2026年1月28日 (水曜日)

”アート・テイタム傑作集”です。

昨日「アート・テイタムは、ガーナーと同じ時代を生きたピアニストだが、テイタムは、驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。今日は、その「アート・テイタム」。

Art Tatum『Solo Masterpieces Vol.1』(写真左)。1953年と1955年に録音されたソロピアノの音源集。ちなみにパーソネルは、Art Tatum (p) のみ。タイトル通り、ジャズ・ピアノの神様、アート・テイタムのソロ・パフォーマンス集。CDでの「Solo Masterpieces」(全8巻)シリーズの第一弾。

コンコード・ミュージック・グループのオリジナル・ジャズ・クラシックス・リマスター・シリーズの一環としてリリースされている。これらの曲はジョー・タランティーノによってリマスターされている。音にはまだ時折ヒス・ノイズが残ってはいるが、概ね、良好なリマスターで、モノラルであるがゆえ、ソロ・ピアノの音色、フレーズの音としては良い感じ。

とにかく聴いていてとても楽しい。驚異的なテクニックを武器に、アクロバティカルな、テクニックの高さをウリにした、エンタテインメント性を追求したピアノ。それが、アート・テイタムのソロ・ピアノの特徴。20世紀を代表するクラシックのピアニストのホロヴィッツや大指揮者トスカニーニがテイタムの演奏を聴きに訪れたことは有名な話。このアルバムを聴けば、その逸話も納得する。
 

Art-tatumsolo-masterpieces-vol1  

 

どの曲もテイタムの驚異的テクニックと歌心を感じることは出来るが、まず冒頭の「Moonglow」では、テンポの変化がテイタム独特でユニーク。遊び心あふれるタッチが随所に散りばめられて、こういうところが、エンタテインメント志向と解釈される所以。テイタムの弾きっぷりはワイルド。彼は左手の使い方も秀逸で、リズム&ビートの供給が素晴らしい。まさに伴奏を必要としない「ひとりバンド」状態。

続く「Love For Sale」では、テイタムは素晴らしいユーモアと遊び心で、エンタテインメント志向を継続、楽曲の持つフレーズの美しさを右手でしっかりと表現。この右手の表現が、これまたテイタムらしいもの。左手でリズム&ビートをキープしつつ、遊び心とシリアスな面の交歓が聴いていて楽しい。アドリブ・フレーズの即興の閃きの美しさも、テイタムならでは、のもの。

冒頭の2曲だけで、テイタムの個性と当時としての「先進性」が良く判る。僕は、この「Solo Masterpieces」については、LP時代の『Tatum Solo Masterpieces』(邦題「アート・テイタム傑作集」・写真左)で、テイタムを勉強させてもらった。

CDは全8巻もあるんで、手っ取り早くテイタムのソロ・パフォーマンスを堪能するには、このLP時代の『Tatum Solo Masterpieces』が最適かと思う。CDかサブスク音源でリイシューされないかなあ。LPからのダイレクト・コピーの音源でも良いんだけれど・・・。
 
 

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2025年10月 7日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・301

現エストニアのタリンでのライヴ録音。タイトルは「イン・ロシア」だが、これは正確ではない。正確を期すなら「イン・USSR」もしくは「イン・エストニア」だろう。録音時は1974年。まだまだ冷戦真っ只中。どういう経緯で、当時のソヴィエトでのライヴ公演になったのだろうか。

Oscar Peterson Trio『Oscar Peterson In Russia』(写真左)。1974年11月17日、当時のソヴィエト連邦、現エストニアのタリンでのライヴ録音。パブロ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Jake Hanna (ds)。

このライヴ盤を聴く限り、タリンの聴衆はモダン・ジャズをちゃんと理解して、有名スタンダード曲の時など、拍手が一層大きくなったり、ソロの展開の時もしっかりと聴き、ソロが終わると大きな拍手を送る。ソヴィエト占領下のタリンとはいえ、モダン・ジャズの理解は素晴らしいものがある。

ここでのピーターソンは、もともとのピーターソンの持つ実力を遺憾なく発揮している。この頃のピーターソンは、ベテランの域に達し、しかし米国のジャズは凋落の一途。ライヴによっては、独りよがりに、ハイ・テクニックの限りを尽くして、ピアノを勝手気ままに弾きまくって、顰蹙を買うこともしばしばだったが、ここでの、ソヴィエトでのピーターソンは違う。
 

Oscar-peterson-triooscar-peterson-in-rus

 
共産圏の聴衆に対して、アートとしてのモダン・ジャズを聴かせよう、と思ったのだろうか、このライヴ盤でのピーターソンは、実にアーティスティックで、実にジャジーで、弾き回しは、ダイナミズムはちょっと控えめに、適度に上品で端正、バリバリ勝手気ままに弾きまくること無く、「抑制の美」を身を持って示したような、上質でアーティステックなピーターソンのピアノがこのライヴ盤にてんこ盛り。

「抑制の美」を纏ったピーターソンは無敵である。気品漂う、小粋なフレーズを、ほど良く抑制、コントロールされたダイナミズムで、クラシックばりの途方もないテクニックで弾き回す。「これが、ジャズ・ピアノだ」と言わんばかりの上質でアーティスティックでジャジーな弾き回し。タリンの聴衆に対して、最高のジャズ・トリオのパフォーマンスのひとつを、誠実に格調高く弾き進めるピーターソン・トリオは立派だ。

選曲も共産圏の聴衆向けに、有名中の有名スタンダード曲や、ピアノ・トリオで映える小粋なスタンダード曲などが選曲されていて、聴いていて、とても楽しい。アレンジもいつになく優秀で、バックを司る、ペデルソンのぶんぶんアコベも良い音だして絶好調、ハナのドラミングもハードバップな堅実ドラミングで好調を維持。トリオ演奏として、水準以上を行く、1970年代のピーターソン・トリオの代表的演奏の一つがこのライヴ盤に記録されている。

面白いのはジャケット写真の「ピーターソンの服装」。定番の黒スーツではなく、カントリー調のデニム・ジャケットを纏ったラフな服装。クラシックではない、ジャズのピアノ演奏なんだと、デニム・ジャケットでアピールしたかったのだろうか。でも、意外と似合っている、と思っているのは僕だけだろうか。とにかく、このライヴ盤は好盤。ピーターソン者の方々は必聴でしょう。
 
 

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2022年3月19日 (土曜日)

ベイシーのジャム・セッション盤

何故だか判らないのだが、パブロ・レーベルのカタログを見渡していると、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのライヴ音源が結構あって、それも、1975年と1977年に集中している。何かモントルー・ジャズ・フェスとパブロ・レーベルの間に、ライヴ・レコーディングの専属契約でもあったのだろうか。どのライヴ盤も充実した内容で、録音状態もとても良いばかりである。

このライヴ盤を聴かない手は無い。それぞれのライヴ盤の内容を見ても、パーソネルはそれぞれ、ベテラン〜中堅の一流ジャズマンで固められ、モントルー・ジャズ・フェスという伝統的な、由緒正しきジャズ・フェスでのライブ演奏なので、内容的にも、伝統的なスイング〜ハードバップな演奏がメインで、それぞれが充実したものばかり。

『Count Basie Jam Session At the Montreux Jazz Festival 1975』(写真)。1975年7月19日、スイスはモントルーのジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Roy Eldridge (tp), Johnny Griffin (ts), Milt Jackson (vib), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Louis Bellson (ds)。伝説のジャズバンドの総帥、カウント・ベイシーがピアノを担当、エルトリッジのトランペットとグリフィンのテナー、ミルトのヴァイブがフロントを張るセクステット編成(6重奏団)。
 

Count-basie-jam-session-at-the-montreux-

 
1975年時点での、このパーソネルを見れば、このライヴ演奏には絶対に触手が伸びる。ベイシーがビッグバンドを離れて「ピアニスト」として参加、スイング時代からの人気トランペットである、エルトリッジがフロントを担当、同じくスイング時代からの人気ドラマー、ルイ・ベルソンがドラムを担当していること、そして、このスイング時代からの人気ベテラン・ジャズメン達が、ハードバップの中核を担うメンバーと合流して、思いっ切りハードバップなジャム・セッションを繰り広げているのだ。

メンバー全員ノリノリのジャムセッションが繰り広げられる。収録曲はパーカー作の「Billie's Bounce」、メンバー全員の即席ナンバー「Festival Blues」、そして、レスター・ヤング作の「Lester Leaps In」の、たった3曲だが、どの曲も10分以上の長い収録時間の演奏で、メンバーそれぞれの長尺のアドリブ演奏心ゆくまで堪能できる。

破綻が全く無く、テクニックにも優れた「ハードバップなジャム・セッション」が繰り広げられていて、爽快ですらある。ミルト・ジャクソンのヴァイブがこれほどまで、ジャム・セッションに適応するとは思わなかったし、ベイシーのピアノがハードバップ演奏のリズム・セクションの一端を担うなんてことも思いもしなかった。しかし、メンバー6人とも好調な演奏で、ハードバップなジャム・セッションを心から楽しんでいる雰囲気がビンビンに伝わってくる。
 
 

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  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

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  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
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2022年3月18日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・232

パブロ・レコード(Pablo Records)は1973年にノーマン・グランツによって設立されたジャズ・レコード・レーベル。ビ・バップ期以降のレジェンド〜ベテラン級のジャズマンをメインにセッションをセットアップし、1970年代、フュージョン・ジャズ全盛期にありながら、純ジャズに特化したアルバムを多数リリースしたレーベルである。

このパブロ・レーベルのカタログの特色の1つが「モントルー・ジャズ・フェスティヴァル」のライヴ録音盤が多くあるということ。しかも、フェスティヴァルの催し物の中でも「目玉」のひとつである「ジャム・セッション」のライヴ盤が多数出ている。

レジェンド〜ベテラン級のジャズマン達のジャム・セッションがメインという先入観があって、口の悪いジャズ者の方々は、聴く前から「予定調和で定型的な、旧来のハードバップっぽい、お決まり展開のジャム・セッションなんでしょ」と散々なのだが、これが聴いてみると意外と「イケる」のだ。フェスティヴァルのジャム・セッションの記録なので「臨場感」も半端ないところも「イケる」のだ。

The Dizzy Gillespie Big 7『At the Montreux Jazz Festival 1975』(写真)。1975年7月16日、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp), Eddie "Lockjaw" Davis, Johnny Griffin (ts), Milt Jackson (vib), Tommy Flanagan (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Mickey Roker (ds)。フロント3管+ヴァイブ+リズム隊の「セプテット(七重奏団)」編成。
 

The-dizzy-gillespie-big-7at-the-montreux

 
パーソネルを見渡すと、このセプテットって「昔の名前で出ています的なロートル・ジャズマン」の集まりでは無い。暫定リーダーのガレスピーですら当時58歳。ロックジョーで53歳。この2人がメンバーの中で最古参と思われるが、この年齢だとすると「ベテラン」の域を出ていない。残りの5人は、当時の純ジャズの中核メンバーばかり。このメンバーで「予定調和な定型的なジャム・セッション」は無いだろう。

フロント3管が好調。ガレスピー、ロックジョーはバップなトランペットを鳴り響かせ、グリフィンのハードバップなテナーは、モダンで骨太でブルージー。ミルトのヴァイブは流麗かつ躍動的。トミフラのピアノが率いる、ペデルセンのベース、ロッカーのリズム隊は、すこぶるハードバップで切れ味の良い、力感溢れ、そこはかとなくファンクネス漂う、上質のリズム&ビートを供給する。

収録曲はジャム・セッションの記録(括弧内は収録時間)なので、LP時代は以下の2曲のみ「Lover, Come Back to Me」(16:43), 「I'll Remember April」(16:02)。 CDリイシュー時、ボートラとして以下の2曲「What's New?」(12:13), 「Cherokee」(11:01) が追加されて、全4曲構成となっている。

この追加されたボートラの内容もかなり充実していて、LP時代の2曲だけではちょっと聴き足りない気分になるだが、追加の2曲が加わって、このジャム・セッションが如何に充実していたか、をしっかり体感出来る様になっている。このボートラの追加は「正解」である。このジャム・セッションの記録の価値がさらに上がった、と言える。
 
 

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2022年1月31日 (月曜日)

エリントンとブラウンのデュオ盤

パブロ・レーベルには、ハードバップ時代に「ありそうで無かった」メンバーのカップリングが多数ある。加わて、この人がこんな編成の演奏するの、とビックリする企画ものもある。フュージョン全盛期の1970年代に活発に活動したレーベルで、メインストリーム系のジャズ・レーベルからすれば「逆風」の時代ではあるが、純ジャズ・ベースの内容の濃いアルバムも多数リリースしているから立派。

Duke Ellington & Ray Brown『This One's for Blanton』(写真)。1972年12月5日の録音。パーソネルは、Duke Ellington (p), Ray Brown (b)。全編に渡って、ジャズ界きっての巨匠、デューク・エリントンとジャズ・ベースの「ヴァーチュオーソ」の1人、レイ・ブラウンとのデュオ演奏である。この組合せ、パブロ・レーベルでないと成立しないだろう。総帥プロデューサーのノーマン・グランツに感謝、である。

ジャズ界きっての巨匠、デューク・エリントンであるが、最晩年の1971〜73年の間、パブロ・レーベルに、自分のオーケストラを離れ、単独のピアニストとして、5枚のリーダー作を録音している。あまり注目されていないようだが、どのアルバムもピアニスト・エリントンの個性を十分に反映していて、聴き応えのあるものばかり。
 

This_ones_for_blanton

 
このレイ・ブラウンとのデュオ盤も内容は非常に濃い。パーカッシブで硬質なタッチで、音間に「黒いファンクネス」が漂い、ブルージーな右手の「スクエアに流麗な」旋律、という、エリントンのピアノの個性が手に取るように判る。加えて、レイ・ブラウンが、いかに「ヴァーチュオーゾ(卓越した技巧をもつ演奏家)」レベルのベーシストであったかが、手に取るように判る。

エリントンのピアノについては、音数は比較的少なく、バリバリ弾きまくる訳でもない。スクエアにスイングしつつ、間を活かした、流麗で「タメ」のあるアドリブ・フレーズは唯一無二。どこから聴いても「エリントン」な、どこから聴いても「エリントン」と判る個性的なピアノが、ブラウンの卓越したベース・ラインに乗って、乱舞する様はいつ聴いても鳥肌の立つ思い。

エリントンの唯一無二な個性的なピアノを、もっと聴きたかったなあ、と強く思わせる、素敵な内容のデュオ盤。出しゃばらず、エリントン御大を素晴らしいテクニックのアコースティック・ベースでサポートするレイ・ブラウンも素敵。それまでありそうで無かったパブロのデュオ盤。ジャケットもまずまずで、おすすめの名盤です。
 
 
 
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2022年1月28日 (金曜日)

ハービー&ジョーの魅力的デュオ

パブロ・レーベル(Pablo Label)は、1970年代を中心に、メインストリームな純ジャズのアルバムをリリースしたジャズ専門レーベルである。

僕が本格的にジャズを聴き始めたのが1970年代終盤なのだが、パブロ・レーベルの盤は基本的に敬遠していた。我が国のジャズ・シーンでは、パブロは「昔の名前で出ています的な懐メロ・ジャズ」と揶揄されていて、昔の懐メロ的な純ジャズを聴いても仕方が無い、という風潮があった。加えて、当時はフュージョン・ジャズの全盛期。ジャズの歴史的な定盤とフュージョンの人気盤を入手するだけで、手元の資金が底を突いていた、ということもあった。

よって、ジャズ喫茶でパブロ盤をリクエストしようものなら(当時、硬派なジャズ喫茶だったら、パブロ盤は置いてなかったかもしれないが)、白い目で見られそうでリクエストは出来ず、レコード屋の棚で、こんなアルバムが出てるんやなあ、とジャケットを眺めるに留めていた。

が、21世紀に入ってから、パブロ盤は比較的入手し易くなり、今では音楽のサブスク・サイトで、パブロの有名盤は殆ど聴くことが出来る様になった。で、自分の耳でパブロ盤を聴き直してみて、「昔の名前で出ています的な懐メロ・ジャズ」というのは「偏った」評価だったようやなあ、とつくづく思った。パブロって、結構、内容の良い盤をリリースしているのだ。
 

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Herb Ellis & Joe Pass『Two for the Road』(写真)。1974年1月30日〜2月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Herb Ellis, Joe Pass (g)。ハーブ・エリス(ハービー)、ジョー・パス(ジョー)、ジャズ・ギターのレジェンド級の名手2人の「デュオ」編成。ギターは、旋律楽器にもリズム楽器にもなる。ギターのデュオはそんなギターの特性を活かして、2人でどうやって役割分担しながら、インタープレイを展開するか、が聴きどころである。

当然、ギタリスト同士の相性や人間的な「好き嫌い」も重要な要素となる訳だが、ハービーとジョーについては、その点は全く問題が無かった様である。冒頭の手垢の付いた、どスタンダード曲「Love for Sale」を聴くと良く判るのだが、ハービーもジョーも「攻めている」。懐メロ・ジャズよろしく、イージーリスニング風に日和っても良いのだが、この2人はそうはならない。

ユニゾン&ハーモニーは意外と斬新な響き、アドリブ・フレーズもこれまた意外と尖っている。とてもポジティヴで攻めたデュオ演奏になっていて、聴き応え十分。収録曲の殆どがスタンダード曲なんだが、どの演奏も「手垢の付いた」感が全く無い。録音当時、ハービー53歳、ジョー45歳。ジャズマンとしては油の乗りきったバリバリの中堅。充実のパフォーマンスである。

パブロ・レーベルの盤はどれもが大体そうなんだが、ジャケットのデザインが「イマイチ」。この盤もジャケットのイメージで損をしているように感じるが、この盤は「イケて」いる。ハービーとジョーの「ヴァーチュオーゾ」なギター演奏を心ゆくまで堪能出来ます。
 
 
 
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2021年10月11日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・221

1970年代に、メインストリームな純ジャズのアルバムをリリースした人気の「パブロ・レーベル」。ベテラン・ジャズマンを中心に起用していたので、口の悪いジャズ者の方々からは「昔の名前で出ています的な、懐メロ・ジャズ」と揶揄されていたが、どうもそれは「偏った」評価だったようである。

Count Basie & Big Joe Turner『The Bosses』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Big Joe Turner (vo), Count Basie (p, org), Ray Brown (b), Louie Bellson (ds), Irving Ashby (g), Eddie "Lockjaw" Davis, Zoot Sims (ts), J.J. Johnson (tb), Harry "Sweets" Edison (tp)。

フロントが4管にギター入り、老舗ビッグバンドの総帥、カウント・ベイシーのリズム・セクションのセプテット編成。この渋くて豪華なセプテットをバックに、米国カンサスシティ出身のブルース・シンガー、ビッグ・ジョー・ターナー(写真右)が、とことんブルージーな歌唱を披露する。カウント・ベイシーとビッグ・ジョー・ターナーがカンサスシティ出身繋がりでのこのセッションだと思うが、この組合せ、パブロ・レーベルならでは、である。
 

The-bosses-basie-turner

 
ビッグ・ジョー・ターナーは1911年生まれだから、この盤の録音時は62歳、カウント・ベイシーは1904年生まれなので、この盤の録音時は69歳。両者とも豊富な実績を誇るレジェンド級の大ベテラン。この盤でも、余裕と個性が溢れんばかりのセッションを繰り広げている。ブルースとジャズのコラボは「ありそうで余り無い」。ブルース好きのジャズ者には堪らない雰囲気であり、音世界である。

ビッグ・ジョー・ターナーのパワフルなシャウトスタイルは「ボス・オブ・ブルース」とと呼ばれるだけあって、堂々とした、風格あるブルースを聴かせてくれる。カウント・ベイシーのピアノはシンプル。シンプルだが間の取り方とフレーズの流し方が絶妙で、聴いていて「なんて伴奏上手なピアノなんだ」と感心してしまう。フロント4管はハードバップ期からのベテラン名手ばかりで、良い感じのユニゾン&ハーモニーを聴かせてくれる。

ブルースとジャズのコラボなので、そのアーバンなブルース感とジャジーなスイング感は半端無い。リズム・セクションが「ジャズ」で、ボーカルが「ブルース」なので、ブルース感覚が限りなく濃厚なメインストリーム・ジャズという趣きがとても良い。聴いていて、ブルース好きにとって、とても楽しい雰囲気が満ちてくる。ほとんど紹介されることの無い盤であるが、この盤、ブルースとジャズの「融合盤」として、十分に評価出来る内容である。
 
 
 
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2021年9月21日 (火曜日)

エラの聴いて楽しめるライヴ盤

Ella Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)は、女性ジャズ・ボーカリストのレジェンド中のレジェンド。1935年、18歳の若さで、デッカ・レコードより、レコード・デビュー。1956年に、ノーマン・グランツのレコードレーベルであるヴァーヴ・レコードと契約。伝説の「8枚のソングブックアルバム」をリリース。1972年から、パブロ・レーベルに移籍。後期〜晩年の優秀盤を録音している。

僕がジャズを本格的に聴き始めた頃(1970年代後半になるのだが)、エラについては、我が国のジャズ者の方々は手厳しくて、「全盛期は1950年代。全盛期を過ぎた1970年代のエラは大した事は無い。声も出ていない、迫力も無い。パブロから出てるアルバムは皆、懐メロ的なものばかり。あれを聴いて楽しめるのは、ロートルのジャズ爺だけじゃないか」なんて酷い評価を受けていたものだ。

Ella Fitzgerald『Ella In London』(写真左)。1974年4月11日、英国ロンドンのジャズ・スポット「Ronnie Scott's」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ella Fitzgerald (vo), Tommy Flanagan (p), Joe Pass (g), Keter Betts (b), Bobby Durham (ds)。エラのボーカルがメイン、トミー・フラガナンのトリオ+盟友ジョー・パスのギターがバックに控える。
 

Ella-in-london_ella-fitzgerald

 
冒頭「Sweet Georgia Brown」から、エラは快調に唄いまくる。力が程好く抜けて、リラックスした歌唱は実に良い感じ。しかも、ガーシュイン物、コール・ポーター物はさすがに手慣れたもの。やっぱり上手いよ、エラは。やっぱりスタンダード曲を唄わせたら最高やね。6曲目には、R&Bシンガーにも好んでカバーされるキャロル・キングの名曲「"You've Got a Friend」を唄っている。これも良い味出している。

バックのリズム・セクション+ギターも快調。特に、ピアノのトミー・フラナガンとギターのジョー・パスは「伴奏上手」で鳴らした超一流のジャスマン。機微をシッカリ心得て、エラの歌唱にピッタリと寄り添う。そして、ボビー・ダーハムのドラムが、これだけ繊細に硬軟自在に、ボーカルのバックにしっくりと填まるとは思わなかった。良好なリズム隊に恵まれたボーカリストはその実力を遺憾なく発揮する。

良い女性ボーカル盤です。ジャズ・ボーカルの歴史にその名を留めるような名盤では無いが、聴いていてゆったりと楽しめる、長年に渡ってリピートする「隠れ好盤」だと思います。聴いていて疲れない、心地良くスッと耳に入ってくる。ボーカル物ってそれが一番大切な要素じゃないかなあ、なんて、歳を重ねた結果、思うようになりました。
 
 
 
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2021年9月 6日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・217

Dizzy Gillespie『Dizzy's Big 4』(写真)。1974年9月 17&19日の録音。パブロ・レーベルの2310-719番。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp), Joe Pass (g), Ray Brown (b), Mickey Roker (ds)。ピアノレスの、代わりにギターが入った、トランペット1管フロントの「ワンホーン・カルテット」。

それまでにありそうで無かった、というか、1950〜60年代では無かったであろうカルテット編成。リーダーのディジー・ガレスピーはビ・バップの生みの親の1人。テクニック&歌心に秀でたレジェンド級のトランペッター。1950〜60年代は、主力レーベルのハードバップのセッションに顔を出すことは殆ど無く、ビッグバンドの主宰など、我が道を往く活動だった。

職人ギターのジョー・パスと職人ベーシストのレイ・ブラウンは、米国西海岸ジャズの範疇での活動がメイン。東海岸ジャズのメンバーが西海岸にやって来れば、他流試合セッションを繰り広げたりするが、基本、東海岸ジャズとのメンバーの恒常的な交流は無かった。職人ドラマーのミッキー・ローカーは、東海岸ジャズのサイドマン活動がメイン。当然、西海岸ジャズとの交流は無い。

この盤のパーソネル、パブロ・レーベルならではのブッキングと言える。ノーマン・グランツに対する信頼とグランツ自身の卓越したプロデュース能力の賜だろう。ビ・バップの生みの親、レジェンドのトランペッターをフロントに、バックにギター・トリオを配置した、極上のハードバップ・セッションが繰り広げられている。
 

Dizzys-big-4

 
録音当時、ガレスピーは57歳。ブラウンは48歳、パスは45歳、ロッカーは42歳。ガレスピーは年齢的に充実のベテラン、バックのギター・トリオは、働き盛りの中堅。メンバーの年齢的にも「油が乗りきって充実した」、今を振り返ると、いずれも「レジェンド級」のジャズマンが集まっているのだ。平凡な演奏になる訳がない。

ガレスピーのトランペットは緩急自在、硬軟自在。つぶやくようなブロウ、一転して火を吹くようなブロウ、強烈にダイナミックに吹き上げるトランペットはガレスピーならでは個性。それでいて、出てくるフレーズはコッテコテにジャジーでブルージー。耳にもたれることは無いし、マンネリに陥ることも無い。さすが「レジェンド級」のトランペッター。

バックを司るギター・トリオも実に味がある。一言で言うと「職人芸」。高度なテクニックを駆使しつつ、流麗で味のある「粋な」フレーズを積み重ねて、とっても小粋なバッキングを繰り広げる。ガレスピーのトランペットを引き立てることはもとより、このバックのギター・トリオの妙技だけでも、とことん楽しむことが出来る。聴き応えのあるギター・トリオ。

ブルース・フィーリング溢れる「ガレスピーのベテラン期の佳作」。この盤の演奏には「ジャズとしての新しさが皆無」と揶揄する向きもあるが、21世紀の今の耳で聴き直すと、熟練、成熟のハードバップ、正統なモダン・ジャズな演奏がこの盤に詰まっていると思う。隠れ名盤の一枚として再評価したい。
 
 
 
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2021年9月 2日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・93 『For the First Time』

昨日も書いたが、パブロ・レーベルには、ハードバップ時代には無かった編成やメンバーのカップリングが多数ある。加わて、この人がこんな編成の演奏するの、とビックリする企画ものもある。昨日のデューク・エリントンのピアニストとしての個性に焦点を当てたアルバムもそのひとつ。で、今日は「カウント・ベイシー」である。

The Count Basie Trio『For the First Time』(写真)。1974年5月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Ray Brown (b), Louie Bellson (ds)。パーソネルをよくよく見れば、昨日のデューク・エリントンのピアノ・トリオ+ギターのベースとドラムがそのままスライドして採用されている。パブロの総帥プロデューサーのノーマン・グランツのプロデュースの観点が何となく見て取れる。

カウント・ベイシーは、ご存じ、伝説のビッグバンド「カウント・ベイシー楽団」の総帥リーダー。ダイナミックで分厚いアンサンブルが身上のビッグバンドだが、このビッグバンドのリーダーのカウント・ベイシーのピアノが、音数の少ない、間を最大限に活かした、まるで「侘び寂び」を反映した様な、ビッグバンドの音は正反対の音世界になっているのだから、ジャズは面白い。
 

For-the-first-time

 
本当に音数の少ないピアノである。間を最大限活かしているが、大丈夫か、と心配になるくらいに音数が少ないフレーズが出てくる。そのフレーズは「スイング」が基調。独特なスイング感とリズム感は、カウント・ベイシーのワン・アンド・オンリーなもの。これだけ音数の少ないピアノは他に無い。マイルスがその音数の少なさとクールな使い回しで着目した「アーマッド・ジャマル」よりも音数が少ないから凄い。

そして、ベイシーのオルガンがクールで粋。ファッツ・ウォーラーに教わったというスタイルらしいのだが、ロングトーンを活かした、ディープで、ブルージーな雰囲気を増幅して聴かせるスタイル。実に味わい深く、従来のジャズ・オルガンとは全く違うスタイルで最初は戸惑うが、何回も聴き重ねるにうちに、その味わいがジンワリと染みてきて癖になる。

録音年の1974年と言えば、ジャズの世界ではフュージョン全盛期に向かう頃。そんな電気楽器&8ビートなジャズが台頭する中、こんなに玄人好みの渋いピアノ・トリオがリリースされていたことに、パブロ・レーベルの企画力と懐の深さ、そして、メインストリームなジャズ・レーベルとしての矜持をビンビンに感じる。ピアノ・トリオの隠れ名盤だと思います。
 
 
 
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