ユッコのデビュー10周年盤です
この10周年アルバムには3つの特徴がある。一つ目は「初の全曲オリジナル」。過去の作品で見せた優れたカヴァー演奏を封印し、全10曲すべてを自身が作曲。ソングライター・編曲家としての進化が確認できる。二つ目は「こだわりの一発録り」。ライブさながらの息の合った生々しいグルーヴがそのまま録音されている。三つ目は「新たな表現への挑戦」。ソプラノ・サックスのプレイを多く取り入れ、一部楽曲では自身によるボーカルも披露している。
Yucco Miller『Bloomin'』(写真左)。2026年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、ユッコ・ミラー (sax), 平手裕紀 (p, key), 中村ヒロキ (b), Dennis Lwabu (ds), 一彩 (taiko)。ピンクヘアーのエキセントリックなビジュアルと卓越した演奏力とのギャップが人気のジャズ・サックス奏者、ユッコ・ミラー。そんなユッコ・ミラー自身、初の全曲オリジナルとなるメジャー・デビュー10周年アルバム。
冒頭の「Miracle Shine」がこのアルバムの雰囲気、内容、出来を代表している。四つ打ちのダンサブルなアッパー・チューン。ユッコ・ミラーの愛器「YAMAHA YAS-62(初期モデル)」のポテンシャルを最大限に引き出して、とても良い音で鳴っている。まさに“踊れるジャズ”を体現する一曲。この音が、この演奏が、ユッコ・ミラーのメジャー・デビュー10周年の音である。
2曲目「Hair Style」と9曲目「Anemone」では、ユッコ・ミラー自身が作詞とボーカルを担当している。普段の超絶技巧のカッ飛びサックス・プレイとは打って変わって、空気に優しく溶け込んでいくような、柔らかい歌声が新鮮に響く。意外といっては失礼だが、このボーカルがなかなか良い感じ。フュージョン志向のボーカルとして一級品である。
3曲目「3-3-7」と8曲目「AKUJYO」では、太鼓パフォーマー・一彩(Taiko)をゲストに迎え、「和楽器×ジャズ」の融合に挑戦した楽曲。「和楽器×ジャズ」の融合については、1970年代のフリー・ジャズ畑を中心に、何枚かのアルバムの成果はあったが、近年では珍しい。お互いの限界をぶつけ合った壮絶なアンサンブルが素晴らしい。
当アルバム『Bloomin'』のサウンドは、本人曰く「トッピング全部入りのラーメン」。メジャー・デビュー10周年を迎えた彼女が「今やりたいこと」をストレートに詰め込んだ、バラエティ豊かで生々しいエネルギーに満ちたサウンドが最大の特徴である。音的にも、今までのフュージョン・ジャズ志向というより、ストレート・アヘッドな、コンテンポラリー・ジャズと評価出来る。、着実にステップアップした秀作だと僕は思う。
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