ロンの”Yellow & Green”に思う
順調にCTIレーベルのカタログの記事化コンプリートに向けた、再聴き&初聴きを進めている。聴いていると感じるんだが、CTIレーベルって、クロスオーバー&フュージョンの老舗レーベル、フュージョンの権化レーベルとして、硬派なジャズ者の方々からは敬遠されているが、どうして、今の耳で聴くと、やっぱり「1970年代のジャズ」をしっかり記録した、優れたレーベルだと思うのだ。
Ron Carter『Yellow & Green』(写真左)。1976年5月の録音。CTIの6064番。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b, piccolo-b, cowbell, tambourine), Kenny Barron (p :track 1, 5 & 6), Don Grolnick (p, el-p :track 2 & 4), Hugh McCracken (g, harmonica :tracks 1, 2, 4 & 5), Billy Cobham (ds :tracks 1, 2, 4 & 5), Ben Riley (ds :track 6), Dom Um Romão (per :tracks 2 & 5)。ベースのレジェンド、ロン・カーターのリーダー作。
内容については、簡単に言うと、イージーリスニング志向のクロスオーバー&フュージョン盤。内容的に「ソフト&メロウ」というフュージョン・ジャズの雰囲気要素が入ってきている。ケニー・バロンが「アコースティック」鍵盤楽器担当、ドン・グロルニックは「エレクトリック」鍵盤楽器担当、どちらの演奏も、上質な1970年代半ばの、クロスオーバーからフュージョンへの移行期のしっかり記録されている。
特に、若きケニー・バロンがアコピを担当する楽曲は、1970年代の純ジャズ志向のコンテンポラリー・ジャズとして楽しむ事が出来る。ロンのベースとコブハムのドラムが醸し出す8ビートのジャジーなリズム&ビートに乗ったバロンのアコピは、意外と格別なジャジーな響きを宿している。ソフト&メロウなフュージョンの雰囲気を醸し出しているのは、グロルニックがエレピを担当している楽曲。グロルニックのエレピとマクラッケンのギターがソフト&メロウな響きを醸し出している。
このアコピとエレピのイージーリスニング志向のクロスオーバー&フュージョンな演奏の中で、ロンのアルコ弾き、旋律弾きがその雰囲気をちょっと壊している。ロンのベースの旋律弾きに耳がいくのは良いのだが、いかんせん、ベースの旋律弾きは単調で、かつ、この頃のロンのベースは少しピッチを外しているので、その単調さがより目立つ。即興パートでのベース・ソロはまだ我慢出来るんだが、曲のテーマ部のベースでの旋律弾きはちょっと疑問。
ジャズ者の間で、このロンの旋律弾きを問題視する向きが強くあって、この盤は評判は芳しく無い。アルバム全体の雰囲気は、ライトなイージーリスニング志向のクロスオーバー&フュージョンで、意外と良好なのだが、ロンの旋律弾きがはいってくると、明らかに聞く側のテンションが落ちる。アルバム全体の雰囲気は、ライトなイージーリスニング志向のクロスオーバー&フュージョンとして良好、ロンのベースの旋律弾きをどう聴くか、でこの盤の評価はぶれるだろう。良い雰囲気の盤なのになあ、惜しい。
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