2023年8月16日 (水曜日)

軽快で聴き易いオルガン・ジャズ

4100番台はもう15年程前に「聴く」ことについて、つまりアルバムの蒐集についてはコンプリートしているのだが、当ブログでの「感想記事」についてはコンプリートしていない。現在、せっせと「記事」の落ち穂拾いをしているのだが、ブルーノートの4100番台の「記事」の落ち穂拾いも「あと8枚」。あと8枚で、当ブログの「記事化」のコンプリートである。

Big John Patton『Oh Baby!』(写真左)。1965年3月8日の録音。ブルーノートの4192番。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Blue Mitchell (tp), Harold Vick (ts), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。オルガンのジョン・パットンがリーダー、ミッチェルのトランペット、ヴィックのテナーがフロント2管、グリーンのギター、そして、ディクソンのドラム。パットンがオルガンでベースの役割も兼ねるので、ベースレスのクインテット編成。

ビッグ・ジョン・パットンの4枚目のリーダー作になる。ジョン・パットンはデビュー盤以来、1960年代はブルーノートのハウス・オルガニストの位置づけ。リーダー作は全てブルーノートから、サイドマンとしては、アルト・サックスのルー・ドナルドソン、ギターのグラント・グリーンに絞って参加している。
 

Big-john-pattonoh-baby

 
ジョン・パットンのオルガンは、従来のファンクネスだだ漏れのネチっこいオルガンでは無く、軽快でテクニカル。この盤では、パットン・グリーン・ディクソンのオルガン・リズム隊が、軽快なファンクネスとソウルフルが疾走するかの如く、
ライトで乾いたグルーヴ感を醸し出していて、このジャズの多様化の時代、聴き易いソウルフルなオルガン・ジャズのお手本の様な内容。いわゆる「ながら」の如く、気楽に聴かせるオルガン・ジャズなのだ。

そこに、演奏の旋律をハッキリくっきりする様、ブルージー&ファンキーなトランペットのミッチェルと、ジャズとR&Bを股にかけるソウルフルなテナーのヴィックが効果的に吹きまくる。アドリブ展開もこのフロント2管が良いアクセントとなって、全編通して、オルガン・ジャズとしてマンネリに陥ることは無い。あっという間に聴き切ってしまう。

グリーンのギターのバッキングは絶妙。ディクソンのドラミングは軽快でファンキー。ちなみに、パットンのオルガンに派手な仰々しさが無いのは、レスリー・スピーカーを使用していないからだろう。このライトで乾いたグルーヴ感満載のオルガンがパットンの身上。オルガン特有の「コッテコテ」な雰囲気は皆無。ジャズロック志向でまとめられた好盤です。
 
 

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2023年7月19日 (水曜日)

スマートなオルガン・ジャズ。

ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。1500番台から、4000番台、4100番台、4200番台と、カタログを見渡せば、要所要所のオルガン・ジャズ盤が存在する。しかも、ジャズ・オルガニストのメンバーが豊富。ジミー・スミスばかりがクローズアップされるが、他にパットン、フェイス、ローチ、マクグリフ、スミス、ウィルソンなど、オルガニストを多く抱えている。

"Big" John Patton『The Way I Feel』(写真左)。1964年6月19日の録音。ブルーノートの4174番。ちなみにパーソネルは、"Big" John Patton (org), Richard Williams (tp), Fred Jackson (ts, bs), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。明らかにファンキーなハモンド・オルガン奏者、ジョン・パットンのリーダー作第3弾。

1960年代、ブルーノートのハウス・オルガニストとして多くのソウル・ジャズ盤に参加したジョン・パットン。このリーダー作第3弾では、初リーダー作以来のフレッド・ジャクソン、初リーダー作からずっとのグラント・グリーンの参加で、この盤も、おおよそ「ソウル・ジャズ」志向であることが判る。 
 

Big-john-pattonthe-way-i-feel

 
全体を見渡すと、とても聴き易いファンキー&ソウル・ジャズ。全曲がパットンの自作曲で占められている。弾き易かったのだろうか。前2作に比べて、スイング感とファンクネスは軽め、どこか洗練されたスマートな弾き回しと、ポップで親しみ易いフレーズがこの番の特徴。各曲、突出した個性は無いが、一様にポップで親しみのあるファンキー&ソウル・ジャズが展開される。

冒頭の「The Rock」のソウルフルでエモーショナルで雰囲気に思わずグッとくる。ウィリアムス~パットン~ジャクソンが繰り出す、ファンキー&ソウルなソロがたまらなくエモい。ホーン2本を抜いて、オルガン、ギター、ドラムのトリオで演奏した4曲目「Davene」がスマートで「粋」。ファンクネスを湛え、ライトでソウルフルなフレーズをオルガンとギターが繰り出す。

有名なスタンダード曲が無いので、どこか掴みどころの無い、ちょっと地味な印象の盤という向きもあるが、その分、明らかにファンキーなハモンド・オルガン奏者、ジョン・パットンの持つ、本来の個性を堪能することが出来る好盤だと思う。ゆったりとしたファンキーでソウルフルな雰囲気が堪らない。良い雰囲気のオルガン・ジャズ。
 
 

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2022年9月18日 (日曜日)

ジョン・パットンの初リーダー作

ビッグ・ジョン・パットン(Big John Patton)こと、ジョン・パットン(John Patton)。1935年、米国カンサスシティ生まれ。ハードバップ、および、ソウル・ジャズで活躍したオルガニスト。基本的に、1960年代、ブルーノートのハウス・オルガニスト的存在だった。リーダー作も多く、他のセッションにも結構な数、参加している。

ジョン・パットンのオルガンは、エモーショナルだが、癖が無く、シンプル&ストレート。1950年代のブルーノートのハウス・オルガニストは、かのジミー・スミスであったが、ジミー・スミスのオルガンは、とにかく個性的。レスリー・スピーカーを駆使して、音を増幅して、ダイナミック、かつ、大仰な表現でオフェンシブにガンガン弾くんだが、ジョン・パットンのオルガンはその「逆」と考えて良いだろう。

Big John Patton『Along Came John』(写真左)。1963年4月5日の録音。ブルーノートの4130番。ちなみにパーソネルは、John Patton (org), Fred Jackson, Harold Vick (ts), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。一昨日ご紹介したお蔵入り盤『Blue John』より前の録音。ジョン・パットンの初リーダー作である。

収録曲を見渡すと、全6曲中、スタンダード曲は「I'll Never Be Free」の1曲のみ。3曲が、ドラムのベン・ディクソンの作、残りの2曲がパットン作。ジョン・パットンのオルガンの個性が判り易くなる様に、バンド・メンバーの曲でほとんどを占めている。
 

Big-john-pattonalong-came-john

 
これが大正解で、有名スタンダード曲をオルガンでやると、どこか、イージー・リスニング風に聴こえる時がある。特に、パットンのオルガンの様な、癖が無く、シンプル&ストレートなオルガンは誤解される危険性がある。

バンド・メンバーの自作曲をメインに、気心しれたメンバーで、リラックスして楽しげに、パットンはオルガンを弾き進めている。癖が無く、シンプル&ストレートなオルガンだが、エモーショナルな表現に長けていて、決して単調にはならない。ファンクネスも適量で、オーバー・ファンクな表現に偏ることも無い。実に趣味の良い、小粋なオルガンである。

ギターにグラント・グリーン、ドラムにベン・ディクソン、気心知れた仲間の様なメンバーがパットンのオルガンにピッタリ合ったパフォーマンスを供給する。フレッド・ジャクソンとハロルド・ヴィックという、ちょっと癖のあるテナー奏者が個性的なブロウを披露していて、パットンの癖が無く、シンプル&ストレートなオルガンとの対比が面白い効果を出している。

アルバム全体の印象は「真摯で硬派な」オルガン・ジャズ。オルガン・ジャズが陥り易い、イージーリスニング・ジャズ風な演奏を極力避けているような、エンターテイメント性を排除したファンキー・ジャズといった面持ちは、ジョン・パットンは硬派で実直な、純ジャズ志向のオルガニストであることを感じさせてくれる。
 
 

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2022年9月16日 (金曜日)

ジョン・パットンのお蔵入り盤

最近、やっと、オルガン・ジャズ盤については、「聴き直し」のフェーズに入っている。そもそも、アルバムというのは期間をおいて、複数回、聴くのが、僕自身の「習わし」。短期間に集中して聴くと、その時の「ジャズ耳」の感覚だけで判断するので、ちょっと偏った印象になる。自らの「ジャズ耳」も年齢と共に成熟していくので、10年位おいて、再度、聴き込むのが、良い塩梅だと思っている。

Big John Patton『Blue John』(写真左)。1963年7月11日と8月2日の録音。ブルーノートの 4143番。ちなみにパーソネルは、John Patton (org), Tommy Turrentine (tp), George Braith (ss, stritch), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。カタログ番号まで割り振りされながら、録音当時はリリースされず、1986年になって、やっと日の目をみている。ブルーノートお得意の、なぜか「お蔵入り」盤である。

ジョン・パットンのオルガンは、ストレートな音でシンプルな弾き回し。ジミー・スミスの様に、ダイナミックに派手派手しく、どファンキーに弾くオルガンとは「正反対」の音。但し、オルガン独特の音が、嫌が応にもファンクネスを振り撒き、ストレートな音はアドリブ・フレーズの弾き回しがクッキリと浮き出る感じで、聴いていて何だか「スッとする」。
 

Big-john-pattonblue-john

 
そんなジョン・パットンのオルガンがバックに回ると、これがまた、ファンキーで伴奏上手なオルガンに早変わり。そんな伴奏上手なオルガンをバックに、ちょっと捻れて癖のあるジョージ・ブライスのサックスが、とても良い感じで吹き進めていく。そして、ファンクネスだだ漏れのシングルトーンなグリーンのギターが、演奏全体のファンクネスを増幅する。ディクソンのドラムは、そんなフロントの曲者達に、正確なリズム&ビートを供給して盛り立てる。

ジョン・パットンとオルガンとグラント・グリーンのギターが、ちょっと薄めの「こってこてなファンクネス」を供給しているのと、あまりに個性的なブライスのサックスがあるので、イージーリズニング・ジャズ風にはならないが、アルバム全体の印象は「ポップ」。このポップな軽さが、ちょっとブルーノートには合わなかったかなあ、とも思う。

演奏の内容は決して悪く無い。ブライスのサックスの好き嫌いはあると思うが、グラント・グリーンのギターが、ブライスの破天荒な音を、しっかりと「締めて」いるので、あまりブライスの個性的過ぎるサックスは耳に付かない。それでも、当時のブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、この盤を「お蔵入り」にした。あの世に行って、ライオンに会えたら、その理由をしっかり訊いてみたい。
 
 

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2019年8月30日 (金曜日)

おどろおどろしいジャケ・2

ブルーノートのジャケット・デザインのアート性は非常に高く評価されているのだが、4300番台には「これはなんだ」と首を傾げる凄まじいデザインのジャケットがある。昨日語った、ブルーノートの4300番台の「おどろおどろしい」ジャケット・デザイン。結構な数があるので、どんどん挙げていきますよ。

John Patton『Accent on The Blues』(写真)。ブルーノートの4340番。1969年8月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Marvin Cabell (ts, fl), James Blood Ulmer (g), Leroy Williams (ds)。後のアブストラクトでスビリチュアルなエレギで有名となった、ジェームス・ブラッド・ウルマーが参加している。ちょっと「ビックリ」。

まずは合成写真を使った、思いっ切りサイケデリックで、おどろおどろしいジャケットを探していこう。このジャケットも相当「きている」。中身はジャズである。オルガン・ジャズである。タイトルからブルースをメインにした曲選択をしている筈だ。なのに何故、こんなジャケットを選定するのか。まず、ぱっと見、何のアルバムか判らない。辛うじて、サイケなソウル・ミュージックかなあと思うくらい。
 

Accent-on-the-blues

 
しかし、中身は正統なオルガン・ジャズ。ちょうどハードバップ時代後期のしっかりと成熟したファンキー・ジャズな雰囲気がアルバム全体を包む。しかもメインは「ブルース風の曲」。決してポップには傾かない、しっかりと純ジャズの雰囲気を維持した、ちょっとライトで聴き易いトーンの演奏がズラリと並ぶ。4300番台にありながら、決してポップに傾いていないところがこの盤のユニークなところ。

パットンのオルガンは柔らかい温和な音。ジャズ・オルガンの最高峰、ジミー・スミスの様な切れ味良く攻撃的なフレーズは全く聴くことが出来ない。恐らく、後発のパットンはジミー・スミスのオルガンと比較されることを未然に避けたのはないか、と思われる。テクニックは確かだが、決して激情に身を任せず、切れ味を前面に出さない、柔らかくてエッジの角が取れたオルガンの音。これがパットンのオルガンだ。

そんなパットンのオルガンの傾向が、このアルバムで演奏されるブルース曲を通して、十分に確認出来る。ウルマーのギターも後の個性の片鱗を聴かせてくれていて、実にユニーク。演奏全体の雰囲気はハードバップ後期のファンキー・ジャズで、時代が進んでいる分、アーバンな雰囲気が色濃く漂う。おどろおどろしいジャケットだけど、中身はメインストリーム・ジャズ。意外と好盤です。
 
 
 
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2019年4月27日 (土曜日)

メインのオルガンが控えめに響く

ブルーノート・レーベルの4300番台は、1968年〜1972年の間のリリースなので、ジャズのポップス化の影響をモロに受けた時代だと思う。アルバムの内容についても、演奏スタイルとしてはハードバップがメインなのだが、雰囲気がポップなものが散見される。ということで、内容的にちょっと俗っぽくなっている。

John Patton『Understanding』(写真左)。ブルーノートの4306番。1968年10月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Harold Alexander (ts, fl), John Patton (org), Hugh Walker (ds)。ジョン・パットンがオルガンとベースを担当した、典型的なオルガン・トリオの演奏である。ちなみに、ジョン・パットン以外の2人については僕はあまり良く知らない。
 
ジョン・パットンは1935年生まれ。このアルバムを録音した時は33歳。ジャズ界ではまだ若手レベル。オルガンの演奏の若々しい。アーシーなグルーヴ感が適度に織り込まれていて、ファンクネスの度合いも適度。アドリブ・フレーズにはモーダルな展開が見え隠れして、ジャズ・オルガンとしては新しい類の響きがする。
 
 
Understanding-john-patton  
 
 
リーダーのジョン・パットンはモーダルなフレーズをメインに、時々フリーキーな面を見せつつ、比較的オーソドックスにプレイに終始している。オーソドックスなプレイもどこかポップに迎合した様な、判り易くポップな演奏が時々顔を出す。軽音楽的なイージーリスニングに陥り易い、危ういポップなアレンジが施されている。

そんなアレンジに中でも、パットンのオルガンのフレーズは惑うことが無い。紡ぎ出されるフレーズの力強さと繊細さの両立が実に頼もしい。パットンのオルガンとヒュー・ウォーカーのドラムとの相性が良い。ウォーカーのドラミングが、ソウルフルなオルガン・ジャズの躍動感を増幅している。
 
リーダーのオルガンがやや控えめに響く、ポップに傾いたモーダルなオルガン・ジャズ。ギリギリ純ジャズの印象を留めているので、決して飽きは来ない。但し、ファンクネスはその分、控えめになっており聴き易い。ジャケットのデザインだけが平凡で実に惜しい。
 
 
 
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2018年2月 1日 (木曜日)

安心安定なオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。知る人ぞ知る話なんだが、内容的に優れた盤が多く存在する。さすがはブルーノートで、こってこてファンキーなノリノリ・ジャズだけでは終わらない。どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分がある。これによって、アルバム全体が引き締まり、飽きることが無い。これが良い。

そんなブルーノートのオルガン・ジャズの一枚がこれ。 Big John Patton『Let 'Em Roll』(写真左)。1965年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Bobby Hutcherson (vib), Grant Green (g), Otis Finch (ds)。まだまだ、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが関与している。アルバム全体がカッチリまとまっている。

ジョン・パットンのオルガンは「明らかにファンキーなハモンド・オルガン」な音。太くて丸く、くすんで伸びのある音色。ファンキーでソウルフルであるが、どこか抑制されていて、どこか品の良いところがある、整ったフレーズ。とっても適度でファンキーなオルガンである。破綻が無く、荒れたところが無いところが、実にブルーノートらしい。
 

Let_em_roll

 
そんなジョン・パットンのオルガンに、これまた、こってこてジャジーでファンキーなグラント・グリーンのギターが絡む。太いソリッドなシングル・トーンがオルガンのトーンに良く合う。ユニゾン&ハーモニーが実にファンキーで躍動的。太くて躍動感溢れるグラント・グリーンのギターは、オルガン・ジャズに良く似合う。ファンクネスが増幅される。

そして、この盤において「インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分」の担い手は、ヴァイブのボビー・ハッチャーソン。ハッチャーソンのヴァイブは思索的で知的。オルガンやギターのホットな躍動感の中に、スッと切れ込むヴァイブのクールな躍動感が実にアーティスティック。ハッチャーソンのヴァイブが、アルバムに詰まったホットなファンクネスをクールダウンさせ、芳しいインテリジェンスを漂わせる。

徹底したオフビートのフィンチのドラムもこの盤の雰囲気にピッタリ。無理に煽ることなく、堅実に的確にビートを供給する。赤が基調のとってもファンキーなジャケット・デザインもこの盤の「ウリ」。破綻なく、適度なファンネスを漂わせ、どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックなオルガン・ジャズ。安心安定の一枚です。
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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