ジェフ・テイン・ワッツの新作盤
以前の記事で、ブライアン・ブレイドがドラムを担当するアルバムに「駄盤」は無いと言ったが、現代のジャズ・シーンには、ブレイドに比肩する「優れもの」ドラマーが幾人かいる。まずは、1990年代から、聴き込んだアルバムに良く見るドラマーの名前。Jeff "Tain" Watts(ジェフ・テイン・ワッツ)である。1990年代に頭角を現した、優れたドラマーの1人。
ジェフ・テイン・ワッツに初めて出会ったのは、確か、ブランフォード・マルサリスのリーダー作だったかと思う。ブランフォードはリーダー作ではドラムはほぼ「ジェフ・テイン・ワッツ」。よほど相性が良いのだろう。サックスとの相性が良いのかと思っていたら、ピアニストのデヴィッド・キコスキーのサイドマンでのドラミングも見事なので、楽器は厭わない、アドリブ展開の自由度が広がるドラミングが良いのだろう。
Watts, Turner, Le Fleming『Misterioso』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Jeff "Tain" Watts (ds), Mark Turner (ts), Orlando Le Fleming (b)。ピアノレスのテナー1管がフロントの「ワンホーン・トリオ」。
フロント管のアドリブ展開の自由度が広がる、バックのリズム隊の力量がその成否を左右する演奏フォーマット。ピアノレス・トリオの3人が並列に並んでいるが、リーダー格はドラムのジェフ・テイン・ワッツだろう。
全編に渡って、ワッツのドラミングが映えに映えている。ポリリズミックで小粋でダイナミック、硬軟自在、緩急自在、変幻自在のドラミングは見事。特に、これだけ高テクニックが要求されるドラミングだが、重量感があって、実にソリッドでしなやか。聴いていて、全く耳に付かないどころか、ついついドラムの音を追ってしまう。
マーク・ターナーのテナーがこれまた見事。ワッツのダイナミズム溢れるドラミングを推進力として、モーダルなフレーズをバンバン吹き上げていく。ワッツのドラミングに負けない素晴らしい吹きっぷり。ピアノのコードの制限が無い分、ターナーは限りなく自由に、ネオ・モーダルなフレーズを吹くターナーに耳を奪われる。とりわけ、2曲目の「Yesterdays」は素晴らしいインタープレイの応酬。
オーランド・ル・フレミングのベースがピアノレス・トリオ全体のビートの底をしっかり押さえて、限りなく自由度の高いワッツのドラミングとターナーのテナーをしっかりと導いている。フレミングのベースはこのトリオ演奏の中で、かなり重要な役割を果たしている。
この「優れたピアノレス・トリオ」の力量に見合った「玄人好みの選曲」も実に良い。ピアノレス・トリオのパフォーマンスの成否はドラマーが握る、と思っているが、この盤では「さすが、ジェフ・テイン・ワッツ」。ジェフ・テイン・ワッツのドラミングが、素晴らしい内容の「ピアノレス・トリオ」の演奏を引き出している。
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