2023年9月12日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・99

ジュニア・マンスのピアノはファンキーでソウルフル、端正で明確なタッチが身上。ドライブ感溢れるグルーヴィーな、爽快感溢れる弾きっぷりは爽快感抜群。ビ・バップなピアノを洗練して、ハードバップに乗せたイメージで、高速弾きの曲についても、フレーズが洗練されているので、耳に付かないのが特徴。

Junior Mance『Happy Time』(写真左)。1962年6月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Ron Carter (b), Mickey Roker (ds)。リヴァーサイドの傍系レーベル「Jazzland」からのリリース。ベースにレジェンド、ロン・カーター、ドラムにモーダルなドラマー、ミッキー・ローカー。

伸びるトーンと強靱なビート。当時、最先端をいくモーダルなリズム隊をバックにマンスが弾きまくる。といっても、マンスがモーダルなピアノを弾く訳では無い。バックのリズム隊のロンもローカーも、リズム&ビートの基本はハードバップ。逆に、1963年の録音年で、ロンとローカーがハードバップ志向のリズム&ビートを供給している様は珍しいと言えば珍しい。
 

Junior-mancehappy-time

 
端正で明確なタッチ、ドライブ感溢れる、グルーヴィーで爽快感溢れる弾きっぷりのマンスのピアノを引き立てる様な、伸びるトーンと強靱なビートを供給するこのリズム隊は素晴らしい。こんな素晴らしいリズム隊に恵まれて、マンスは当時としての「ベスト・パフォーマンス」を繰り広げる。

収録されたどの演奏も、マンスのパフォーマンスの良いところが前面に押し出されていて良い出来。乾いたブルース・フィーリングを湛えた、遅れてきたハードバップ・ピアノ・トリオの名盤といった面持ちで、聴いていてとても心地良く、マンスらしい愛嬌や軽妙さが見え隠れして、聴いていてとても楽しい。

マンスの代表的名盤の1枚として良い、優れた内容。ジャケットもシンプルで良好。それでも、マンスの人気については、我が国ではイマイチなのが残念。何がいけないのか、良く判らないが、少なくとも、初リーダー作『Junior』がマンスの最高作と評価している間はどうしようも無いかな。僕は思う。この『Happy Time』の内容は明らかに『Junior』の上を行く。
 
 

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2023年8月31日 (木曜日)

マンスの真の個性が満載な盤

ジュニア・マンスのピアノの真の個性とは何か、を追求している。初リーダー作『Junior』を聴き込み、そしてリーダー作2作目『The Soulful Piano of Junior Mance』を聴き込む。

『Junior』は大衆受けする売れる内容。イージーリスニング・ジャズ一歩手前の、聴き易い、典型的なピアノ・トリオ演奏。『The Soulful Piano of Junior Mance』は、すっきり爽やか、端正で明確な「ファンキー・ジャズ」。端正で明確なタッチ、コッテコテなファンクネスは無くて、スッキリ爽やかなグルーヴ感。さて、どちらがマンスのピアノの本質か。

Junior Mance『Big Chief!』(写真左)。1961年8月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Jimmy Rowser (b), Paul Gussman (ds)。マンスの3枚目のリーダー作。お得意のトリオ作。

アタックの強い切れ味の良いタッチ。右手は多弁。しかし、五月蠅くは無い。「饒舌」一歩手前。ほど良い「多弁さ」。流麗で端正、破綻が無い。ファンクネスは軽め、爽やかでライトなブルージー感が個性。そんなマンスのピアノが溢れんばかりの3枚目のリーダー作である。

冒頭のタイトル曲「Big Chief!」はゴスペル風のブルースだが、決して、ファンクネス&ソウルはコッテコテでは無い。ピアノとベースのコール&レンポンスも印象的だが、決して、コッテコテのファンキー・ジャズにはならない。スッキリ爽やか、軽やかで端正なファンクネス&ソウル。
 

Junior-mancebig-chief

 
多弁な展開は意外と耳に付かない。タッチが明確なんだが硬質では無い。音のエッジが少しラウンドしている様な明確なタッチ。特に速いフレーズを弾き回す時、この個性が良い方向に作用している。この多弁な展開の弾き回しの個性はマンスならでは、だと思う。

逆にミッドテンポの曲の弾き回しもマンスならでは、の個性が光る。ミッドテンポの曲は、多弁なフレーズがちょうどフィットしていて、多弁なフレーズのエッジがほど良くラウンドしているので、多弁が多弁と感じ無い。

バラード曲の弾き回しもマンスならでは、の個性が光る。バラード演奏もバラードとしては少し多弁かもしれないが、ファンクネス&ソウルが爽やかな分、耳には爽やかさが残って、多弁でもフレーズが「もたれない」。

3枚目のリーダー作『Big Chief!』を聴き込んで、マンスの初リーダー作で代表作とされる『Junior』(Verve)は、マンスの本質を抑えて、イージーリスニング・ジャズ一歩手前の、聴き易いピアノ・トリオとしてまとめた異色作だったことが良く判る。『Big Chief!』にはマンスの真の個性が満載。マンスの真の個性を感じるには、まずは『Big Chief!』。
 
 

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2023年8月29日 (火曜日)

ジュニア・マンスの「良き個性」

ジュニア・マンス(Junior Mance)。1928年生まれ。2021年1月、92歳で逝去。活動期間は1959年の初リーダー作から、2015年の遺作まで、50年以上のキャリアを誇る。ファンキーでソウルフル、端正で明確なタッチのピアノが身上。ドライブ感溢れるグルーヴィーな、爽快感溢れる弾きっぷりは、僕のお気に入りのピアニストの1人でる。

『The Soulful Piano of Junior Mance』(写真左)。1960年10月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Ben Tucker (b), Bobby Thomas (ds)。リヴァーサイド・レーベルの傍系「Jazzland」からのリリース。ジュニア・マンスの2枚目のリーダー作である。

いきなり、大手ジャズ・レーベルのヴァーヴからリーダー作『Junior』をリリースしたマンス。大手レーベルのヴァーヴである。大衆受けする売れる内容のピアノ・トリオ演奏をプロデュースする。イージーリスニング・ジャズ一歩手前の、聴き易い、典型的なピアノ・トリオ演奏でまとめた。ピアノ・トリオ盤としては聴き易い、モダン・ジャズらしい内容だったが、マンスのピアノの個性を前面に押し出したものでは無かった。
 

The-soulful-piano-of-junior-mance

 
2枚目のリーダー作である当盤は、名プロデューサー、オリン・キープニュースのいるリヴァーサイドからのリリース。アルバム全体の内容は明確に「ファンキー・ジャズ」。それも、すっきり爽やか、端正で明確な「ファンキー・ジャズ」。リヴァーサイドに移って良かったなあ、という内容。端正で明確なタッチ、コッテコテなファンクネスは無くて、スッキリ爽やかなグルーヴ感。これが、マンスのピアノの個性なんだろう。

汗の飛び散る様なメリハリの効いたファンキー・ジャズでは無い。どこか気怠い雰囲気を漂わせた、落ち着いた端正で明確なファンキー・ジャズ。いわゆる「ブルージー」なのだ。その「ブルージー」な感覚を、この盤のタイトルは「ソウルフル」と形容しているみたい。ハードバップな弾き回しを踏襲しているので、基本的に右手は「多弁」。それでも、五月蠅くは無い。どこか端正で落ち着いているので、多弁が耳につくことは無い。どちらかといえば「心地良い」。

実に趣味の良いファンキー・ジャズなピアノである。小気味良いスイング感も特筆すべき個性だろう。メリハリ効いた、大向こうを張ったコッテコテなファンキー・ジャズなピアノも良いが、マンスの様な、落ち着いた端正で明確なファンキー・ジャズなピアノも良い。デューク・エリントンの言う「良い音楽」について、1つの個性、1つのスタイルに絞る必要はないだろう。良いものは良い、悪いものは悪い。僕はこのマンスのピアノが好きだ。
 
 

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2022年1月 9日 (日曜日)

ジュニア・マンスを偲ぶ・3

ジャズ盤紹介本にあるアルバムの評論文と実際にアルバムを聴いた印象のギャップがあるジャズマンって、結構あるな、って思っている。ジュニア・マンス(Junior Mance)もそんなジャズマンの1人で、我が国では、マンスのピアノが如何にウケが悪かったかを物語っている様で興味深い。

Junior Mance『Live At the Top of the Gate』(写真)。1968年9月、NYの「The Village Gate」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), David Newman (fl, ts), Wilbur Little (b), Rudy Collins, Paul Gusman (ds)。アルバムのサブ・タイトルに「Guest Artist David Newman」とあるように、サックス奏者のデヴィッド・ニューマンをフロント1管に迎えたカルテット編成。

ライヴということもあって、冒頭の「Before This Time Another Year」から、こってこてファンキーなフレーズを弾きまくる。「総合力で勝負する」タイプのピアノで、独特の癖や奏法が無く、端正で明確なタッチで、ファンクネスだだ漏れのピアノを弾くのだ。聴いていて爽快感すら感じる、ドライブ感溢れるグルーヴィーなマンスのピアノ。

恐らく、これがマンスのピアノの「真実」なんだろう。バップでノリの良い、エンタテインメント性も併せ持った「総合力で勝負する」タイプのピアノは、聴いていてとても楽しい。
 

Live-at-the-top-of-the-gate

 
これぞ「モダンなジャズ・ピアノ」という演奏が詰まったライヴ盤であるが、今まで、我が国のジャズ盤紹介本では見たことが無い。そんな状態なので、マンスについて、我が国で人気が出るはずが無い。

しかし、実際に自分の耳で聴いてみて、このライヴ盤のこってこてファンキーなフレーズを弾きまくるマンスのパフォーマンスは強く印象に残る。ファンキー・ジャズの好盤として、ソウル・ジャズの好盤として、是非とも挙げたいライブ盤である。「The Village Gate」の聴衆もノリノリで聴いている。このライヴ感もなかなか良い雰囲気で、この臨場感も心地良い。

我が国では、マンスの代表盤と言えば、初リーダー盤の『Junior』ばかりが挙げられるのだが、この盤は、他のリーダー作と比べると、初リーダー作ということもあって「大人しすぎる」。マンスのピアノの個性はシッカリ感じられるが、「バップでノリの良い、エンタテインメント性も併せ持った」という面では、他のリーダー作の方が優れているだろう。

それほどまでに、ジャズ盤紹介本にあるアルバムの評論文と実際にアルバムを聴いた印象のギャップがあるマンスである。昔と違って、今では、サブスク・サイトを含め、マンスのリーダー作は結構耳にすることが出来る環境にある。今一度、マンスのリーダー作を実際に自分の耳で聴いて、マンスのピアノの真の個性を実感して欲しいなあ、と思うのだ。
 
 
 
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2022年1月 8日 (土曜日)

ジュニア・マンスを偲ぶ・2

ドイツの名門ジャズ・レーベル、エンヤ・レーベル(Enja Label)。エンヤのカタログを見渡すと、フリー・ジャズ、スピリチュアル・ジャズのアルバムが多くリリースされている。欧州はドイツ出身のジャズ・レーベルなので、とにかく、内容的に硬派でストイックなフリー&スピリチュアル・ジャズな演奏がほとんどなんだが、中には、内容の濃い「ネオ・ハードバップ」な盤をリリースしているから「隅に置けない」。

Junior Mance『At Town Hall Vol.1&2』(写真)。1995年、NYの「Flushing Town Hall」でのライヴ録音。Enjaレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Houston Person (ts), Calvin Hill (b), Alvin Queen (ds)。ピアニストのジュニア・マンスがリーダー、フロントにテナー・サックス奏者のヒューストン・パーソンを迎えた、カルテット編成。

録音当時、既に大ベテラン・クラスのピアニスト、「総合力で勝負する」タイプを代表する1人のジュニア・マンスであるが、このライヴ盤でも、その個性を遺憾なく発揮している。ファンキーなノリとグルーヴィなフレーズ、端正で明確なタッチ。堅実かつリズミカルな左手。その弾きっぷりはダイナミックで、バリバリ弾き進めるバップなピアノである。
 

At-town-hall-junior-mance_20220108213701

 
そんなマンスのピアノが2枚のライヴ盤で、心ゆくまで楽しめる。リーダーのマンスが録音当時、67歳。ベースのカルヴィン・ヒルは50歳。ドラムのアルヴィン・クイーンは45歳。フロント・テナーのヒューストン・パーソンは、61歳。ベテランから中堅のメンバーでの演奏であるが、お互いにインタープレイを楽しんでいるような、溌剌としたパフォーマンスが見事である。

そして、Vol.1&2、ともに選曲が良い。マンスの「総合力で勝負する」タイプが、その個性を十分に発揮出来るスタンダード曲が効果的にチョイスされていて、マンス独特のスタンダード曲の解釈が良く判るし、アレンジの妙がしっかりと体感出来る。特にVol.2が楽しい。冒頭の「Blues in the Closet」、3曲目の「My Romance」そしてラストの「Mercy, Mercy, Mercy」、意外と癖のあるスタンダード曲だが、なかなかの解釈とアレンジで、小粋な演奏に仕上がっている。

なかなか決定盤に恵まれないマンスであるが、Enjaレーベル、良いライヴ盤を残してくれた、と思っている。ライヴ演奏をそのままアルバム化している様で、冗長なところやラフなところもあるにはある。が、逆にそれが臨場感に感じられて、僕にとってはなかなかのライヴ盤として、マンスを聴きたい時、時々引きずり出しては、繰り返し聴いている。歴史を変えるような名盤では無いが、味のある、小粋な内容の好盤として、長年、愛聴している。
 
 
 
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2022年1月 7日 (金曜日)

ジュニア・マンスを偲ぶ・1

昨年も多くのジャズマンが鬼籍に入っている。今、流行のコロナ禍に倒れたジャズマンもいれば、通常のよくある病気で、天寿を全うしたジャズマンもいる。ハードバップが現れ出でて約70年。当時、メインで活躍したジャズマンは殆ど鬼籍に入ってしまった。1960年代に活躍したジャズマンも、毎年、どんどん鬼籍に入っていく。

特に、自分がジャズを聴き始めた頃、リアルタイムでその活躍を耳にしてきたジャズマンが鬼籍に入るのを見るのはとても辛い。2021年1月17日に逝去した、ジュニア・マンス(Junior Mance)もそんなジャズマンの1人。実際にマンスが来日した時に、生で彼のピアノを聴いたほど、リアルタイムで聴いてきた、親しみのあるジャズ・ピアニストであった。

Junior Mance『Nadja』(写真左)。1998年5月14日、NYでの録音。Enjaレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Earl May (b), Jackie Williams (ds)。ジュニア・マンス、録音当時、69歳のピアノ・トリオ演奏。冒頭のタイトル曲である快活なブルース曲からラスト曲までマンスのピアノの魅力満載の好盤である。
 

Nadja_junior_mance

 
マンスのピアノは、ファンキーなノリとグルーヴィなフレーズが持ち味の「総合力で勝負する」タイプのピアノである。独特の癖や奏法がある訳では無い。端正で明確なタッチ。堅実かつリズミカルな左手。とても整った弾きっぷりで、ダイナミズムもほど良く備わっていて、独特のノリの良いフレーズが、なかなかに格好良い。聴いていて爽快な気分になる。

そんなマンスが、バリバリに弾きまくっているのが、このトリオ盤。マンスと同じく大ベテランのベーシストのアール・メイ。そして。これまた、大ベテランのドラマー、ジャキー・ウィリアムス。この2人の大ベテラン・リズム隊との相性が抜群で、ドライヴ感とグルーブ感を振り撒いて、グイグイ、バリバリ、マンスが魅力的なバップ・ピアノを弾き進めていく。

この盤はマンスのピアノを聴くだけの好盤。ベースとドラムのリズム隊はサポートに徹している。しかし、それが単調にならず、様々なニュアンスとイメージを繰り出して、とても聴き応えのあるピアノ・トリオ演奏に仕上がっている。平均年齢60歳代後半のピアノ・トリオであるが、ネオ・ハードバップな新しい響きを採用しているところには痛く感心した次第。良いトリオ盤です。
 
 
 
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2021年4月 5日 (月曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・90

Enja(エンヤ)レーベルも、今や欧州を代表するジャズ・レーベルである。1971年、マティアス・ヴィンケルマンとホルスト・ウェーバーによって設立。拠点はミュンヘン。ドイツ発のジャズ・レーベルである。得意ジャンルは、メインストリームな純ジャズ、それもモーダルなジャズをベースとした硬派で尖った純ジャズ。そして、フリー・ジャズをメインとした前衛ジャズ。

Junior Mance Trio『Softly As In A Morning Sunrise』(写真)。1994年7月21日、ミュンヘンの Trixi Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Jimmy Woode (b), Bob Durham (ds)。総合力勝負のファンキー・ピアニスト、ジュニア・マンスがリーダーのピアノ・トリオである。

もともとエンヤ・レーベルは、設立者のマティアス・ヴィンケルマンとホルスト・ウェーバーの2人が、マル・ウォルドロンの大ファンで、当時ヨーロッパで活動していたマルの作品を自分達の手でリリースしたいという情熱から誕生した経緯がある。よって、ジャズ・ピアノの演奏については、意外と造詣が深い。
 

Softly-as-a-morning-sunrise-junior-mance

 
で、このジュニア・マンスのピアノ・トリオである。マンスのピアノは、ファンキーなノリとグルーヴィなフレーズが持ち味の「総合力で勝負する」タイプのピアニストである。独特の癖や奏法がある訳では無い。端正で明確なタッチ。堅実かつリズミカルな左手。とても整った弾きっぷりで、聴いていて爽快な気分になる。欧州系のレーベルでの録音で、ファンクネスは抑え気味でタッチが硬質。

バックのリズム隊がこれまた優秀。硬質でしなやかに響く低音が魅力のジミー・ウッドのベース。変幻自在、硬軟自在、堅実で質実剛健なボブ・ダーハムのドラム。欧州系のレーベルでの録音らしく、ファンクネスは希薄、粘らずタイトでソリッドなリズム&ビートは聴き応え十分。真摯で堅実な欧州ジャズのリズム&ビートである。

1994年の録音らしく、ネオ・ハードバップな香りのする、新しい音が響きが宿る素敵なピアノ・トリオの演奏である。選曲も小粋なスタンダード曲が中心で趣味が良い。ジャケットだけが、どうにもこうにも平凡なのだが、中身は「太鼓判」。ネオ・ハードバップ志向の素敵なピアノ・トリオ盤である。
 
 
 

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【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・Journey『Infinity』1978

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  ・Yes Songs Side C & Side D
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  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
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2013年6月17日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・43

Junior Mance & Joe Temperley『Monk』(写真左)。2003年7月のリリース。タイトル通りモンク曲集。ライブ音源である。どんなシチュエーションでのライブかな、と調べてみたら、なんと、2000年10月から11月にかけて、船上での「The Floating Jazz Festival」で行なったライヴの様子を捉えたライブ盤とのこと。それは珍しいなあ。

なかなか素晴らしい演奏が展開されるライブ盤で、ハード・バップなジャズの良いところを十分に感じることが出来るライブ盤である。ネットで検索して見ても、ほとんどヒットしないから、知る人ぞ知る「優れライブ盤」ということになる。ちなみにパーソネルは、Peter Washington (b), Junior Mance (p), Mickey Roker (ds), Joe Temperley (bs, b-cl) のカルテット構成。

ジョー・テンパリーって知らない名前で、ネットで調べてみたら、1929年生まれのスコットランド出身のバリトン・サックス&バス・クラリネット奏者とのこと。今年で84歳になる大ベテランである。1965年にニューヨークに活動拠点を移して、デューク・エリントン楽団にも所属していた由緒正しいジャズメンである。また、彼は Jazz at Lincoln Center Orchestraのオリジナル・メンバーでもある。ふ〜ん知らなかったなあ。

このジョー・テンパリーのバリサク&バスクラが実に素敵な響きである。バリサクのブラス輝く重低音とバスクラのちょっととぼけた感じの重低音が、セロニアス・モンク独特のフレーズに良く似合う。確かに、バリサク&バスクラでのモンクのフレーズを聴いたことは無かった。それだけでも、このライブ盤は貴重な体験だ。
 

Junior_mance_monk

 
加えて、ピーター・ワシントンも僕にとって馴染みの無いベーシストで、ネットで調べてみたら、1964年生まれのロス出身のベーシスト。米国西海岸中心に活動していたが、1986年、ニューヨークに移って、ジャズ・メッセンジャーズに参加。以降、ニューヨークを活動拠点として現在に至る。そうそう、彼の名前を思い出した。2008年の「The Blue Note 7」のベーシストでしたね。

このピーター・ワシントンの重低音ベースが、これまた魅力的。ブンブン、しなるように弾けるように響き渡る重低音は、ジャズの至福の音である。ミッキー・ローカーの味のあるドラムと相まって、素晴らしいリズム&ビートを提供してくれる。これぞハードバップという雰囲気のリズム&ビートは聴き応え十分。

ピアノのジュニア・マンスは、もうご紹介するまでも無いでしょう。ハードバップ時代から約60年。常にジャズ・ピアノ・シーンの中心で活躍してきたピアニストです。堅実でシンプルで破綻の無い、歌心とテクニックを併せ持った端正なピアノは、実に「粋」なピアノである。

マンスの端正なピアノで、癖のあるモンクの曲のフレーズを弾くと「どうなるんやろう」なんて思ったが、何てことは無い。テーマ部はモンク独特のフレーズを紡ぎ出し、インプロビゼーション部に入ると、モンク独特のコード進行に則って、マンスの流儀でアドリブ・フレーズが展開される堅実でシンプルで破綻の無い、歌心とテクニックを併せ持った端正なピアノでのセロニアス・モンク集。なかなか興味深い対比が楽しいですね。

日本のジャズ者の皆さんにはあまり馴染みのあるライブ盤では無いようですが、このライブ盤、実に良い内容です。知る人ぞ知る「優れライブ盤」。これぞ、ジャズ喫茶で流したい、ですね。
 
 
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2012年11月17日 (土曜日)

チェンバロを使ったジャズって

チェンバロという楽器がある。チェンバロはドイツ語。ピアノの様な鍵盤を用いて、弦を爪で引っ掻くように音を出す楽器である。英語ではハープシコード(harpsichord)と呼ばれる。

弦を爪で引っ掻くように音を出すので、ハンマーで弦を打って音を出すピアノとは大きく異なり、全く別種のタッチを必要とする。音の強弱等も付けにくく、ピアノに比べて繊細で神経質なフレーズが特色とされる。宗教音楽系で良く耳にし、クラシックではバロック音楽で良く使われる。

それではジャズではどうなのか。ピアノに比べて繊細で神経質なフレーズが特色とされるからには、ジャズでは使われないのでは、と思いきや、あるんですね、これが。しかも、このアルバムは、1960年代後半からポップなジャズとして台頭したジャズ・ロックの一種「ソウル・ジャズ」の範疇に属するもの。チェンバロを使ったソウル・ジャズ。かなりの「アンマッチ感」がある。

そのアルバムとは、Junior Mance『Harlem Lullaby』(写真)。1966年の録音。ジュニア・マンス (p,harp), ジーン・テイラー (b), ボビー・トンプソン (dm), レイ・ルーカス (dm) 他。タイトルからもお判りの通り、ゴスペル・フィーリング溢れる、ファンキー&ソウルフルなアルバム。

ここで、リーダーのジュニア・マンスは、チェンバロとピアノを半々の割合で弾いている。もともと、ジュニア・マンスのピアノは、端正でファンクネスがそこはかとなく漂う正統派なバップ・ピアノ。端正さが際立つ個性だけに、ポップな雰囲気を全面に押し出したソウル・ジャズではどうか、という感が漂う。
 

Harlem_lullaby

 
そこチェンバロの登場となったのだろうか。そもそも、ジャズの演奏にチェンバロは無理がある。確かに、チェンバロの音色はファンクネスに通じる乾いた黒さがある。しかし、如何せん、ピアノに比べて繊細で神経質なフレーズがジャズに似合わず、音の強弱が付けにくいところもかなり辛い。このアルバムのチェンバロで演奏された曲については、全て「違和感」が漂う。曲が良いだけに惜しい。

面白いのは、ピアノで弾いた曲。端正さが際立ち、ファンクネスが控えめにタッチやフレーズに漂う奥ゆかしい個性。しかし、ソウル・ジャズ風のアレンジで弾きこなすピアノは、ファンキー&ソウルフルそのもの。端正なタッチの中に色濃く漂うファンクネス。ユッタリとしたタッチは、ほのかに粘りを漂わせ、実にソウルフル。あれれ、これ、ピアノでの演奏の方がソウルフルで良いやん(笑)。

チェンバロは音の細さと繊細さが、ちとしんどいですね。しかし、興味深いのは、1970年代に入って、シンセサイザーが採用されるようになって、そのシンセサイザーが奏でる「チェンバロ風」の音は、ソウル・ジャズにピッタリなんですよね。シンセの「チェンバロ風」の音は、音が太くて骨太で、バックの演奏の「音の束」に負けずに、自らのファンキーでソウルフルなフレーズを全面に主張するだけの図太さがある。

この『Harlem Lullaby』は、1960年代後半に流行った「未知へのチャレンジ」という雰囲気が裏目に出た、時代がちょっと早かった企画盤だと評価しています。企画盤としてのコンセプトは良かったんですが、チェンバロの採用がどうもいけない。

チェンバロが、後のシンセサイザーに置き換わっていたら、秀逸なピアノの演奏と相まって、異色の企画盤になっていたのではないかと思います。素性は確かな企画盤です。ジャズ者上級者向け。意外と楽しめます。
 
 
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Never_giveup_4

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2008年4月20日 (日曜日)

正統派でブルージー『JUNIOR』

夕方になって少し日差しが戻ったかに見えたが、それもつかの間のこと。この週末は、ず〜っと、どんより曇り空。しかも、北東の風が肌寒く、とても春とは思えない、我が千葉県北西部地方である。ほんとに天気が悪い。春とは思えない肌寒さである。

今日はうちの嫁はん、従姉妹の結婚式に出席の為、朝早く出かけてしまったので、一日お留守番。ということで、今日は一日、サブマシンMacで新マシンへの移行準備に集中する。そう、まだ「準備」である。

ぶっ壊れたメインMacの代わりを発注したんだが、キーボードをUSキーボード(無料だよ)にして発注したら、カスタマイズ品扱いになって、「出荷しましたメール」の出荷場所を見たら、なんと遠く米国カリフォルニアからの出荷になっていた。ということで、手元に来るのは23日。あ〜あ。

さて、今日も一日天気が悪いし、一日、部屋に閉じこもって、サブマシンMacにて、あれこれ移行準備を進めた訳だが、当然、一日中、バックには音楽が流れている。今日は、ロックはレーナード・スキナードを通し聴き、ジャズは、久しぶりに、ジュニア・マンス(写真右)に耳を傾けた。

僕は、ジャズ初心者の頃から、ジュニア・マンスのピアノが好きだ。派手なパフォーマンスは無いし、ジャズの歴史に燦然と名を連ねるジャズ・ジャイアントでは無いんだが、彼の素朴なピアノがとても好きだ。

マンスのピアノは、素朴、シンプル。一聴しただけでは「どこが良いんだ、このピアノ」と思ってしまうが、じっくり聴き進めると、ブルージーで、そこはかとなく漂う「黒さ」が何とも言えず良い感じで、しかも、テクニックは一級品。長く聴き続けることの出来る、飽きの来ないジャズ・ピアニストの一人である。
 

Junior_mance

 
「トラディショナル・モダン」という言葉がある。アルト・サックス奏者、ジャズ・ジャイアントの一人、キャノンボール・アダレイの口癖だったそうだが、ジャズの伝統をよくわきまえながら、しかも、前向きの姿勢を取って演奏していこう、というジャズ・アプローチの姿勢を言うらしい。そういう意味では、ジュニア・マンスのピアノは「トラディショナル・モダン」。

そのマンスの「トラディショナル・モダン」らしさが出たアルバムが、デビューアルバムのJunior Mance『JUNIOR』(写真左)。ベースがレイ・ブラウン、ドラムがレックス・ハンフリーズのトリオ構成。

まず、印象的なのが、ブラウンのベース。ブンブンブンブンと、思わず「これぞウッド・ベース」と感嘆の声をあげてしまうほどの、実に強烈なウォーキング・ベース。ハンフリーズのドラムは、ラフな音でありながら、しっかりと締まったドラミングで、全体の雰囲気をギュッと引き締める。このブラウンのベースが、ことのほか覚え目出度い『JUNIOR』ではあるが、やはり、主役はマンスだろう。

「当時、既に人気ベーシストであったブラウンは、新人のマンスを見下していた。マンスの意向に関わらず、新人の為に弾くのでは無い、我が道を行くベースを弾いた。ハンフリーズは、それを目の当たりにして、我関せず、自分の仕事に徹した。マンスは、そんな中、淡々とピアノを弾き続けるしかなかった」という無責任な評論があるが、とんでも無いと僕は思う。

マンス、ブラウン。ハンフリーズ、三位一体となったトリオ演奏が、このアルバムの味わいどころ。それぞれの曲の演奏のバランスをみると、ブラウンとハンフリーズは、精一杯、マンスを盛り立てていたと思う。そして、録音のバランスを平等に割り振ったところに、このアルバムの勝因がある。つまり、ミュージシャン達と裏方のプロデューサー+録音陣が一体となって、この名盤がある。

素朴、シンプル、ブルージー、で、そこはかとなく漂う「黒さ」。ジュニア・マンスのピアノは飽きが来ない。これぞ「トラディショナル・モダン」である。
 
 
 
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