ジャズ喫茶で流したい・257
最近、ジャズ・フルートのアルバムを聴き直している。フルートって楽器、基本的にはジャズに向かないと、ずっと思ってきた。それでも、ジャズ者初心者の頃、『Opus de Jazz』のフルートを聴いて「フルートの音ってファンキーやな〜」と感じ入ったりして、フルートって、吹き手によってはジャズに向くのかな、と思って以来、幾年月。しばらく、ジャズ・フルートに拘ること無く、ジャズ盤を聴いてきた。
ボブ・ジェームスの初期のリーダー作を聴き直していて、ヒューバート・ロウズのフルートって「やっぱ、ええなあ」と感じ良った。サックスのサブ楽器としてのフルートって、ジャズではよくあるが、さすが、サブ楽器だけあって、本格的なフロント楽器とは言い難い。では、ジャズ・フルートをメインにしている、フロント楽器として成立するジャズマンって、どれくらいいたのかなあ、と思って調べ始めて、ジャズ・フルートの好盤を聴き直す様になった。
Frank Wess『Opus in Swing』(写真左)。 1956年6月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Frank Wess (fl), Kenny Burrell, Freddie Green (g), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds)。ジャケ・デザインを見たら直ぐに判る、サヴォイ・レーベルからのリリースである。1956年の録音であるが、アルバム全体の雰囲気は、ちょっとレトロな「スイング・ジャズ」。
しかし、このレトロな「スイング・ジャズ」がとても良い雰囲気。スイングするリズム隊に乗って、フランク・ウエスのフルートが唄う様に吹き進む。芯の入った、ストレートに力強く伸びたフルートのフレーズ。ウエスのフルートは、しっかりとフロント楽器として成立している。そして、ウエスのフルートは、どこか黒くてファンキー。ウエスのフルートにその黒いファンクネスが、そこはかとなく小粋に忍んでいるのが実に洒脱で、実にジャジー。
ソロ・ギターに、駆け出し新人自体のケニー・バレル、リズム・ギターに名手フレディー・グリーン。この二人のギターが抜群に聴いている。バレルのソロ・ギターはブルージーでファンキー、グリーンのリズム・ギターは小粋に躍動的でファンキー。この二人のギターが演奏全体のファンクネスな雰囲気を醸し出している。二人の小粋にファンキーなギターと、そこはかとなくファンキーなウエスのフルート。とっても「ジャズ」な演奏が小気味良い。
バリバリのハードバップでは無い、軽やかで耳に優しい「スイング・ジャズ」。しかし、ハードバップ・マナーなアレンジが、この「スイング・ジャズ」な演奏に古さを感じさせない。とても洒脱でモダンなジャズな演奏が、この盤に詰まっている。そして、この盤は、ジャズ・フルートが、やはり吹き手によって、フロント楽器として十分成立することを我々に教えてくれる。
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