テナーの名盤 『The Little Giant』
Johnny Griffin 『The Little Giant』(写真左)。1959年8月4, 5日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Blue Mitchell (tp), Julian Priester (tb), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。
リーダーのグリフィンのテナー、ミッチェルのトランペット、プリースターのトロンボーンの3管フロント、ケリー、ジョーンズ、ヒースの「ごきげん」リズム隊のセクステット編成。ジャケがとっても格好良し。
身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。そのニックネームをそのまま、アルバムタイトルにした、ジョニー・グリフィン初期の名盤。
前作『Way Out!』では、グリフィンのテナー1管のワン・ホーン・カルテットで、グリフィンのテナーの個性が堪能できた訳だが、今回の『The Little Giant』では、トランペットとトロンボーンを従えた重厚な3管フロント。グリフィンのテナーが3管に溶け込むかと思いきや、音が大きくてブリリアントな分、3管フロントの中でもしっかりと目立っているからさすが「リトル・ジャイアント」である。
大きな音、切れ味の良いブリリアントなグリフィンのテナーに、高音域担当のトランペット、低音域担当のトロンボーンが絡んで、実に魅力的で重厚なユニゾン&ハーモニーが見事。アドリブ部についても、3つの音域の管楽器が入れ替わり立ち替わりアドリブに入るので、メリハリがあってバラエティーに富んでいて、聴き応えが十分。
当然、グリフィンのテナーは絶好調。トランペットとトロンボーンの2管を従えている分、いつも以上に力強く全力で大きな音で、グリフィン節をブイブイ言わせている。渋い、玄人好みのスタンダード曲中心の選曲の中、テクニック十分、歌心溢れる、スケールが大きいブロウを展開する。存在感抜群、素晴らしいテナーである。
ミッチェルのファンキー・トランペットが活き活きしている。グリフィンとの絡みも良好。グリフォンのテナーにファンクネスな雰囲気を供給する殊勲のトランペット。プリースターのトロンボーンの中低音が良い。3管フロントのユニゾン&ハーモニーの「底」をガッチリと押さえる、縁の下の力持ち的トロンボーン。
グリフィンの好調のテナーをはじめとする3管フロントをしっかりと支えているのが、ケリー、ジョーンズ、ヒースの「ごきげん」リズム隊。ケリーのハッピー・スインガーでファンキーなピアノ、重心の低い、演奏の底を押さえたサム・ジョーンズのベース、バンドのリズム&ビートを堅実にキープし、バンドのパフォーマンスを鼓舞するヒースのドラム。上質のハードバップを湛えた、「ごきげん」なリズム隊。
雑誌やジャズ盤紹介本などで、その扱いが小さく、ロリンズ、コルトレーンびいきの我が国のジャズ・シーンの中では、知名度の低い、人気イマイチのテナー奏者だが、この盤や前作『Way Out!』を聴けば判る、ロリンズやコルトレーンに負けずとも劣らない、魅力十分のテナー・タイタンである。
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