ハードバップ/スウィングの好盤
Riversideレーベルのカタログを順に見ていくと、ほどなく「マンデル・ロウ」に遭遇する。ブルーノートやプレスティッジでは全く聴いたことが無いギタリストの名前、マンデル・ロウはジャズ・ギタリスト。1922年4月21日ミシシッピ州ローレル生まれ。Wikipediaによると「ラジオ、テレビ、映画で、またセッションミュージシャンとしてもよく働いたアメリカのジャズ・ギタリスト」とある。
Mundell Lowe『A Grand Night For Swinging』(写真左)。1957年3月7日(tracks 1, 3, 4 & 7) と4月10日(tracks 2, 5 & 6)の録音。Riversideレーベルの「RLP 12-238」。ちなみにパーソネルは、Mundell Lowe (g), Billy Taylor (p), Les Grinage (b), Ed Thigpen (ds), Gene Quill (as :tracks 2, 5 & 6)。
ジャズ・ギタリストとして純粋に活動したのは、1950年代がメイン。1955年から57年の間に、リヴァーサイドから4枚のリーダ作をリリースしている。そのラストの4枚目のリーダー作がこのアルバムになる。心地良くエレガント、クールで軽快な音色のマンデル・ロウのギター。スローなナンバーの中、流麗なコードワークでじっくり聴かせる技に、意外に凄みを感じる。それは4枚目のリーダー作でも変わらない。
逆にこの盤では、クールで軽快なトーンで知られていたロウが、「もっとハードに、力強くスウィングできること」を証明するが如く、非常に小気味よくてハッピーな弾き回しをしているのが着目点。弾き回しの基本は「スウィング」。ハードバップど真ん中の時代の録音だから、この盤の演奏志向は「スウィング」である。クール・スタイルから、タフで泥臭いハード・スウィングへのステップアップをこの盤で図っている。
ビリー・テイラーの上品かつ軽快なピアノでのバッキングの妙、そしてエド・シグペンの正確&堅実なドラミングが絶妙に噛み合って、良好なリズム&ビートを叩き出している。アルト・サックスが入ったクインテット演奏では、クイルのアルト・サックスのエッジの効いたアグレッシブな吹奏が、セッションに良い意味での荒々しさと泥臭いファクネスを付加していて、ハード・スィングなセッション志向に貢献している。
全体的にミディアム〜アップテンポの楽曲が中心で、ジャズ初心者からギタージャズ好きまで、誰もが心地よく楽しめる「極上のスウィング・アルバム」。リラックスした雰囲気でありながら、ジャムセッションらしいスリリングな閃きが詰まった、1950年代のハードバップ/スウィングの好盤と言える。
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