くマイルス、動くショーター、動くハービー、動くロン、動くトニーが、とにかく素晴らしい。

演奏的にもなかなか充実した映像で、フリー一歩手前極限までいった、限りなく尖った演奏では無いが、ハードバップの演奏スタイルに則りながらも、それぞれのソロは完全にモーダルな演奏が貫かれており、当時、ジャズの最先端を行くマイルス・クインテットの勇姿が確認できて楽しい。

こうやって、マイルスの演奏の映像を見ていると、やっぱりマイルスのトランペットって上手いですよね。僕がジャズ者初心者の頃、マイルスのペットは下手だ、なんていう評論もあったんですが、とんでも無い(笑)。上手いです。さすが「帝王」と冠を付けて呼ばれるだけはある。

というか、テナーのショーターも、ピアノのハービーも、ベースのロンも、ドラムのトニーも素晴らしい演奏で、マイルスを盛り立てている。いやほんと、この「黄金のクインテット」って、圧倒的に演奏が上手い(当たり前か・笑)。改めて、久し振りの動く「黄金のクインテット」の映像に接して、その偉大さを再認識しました。

たまには、ジャズ関係の動画を観るのも良いものですね。温かい部屋の中で、ちょっとした「ライブ感」を体感できて、ちょっと楽しい日曜の午後でした。
 
 
 
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2011年5月26日 (木曜日)

今日はマイルスの誕生日

1926年5月26日、マイルス・デューイ・デイヴィス三世(Miles Dewey Davis III)の誕生日である。生きていれば、85歳となる。が、実際は、1991年9月28日に逝去している。享年65歳だった。今の時代、少し短い生涯であった。

マイルスのアルバムは、有名である分、なんとなく取っつきやすそうだが、実は意外と難易度は高い。ジャズ者初心者駆け出しの頃では、マイルスのアルバムを聴いて、いきなり感動することは、なかなかに難しいと思う。僕も最初の頃は、さっぱり判らなかった。それでも、ジャズ界で一番有名なマイルスである。判らない、で済ます訳にはいかない。

では、マイルスのアルバムの中で、僕がジャズ者初心者駆け出しの頃、どのアルバムが、最初の「愛聴盤」になったのか。遠く遠く昔々、大学時代の頃に遡る。ジャズを聴き始めて1年位だったかな。そう、『Sketches Of Spain』(写真左)が、僕にとっての最初の「愛聴盤」だった。

初の「愛聴盤」になった決め手は、かの有名なクラシックの名曲「アランフェス協奏曲(Concierto De Aranjuez)」が収録されていること。天才アレンジャー、ギル・エバンスとの合作であり、ギル・エヴァンスのアレンジによるオーケストラとの共演アルバムでもあり、マイルスの数多い作品の中でも重要な傑作。

この「アランフェス協奏曲」、20世紀を代表するスペインの盲目のギタリスト、ホアキン・ロドリーゴがギターのために書いたクラシックの名曲で、アランフェスとは、水と森の緑に恵まれた、スペインの首都マドリード郊外の土地の名で、古くから王の離宮が建てられた風光明媚な場所の名前。ロドリーゴは、夫人とともにこの土地を訪れ、大地の自然を余すところ無くその触感で感じ取り、曲想を練ったと言われている。

とりわけ有名な第2楽章は「愛のアランフェス」として有名になったが、実は、当時、この世に生を受けることなく、息子を失なった夫人への「慰め」が込められたものだと、ロドリーゴ自身、後日、語っている。
 

Sketches_of_spain

 
大学時代、この演奏を初めて聴いた時、唖然としたのを覚えている。正直言って、ジャズがこんなに繊細かつダイナミックな、言い換えると、クラシックと匹敵する、いや、ある面、クラシックを越える表現力を持っているとは思わなかった。ショックだった。

とにかく、リリカルで、静謐かつダイナミック、しかも幽玄という変幻自在のアレンジと演奏で、この「アランフェス協奏曲」を一気に聴かせてしまう。マイルスのトランペットが哀愁豊かに鳴り響き、バックのジャズ・オーケストラは、そのマイルスのトランペットをより引き立たせていく。

ジャズが、なんだか荒々しく、ちょっとアウトロー的な、俗っぽい音楽じゃないか、と思われている皆さん、このマイルスとギルとのコラボレーションの奇跡である、この「スケッチ・オブ・スペイン」の「アランフェス協奏曲」を聴いてみて下さい。

「アランフェス協奏曲」の他に、マイルスとギルのコラボレーションならではの曲が並んでいるが、やはり、この「アランフェス協奏曲」が傑出している。この演奏は、「なぜジャズが芸術のジャンルの一角を占めているのか」、「ジャズの芸術性とはなにか」という疑問に、ひとつの答を出しているような、そんな歴史的名演です。

ちなみに、この曲のライヴ・ヴァージョンはマイルスの『コンプリート・カーネ ギー・ホール(AT CARNEGIE HALL THECOMPLETE CONCERT)』で聴くことができる。これもチャンスがあったら、聴いて欲しい逸品です。

マイルスの命日。マイルスも生きていたら85歳。ピアニストのハンク・ジョーンズは、92歳まで現役だったから、85歳だって、まだまだ現役でいられたはず。85歳のマイルス。2011年のマイルス。見てみたかった。そのトランペットを聴いてみたかったなあ。どんな音を出していたんだろう。
 
 
 
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Fight_3
 

2010年10月12日 (火曜日)

ジャズ史上最高の「枯葉」

昨日は夏日の再来だったが、とにかく、酷暑の夏は去って季節は秋である。今年の秋は、秋の割には雨が多い。というか、雨ばかり降っているイメージがある。秋晴れ、日本晴れの日が続くのが10月の関東地方なのだが、今年はちょっと事情が違う。
 
我が千葉県北西部地方では、温暖化の影響もあってか、紅葉の季節は、11月下旬から12月の上旬という、晩秋というか、初冬の時期に紅葉の季節がやってくる。紅葉の季節が去って「枯葉」の季節になるのだが、今はまだ10月中旬に差し掛かった辺り。「枯葉」のシーズンにはまだ早いのだが、秋=枯葉という図式が頭の中にあって、ジャズ・スタンダードの「枯葉」を聴くことが、秋のお決まりとなっている。
 
ジャズの大スタンダード曲の「枯葉」。大変有名なシャンソンのナンバーである。ミディアム・スローな短調のバラードで、シャンソンの曲として、世界的にも有名なスタンダードである。恐らく、主旋律を聴けば、必ず皆さん「ああ、この曲か」と思い出して貰える、それはそれは大衆的なスタンダード曲である。
 
ジャズの分野では1952年にスタン・ゲッツが録音したのが先駆。以来、相当数の演奏が存在する。コーラス部分の独特のコード進行が格好のアドリブの素材になったことが理由だが、ジャズ・ミュージシャンと呼ばれる人達は必ずと言って良いほど、ミュージシャン人生の中で、一度はこの「枯葉」を演奏する。よって、ジャズ・ミュージシャンの数だけ「枯葉」の演奏が、レコーディングがある、ということになる。
 
そんな巷溢れる「枯葉」の演奏の中で、ジャズ史上最高の「枯葉」の演奏はどれか。僕は、Cannonball Adderley(キャノンボール・アダレイ)の『Somethin' Else』(写真左)の冒頭1曲目の「枯葉」が最高だと思う。この『Somethin' Else』というアルバム、ちなみにパーソネルとはと言うと、Miles Davis (tp) Cannonball Adderley (as) Hank Jones (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)。マイルス・ディヴィスの名前が目を惹く。
 

Somethin_else

 
このアルバムの成り立ちについては、ジャズ本に様々な形で、様々な人達が語り尽くしているので、そちらを参照されたい。が、簡単に言うと、マイルスが麻薬に溺れて不遇な時代に、レコーディングの機会を作ってマイルスを支援した、ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンに対して、マイルスが麻薬禍を克服、大手コロンビアレーベルの専属としてメジャーになった折、そのライオンへの恩返しに、キャノンボール・アダレイ名義でブルーノートに録音した名盤である。
 
このアルバムでの「枯葉」が素晴らしい。十分に練られたであろう、素晴らしいアレンジ。ハードバップ全盛期、熱気とファンキーさを演奏の底に漂わせつつ、内に秘めながら、クールに、ジャジーに、ブルージーに、冷静に、実に良くコントロールされ、ジャズの持つ俗っぽさを抑制し、この「枯葉」という超有名曲を、実にアーティスティックに演奏する。ジャズが「流行音楽」の粋を出て、「芸術音楽」の域に踏み込んだ、その証明のような「枯葉」である。
 
マイルスのミュート・トランペットが。クールで切れ味抜群。熱気とファンキー爆発なハードバップな演奏の全く対極を行くクールで静的な、それでいて「青い冷静な熱気」を感じさせてくれる、マイルスならではのアレンジとパフォーマンス。他のミュージシャンも、それぞれの個性を活かしながら、マイルスの音世界に、マイルス独特のハードバップ解釈に精魂込めて追従する。
 
マイルスの凛としたテーマを受け継ぎ、滑り込む様に入ってくるキャノンボールのアルトサックスは、実にスリリング。ブレイキーのハイハットを刻むテンションは「マイルスの音世界」への共感。ハンクのピアノは「典雅」そのもので「枯葉」の俗っぽさを消し去り、サム・ジョーンズの野太いベースは、演奏全体の「ボトム」をガッチリと支える。テクニック抜群、切れ味抜群、演奏されるそれぞれの楽器の音も実に生々しく響く。
 
この『Somethin' Else』というアルバムは、実質的にはマイルス・デイヴィスのリーダー・アルバム。この「枯葉」の演奏とアレンジを聴くと、それが十分に納得出来る。この「枯葉」の音世界は、マイルスしか為し得ない、マイルスのみが表現できる「音世界」である。
 
ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンは、この『Somethin' Else』の録音テープに「Miles」と書き記したと聞く。納得の一言。このマイルスの「枯葉」は、ジャズ史上最高の「枯葉」だと僕は思っている。
 
 
 
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