ジム・ホールの ”ベルリン”名盤
このところ、ジャズの「エヴァーグリーンな」名盤・好盤が再リマスタリングされてリイシューされている。CDが普及していく過程で、CD化する際にリマスタリングする時に何か問題があって、CD化したにも関わらず、音質が良くない名盤・好盤が散見されたのは残念なことだった。
それから、21世紀に入って、デジタル録音・記録の技術が飛躍的に進歩し、リマスタリングをやり直して再リイシューする名盤・好盤が出てくる様になった。当然、ウエルカムである。
Jim Hall『It's Nice to Be with You: Jim Hall in Berlin』(写真左)。1969年6月27&28日、西ドイツ、ベルリンの「Teldec Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Jim Hall (g), Jimmy Woode (b), Daniel Humair (ds)。燻し銀ギタリストのジム・ホールlが、1969年の欧州ツアー中に録音し、 MPSレーベルからリリースしたアルバム。
シングル・トーンで味のあるフレーズ。地味なようで、ツボを押さえたアドリブ。アドリブ・フレーズは、意外とプログレッシブで展開に思わず聴き耳を立ててしまう。そんな、玄人の玄人による玄人の為のギター、それが、ジム・ホールのギター。
そんなジム・ホールのギターの良さをしっかり記録した好盤がこの『It's Nice to Be with You』。最初、このアルバムを聴いたのはLP時代。初めて聴いたときは、なんだか地味でパッとしない、音も籠もった様な温和しいギターで「なんだ、このギターは、たいしたことないな」なんて思ってしまった。
が、CDリイシューされた時、地味でパッとしない、音も籠もった様な温和しいギターに聴こえるが、これはそもそも録音が悪いんじゃないか、加えて、マスタリングが悪いんじゃないか、と思い始めた。もう一度、リマスタリングして、再リイシューされないかしら、と思っていたら、やっと「出た」。
今回の、再リイシューされた、再リマスタリングされた音源でしっかり耳を傾けると、そのフレーズは実にエグい。当時として「プログレッシヴ」という形容がピッタリな、純ジャズ志向の正統派ジャズ・ギターだということに気付く。しかも聴けば聴くほどに「深みとコク」が出てくる。そして、どこかブルージーでファンキーな雰囲気が漂う。
冒頭の「Up, Up and Away」を聴けば、音質が向上したことが判る。明らかに躍動感が増したし、トリオの楽器の音の分離が良くなった。最良とまではいかないが、干渉に耐える音質になったのは確か。熱い熱いギターがスピーカーから流れてくる。ジム・ホールのプログレッシヴでオフェンシヴなギターが明確になる。
ベースのウッドもドラムスのヒューマイヤーはマイナーな存在。ベルリン界隈のローカル・ミュージシャンなんだが、音質が改善されて、この2人、なかなか健闘していることが良く判る。図太いベースライン、繊細でかつダイナミックで多彩なドラミング。このバックの2人が、ホールのギターアドリブを盛り上げ、映えに映えさせる。
今回の再リマスタリングのお陰で、まずまず鑑賞に耐える音質になったと思う。喜ばしいこと。でも、これ以上の音質向上は望めない様な、音に「改善のノリしろ」が少ない様な音。恐らく、MPSの録音自体が良く無かったのだろうか。それもして、ジム・ホールのギターはプログレッシヴ。パット・メセニーが敬愛するのも良く判る。
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