2025年7月13日 (日曜日)

ジュフリー ”ウエスタン組曲” 再聴

「アトランティックはブラック・ミュージック」というレーベル・カラーの印象は強く、ミュージシャンの多彩さ及びジャズ・ジャンルの幅広さは、ジャズ・レーベルの中でも白眉。

ジャズ・ヴォーカルから、オーネットに代表されるフリー系、レニー・トリスターノなどの実験的ジャズ、ロイドやマーカスなどのジャズ・ロック、そしてソウル・ジャズにも造詣が深い。そんなアトランティック・レコードの「実験的ジャズ」の好盤を再聴した。

Jimmy Giuffre『Western Suite』(写真左)。December 3, 1958年12月3日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Giuffre (cl, ts, bs), Jim Hall (g), Bob Brookmeyer (valve-tb)。管楽器担当のジミー・ジュフリー、ギターのジム・ホール、ボブ・ブルックマイヤーのヴァルヴ・トロンボーンの圧倒的な変則トリオで、優れたアレンジと多重録音を駆使した実験盤である。

ベースもドラムもいないんじゃ、リズムもビートも無い。スウィングする訳が無い、と決めつけられ、特に我が国のジャズ・シーンでは、どうにも評判の悪いアルバムである。

まず「ベースもドラムもいないんじゃ、リズムもビートも無い」と決めつけるのは、楽器を演奏する、ということを実体験していないが故の「大きな誤解」であって、フレーズを吹き続ける強弱、緩急、伸張で、「フレーズのうねり」により、リズム&ビートが醸し出される。グルーヴ感だってシッカリと出てくる。
 

Jimmygiuffrewesternsuite_1

 
よって「ベースもドラムもいないんじゃ、リズムもビートも無い」というのは誤解であって、この盤での演奏は、LP時代、B面にあった「Topsy」と「Blue Monk」、この2曲のスタンダード、このドラムレス&ベースレスのトリオで、気持ち良く趣味良く小粋にスイングしている。趣味の良いジャジーなグルーヴ感も申し分無い。

そして、LP時代のA面を占める「Western Suite」では、ジャズを演奏の基本フォーマットとした、秀逸なアレンジによる「アレンジされた」上質のインタープレイとインプロビゼーションを聴くことが出来る。直訳すると「西部組曲」。出だしの音の雰囲気が、もう、ジャケット写真が物語るように、西部劇の世界、米国西部の砂漠の世界。ジャズという演奏で、クラシックと同等の、これだけの「音の表現」を醸し出すことが出来る。

この組曲では、ジャズ演奏の「幅」を大きく広げる「アレンジされたジャズ」の可能性の大きさを提示している。即興演奏のみがジャズである、とすると、アレンジされたジャズはジャズじゃない、という図式になるが、ジャズだって、テーマ部はしっかりアレンジされていて、アドリブ部にはいって、即興演奏が展開されるのだから、全くアレンジされていないジャズ、というものは存在しない。

西部劇の世界の雰囲気がフワ〜っと広がる。そんな雰囲気が僕は大好きです。しかし、よくまあ、クラリネットとトロンボーンとギターのトリオで、これだけ、雰囲気があって、厚みがあって、深みのある演奏が出来るもんだ、と聴く度に感心する。

このアルバムが録音されたのが1958年。それから66年が経って、ジャズ演奏の歴史を俯瞰的に見渡してみると、「アレンジされたジャズ」はちゃんと残っている。「アレンジされたジャズ」もジャズである。この『Western Suite』も「アレンジされたジャズ」の初期の成果のひとつ。好盤だと思います。
 
 

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2025年6月17日 (火曜日)

『Undercurrent』を聴き直す。

最近、長年愛読している雑誌「レコード・コレクターズ(以降、レココレと略す)」の特集に、ジャズ/フュージョン関連の特集が載ることが多い様な気がする。最近では、ブルーノートの100枚とか、ECMレコードの45枚、とかの特集があって、意外と興味深く読んだりした。

そして、今月発売のレココレ2025年7月号の特集は「ジャズ/フュージョン・ギターの名演 洋楽編」。正確に言うと、モダン・ジャズ、クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇の中の名盤・好盤の中で、ギターに特化して評価できるアルバムをピックアップして紹介している。

ついつい読み耽る中、これまでに当ブログで以前に記事にしたアルバムが懐かしく、ついつい、聴き直したくなった。今日のギタリストは「ジム・ホール」。

Bill Evans & Jim Hall『Undercurrent』(写真左)。1962年4月24日、5月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Jim Hall (g)。現代ジャズ・ピアノの源・ビル・エヴァンスと、プログレッシヴなギターの職人・ジム・ホールのデュオ盤である。モダン・ジャズの歴史上、最高のピアノとギターのデュオ盤である。

前にも書いたのだが、ピアノとギターは非常に良く似た楽器である。単音のみならず和音も出せる。アルペジオも出来る。弦を掻きむしることもできるし、和音を連続して弾くことで、リズム楽器としての機能を果たすことも出来る。音のスケールも似通っている。つまり、ピアノとギターはあまりに似通った楽器なので、デュオでコラボすると、音がぶつかったり、音が重なったりする。

このピアノとギターの「音がぶつかったり、音が重なったり」するのを、持ち前のハイ・テクニックで避けつつ、デュオとしてのインタープレイを展開し、上質のユニゾン&ハーモニーを醸し出さねばならない。これがかなり難度が高くて、ジャズの世界では、ピアノとギターのデュオはあまり無いのが実情。
 

Evans_hall_undercurrent

 
しかし、エヴァンスとホールの二人は、そんな難度の高いシチュエーションをいとも容易くクリアする。その奇跡的な、驚異的な演奏は、冒頭の「My Funny Valentine」に聴くことが出来る。

この「My Funny Valentine」の演奏のテンポの速さは異常である。この異常なテンポの速さの中、エバンスとホールは、限りなくテンション高く、呆れかえるほどの高度なテクニックを駆使しつつ、「音がぶつかったり、音が重なったり」するのを回避し、高速なインタープレイを展開し、上質のユニゾン&ハーモニーを叩き出す。

2曲目以降は、スローテンポからミドルテンポの演奏に終始するが、お互いに「絶妙の間」を活かした、非常にスリリングでありながら、余裕のある、優しく荘厳な内容のデュオ演奏を繰り広げる。例えば、5曲目の「Skating In Central Park」なぞ、絶品中の絶品。絶妙の間、柔らかな絡み、そして心地良い響きのユニゾン&ハーモニー。

そして、今回聴き直して、改めて感じたのは、エヴァンスとホールのデュオは「オフェンシヴ」で「ポジティヴ」。バップ・ピアノが基本のエヴァンス、バップ・ギターが基本のホール。どちらも演奏志向は「オフェンシヴ」で「ポジティヴ」。ところどころ耽美的に傾くが、それは、二人の演奏志向である「オフェンシヴ」で「ポジティヴ」を引き立てるためにある。

二人のデュオの特徴は「耽美的」にはあらず。二人のデュオの特徴は、ハイ・テクニックを前提とした「オフェンシヴ」で「ポジティヴ」なバップのインタープレイにある。この類まれなインタープレイを前提に、類まれなデュオ・パフォーマンスを繰り広げる。ジャズ・デュオ演奏の名盤中の名盤である。
 
 

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2024年11月27日 (水曜日)

ホールの「哀愁のマタドール」

結構、ハードなモダン・ジャズをシビアに聴き続けたらしく、耳がちょっと疲れた。と言うことで「耳休め」に、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの好盤を聴くことにする。今年はジャズ・レーベル毎の名盤・好盤を聴きなおすことをしているのだが、今日はその流れで「A&Mレーベル」の名盤・好盤の聴き直しを進めることにした。

Jim Hall『Commitment』(写真左)。邦題「哀愁のマタドール」。1976年6, 7月の録音。A&Mレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Jim Hall (g), Art Farmer (flh), Tommy Flanagan (p), Don Thompson (p, track 2 only), Ron Carter (b), Allan Ganley (ds), Terry Clarke (ds, track 7 only), Eroll Bennett (perc, track 3 only), Jane Hall (vo, track 5), Joan La Barbara (vo, track 3) Don Sebesky (arr, tracks 1, 3 & 8)。

ジム・ホールのギターは、繊細で透明感溢れる、しかし、力感もしっかりあって、奏でるフレーズがくっきり浮かび上がる、従来のジャズ・ギターの奏法を一歩二歩進めた、プログレッシヴなバップ・ギターである。そんなジム・ホールのギターに、アート・ファーマーの柔らかで流麗な、それでいて、しっかり芯の入ったフリューゲルホーンが良く合う。よほど相性が良いのだろう、ジム・ホールのギターとファーマーのフリューゲルホーンのユニゾン&ハーモニーは絶品である。
 

Jim-hallcommitment  

 
このアルバムは、この前年の発表された『Concierto(アランフェス協奏曲)』の大ヒットの後のアルバム。前作の代表的名演「アランフェス協奏曲」の雰囲気をそのまま踏襲した、3曲目の「Lament For A Fallen Matador(哀愁のマタドール)」が聴きもの。ジム・ホールのギターは意外に硬派なので、甘きに流れない。力感溢れるプログレッシヴなバップ・ギターが、こういった耽美的なメロディーを持つクラシックのカヴァーに向いている。「哀愁のマタドール」以外に「When I Fall In Love」「My One And Only Love」等のスタンダード曲もいい感じ。

ジム・ホール自身のお気に入りなミュージシャンを起用しての豪華なアルバムだが、この盤では、特にロン・カーターのベースが良い。当時のロンとしては珍しいことに、ピッチが合っていて、弦を弾くピチカート奏法もブンブン胴鳴りして、切れ味の良いジャジーなグルーヴを撒き散らしている。加えて、1曲目「Walk Soft」、3曲目「Lament For A Fallen Matador」、8曲目の「Indian Summer」におけるセベスキーのアレンジも良好。

A&Mレーベルのクロスオーバー&フュージョン・ジャズの名盤の一枚。イージーリスニング・ジャズ志向な演奏内容ではあるが、ジム・ホールの硬派でプログレッシヴなバップ・ギターや、アート・ファーマーのジェントルで流麗だが、意外とバップなフリューゲルホーンは、ハードバップ時代からの「純ジャズ」なパフォーマンスをしっかり維持していて、聴き応え十分。この盤、硬派でメインストリームな内容のクロスオーバー&フュージョン盤。意外と聴き応えがあって、長年の愛聴盤になってます。
 
 

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  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

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2024年1月11日 (木曜日)

隠れ名盤 Live at the Half-Note

アート・ファーマーは、ジャズ・トランペッターとしてお気に入りの一人。ジャズを聴き始めた頃から、ずっとファーマーのトランペット&フリューゲルホーンを聴いてきた。アート・ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良いトランペット」がずっとお気に入り。

Art farmer Quartet featuring Jim Hall『Live at the Half-Note』(写真左)。1963年12月、NYの「ハーフノート」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Jim Hall (g), Steve Swallow (b), Walter Perkins (ds)。このライヴでは、ファーマーはフリューゲルホーンを吹いている。フロントの相棒にジム・ホールのギター、ピアノレスの変則カルテット編成。

録音時は1963年。ハードバップをベースに、ジャズは多様化の時代に突入。純ジャズ志向としては、モード・ジャズが主流になり、エンタテインメント志向としては、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズなど、聴いて楽しいジャズが主流に、そして、新しいジャズとしては、フリー&スピリチュアル・ジャズが出現していた。

しかし、ここでのアート・ファーマーは、ハードバップを極める「志向」でパフォーマンスしている。演奏志向はあくまでハードバップ。しかし、従来のハードバップのフレーズとは違う、従来のコード進行とは違う、クールで静的な響きを持ったフレーズ展開で、当時として新しい響きのハードバップな演奏を繰り広げる。
 

Art-farmer-quartet-featuring-jim-hallliv

 
いわゆる「ジャズのライヴ演奏」と聞いて、熱いバトルチックな演奏を想起するが、このファーマー・カルテットの演奏はクールで静的。ファーマーはフリューゲルホーンを使って、流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良いフレーズを吹き上げる。しかし、そのフレーズの響きは、1950年台のハードバップのそれでは無い。それまで聴いたことのないフレーズで攻める。

おそらく、ジム・ホールの、それまでに無い新しい響きのコード進行と間を活かしたインプロに触発されたのではないか。ジム・ホールのギターは、意外と「プログレッシヴ」。従来のブルージーでジャジーな定型的な響きではない、そこはかとなく捻れて少し破調なフレーズは、今の耳にも新しい。このホールのプログレッシヴなギターがファーマーのフリューゲルホーンのフレーズを刺激する。

そして、そんなプログレッシヴな響きと間を活かしたフレーズの「底」を支えるのが、スティーヴ・スワローのベース。スワローのベースもプログレッシヴ。まるでモーダルなベースラインを弾くように、それまでに無い、新しいベースラインで、ファーマーとホールをガッチリ支える。

クールで静的な響きがメインのライヴ盤なので、一聴すると地味な印象を感じるが、じっくり繰り返し聴くうちに、それぞれの演奏の「プログレッシヴ」さを感じて、何の変哲もない、手垢の付いたハードバップ演奏なのに、滲み出てくる「新しさ」に引き付けられる。

そして、このハードバップな演奏は「只者では無い」ことに気が付く。気がついて、このライヴ盤は隅に置けない、と思う。そんな「隠れ名盤」がこの『"Live" At the Half-Note』である。
 
 

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2022年6月12日 (日曜日)

ジム・ホールの小粋なライヴ盤

最近、まだ聴いたことの無い「小粋なジャズ盤」を求めて、ネットを徘徊している。徘徊するのは、音楽のサブスク・サイト、そして、Twitter。Twitterなどでは、様々な国の様々なジャズ者の方々が、ジャズ盤の情報を挙げている。「小粋なジャズ盤」の探索条件は、まず「パーソネル」、次に「録音年」、最後に「ジャケット」。この条件にネットの評論内容を確認して、聴くアルバムをチョイスしている。

この方法で「小粋なジャズ盤」であろう、という予想を立てて盤を聴くと、まず間違いが無い。的中率は90%程度。たまに「ありゃりゃ」という失敗チョイスもあるが、それはそれでご愛嬌。特に「パーソネル」は重要で、やはり一流どころのジャズマンで固められたアルバムには「外れ」は圧倒的に少ない。

Jim Hall『Grand Slam』(写真左)。2000年1月20-22日、マサチューセッツ州ケンブリッジのチャールズホテル「レガッタバー」での録音。Telarcレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Jim Hall (g), Joe Lovano (ts, ss, al-cl), George Mraz (b), Lewis Nash (ds)。ギタリスト、ジム・ホールを中心としたグループ「グランド・スラム」のファースト盤である。

当ライヴ盤の録音時、70歳のプログレッシヴなギタリスト、ジム・ホールがリーダー。フロント管にサックスのジョー・ロヴァーノ、リズム隊に、ジョージ・ムラツのベース、ルイス・ナッシュのドラムという、ピアノレスのギター入り、フロント1管のカルテット編成。メンバーいずれも、職人芸を旨とするベテランばかりで、玄人好みのラインナップである。
 

Jim-hallgrand-slam

 
出てくる音は往年のハードバップ。ジム・ホールのプログレッシヴなギターが好調。唄う様に滑らかに、それでいてメリハリのあるアドリブ・パフォーマンスをガンガンに繰り広げる。録音当時70歳ですよ。音の芯の太さといい、切れ味の良いストロークといい、とても大ベテランの翁のパフォーマンスとは思えないダイナミックさである。

ロヴァーノのサックスも良い味を出している。クラリネットも良い感じで、演奏の主旋律をしっかりと吹き上げていて、聴いていて気持ちが良い。ロヴァーノのサックスは聴いていて「ああ、ジャズやなあ」と思わず口に出るほど、ジャジーでブルージーなサックスで、このロヴァーノのサックスが演奏全体の良いアクセントになっている。

そして、この盤ではリズム隊がかなり充実している。ムラツの重低音ベースがブンブン、ウォーキング・ベースを唸らせ、バンド全体のリズム&ビートを牽引する。そして、ナッシュの硬軟自在なドラムが、時に繊細に、時に大胆に、リズム&ビートを叩き出して行く。この優秀なリズム隊をバックにしているからこそ、ホールのギターとロヴァーノのサックスが自在にパフォーマンス出来るのだ。

我が国では人気が芳しく無いジム・ホールのギターで、ネットでもほとんどそのタイトルが挙がらないライヴ盤ですが、聴いてみると、意外や意外、硬派でメインストリームな純ジャズが展開されていて、演奏内容も充実していて、聴き応え十分。我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』では、最近発見した「小粋なジャズ盤」として、ちょくちょく聴いています。
 
 

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 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
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2020年5月17日 (日曜日)

CTIにも純ジャズ好盤がある

1970年代後半は、フュージョン・ジャズの全盛期だったと記憶するが、振り返って見ると、ジャズの全てがフュージョン・ジャズ一色に染まった訳では無い。例えば、フュージョン・ジャズの主力レーベルであるCTIレーベル。当時は電気楽器を使っているだけで、8ビートを採用しているだけで「コマーシャルなフュージョン」のレッテルを貼られていたのだが、今の耳で聴き直して見ると、イジーリスニング・ジャズっぽいが、コンテンポラリーな純ジャズな盤が結構あるのだ。

Art Farmer『Big Blues』(写真)。1978年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Jim Hall (g), Michael Moore (b), Steve Gadd (ds), Mike Mainieri (vib), David Matthews (arr)。フュージョン・ジャズの主力レーベルであるCTIレーベルからのリリース。ファーマーのトランペット、ホールのギターがフロントを張り、お洒落にヴァイブを加えた、ピアノレスなクインテット編成。実にユニークな編成である。

ハードバップ時代からの強者、トランペットのアート・ファーマーとギターのジム・ホール。フュージョン・ジャズの申し子、ドラムのスティーヴ・ガッドとヴァイブのマイク・マイニエリ。新旧の強者がガッチリ組んだ、コンテンポラリーな純ジャズの好盤である。そもそも、この面子で、どうやって「ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」をやるんだ、とも思う。
 
 
Big-blues  
 
 
聴いてみると、ファーマーのトランペットは絶対にバップだし、ホールのギターはアグレッシブではあるが、基本はメインストリーム。しかし、ファーマーのトラペットはマイルドでウォーム。ホールのギターはムーディー。明らかにフュージョン・ジャズな雰囲気に音は合わせているのだが、このハードバップ時代からの強者2人は基本的にスタイルは変えていない。変えていないどころか、以前からのスタイルで溌剌とプレイしている。良い音を出しているのだ。

このハードバップ時代からの強者2人の個性に、バックのフュージョン・ジャズの申し子、ドラムのスティーヴ・ガッドとヴァイブのマイク・マイニエリがしっかりと合わせている。ガッドのドラムは縦ノリだが、4ビート基調のドラミング。8ビートも縦ノリでスインギー。マイニエリのヴァイブはファンキー・ジャズの雰囲気を色濃く振り撒いていて、これまたスインギー。どう聴いてもフュージョン・ジャズの「ノリ」では無い。

フュージョン畑のドラムのガッド、ヴァイブのマイニエリ、ベースのムーアが、コンテンポラリーな純ジャズに適応する。CTIレーベルには、こういった「70年代のコンテンポラリーな純ジャズ」の好盤が散見されるが、今までなかなか注目を浴びることは無かった。しかし、最近、リイシューが相次ぐ様になり、1970年代後半、ジャズの全てがフュージョン・ジャズ一色に染まった訳では無かったことが明確になった。つまり「純ジャズ」は死んではいなかったのである。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて     【更新しました】2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

 ★ まだまだロックキッズ       2020.04.19更新。

  ・レッド・ツェッペリン Ⅰ

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2018年8月18日 (土曜日)

CTIレーベルからの純ジャズ盤

昨日より、いきなり涼しくなった千葉県北西部地方。やっと猛暑日から解放された。まあ、来週から、また蒸し暑さは戻るらしいが、一時でもこの涼しい状況は嬉しい限り。ホッとする。逆に、いきなり涼しくなったので、猛暑の時の疲れがドッと出たのか、今日は体調が思わしく無い。人間の体とはややこしい。

涼しくなると、ジャズを聴くのが楽しくなる。特に本格的な「純ジャズ」。硬派な熱い「純ジャズ」といきたいところだが、先に書い た様に、今日は猛暑の時の疲れが出たのか、体調が思わしく無い。硬派な熱い「純ジャズ」は、そっと避けて、ライトな純ジャズを選盤する。1970年代のクロスオーバー・ジャズの老舗レーベル、CTIレーベルからの選盤である。

Art Farmer & Jim Hall『Big Blues』(写真左)。1978年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Jim Hall (g), Michael Moore (b), Steve Gadd (ds), Mike Mainieri (vib), David Matthews (arr)。時代はフュージョン・ジャズ全盛の頃。双頭リーダーのファーマーとホールはハードバップ時代からのベテラン。バックのリズム・セクションとヴァイブは若手。
 

Big_blues

 
クロスオーバー・ジャズの老舗レーベルのCTI、純ジャズ系のアルバムも多数リリースしている。バックのリズム・セクションは、確かに電気楽器を活用した当時の流行、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズの音ではあるんだが、ビートは「4 or 8ビート」。リーダーやフロントにハードバップ時代からの強者ベテランを配し、旧来のハードバップと流行のクロスオーバー〜フュージョン・ジャズの良いところを合わせた、新しい響きの「純ジャズ」を聴かせてくれる。

この盤、フリューゲル・ホーンのファーマーとギターのホールが絶好調。実に覇気のある、ポジティブな演奏を聴かせてくれる。冒頭からの2曲「Whisper Not」「A Child Is Born」はスタンダード、ホールの小粋な自作曲をはさんで、ラストはクラシック系、ラベルの管弦楽曲「Pavane for a Dead Princes(亡き王女のためのパヴァーヌ)」のジャズアレンジ。なかなかに魅力的な演奏で、1970年代の純ジャズって、ちょっと微妙な雰囲気なんですが、この盤は例外。

バックのフュージョン系のリズム・セクションが良い。縦ノリのガッドのドラムに堅実なムーアのベース。神妙に純ジャズなフレーズを弾きまくるヴァイブは誰あろう、フュージョンの伊達男マイニエリである。この盤でのマイニエリ、実に良い。やれば出来るじゃないか。嬉しい発見である。「亡き王女のためのパヴァーヌ」のアレンジがなかなかの内容なのだが、若き日のマシューズでした。
 
 
 
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2017年10月10日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・27

さあ、今日から、我がバーチャル音楽喫茶『松和』復活です。音楽の再生環境に重大な問題が起きて、そのリカバリー対応に忙殺され、ブログが全く更新出来ませんでした。のべ3日間、再現テスト、リカバリー処理と電話で付きっきり対応。始めはこちらのハードかソフトの問題とされましたが、状況証拠を総合して、やっと先方のサーバー側の問題が濃厚となり、米国にエスカレーションされました。あとは朗報待ちです。

さて、ジャズのアルバムの聴き込みはCD中心にならざるを得ず、日頃なかなか聴き込めなかったアルバムを選択。ちょうど、1980年代前半、フュージョン系メインストリーム・ジャズなる志向を追求した「Electric Bird」レーベルのアルバムを大量に買い込んでいたので、これを順番に一気聴き中。

Jim Hall And David Matthews Orchestra『Concierto De Aranjuez』(写真)。1981年の作品。邦題は『新アランフエス協奏曲』。リーダーのギタリスト、ジム・ホールがCTIレーベルから、1975年にリリースした『CONCIERTO』(邦題・アランフェス協奏曲)の再現盤。再現盤のアレンジ担当は、当時、日本のフュージョン・レーベル御用達の「デヴィッド・マシューズ」。
 

Concierto_de_aranjuez

 
演奏の雰囲気は、フュージョン・ジャズっぽいだが、演奏の基本は「メインストリーム・ジャズ」。ソフト&メロウなフュージョンに走らず、ちょっと純ジャズっぽい雰囲気を宿した、フュージョン系メインストリーム・ジャズな音作り。フュージョン・ジャズの成果を上手く取り入れつつ、ライトな純ジャズっぽい雰囲気も漂わせて、なかなかお洒落な内容がグッド。アレンジが優秀で、ながら聴きに最適な「聴き心地」の良さ。

曲目を見ると「Red Dragon Fly(赤とんぼ)」や「El Condor Pasa(コンドルは飛んでいく)」が入っていて、アルバムのリリース当時は、この辺の曲が気恥ずかしくて、この盤を実は敬遠していた時期がある。今の耳で聴くと、アレンジがそこそこ優秀なので、ながら聴きにはあまり気にならない。といって、繰り返し聴くと、やっぱりちょっと「気恥ずかしい」感じがするのだが(笑)。

タイトルの「アランフェス協奏曲」の再現もなかなかの出来。ジム・ホールのプログレッシブな純ジャズ・ギターが実に良い雰囲気を醸し出している。真剣に聴き込むタイプのアルバムでは無いが、朝の早い時期とか夕暮れ時に、ジャズ喫茶でながら聴き風に流しておくのに良い感じのアルバムである。ながら聴きに最適ということで、これはこれでありかな、と思います。
 
 
 
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2015年2月21日 (土曜日)

小粋で洒脱なギター・トリオ盤

派手では無いが、いぶし銀の様な、小粋で洒脱なギター・トリオ盤がある。最近のお気に入り盤の一枚で、ちょくちょく引っ張り出しては聴いている。

そんな小粋で洒脱なギター・トリオ盤とは、The Modest Jazz Trio『Good Friday Blues』(写真左)。トリオ名の「Modest」の意味は「謙遜深い、地味な、控えめな」といったもの。ちなみに具体的なパーソネルは、Jim Hall (g),  Red Kelly (b), Red Mitchell (p)。1960年4月の録音になる。

パーソネルを見渡してみると、不思議なことに気が付く。ベーシストと認識していたレッド・ミッチェルがピアノを弾いてるのだ。どうも、元々はピアノストだったとのこと。後にベーシストに転向したのだとか。しかし、このレッド・ミッチェルのピアノがとても味がある、モダンなピアノなのだ。

ドラム無しのトリオ編成。ドラムが無いと、これだけ控えめながら小粋で洒脱なジャズになるんだなあ、と変に感心してしまう。アルバム全体の雰囲気はジャズ・ブルース。シンプルではあるが攻撃的なホールのギターに、ケリーのベースとミッチェルのピアノが効果的に絡んで、実に雰囲気あるモダン・ジャズな演奏に仕上がっているのだ。
 

Good_friday_blues

 
米国西海岸ジャズの名手3人のドラムレス・トリオ。ほど良く抑制が効いて、それぞれのアドリブ・ソロはシンプルではあるがテクニック優秀、ブルージーな歌心がしっかりと漂い、適度にリラックスしているところが実に好ましい。こういうジャズを「小粋なジャズ」と言うんでしょうね。

収録された曲もなかなか洒落た曲ばかりで、スタンダード曲も実に渋い選曲。さすがにトリオ名が「The Modest Jazz Trio」。選曲自体が「謙遜深い、地味な、控えめな」曲ばかりなんですが、これがこのトリオの手にかかると、味なアレンジと相まって、実にアーティスティックな演奏に仕上がるのですから、不思議なもんです。

決して有名盤ではありません。ジム・ホールの紹介コーナーでも、代表盤の中には入らないでしょう。でも、これ好盤です。とにかくアルバム全編に渡って、テクニックに優れ、アレンジに優れ、その上に「抑制の効いた、小粋で洒脱な」なソロが展開されるのだ。

「なぜ水辺に鳥なのか」。米国西海岸ジャズの有名レーベルである「パシフィック・レーベル」に良くある、意味の分からないジャケットがちょっと玉に瑕ですが、小粋で洒脱な内容に免じて大目に見ましょう。良いアルバムです。
 
 
 
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2014年10月14日 (火曜日)

初リーダー作でプログレッシブ

ジム・ホールは、相当に個性的なジャズ・ギタリスト。1930年12月生まれ、昨年2013年12月没。満83歳であった。1930年生まれなので、ビ・バップからハードバップの真っ只中に、ミュージシャンとしての若き日を過ごしたことになる。

初のリーダー作が、Jim Hall『Jazz Guiter』(写真左)。1957年1月、ロスでの録音。米国西海岸ジャズとしての録音になる。ちなみにパーソネルは、Jim Hall (g), Carl Perkins (p), Red Mitchell (b)。西海岸のベースの名手レッド・ミッチェルを擁したドラムレスなギター・トリオ(後年ラリー・バンカーのドラムがオーバーダブされた)。

ジム・ホールのギターには甘さが全く無い。ジャズ・ギターでは滑らかでムーディーなフレーズを旨とするスタイルも多々あるのだが、ジム・ホールのギターについては、滑らかでムーディーなフレーズとは全く無縁。ホールは、独特のパキパキと単音で硬質で野太い暖かい音で、滑らかなアドリブ・フレーズを弾き進めていく。

この『Jazz Guiter』というアルバムは、ジム・ホールの初リーダー作であるからして、ジム・ホールのギターの個性は、若かりし頃、このデビュー盤のリリース時は27歳の頃から、独特のパキパキと単音で硬質で野太い暖かい音だった訳。間を活かした枯れた味わいも漂うところなぞ、かなり感覚的には老成していた感もある。
 

Jim_hall_jazz_guiter

 
ホールのギターは、独特のパキパキと単音で硬質で野太い暖かい音でありながら、とても気持ち良くスイングする。リズム・キープに回った時も、アドリブ・フレーズを弾き進める時も、ホールのギターはとても気持ち良くスイングする。この気持ち良いスイング感が、ホールの「二つ目の」独特の個性である。

曲もオリジナルは無く、スタンダード・ナンバー・オンリーで、ドラムレスなギター・トリオで弾きまくる。スタンダード曲ばかりの構成なので、とりわけホールのギターの個性が良く判る。原曲のコード進行を上手く活かしたアドリブ・ラインなどは、ホールのギターが意外とオーソドックスなのが判って面白い。

滑らかでムーディーなフレーズに流れがちなジャズ・ギターの中で、このホールの独特のパキパキと単音で硬質で野太い暖かい音は、突出して個性的。これだけパキパキと硬質なジャズ・ギターの音色は他に無い。そして、硬質なのにスインギー。1957年のこのデビュー盤『Jazz Guiter』にして、ホールのギターはプログレッシブですらある。

しかし、アルバム・ジャケットのホールの写真を見て常に思う。ホールは若くして「老成していた」。この風貌を見れば、誰も27歳とは思わないだろう。ホールの間を活かした枯れた味わいも漂うところは、この風貌からくる個性なのかもしれない(笑)。
 
 
 
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