現代ジャズの最新形の1つである
ジェラルド・クレイトン(Gerald Clayton)はオランダの出身。1984年生まれ。2006年のセロニアス・モンク・ジャズ・ピアノ・コンペティションでは堂々の2位。クラーク・テリー、ラッセル・マローン、ロイ・ハーグローブなどと共演。アレンジャー&プロデュースなど、多彩な才能を持つ、今年で38歳の現代ジャズの中堅を担う優れたピアニストの1人である。
Gerald Clayton『Bells On Sand』(写真左)。2022年3月、ブルーノートからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gerald Clayton (p, or,rhodes, vib), John Clayton (b), Justin Brown (ds), Charles Lloyd (ts, #9), MARO (vo, #3, 7)。伝統的でメインストリームなジャズの響きがしっかり「底」にある、理知的で耽美的な現代のコンテンポラリーな純ジャズ。
基本は、ピアノのジェラルド・クレイトンをリーダーとした、ジョン・クレイトンのベース、ジャスティン・ブラウンのドラムの「ピアノ・トリオ」編成。そこに、チャールズ・ロイドのテナー・サックスとMAROのボーカルがゲストで1曲ずつ参加している。収録曲は全てジェラルド・クレイトンのオリジナル。ちなみにベースのジョン・クレイトンはジェラルドの父君である。
ピアノはリリカルで耽美的、系統としては「エヴァンス派」もしくは「メルドー派」。特にこのアルバムでは「耽美的」な響きに満ちている。弾き上げるフレーズは「モード」が基本。決して、バップなピアノでは無い。幽玄に、漂う様に、流麗に、リリカルに、深いエコーの効いたピアノのフレーズが流れていく。ヴィブラフォンやローズの響きがそのピアノの響きを更に豊かにさせる。この静的なスピリチュアルな響きが堪らない。
とても「思慮深い」音世界。音の1音1音、演奏の隅々まで、しっかりと「考え尽くされた」音世界。トリオ編成でありながら、厚みのあるユニゾン&ハーモニー。流れるが如く、流麗に弾き進められるモーダルなフレーズ。エレクトリニクスを活かした、現代の新しい響きを宿したジャジーなグルーヴ感。美しくグルーヴィーな、理知的で耽美的な「静的なスピリチュアル・ジャズ」。
旧来のジャズの「発展形」だけでは無い、今までに無い「新しい何か」を織り込んで、新しい雰囲気のジャズを聴かせてくれる、理知的で洗練された、とても美しいピアノを弾くジェラルド・クレイトン。この最新作には、現代ジャズの最新形のひとつがしっかりと記録されている。将来の「名盤」だろう。
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