弦をバックに『Waiting Game』
ジャズマンにとって、一流の証の一つに「ウィズ・ストリングス」がある。「ウィズ・ストリングス」とは、オーケストラをバックにしたインプロビゼーション。ストリングスは楽譜でガッチリ固められた定型の演奏。反対に、ジャズマンは即興演奏をメインとして演奏。定型のストリングスをバックに、いかに即興演奏を展開し、自らの個性を表出するか。それは一流のジャズマンでないと出来ない「技」である。
Zoot Sims『Waiting Game』(写真左)。1966年11月28 & 30日の録音。インパルス・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts, vo), David Snell (harp), Gary McFarland (arr), Kenny Napper, (cond, tracks 6 & 7), Jack Parnell (cond, tracks 1–5 & 8–10), Unknown Orchestra。
ズートのサックスは、ストリングスに負けない、力強くて流麗、説得力抜群の吹きっぷり。ズートはイマージネーション溢れるアドリブ・ソロを吹く。曲の主旋律は「力強くて流麗、説得力抜群の吹きっぷり」で明確にメロディアスに吹く。アドリブ部はズートならではの即興フレーズを吹く。そんなズートの「ウィズ・ストリングス」な企画盤である。
「ウィズ・ストリングス」盤はアレンジが「カギ」。アレンジは、ゲイリー・マクファーランド。マクファーランドのメインはジャズのアレンジャー。自らもジャズ演奏する。そんなマクファーランドのアレンジは、「ジャズマン・ファースト」の即興演奏のスペースをしっかり取った、ジャズ志向のアレンジ。この盤では、このアレンジが「成功のカギ」。
「ジャズマン・ファースト」のアレンジに乗って、ズートは気持ち良さそうに、テナーを吹き上げていく。主旋律は明確に、アドリブ部はイマージネーション豊かに吹き進む。軽やかに爽やかにスインギーに、有名スタンダード曲をメインに唄い上げるズートのテナーは優しくリリカル。極上のイージーリスニング・ジャズ。
手に汗握る、はたまた、ブンブンにスイングするジャズではない、ちょっとメインストリームから横道に逸れたジャズではあるが、そのジャズマンの即興演奏の充実があれば、イージーリスニング・ジャズも、純ジャズ同様、「即興演奏の妙」を楽しめる。この盤はそんな「ズート・シムスの即興演奏の充実」を伴った、上質のイージーリスニング・ジャズである。
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