インプロバイザーなタウナーです
1977年から1981年にかけてのリリース。キース・ジャレット、パット・メセニー、チック・コリアといったスターたちの歴史的名盤を生み出し、レーベルの代名詞である「静寂の次に美しい音楽」という世界観を完璧に決定づけた、ECM Recordsのカタログ番号1101〜1199(1100番台)。今日はそのECM1121番。
Ralph Towner『Batik』(写真左)。1978年1月、オスロの「Talent Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Ralph Towner (12-string guitar, classical-g, p), Eddie Gómez (b), Jack DeJohnette (ds)。アコースティック・ギターの透明感あふれる響きとパフォーマンス、卓越したリズム隊による即興演奏とが融合した、「ECMのサウンド」を代表する好盤の一枚。
ECM御用達、ECMのハウスギタリストの一人、ラルフ・タウナーの繊細かつ耽美的なアコギとピアノに対し、ジャズ界屈指の実力派リズム・セクションの担い手、ベースのエディ・ゴメスと、ドラムのジャック・デジョネットを迎えた、変則的なピアノレス・トリオ(一部の曲でタウナーがピアノを演奏)で録音されている。特に、米国東海岸ジャズがメインのエディ・ゴメスの参加が目を引く。
このアルバムの「静謐感とダイナミズム」は半端ない。ECM特有の「透明感のある美しい響き」をベースにしつつも、ディジョネットの躍動的でポリリズミックなドラミングと、ゴメスのゴリッとした強靭な骨太ベースが絡み合うことで、単なるヒーリング・ミュージック志向なニュー・ジャズに留まらない、欧州的で正統派硬派で、スリリングなジャズの即興性を生み出している。
タウナーの唯一無二の「12弦ギター」によるパーカッシブなアプローチが見事。ギター自体を打楽器のように激しく鳴らすことで、強靱なリズム隊と呼応して、トリオのグルーヴを先導している。そして、タウナーな優秀なピアニストでもある。この盤では、「ピアニスト」としてのタウナーの深化を感じることができる。タウナーの弾く叙情的なピアノと伝説的ベーシストのゴメスとが対話する瞬間は、贅沢な聴きどころである。
「Batik(バティック)」とはインドネシアなどの伝統的な「ろうけつ染め(更紗)」の意。その名の通り、音が幾重にも織り重なり、美しい模様を描き出すような芸術的な世界観が表現されている。そして、この盤には「ECM的アグレッシブさ」=ストレートなジャズの即興のスリルに溢れている。インプロバイザーとしてのタウナーをとことん楽しめる。
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