この盤もグリーン後期の傑作
パッキパキ硬質でファンクネスだだ漏れなシングル・トーンのギターが個性のグラント・グリーン。グリーンの後期のギターの特色は「ファンクネスさらに濃厚」。とりわけファンキーなシングル・トーンで、彼独特のグルーヴを叩き出す。そんなグリーンの後期のリーダー作も好盤がどっさり。
Grant Green『The Final Comedown』(写真左)。1971年12月13–14日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), IPhil Bodner (fl, piccolo, as, oboe), Harold Vick (as, ts), Irving Markowitz, Marvin Stamm )tp, flh), George Devens (vib, timpani, perc), Richard Tee (p, org), Cornell Dupree (g), Gordon Edwards (el-b), Grady Tate (ds), Ralph MacDonald (conga, bongos), Warren Smith (marimba, tambourine)。ここに、ヴィオラ、チェロの弦楽器とハープが入る。
ブラックスプロイテーション(黒人による黒人のための映画)のサウンドトラック盤。グラント・グリーンとしては異色中の異色作になる。映画のサウンドトラックなので、あまり大きな音で目立つことはできない。バックの音と程よいバランスをとった、グリーンのギター。あまり目立たないが、ここ一発というところでは、ハッとするような、ファンクネスだだ漏れでソウルフル濃厚なパフォーマンスを聴かせてくれる。「抑制の美」である。
ピアノ、オルガンにリチャード・ティー、サイド・ギターのコーネル・デュプリー、エレベにゴードン・エドワーズ。ここにドラムのスティーヴ・ガッドがいれば、伝説のフュージョン・バンド「スタッフ」になる。グラディ・テイトのドラムも、叩き出すリズム&ビートは「縦乗り」で、どこかガッドに似ているドラミングが良い。
バックのリズム・セクションが「ほとんどスタッフ」なので、演奏全体がファンキーでソウルフルで、うねるようなグルーヴを湛えたリズム&ビートが、「ファンクネスさらに濃厚」な、パッキパキ硬質なシングル・トーンのグリーンのギターにバッチリ合っている。うねる様なグルーヴに、ファンクネス濃厚なシングル・トーンのギターがよく似合う。
映画のサントラということで、ソロイストの音は控えめ、それが「抑制の美」に繋がって、演奏メンバー誰もが、逆に凄みのあるクールでヒップなフレーズを叩き出している。ゴードン・エドワースのエレベがブンブン唸り、デュプリーのサイド・ギターがファンクネスを撒き散らし、テイトのドラムがビートを刻む。バラード曲での絶妙の伴奏を披露するティーのキーボード。この「ほとんどスタッフ」のリズム・セクションが、グリーンのギターのグルーヴ感を2倍にも3倍にも増幅する。
「Father's Lament」のソフト&メロウなバラードでの、ファンクネス濃厚なグリーンのシングル・トーンなソロ演奏、ティーのソウルフルなグルーヴ濃厚なオルガンが凄まじく良い。「Afro Party」でのブラスの響き、グリーンのファンキーでソウルフルな伴奏弾き、エドワーズのソリッドな重低音が響く、グルーヴ撒き散らしのエレベ。サントラ的な小曲の間に、絶妙なファンキー&ソウルフル&ブラコンなキラーチューンが入っているから堪らない。
1971年の録音だが、後のフュージョン・ジャズを先取りした、ソフト&メロウ、ソウルフルでグルーヴ感満載なジャズ・ファンクな演奏はどの曲も聴きもの。映画のサントラ盤なので、イージーリスニング志向で、甘い演奏かと思いきや、意外と硬派でファンクネス濃厚、グルーヴ感満載な演奏がギッシリ詰まっているのには、ちょっとびっくり。この盤も、グラント・グリーンの活動後期の傑作だと思います。
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