ジャズ喫茶で流したい・248
「小粋なジャズ」盤を探索していたら、アーネット・コブ(Arnett Cobb)の名にぶち当たった。久しく、このテナーマンの名前を忘れていた。コブは1918年8月生まれ、米国テキサス州出身のテナーマン。1989年3月、70歳で鬼籍に入っている。ファンキーで渋い、スイング・スタイルがメインの、歌心溢れるモダンなテナーを吹くところが個性。その存在は地味ではあるが、聴けば「ファンネス溢れる、スインギーで小粋な」優れたテナーであることがよく判る。
Arnett Cobb『Smooth Sailing』(写真左)。1959年2月27日、Hackensack, NJの「Van Gelder Studio」での録音。プレスティッジ・レーベルからのリリースで、PRLP 7184番。ちなみにパーソネルは、Arnett Cobb (ts), Buster Cooper (tb), Austin Mitchell (org), George Duvivier (b), Osie Johnson (ds)。
リーダーのコブのテナーとクーパーのトロンボーンがフロント2管、ピアノの代わりにオルガンを採用、ここではオルガンがベースも兼ねず、オルガン+ベース+ドラムがリズム・セクションのクインテット編成になる。テナーのフロント管のパートナーがトロンボーン、そして、リズム・セクションには、ピアノの代わりにオルガンが入るという、こってこてファンクネス滴るクインテット編成になっている。
フロント管にトロンボーン、ピアノの代わりにオルガン、なので、こってこてファンキーなジャズが展開されることが想像に難くない訳だが、この盤はその期待通り、こってこてファンキーな、少しスイングが入った、オールドスタイルなハードバップが展開されている。情感溢れるスインギーでグルーヴィーなコブのテナーのフレーズが絶品である。
特にバラードやスロー&ミッドテンポなブルースのコブのテナーの吹き回しが実に「小粋」。特に突出したテクニックがある訳では無く、速吹きやフリーキーな、当時流行の吹き回しについては「まったく無縁」。悠然と朗々と、スインギーでグルーヴィーなテナーを吹いていくコブは魅力満点。ああ、これがジャズなんやな〜、なんて、しみじみ思ってしまうブルージーでジャジーなフレーズにドップリ填まってしまう。
ファンキーでスインギーでオールドスタイルなテナーにはオルガンが良く似合う。この盤、このオルガンが入っているところが「ミソ」で、独特のファンクネスとグルーヴ感を醸し出している。何故か程良く抑制されたテナーとトロンボーンに、オルガンの音色がよく合う。プレスティッジには珍しく、丁寧な仕上がりになっていて、聴き応えがある。録音もヴァンゲルダー印でグッド。隠れ名盤です。
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