ジュフリー ”ウエスタン組曲” 再聴
「アトランティックはブラック・ミュージック」というレーベル・カラーの印象は強く、ミュージシャンの多彩さ及びジャズ・ジャンルの幅広さは、ジャズ・レーベルの中でも白眉。
ジャズ・ヴォーカルから、オーネットに代表されるフリー系、レニー・トリスターノなどの実験的ジャズ、ロイドやマーカスなどのジャズ・ロック、そしてソウル・ジャズにも造詣が深い。そんなアトランティック・レコードの「実験的ジャズ」の好盤を再聴した。
Jimmy Giuffre『Western Suite』(写真左)。December 3, 1958年12月3日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Giuffre (cl, ts, bs), Jim Hall (g), Bob Brookmeyer (valve-tb)。管楽器担当のジミー・ジュフリー、ギターのジム・ホール、ボブ・ブルックマイヤーのヴァルヴ・トロンボーンの圧倒的な変則トリオで、優れたアレンジと多重録音を駆使した実験盤である。
ベースもドラムもいないんじゃ、リズムもビートも無い。スウィングする訳が無い、と決めつけられ、特に我が国のジャズ・シーンでは、どうにも評判の悪いアルバムである。
まず「ベースもドラムもいないんじゃ、リズムもビートも無い」と決めつけるのは、楽器を演奏する、ということを実体験していないが故の「大きな誤解」であって、フレーズを吹き続ける強弱、緩急、伸張で、「フレーズのうねり」により、リズム&ビートが醸し出される。グルーヴ感だってシッカリと出てくる。
よって「ベースもドラムもいないんじゃ、リズムもビートも無い」というのは誤解であって、この盤での演奏は、LP時代、B面にあった「Topsy」と「Blue Monk」、この2曲のスタンダード、このドラムレス&ベースレスのトリオで、気持ち良く趣味良く小粋にスイングしている。趣味の良いジャジーなグルーヴ感も申し分無い。
そして、LP時代のA面を占める「Western Suite」では、ジャズを演奏の基本フォーマットとした、秀逸なアレンジによる「アレンジされた」上質のインタープレイとインプロビゼーションを聴くことが出来る。直訳すると「西部組曲」。出だしの音の雰囲気が、もう、ジャケット写真が物語るように、西部劇の世界、米国西部の砂漠の世界。ジャズという演奏で、クラシックと同等の、これだけの「音の表現」を醸し出すことが出来る。
この組曲では、ジャズ演奏の「幅」を大きく広げる「アレンジされたジャズ」の可能性の大きさを提示している。即興演奏のみがジャズである、とすると、アレンジされたジャズはジャズじゃない、という図式になるが、ジャズだって、テーマ部はしっかりアレンジされていて、アドリブ部にはいって、即興演奏が展開されるのだから、全くアレンジされていないジャズ、というものは存在しない。
西部劇の世界の雰囲気がフワ〜っと広がる。そんな雰囲気が僕は大好きです。しかし、よくまあ、クラリネットとトロンボーンとギターのトリオで、これだけ、雰囲気があって、厚みがあって、深みのある演奏が出来るもんだ、と聴く度に感心する。
このアルバムが録音されたのが1958年。それから66年が経って、ジャズ演奏の歴史を俯瞰的に見渡してみると、「アレンジされたジャズ」はちゃんと残っている。「アレンジされたジャズ」もジャズである。この『Western Suite』も「アレンジされたジャズ」の初期の成果のひとつ。好盤だと思います。
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