本多の『Easy Breathing』再び
和フュージョンの専門レーベルとして有名なのは「ERECTRIC BIRD(エレクトリック・バード)」。世界に通用するフュージョン・レーベルを目標に、1970年代後半にキングレコードが立ち上げた、フュージョン専門レーベルである。この専門レーベルが持つ和フュージョンの音源が続々とリイシューされている。これが、僕にとっては実に懐かしいリイシューとなっている。
Toshiyuki Honda(本多俊之)『Easy Breathing』(写真)。1979年9-10月の録音。1980年、ERECTRIC BIRDからのリリース。ちなみにパーソネルは、本多俊之 (sax), 和田アキラ (el-g), 大徳俊幸 (key), 渡辺健 (el-b), 奥平真吾 (ds)。Seawindの Jerry Hey (tp, Flh), Larry Hall (tp, Flh), Bill Reichenbach (tb), Larry Williams (ts, fl, ac-p), Kim Hutchcroft (ts, bs), いわゆる「シーウィンド・ホーン・セッション」と、Paulinho Da Costa (perc)がゲスト参加。
帯紙のコピーを見れば「耳を澄ましてごらん。L.A.のそよ風が歌ってる。俊之とシーウィンドの友情溢れる再会セッション」とある。前半の「耳を澄ましてごらん〜」は思わず歯が浮くような、気恥ずかしいキャッチコピーだが、後半の「シーウィンドの...再会セッション」には思わず目を見張る。そうか、バックのブラスの充実度が高いのは、シーウィンド・ホーン・セッションのメンバーがバックアップしているからか、と納得。
帯紙のコピーは続く。「アドリブ誌選出「日本のクロスオーバー・ベスト・レコード」2年連続受賞に輝く、サックスの俊英、待望の第3作!」。そう、この盤は、本多俊之のリーダー作『Barning Wave』『Opa! Com Deus』に次ぐリーダー作第3弾であった。本多俊之が初めて自身のバンド、自身のアレンジでL.A.レコーディングに臨んでいる。
当時の和フュージョン盤らしい曲揃えで、「あるある」のブラジリアン・フュージョンの2曲目「Samba Street」、乾いたグルーヴ感が心地良く浮遊感漂う3曲目「Loving You Slowly」、和フュージョンぽくて格好良いタイトル曲の5曲目「Easy Breathing」、ジャズ・ファンクの6曲目「Living In The City」は、メロウでドープなフレーズが粋。和フュージョン盤の傑作として、なかなか魅力的な演奏が詰まっていて楽しい。
海外のクラブシーンでも評価の高い本多俊之だが、このリーダー第3作目の『Easy Breathing』も聴き直してみて、なかなかの傑作だと思う。どうも、以前より、我が国ではフュージョン・ジャズが未だに正統に評価されないところがあるのだが、最近の和フュージョンの名盤・好盤の相次ぐリイシューで、そろそろ再評価の機運が高まってくるのかもしれない。
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