2023年4月29日 (土曜日)

本多の『Easy Breathing』再び

和フュージョンの専門レーベルとして有名なのは「ERECTRIC BIRD(エレクトリック・バード)」。世界に通用するフュージョン・レーベルを目標に、1970年代後半にキングレコードが立ち上げた、フュージョン専門レーベルである。この専門レーベルが持つ和フュージョンの音源が続々とリイシューされている。これが、僕にとっては実に懐かしいリイシューとなっている。

Toshiyuki Honda(本多俊之)『Easy Breathing』(写真)。1979年9-10月の録音。1980年、ERECTRIC BIRDからのリリース。ちなみにパーソネルは、本多俊之 (sax), 和田アキラ (el-g), 大徳俊幸 (key), 渡辺健 (el-b), 奥平真吾 (ds)。Seawindの Jerry Hey (tp, Flh), Larry Hall (tp, Flh), Bill Reichenbach (tb), Larry Williams (ts, fl, ac-p), Kim Hutchcroft (ts, bs), いわゆる「シーウィンド・ホーン・セッション」と、Paulinho Da Costa (perc)がゲスト参加。

帯紙のコピーを見れば「耳を澄ましてごらん。L.A.のそよ風が歌ってる。俊之とシーウィンドの友情溢れる再会セッション」とある。前半の「耳を澄ましてごらん〜」は思わず歯が浮くような、気恥ずかしいキャッチコピーだが、後半の「シーウィンドの...再会セッション」には思わず目を見張る。そうか、バックのブラスの充実度が高いのは、シーウィンド・ホーン・セッションのメンバーがバックアップしているからか、と納得。
 

Toshiyuki-hondaeasy-breathing

 
帯紙のコピーは続く。「アドリブ誌選出「日本のクロスオーバー・ベスト・レコード」2年連続受賞に輝く、サックスの俊英、待望の第3作!」。そう、この盤は、本多俊之のリーダー作『Barning Wave』『Opa! Com Deus』に次ぐリーダー作第3弾であった。本多俊之が初めて自身のバンド、自身のアレンジでL.A.レコーディングに臨んでいる。

当時の和フュージョン盤らしい曲揃えで、「あるある」のブラジリアン・フュージョンの2曲目「Samba Street」、乾いたグルーヴ感が心地良く浮遊感漂う3曲目「Loving You Slowly」、和フュージョンぽくて格好良いタイトル曲の5曲目「Easy Breathing」、ジャズ・ファンクの6曲目「Living In The City」は、メロウでドープなフレーズが粋。和フュージョン盤の傑作として、なかなか魅力的な演奏が詰まっていて楽しい。

海外のクラブシーンでも評価の高い本多俊之だが、このリーダー第3作目の『Easy Breathing』も聴き直してみて、なかなかの傑作だと思う。どうも、以前より、我が国ではフュージョン・ジャズが未だに正統に評価されないところがあるのだが、最近の和フュージョンの名盤・好盤の相次ぐリイシューで、そろそろ再評価の機運が高まってくるのかもしれない。
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2016年3月25日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・77

最近、日本のフュージョン・ジャズ盤のリイシューが相次いでいて、1970年代後半から1980年代前半のフュージョン全盛期にリリースされた、懐かしのフュージョン盤がズラリである。

そう言えば、あれから約30年以上が経っている訳で、アルバム毎の印象が正しく記憶しているものもあれば、何だか、別のアルバムと取り違えて、そのアルバムに対する印象の記憶が全く合致していないのもある。これは困ったことである。ということで、最近どしどしリイシューされている日本のフュージョン盤を聴き直しのが一番という結論になる。

今日はこのアルバムを聴く。本多俊之『スーパー・カルテット』(写真左)。1986年のリリース。ちなみにパーソネルは、本多俊之 (sax), 本田竹曠 (p,key), 古野光昭 (b), 日野元彦 (ds)。このパーソネルを見れば「むっ」と一瞬思うんだが、このアルバムのジャケットを見れば「ふうん」と穿った見方をしてしまう。

しかも、このアルバムのリリースが1986年。日本はバブル景気真っ只中。ジャズが、にわかセレブのファッションとして聴かれ、爽やかで耳当たりの良い、ジャズなのかイージーリスニングなのか良く判らない、底の浅い電気楽器中心のフュージョン盤が横行していた時代である。そこにこのジャケットである。

どうせこのアルバムもそんな底の浅いペラペラのフュージョン盤なのだろう、と軽く考えて、片隅にうっちゃっていた。しかし、最近、この盤のパーソネルを思い返して、いやいや、このパーソネルなら、そんなペラペラなフュージョン盤では無いやろう、ということでやっと、このアルバムに触手が伸びた。
 

Super_quartet

 
聴いて見て「あらビックリ」。どうも、このジャケットに惑わされて、別のアルバムと取り違えて、このアルバムに対する印象の記憶が全く合致していないことに気がついた。冒頭の「キャント・テイク・アウェイ・フロム・ミー」を聴けば良く判る。これは実に硬派なコンテンポラリーな純ジャズである。

本田竹曠のピアノが良い。筋金入りのバップ・ピアノがフレーズの底に見え隠れする。エレピは切れ味良く素性が良い。これは純ジャズのキーボードの音である。そして、日野元彦のドラムが良い。エモーショナルな側面を内に秘めつつ、趣味の良いライトなドラミングを披露する。芯のしっかり入った、純ジャズのジャジーでライトなドラミングである。

そして、このアルバムの「聴きどころ」のひとつである古野光昭のベースは、これこそ全くのところ、フュージョンのジャズでは無い。古野のベースこそ、コンテンポラリーな純ジャズのベース。フュージョン・ジャズのベースに比べると明らかに地味なんだが、どうして、その堅実なテクニックを駆使して、演奏全体のベースをしっかりと掴んで支える。

そんなコンテンポラリーな純ジャズ基調のトリオをバックに従えて、これまた本多俊之のサックスがジャジーにブルージーに吹き上げられていく。これが実に良い。サックスが実に良く鳴っている。耳当たりの良いフュージョンなサックスでは無い。硬派で芯の入った純ジャズなサックスである。

いや〜ビックリしました。冒頭の「キャント・テイク・アウェイ・フロム・ミー」を聴いてビックリ驚いて以降、ラストの「モリタート」まで一気に聴き通してしまいました。意外や意外、嬉しい意外が重なった好盤です。
 
 
 
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2015年3月 8日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・41

この新作は「チャレンジ」だろう。生誕200年を迎えたサクソフォンの産みの親、アドルフ・サックス(1814年11月6日生)に捧げた企画アルバム、本多俊之『GREETINGS〜アドルフ・サックスに捧ぐ〜 』(写真左)。2014年11月のリリース。

基本的には、本多俊之がアレンジの才を最大限発揮した、サクソフォン・アンサンブルが中心の作品である。日本を代表する一流のサキソフォン・プレイヤー総勢13名を招聘し、サックスを思いっきり前面に押し出した、あまり前例の無いジャズ・オーケストラ仕様である。

冒頭の「Take it easy」が最大の編成で、サックスが13本にピアノの編成で豪快にアンサンブルを展開する。この曲は、吹奏楽用の楽譜をサックス・アンサンブルに編曲したとのことで、なるほど、旋律部分のユニゾン&ハーモニーが吹奏楽っぽい。この吹奏楽っぽいユニゾン&ハーモニーの響きをどう聴くかで、このアルバムの感じ方は分かれるだろう。

他の曲は、サックスあとは4〜6本の編成の曲が多くて、アンサンブルのサックスの重なるがちょっとスッキリして聴き易くなる。しかし、編成的には、サックスとピアノ、サックスもテナー、アルト、ソプラノ、バリトンの4種類で、音の種類はたった2種類での演奏となるので、音のバリエーションが乏しくて、アルバムに収録された曲を聴き進めるにつけ、単調さと飽きを感じてしまう。

アタックの強い音を出すのが苦手なサックスなので、強烈なリズム&ビートを供給することが出来ない。つまり、ユニゾン&ハーモニーはスムーズに流れるのだが、そのユニゾン&ハーモニーに加速をつけ推進するリズム&ビートに乏しい。この盤において、打楽器を中心としたリズム隊が無いのも、単調さを感じてしまう原因の一つだろう。
 

Toshiyuki_honda_greetings

 
よって、こういうサックスのみの編成という実験的な編成において、ピアノの存在が重要になるのだが、この盤では、ピアノを打楽器の代替としての活用するアレンジは採用されていない。サックスの特性を最優先としてアレンジされている様で、サックスの楽器としての表現力の可能性を、良い面も悪い面も併せて、前面に押し出している様に感じる。

そういう意味で、この本多俊之の新作は「チャレンジ」を前面に押し出した、実験作の意味合いが濃いと思う。サックスの楽器としての表現力の可能性を、良い面も悪い面も併せて前面に押し出す、という目的はほぼ達成されている。やはり、サックスのみのアンサンブルは、いかにアレンジの才を発揮しても辛い部分は辛い。ピアノ、ベース、ドラムという、基本的なリズム・セクションの参加は必須だろう。

それでも、5曲目の「My Favorite Rhythm」、副題「BOSSA AFRO CUBAN MEDOLEY」は聴いていてとても楽しいし、サックスとピアノのデュオ編成の、6曲目の「ELEGANTE」は格調高く、実に美しい演奏だ。映画やドラマの音楽も担当していた本多俊之ならではの、4曲目「マルサの女」や8曲目「家族ゲームMEDLEY」には思わずニンマリする。

ジャズ者初心者の方々には、ちょっと判り難い盤だと思います。ジャズ・オーケストラや吹奏楽関係者の方々に是非ともお勧めな一枚だと思います。それほど、この盤のアレンジは出色の出来だと感じています。
 
 
 
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2013年10月25日 (金曜日)

ラテンからジャマイカな融合音楽

台風が接近しています。我が千葉県北西部地方では、朝は少し肌寒く、午後には、少し日が射したと思ったら、いきなり蒸し暑くなって、一日で体感気温がダイナミックに変化しています。同じく、空の様子も、白っぽい雲が空を覆っていたと思ったら、鉛色の雲にとって代わって垂れ込めたりと、風雲急を告げるという感じの空模様です。

とにかく、この1週間ほど、スカッと晴れた日がありません。しかも、かなり肌寒い日が続いています。昨日など、最高気温が20度に届かず、北東の冷たい風が吹いて、11月中旬から下旬辺りの寒さで、思わず、冬服を引きずり出しての通勤でした。鬱陶しくて、なんか心が晴れない毎日です。

そんな時、せめて音楽だけでも明るくエネルギッシュなものを、と思いつつ、今日、選んだアルバムは、1970年代から80年代のフュージョン・ジャズからの選択。しかも、久々に日本のフュージョン・ジャズからの選択になります。本多俊之『シャングリラ』(写真左)。

1982年のリリース。もともと、本多俊之は「東洋がかった南方」な感覚がお好みとかで、このアルバムは、ワールド・ミュージックの要素を取り込んでの南方の海の明るさとアフリカン・ネイティブなエネルギッシュなリズム&ビートが素敵な、基本はラテンからジャマイカなフュージョン・ジャズ色で一杯です。

ラテンからジャマイカなフュージョン・ジャズには、アルト・サックスの音色が良く似合う。ナベサダさんの様に、明るくエネルギッシュなラテンからジャマイカなフュージョン・ジャズを踏襲しつつ、日本人独特のサラリとしたファンクネスを漂わせた、粘らないサラサラなリズム&ビートが特徴です。
 

Syangri_la

 
どの曲も聴いて楽しい、聴いて明るい、聴いて踊り出したくなるような、自然と身体が動くような、ラテンからジャマイカなフュージョン・ジャズ。聴いていて、心から明るくなり、聴き進めるについて、思わずニコニコしてしまいます。

決して難しいことはしていない。逆にシンプルさが際立つ内容ですが、これが良いんですよね。判り易く素敵なフレーズをテーマに、判り易く聴き易くインプロビゼーションを展開する。そういうジャズが聴いていて楽しいし、心地良い。この本多俊之の『シャングリラ』には、そんな雰囲気が溢れています。 

「ラクエン」や「チャイナママ」など、魅力的でキャッチーで良いですよね〜。とにかく、本多のアルトがポジティブで明るい。ジャケットも暖色系の、インド人のイラストっぽい感じの面白いジャケットで良い。タイトルのシャングリラとは「地上の楽園」といった感じの意味だけど、このジャケットとアルバムに入っている音、それぞれ、ズバリ「地上の楽園」って感じで良いです。

元気の欲しい時、明るさが欲しい時、このアルバムは、社会人1年生の頃から、都度、ターンテーブルに載ってきました。そうそう、このアルバム、CDのリイシューが僅少で、なかなかCDとして入手するのが難しいのですが、最近、ダウンロードサイトに音源がアップされる様になりました。かなり入手し易くなったことは喜ばしいことです。
 
 
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2013年7月11日 (木曜日)

ラテン・フュージョンの優れもの

夏は暑い。暑いと熱気溢れるハードなジャズ演奏を聴くことが辛くなる。ついつい耳当たりの良いボサノバ・ジャズなどに安易に走ったりする。それも悪くはないんだが、ボサノバ・ジャズばっかり聴いていると基本的に飽きる(笑)。

実は私、松和のマスターこと、松和幸太郎は、ラテン・ジャズが大好きである。ラテン音楽は、中南米発祥の音楽の総称。ルンバ、マンボ、サルサ、カリプソ、スカ、レゲエ、ブーガルー、サンバ、ボサノヴァ、タンゴ、クンビアなどなど。前世は中南米人ではなかったかと思う位、どのスタイルも好き、どのスタイルを踏襲したジャズも大好きである。

よって、夏はラテン・ジャズが結構な確率でヘビロテになる。スパニッシュな雰囲気がプンプンするラテン・ジャズなんて、猛暑の夏に大のお気に入りである。そして、ラテン・ジャズはフュージョン系の演奏が一番良い。

そんなラテン・フュージョンのお気に入りのアルバムの一枚が、本多俊之&Burning Waves『Spanish Tears(スパニッシュ・ティアーズ)』(写真左)。1980年のリリース。ちなみにパーソネルは、本多俊之 (as,ss,fl), 野力奏一 (p,el-p), 井上哲也 (el-b), 平山恵勇 (ds), 帆足哲昭  (per), 上田力 (arr,cond), Freddie Hubbard (tp), 森園勝敏 (g), 奥平真吾 (ds)。

ギターの森園勝敏、トランペットのフレディ・ハバードの参加が目を惹く。他の日本人メンバーも優秀ミュージシャンがズラリ。これだけのメンバーを集めれば、よっぽどのことが無い限り、傑作がものに出来ること間違い無しである。
 

Spanish_tears

 
このアルバムは、なんといっても、冒頭の「I Never Forget」が良い。テーマ部のキャッチャーで爽快なメロディーを、力強いアルトで本多が吹き上げていく。これがなんといっても良い。そして、アドリブ部に入って流麗な節回しとアルトのブラスな響き。これがまた良い。

この「I Never Forget」を聴いて、どっかで聴いたことあるぞ、テレビのコマーシャルのテーマ曲だったような気がする、と思われる方は、1970年代のフュージョン・ジャズ時代をリアルタイムで駆け抜けた、僕達と同じ「昭和のおじさん世代」である。

そう、この「I Never Forget」は、当時の東芝ラジカセのテレビ・コマーシャルのテーマ曲でした。ラジカセがテレビのコマーシャルになった時代である。

ちなみに余談であるが、東芝のオーディオ・ブランドは何と言ったでしょう。「オーレックス」ですね。この「オーレックス」がスッと口から出る方は、1970年代のオーディオ・コンポ・ブームをリアルタイムで駆け抜けた僕達と同じ「昭和のおじさん世代」である(笑)。

2曲目「Eastern Legacy」以降、ラストの「Ode To Autumn ( 秋に捧ぐ )」まで、スパニッシュな雰囲気がプンプンするラテン・ジャズが「てんこ盛り」である。どの曲も良い。どの演奏もピチピチとした若さ弾ける、疾走感と爽快感溢れる、素晴らしい内容のラテン・フュージョンである。上田力のアレンジの勝利。

日本のフュージョン・ジャズの秀作として、お勧めの逸品。フュージョン者にはマスト・アイテム。聴くべし。
 
 
 
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2013年1月30日 (水曜日)

うわ〜っ懐かしいフュージョン

1970年代後半はフュージョン・ジャズ全盛期。日本のジャズも軒並みフュージョン・ジャズに手を染める。渡辺貞夫、日野皓正、渡辺香津美などなど、日本のジャズの中核をなすミュージシャンがフュージョン・ジャズにチャレンジし、大きな成果を挙げた。当時、優れたジャズメンは何をやっても成果を出すんだなあ、と妙に感心した。

このフュージョン・ブームに乗って、新進気鋭のミュージシャン達が表舞台にデビューしてきた。本多俊之もそんな新進気鋭のミュージシャンの一人だった。本多自身、当時は学生だったはずで、学生の身分で1978年に、デビューアルバム『Burnin' Waves(バーニング・ウェイブ)』(写真左)をリリースしたのには、同じ学生だった僕は痛く感心したのを覚えている。

この本多俊之のデビューアルバム『バーニング・ウェイブ』は、なんと、LA出身の、当時人気のフュージョン・グループだった「シーウインド」をバックに従えてのスタジオ録音盤なので、その内容が悪い筈が無い。輝く様なブラスの響き、バーカッションが効果的に絡んだリズム・セクション、爽やかな女性コーラス、そして、妙にシンセ(アープだと思う)の音が気持ち良い。

この『バーニング・ウェイブ』、全編に渡って捨て曲無し。どの曲も溌剌としていて爽やかで、聴き応え十分、雰囲気十分のフュージョン・ジャズである。そして、このアルバムで感じ入るのは、本多俊之のアルトとソプラノ・サックスの音の良さ。
 

Burnin_waves

 
ストレートに伸びが良く、管が良く鳴って、指も良く回る。テクニック十分にも拘わらず、テクニックをひけらかすこと無く、十分に抑制を効かせて吹きまくる余裕あるブロウ。

本多に関する記事を読んでいて、なるほどなあ、と合点のいく記事があった。「そもそも、本多俊之は自己のブログで1972年、中学3年の時チック・コリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(ECM)のジョー・ファレルに衝撃を受けてソプラノを始めた」と語っている。

なるほどなあ、ジョー・ファレルかあ。なるほどなあ、リターン・トゥ・フォーエヴァーかあ。確かに、このデビューアルバム『バーニング・ウェイブ』の本多のプレイを聴いていると合点がいく。ジョー・ファレルね。なるほど、実に筋が良い、というか、実に我々の世代っぽくて良い。

この『バーニング・ウェイブ』は、僕の学生時代、ヘビー・ローテションの一枚でした。特に、車に乗っての古墳調査、奈良路や飛鳥路を疾走する際、この『バーニング・ウェイブ』はカーステから必ずといいほど、流れていました(笑)。どの曲も溌剌としていて爽やか、春夏秋冬、「いにしえの道」を爽やかに疾走するにピッタリの雰囲気でした。

実はこのアルバム、カセットで持っていたんですが、5年ほど前、カセットを全て整理した時に、併せて捨ててしまったので、未所有の状態でした。最近、iTunesストアを徘徊していて、偶然見つけました。思わず「うわ〜っ懐かしい」と叫んで、思わず「ポチッ」とな、です(笑)。
 
 
 
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    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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