2024年9月 2日 (月曜日)

バグスのサボイ・レーベル最終盤

ジャズを聴き始めた頃から、ミルト・ジャクソン、愛称「バグス」のヴァイブがお気に入りで、ずっとバグスのリーダー作を追いかけてきた。が、バグスの初期のリーダー作の多くが、サボイ・レーベルからリリースされていた、なんて情報は、ジャズ雑誌やジャズ盤紹介本には全く無くて、『Opus de Jazz』だけが唯一だと思っていた時期が長く続いた。

Milt Jackson『Jackson's Ville』(写真左)。1956年1月23日の録音。サボイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Lucky Thompson (ts), Hank Jones (p), Wendell Marshall (ds), Kenny Clarke (ds)。バグス初期のリーダー作のうち、サボイ・レーベルに残した最後のアルバムになる。

1956年1月23日のセッションは、先行の『The Jazz Skyline』と、この『Jackson's Ville』に分けてリリースされている。内容的に充実したセッションだったらしく、リーダーのバグスのヴァイブは絶好調、フロント・パートナーのトンプソンのテナーも好調。ピアノのハンク・ジョーンズ率いるリズム・セクションも、味のあるハードバップど真ん中のリズム&ビートを叩き出して好調。
 

Milt-jacksonjacksons-ville  

 
ビ・バップ時代からの生き残りがメンバーのハードバップなので、完成度は高いが、演奏内容や出てくるフレーズに耳新しさは無い。ほぼ成熟した感の強いハードバップ演奏が繰り広げられている。トンプソンにしろ、ハンクにしろ、出てくるフレーズは、ビ・バップの延長線上にあって、手慣れた感が見え隠れるするパーフォーマンス。故に、逆に取れば、絵に描いた様なハードバップな演奏で、安心安定感溢れる、水準レベルの演奏が聴き心地満点。

そんな中、バグスのヴァイブのフレーズは、ちょっと深化した深みのあるフレーズで唄いまくる。恐らく、MJQ(Modern Jazz Quartet)への参加が、いい刺激になり、いい経験になっているのだろう。MJQへの参加はバグスにとっては「損な選択」という評論もあったが、僕は逆だと思っている。単独リーダー作でのソロは、他のビ・バップ時代からの生き残りのジャズマンと比較して、明らかに創造的で新鮮でマンネリ感は全くない。

この『Jackson's Ville』でも、そんな創造的で新鮮なフレーズを弾きまくるバグスの超絶技巧なヴァイブ・プレイを楽しむことが出来る。アレンジもなかなかで、冒頭のビ・バップの名曲「Now's the Time」や、エリントンの名曲「In a Sentimental Mood」や「Mood Indigo」「Azure」が、ミッドテンポの、小粋で洒落た曲想にアレンジされていて、聴き応え十分。バグスのキャリア初期のハードバップな好盤である。
 
 

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2024年9月 1日 (日曜日)

バグスの多彩な才能の記録です

ジャズ・ヴァイブの神様、ミルト・ジャクソン(愛称「バグス」)のキャリア初期のリーダー作は、概ね、サボイ・レーベル(Savoy Label)からのリリースになる。ブルーノートの『Milt jackson』、プレスティッジの『Milt Jackson Quartet』は、どちらも該当レーベルからの単発。サボイからの最終作『Jackson's Ville』までのリーダー作9作中の6作までがサボイからのリリース。改めて「へ〜っ」と思ってしまう。

Milt jackson『Meet Milt Jackson』(写真左)1949年12月23日、1954年11月1日、1955年2月7日、1956年1月5日の4セッションからの寄せ集め収録。1956年のリリース。当然、パーソネルは複雑で、整理すると、

1949年12月23日(tracks 6–9)は、Milt Jackson (vib), Bill Massey (tp), Julius Watkins (French horn), Billy Mitchell (ts), Walter Bishop Jr. (p), Nelson Boyd (b), Roy Haynes (ds)。珍しいフレンチ・ホルンが入ったセプテット編成。

1954年11月1日(track 5)は、Milt Jackson (vib, p, vo), Frank Morgan (as), Walter Benton (ts), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。バグスが唄い、ピアノを弾く、変則クインテット編成。

1955年2月7日(track 4)は、Milt Jackson (vib, p), Frank Wess (ts, fl), Charlie Fowlkes (bs), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds)。バグスがピアノを弾く、変則クインテット編成。

1956年1月5日(tracks 1–3)は、Milt Jackson (vib), Lucky Thompson (ts), Wade Legge (p), Wendell Marshall (b), Kenny Clarke (ds)。スタンダードなクインテット編成。
 

Milt-jacksonmeet-milt-jackson

 
既出の4セッションから未収録だった演奏を寄せ集めているのだが、当盤のリリースが1956年なので、冒頭「They Can't Take That Away from Me」から、3曲目の「Flamingo」までが、当時、一番ホットな「1956年1月5日」の演奏で、収録曲が進むにつれ、録音年月日が過去に遡っていくという、ちょっと面白い曲の収録順となっている。

当然、後半6曲目「Hearing Bells」から、ラストの「Bubu」は、1949年12月23日の録音なので、1956年1月5日の録音と比べると、演奏自体、まだまだ、こなれていない、ちょっと硬くてギクシャクした演奏になっているが、これは仕方がない。

初期のバグスのサボイにおけるリーダー作は、内容的に優れたものが多いが、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌のジャズ盤紹介などで無視されている。ネット上でも、取り上げる人は僅少。

しかし、この盤を聴いてみると、バグスの多彩な才能が聴いて取れる。本業のヴァイブはもとより、ピアノの腕前もなかなかのもの、加えて、この盤ではボーカルまで披露していて、これもなかなかのもの。

4セッションからの寄せ集め収録の盤ではあるが、バグスのヴァイブについては、既に、1949年12月23日において、テクニック、歌心、フレーズの個性、いづれも、ほぼ完成の域に達しているので、4つのセッションを横断するバグスのヴァイブについては一貫性があって、アルバム全体に統一感がある。グループサウンズ自体は、その時代の標準レベルなので、古い演奏ほど、内容が伴わないのは致し方ない。

このアルバムの副題に「Vibist, Pianist. Vocalist」とあるのは「言い得て妙」。この盤は若き日のバグスの多彩な才能の記録である。
 
 

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2024年6月29日 (土曜日)

やっとのことで『Footloose !』

このところ、ポール・ブレイを掘り下げている。ポール・ブレイは、ブルースやファンキーな雰囲気が全く皆無な、現代音楽的な硬質で切れ味鋭いタッチと幾何学的で切れ切れなフレーズが特徴のピアニスト。2016年1月に惜しくも鬼籍に入ってしまったが、ブレイのピアノはユニーク。

基本は「余白」を活かしたリリカルで耽美的なピアノであるが、アドリブ部はモーダルに展開、突如フリーキーに転換し、アブストラクトにブレイクダウンする。この「落差」が堪らない。このダイナミックな展開が「即興演奏の魅力」に直結し、ブレイ独特の個性の発露に繋がる。

フレーズの作りは「幾何学模様的」で、スイングやブルースなどとは全く無縁。どちらかといえば、現代音楽に通じる雰囲気が強く、即興演奏の妙と、モーダル時々フリーなフレーズ展開が無ければ、ジャズのジャンルには入らないのでは、と思うくらい、従来のジャズからはちょっと離れたところにある。

例えば、セロニアス・モンク、ハービー・ニコルス、オーネット・コールマンなど、従来の4ビート・ジャズの基本から大きく外れた、それでいて「即興演奏と自由度の高い展開と唯一無二の個性」という点で、しっかりジャズのど真ん中にいる「異端なジャズマン」が存在するが、ポール・ブレイは、そんな「異端なジャズマン」の一人である。

Paul Bley『Footloose !』(写真左)。1962年8月17日、1963年9月12日の録音。Savoyレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Paul Bley (p), Steve Swallow (b), Pete LaRoca (ds)。50年以上に渡るブレイのキャリアの中で、ほぼ初期の、ブレイのピアノの個性と特徴がとても良く判るトリオ演奏。
 

Paul-bleyfootloose

 
冒頭の「When Will The Blues Leave」から、「異端なジャズマン」のピアノ全開。演奏フォーマットはハードバップだが、出てくるピアノのフレーズは、従来の4ビート・ジャズの基本から大きく外れた、ブレイのピアノの特徴である「美しくリリカルな」ものと、その合間に「激しいアブストラクトなブレイクダウン」と「思索的で静的なフリー・ジャズ」の交錯が展開される。

トリオ演奏自体はハードバップ風だが、出てくる音は、従来のハードバップな音からは大きく逸脱する。プレイのピアノは先にも述べた様に、基本は「余白」を活かしたリリカルで耽美的なピアノであるが、幾何学模様的なノリで、アドリブ部は突如フリーキーに展開し、アブストラクトにブレイクダウンする。そして、そのブレイの個性的な弾き回しを理解して、スワローが、これまた幾何学的なベースラインを叩き出す。

そして、特筆すべきは、ラロカのドラミング。ブレイのフレーズやリズム&ビートにクイックに反応しつつ、幾何学模様的なポリリズミックなドラミングを叩き出す様は痛快ですらある。このあまりに個性的な、どこかモーダルなドラミングはラロカのドラミングの独特の個性。しかも、そのラロカの独特な個性のドラミングが、ブレイのピアノにバッチリ合っている。

この『Footloose !』、ジャズ盤紹介本やブレイのリーダー作紹介に、ちょくちょくタイトル名が上がる、意外と有名なアルバムなんだが、Savoyレーベルからのリリースなのに、なかなかCDリイシューされない、サブスク・サイトに音源アップされないアルバムで、中古LPはあまりに高額。僕もなかなか音源が確保できなかったが、やっと最近、音源をゲットできた。

ブレイのピアノの個性と特徴が良く判るトリオ盤。やっとのことで、収録曲全部を聴くことが出来て、やっと溜飲が下がった。ブレイのピアノは「異端なジャズマン」のピアノが故に、一度ハマったら「クセになる」。ブレイのピアノを語る上では避けて通れない、ブレイのキャリア初期のトリオ名盤でしょう。良いアルバムです。
 
 

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2024年5月24日 (金曜日)

面倒な『The Jazz Message of』

さて、ハンク・モブレーの「録音リアタイ〜アルバム化」の盤については「あと1枚」。最後の一枚はサヴォイ盤。しかも、モブレー単独のリーダー作ではない。モブレーと無名に近いアルト・サックス奏者との、やっつけ感満載のカップリング盤で人気が無い。恐らくこの盤が、モブレーのリーダー作コレクションのラストになるだろうと、ずっと気にかけていたのだが、なかなか入手できなかった。

『The Jazz Message of』(写真左)。1956年1月30日と2月8日の録音。ちなみにパーソネルは、1月30日の録音が、John LaPorta (as), Donald Byrd (tp), Horace Silver (p), Wendell Marshall (b), Kenny Clarke (ds)。2月8日の録音が、Hank Mobley (ts), Donald Byrd (tp), Ronnie Ball (p), Doug Watkins (b), Kenny Clarke (ds)。

サボイ・レーベルの録音の記録を見てみると、1956年1月30日の録音が「ケニー・クラークがリーダーで、バードとラポルタの2管フロントのクインテットのセッション」となっている。実はこのセッション、たった3曲しか録音してない様で、これでは一枚のアルバムにするには全く「録れ高」が足らない。

よって、2月6日に、ホレス・シルヴァーのピアノをロニー・ボールに代えて、「ケニー・クラークがリーダーで、バードとラポルタの2管フロントのクインテットのセッション」を追加で録音している。このセッションは全6曲を録音し、ケニー・クラークのリーダー作『Klook's Clique』として、全曲リリースされた。

ということで、ホレス・シルヴァーがピアノの1956年1月30日の録音の「ケニー・クラークがリーダーで、バードとラポルタの2管フロントのクインテットのセッション」の3曲が余ってしまった。

そこに、2月8日の録音の「モブレーがリーダーで、バードとの2管フロントのクインテットのセッション」が録音されるのだが、このセッションが、これまた、一枚のアルバムにするには全く「録れ高」が足らない中途半端なセッションで、この後、「モブレーがリーダーで、バードとの2管フロントのクインテットのセッション」が追加録音されることは無く、このモブレーのセッションの音源も余ってしまった。
 

The-jazz-message-of

 
この盤は、そんな一枚のアルバムにするには全く「録れ高」が足らなかった、2月8日の録音の「モブレーがリーダーで、バードとの2管フロントのクインテットのセッション」と、1月30日の録音の「ケニー・クラークがリーダーで、バードとラポルタの2管フロントのクインテットのセッション」を、LPのA面、B面に分けて収録した、やっつけ盤である。

ネットなどのアルバム紹介の記事などによると、この盤を『The Jazz Message of Hank Mobley』として紹介しているケースが散見されるのだが、この盤の正式なタイトルは『The Jazz Message of』である。ジャケットには、このタイトルの右下に、2つのセッションに参加したジャズマンをずらり並べてある。ジャケからして、やっつけ感が満載である。

この盤が、ハンク・モブレーのディスコグラフィーに、リーダー作の第2弾として紹介されているのが多いので、モブレーのセッション部分、LPのA面、CDで言うと、1曲目から4曲目までをじっくりと聴いてみると、意外や意外、かなり充実した内容のハードバップ・セッションが記録されているから面白い。

若いジャズマンを育て、励ましてきた人格者、ドナルド・バードがフロントのパートナーだったことが、モブレーにとって安心安定の大きな「要素」だった様で、このセッションでのモブレーのテナーは堂々として、テクニックは確か、骨太でジャジーなブロウで吹きまくっている。その横で、バードのトランペットが、モブレーを支え、鼓舞するように、ブリリアントで端正なトランペットを吹きまくっている。

このモブレーとバードの2管フロントの活躍が素晴らしい、2月8日の録音の「モブレーがリーダーで、バードとの2管フロントのクインテットのセッション」。もう少し、録れ高があって、一枚のリーダー作としてリリース出来ていたら、とモブレーの初期の名盤になっていたのではないか、と思うくらい、充実したモブレーのテナーである。

ちなみに、この『The Jazz Message of』のLPのB面、1月30日の録音の「ケニー・クラークがリーダーで、バードとラポルタの2管フロントのクインテットのセッション」は、といえば、明らかに、ジョン・ラポルタのアルト・サックスが軽くて弱い。

フレーズの展開も単純で平凡、ブリリアントで端正なバードのトランペットのブロウが溌剌としている分、明らかに見劣りがする。ケニー・クラークがリーダーのセッションなので、ラポルタを除く、残りの4人の演奏が優れているので、なんとか、内容的に水準レベルを維持している程度。ケニー・クラークのリーダー作をまとめる上で、このセッションの3曲が切り捨てられたのは至極納得、である。
 
 

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2023年7月18日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・264

暑い。酷暑である。特に、ここ千葉県北西部地方は、暫く、全くまとまった雨が降っていない。カラカラのはずが湿度が高くて蒸し暑いのなんの。特に昨日、今日と身の危険を感じるほどの酷暑である。千葉県はもう梅雨は明けていると思うのだが、梅雨明け宣言の単位が「関東地方」らしく、北関東は暫く天気が不安定だったので、梅雨明け宣言できないらしい。何とも意味の無い「梅雨明け宣言」である。

これだけの酷暑だと、まず、外を歩くのは危険。よってエアコンをつけて、応接間でジッとしながらジャズを聴く訳だが、こういう酷暑の季節は、いかにエアコンの効いた部屋とは言え、難しいジャズは敬遠したくなる。やはり、聴いて判り易く、聴いて心地良いハードバップ時代の好盤が良い。フリー・ジャズなど以ての外である(笑)。

Donald Byrd『Byrd's Word』(写真)。1955年9月29日の録音。サボイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Frank Foster (ts), Hank Jones (p), Paul Chambers (b), Kenny Clarke (ds)。バップ〜ジャズファンクなトランペッター、ドナルド・バードのリーダー作。バードのトランペットとフォスターのテナーがフロント2管のクインテット編成。
 

Donald-byrdbyrds-word_20230718201301

 
バードは1932年生まれなので、この盤の録音時は23歳。若き日のプロフェッサー=ドナルド・バードである。全編、バードの溌剌としたブリリアントなトラペットが実に良い音を出している。奏でるフレーズは、そこかしこにビ・バップの面影を残しているが、ロングなアドリブ展開においては、ファンクネス溢れ流麗で知的な響きのする、バードのトランペットの個性が全開である。

フロント管の相棒、フランク・フォスターも元気一杯、バードのトランペットと迫力あるユニゾン&ハーモニーを奏でていて、なかなか良い感じ。ベースのポルチェンは弱冠20歳。若き天才は今までに無い、多彩なベースラインを展開している。ハンク・ジョーンズのピアノは「典雅」。元気一杯のフロント管にリリカルで耽美的な雰囲気を被せて「小粋」。そして、この盤のリズム&ビートを仕切るのがクラークのドラム。典型的なバップなドラミングで、バンド全体のビートをガッチリ引き締める。

単純に「良い雰囲気のハードバップ盤」だと思います。ハードバップ初期の「それまでのビ・バップと新しい響きのバップ」が混在している雰囲気がとてもジャズっぽくて、良い感じ。安心安定のモダン・ジャズ盤です。ちなみにジャケがちょっと「とほほ」な感じですが、このトーンがサボイ・レーベルの特徴なんで、これはこれで味があって良いです。でも、このジャケで損をしているところはあるんだろうな。
 
 

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2023年1月22日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・257

最近、ジャズ・フルートのアルバムを聴き直している。フルートって楽器、基本的にはジャズに向かないと、ずっと思ってきた。それでも、ジャズ者初心者の頃、『Opus de Jazz』のフルートを聴いて「フルートの音ってファンキーやな〜」と感じ入ったりして、フルートって、吹き手によってはジャズに向くのかな、と思って以来、幾年月。しばらく、ジャズ・フルートに拘ること無く、ジャズ盤を聴いてきた。

ボブ・ジェームスの初期のリーダー作を聴き直していて、ヒューバート・ロウズのフルートって「やっぱ、ええなあ」と感じ良った。サックスのサブ楽器としてのフルートって、ジャズではよくあるが、さすが、サブ楽器だけあって、本格的なフロント楽器とは言い難い。では、ジャズ・フルートをメインにしている、フロント楽器として成立するジャズマンって、どれくらいいたのかなあ、と思って調べ始めて、ジャズ・フルートの好盤を聴き直す様になった。

Frank Wess『Opus in Swing』(写真左)。 1956年6月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Frank Wess (fl), Kenny Burrell, Freddie Green (g), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds)。ジャケ・デザインを見たら直ぐに判る、サヴォイ・レーベルからのリリースである。1956年の録音であるが、アルバム全体の雰囲気は、ちょっとレトロな「スイング・ジャズ」。
 

Frank-wessopus-in-swing

 
しかし、このレトロな「スイング・ジャズ」がとても良い雰囲気。スイングするリズム隊に乗って、フランク・ウエスのフルートが唄う様に吹き進む。芯の入った、ストレートに力強く伸びたフルートのフレーズ。ウエスのフルートは、しっかりとフロント楽器として成立している。そして、ウエスのフルートは、どこか黒くてファンキー。ウエスのフルートにその黒いファンクネスが、そこはかとなく小粋に忍んでいるのが実に洒脱で、実にジャジー。

ソロ・ギターに、駆け出し新人自体のケニー・バレル、リズム・ギターに名手フレディー・グリーン。この二人のギターが抜群に聴いている。バレルのソロ・ギターはブルージーでファンキー、グリーンのリズム・ギターは小粋に躍動的でファンキー。この二人のギターが演奏全体のファンクネスな雰囲気を醸し出している。二人の小粋にファンキーなギターと、そこはかとなくファンキーなウエスのフルート。とっても「ジャズ」な演奏が小気味良い。

バリバリのハードバップでは無い、軽やかで耳に優しい「スイング・ジャズ」。しかし、ハードバップ・マナーなアレンジが、この「スイング・ジャズ」な演奏に古さを感じさせない。とても洒脱でモダンなジャズな演奏が、この盤に詰まっている。そして、この盤は、ジャズ・フルートが、やはり吹き手によって、フロント楽器として十分成立することを我々に教えてくれる。
 
 

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2022年10月 6日 (木曜日)

ハンクのリーダー作の第3弾。

ハンク・ジョーンズのデビュー盤から10枚ほどを久々に聴き直している。昨日は初リーダー作について語った訳だが、初リーダー作にして「典雅でブルージーで、そこはかとなくファンクネス漂い、タッチが明快で流麗」なピアノの個性を手に入れていたことが良く判る初リーダー作だった。

『Hank Jones Quartet & Quintet』(写真左)。1955年11月1日の録音。サヴォイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Donald Byrd (tp), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds), Matty Dice (tp, tracks 2&3)。典雅で小粋なバップ・ピアノのレジェンド、ハンク・ジョーンズの3枚目のリーダー作。

トランペットがワンホーンのカルテット編成。2曲目「An Evening at Papa Joe's」と3曲目「And Then Some」の2曲がマティ・ダイス、残りの3曲がドナルド・バードのトランペットになる。特にドナルド・バードのトランペットがとっても溌剌としていてブリリアント。引き摺られるように、マティ・ダイスのトランペットも大健闘。2人のトランペットが分担しているが、違和感無く、バランスの取れた無い様になっている。
 

Hank-jones-quartet-quintet

 
主役のリーダー、ハンク・ジョーンズのピアノといえば、バックのリズム・セクションに回った時の「伴奏上手」なハンクのピアノがとても良い。選曲はスタンダード曲ばかりで、アレンジを含めて、カルテット演奏におけるピアノの弾き回しがとても「粋」に響く。バップなピアノだが、フロントの前に出ることは絶対に無い。流麗で典雅なフレーズで、フロントのトランペットをしっかりとサポートする。

典型的なハードバップな演奏に仕上がっている。そんな中、ドナルド・バードのトランペットのフレーズはどことなく「新しい響き」を感じるし、ハンクのピアノは他のピアニストに無い「上品なファンクネスとフレーズの典雅さ」が個性的。パーソネル的には「新旧メンバー織り交ぜて」ではあるが、味のある小粋なハードバップ演奏に仕上がっているのは流石である。

音も良い。資料を見てみると、Van Gelder Studioでの録音である。ヴァン・ゲルダー渾身の好録音。ハンクのピアノも活き活きとした、ピンとタッチの立った音で録音されていて、ハンクのピアノが、伴奏に回ってようが、ソロを取る為、前面に立ってようが、しっかりと聴き取れる。サヴォイからのリリースなので、ジャケは「トホホ」だが、これはご愛嬌(笑)。
 
 

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2021年7月22日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・214

各老舗のジャズ・レーベルには「こんなジャズマンいたんや」と思う、知る人ぞ知る玄人好みのジャズマンがいる。最近、サヴォイ・レーベルについては、カタログを眺めながら、これは、と感じる盤を順番に楽しみながら聴き直しているのだが、サヴォイ・レーベルでの「知る人ぞ知る玄人好みのジャズマン」の1人が「レッド・ノーヴォ」。

改めて、レッド・ノーヴォ(Red Norvo)は、米国イリノイ州の出身、1908年の生まれ。スイング期に活躍、ビ・バップ期には40歳を過ぎて、この時点で中堅のジャズマンということになる。但し、リーダー作はハードバップ期に集中していて、幾つかのレーベルになかなかの秀作を残している。1960年代に入って、リーダー作はほとんど途絶え、1999年4月に鬼籍に入っている。

Red Norvo Trio『Move!』(写真左)。1951年の録音。サヴォイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Red Norvo (via), Tal Farlow (g), Charles Mingus (b)。当時として先進的な、ドラムレス、ピアノレスのトリオ編成。録音担当は(マスタリングのみかも)、ルディ・ヴァン・ゲルダー、プロデューサーはオジー・カディナ。録音も良好、内容的にも、ビ・バップを抜けて、ハードバップ風の演奏になっている。
 

Move

 
まず、リーダーのレッド・ノーヴォの品のある、硬質な音ではあるが流麗なヴァイブの弾き回しに耳を奪われる。ファンクネスをドップリ振り撒くのでは無く、スッキリとしたファンクネスを仄かに漂わせながらの、品のある弾きっぷりは聴き応えがある。さすが、スイング期に活躍しただけはある。アドリブ・フレーズはどれもが「スインギー」。

サイドマンの2人のパフォーマンスも素晴らしい。タル・ファーロウのギターは先鋭的。かなり硬質なピッキングでプレグレッシヴに、アグレッシヴに弾きまくる。旋律の弾き回しも素晴らしいが、ドラムレスな分、リズム楽器としてのファーロウのバッキングも見事。チャールズ・ミンガスのベースも骨太でソリッドで、その存在感は頼もしい限り。

LPサイズ単品でのCDリイシューがしばらく途絶えて、入手が難しい時期が続いたが、最近では、音楽のサブスク・サイトなどで、この『Move!』の音源を含んだ『The Savoy Sessions: The Red Norvo Trio』(写真右)がアップされていて(CDでもリリースされている)、やっと気軽に聴くことが出来る環境になった。
 
 
 
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2021年7月20日 (火曜日)

サヴォイ・レーベルのパーカー盤

サヴォイ・レーベルと言えば、1942年に設立以来、ビ・バップ華やかりし1940年代後半から1950年代前半にかけて、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーなどのセッションをどんどん録音していった。が、パーカーについては、アルバムとして今も流通しているものは数少ない。

パーカーのセッションの全てを収録した「パーカー研究者向け」の企画ボックス盤はあるにはあるが、これは明らかに後の「マニア御用達」なもので、CD複数枚の企画ボックス盤は聴き通すのも大変。やはり、当時LPとしてリリースされたものが良い。

『The Charlie Parker Story』(写真)。1945年11月26日の録音。もともとは、パーカーの死後にリリースされたLPレコード。1945年11月26日に録音されたセッション全体を記録した最初のアルバムになる。

ちなみにパーソネルは不確で、恐らくこれが一番正確なのかと。Miles Davis (tp), Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie (tp, p), Sadik Hakim (p), Curly Russell (b), Max Roach (ds)。トランペットとピアノについては、どの曲で誰が担当したか、諸説あって良く判らないみたい。

16トラックあるが、収録曲としては実質6曲。この盤はLPとして1956年にリリースされた折から、セッション全体を順番に収録していて、正式なマスター・テイクから、マスター・テイクに比肩する内容のオルタネイト・テイク、途中で終わっちゃうショート・テイク(失敗テイクでしょうね)など、1曲の中で、3〜5パターンの演奏が収録されている。
 

The-charlie-parker-story-1

 
この盤を通して聴くと、1945年当時の「ビ・バップ」の演奏について、ビ・バップ・ムーヴメントの中心となったジャズマンが集った演奏については、素晴らしく内容のある演奏だったことがよく判る。このサヴォイ盤については「現代のジャズの歴史で作られた最高の録音」と評価されている。

「Billie's Bounce」1曲とってみても、オリジナル・テイクのほか、オリジナル・テイクに比肩する内容のオルタネイト・テイクが3曲収録されており、どの演奏をとってみても充実した内容で、オリジナル・テイクと比べても甲乙付けがたい。こういう場合は、どれが一番優れているかと悩むよりは、いずれも素晴らしい演奏であることを確認して楽しむのが良いだろう。

ただ、今でもその存在が良く判らないのが「Short Take(いわゆる「失敗テイク」)」の存在。収録する必要があったのかなあ。ただ、臨場感は伝わるし、即興演奏を旨とするジャズ演奏は、常に成功テイクばかりでは無い、失敗テイクの積み重ねという側面もあるということを我々に教えてはくれる。けど、演奏を鑑賞するという面では「いらない」と思う。

しかし、「Billie's Bounce」をはじめ「Now's the Time」「Warming up a Riff」「Thriving From a Riff」「Meandering」「Koko」については、マスター・テイクもオルタネイト・テイクも、当時としては、素晴らしい演奏レベルである。

CD複数枚の企画ボックス盤は聴き通すのに疲れます。この盤は録音もまずまずで、ビ・バップのパーカーを感じる第一歩として、最適のアルバムだと思います。LP1枚分の収録時間なので、一気に聴き通すことができます。
 
 
 
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2021年7月12日 (月曜日)

ビル・ハードマンの初リーダー作

サヴォイ・レーベルのカタログを見渡していると、有名な一流ジャズマンの名前も多々あるが、その中に、地味な存在ではあるが、個性的なパフォーマンスを繰り広げる「山椒は小粒でもピリリと辛い」的ジャズマンの名前が結構、確認出来る。中には「これ誰?」という名前もあるが、当時、サヴォイ・レーベルはR&Bのレコードの好セールスに支えられていて、このR&B系のメンバーの名前なんだろう。これは仕方が無い。

Bill Hardman『Saying Something』(写真左)。1961年10月18日、ニューアークのMedallion Studiosでの録音。プロデューサーはTom Wilson。ちなみにパーソネルは、Bill Hardman(tp), Sonny Red(as), Ronnie Mathews(p), Doug Watkins(b), or Bob Cunningham(b), Jimmy Cobb(ds)。リーダーのハードマンのトランペットとレッドのアルト・サックスの2管フロントのクインテット編成。ベースは2人で分担している。

パーソネルを見渡すと、メンバー全員、地味な存在ではあるが、個性的なパフォーマンスを繰り広げる「山椒は小粒でもピリリと辛い」的ジャズマンである。人気の一流ジャズマンの名前は1人としていない。しかも、プロデューサーについては、有名敏腕プロデューサーのオジー・カディナが去って、トム・ウィルソン。これだけの事前情報を見れば、この盤の内容にはあまり期待出来ないな、と思いつつ、CDプレイヤーの再生スイッチを押す。
 

Saying-something

 
出てくる音は、とてもしっかりした骨太なハードバップな音。録音もルディ・バン・ゲルダーでは無いのだが、とてもジャズを感じる素敵な録音である。どの楽器もしっかり鳴って、アドリブ・フレーズには揺らぎも無い。キラキラ輝かんばかりのポジティヴな音で、アドリブ・フレーズが展開される。1961年は「ジャズの多様化」真っ只中。それでも、この盤にはハードバップ真っ只中、1950年代半ばの音がグッと詰まっている。

リーダーのビル・ハードマンは、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズで、マクリーンやグリフィンと絶妙なコンビネーションを演じたトランペット奏者。翳りの無い、明るくブリリアントでスッと抜ける、真っ直ぐなトランペットが個性。翳りが無い分、脳天気な感じが付きまといますが、この明るいトランペットは聴いていて「元気が出る」。トランペットはこうでなくっちゃ、と改めて思わせてくれるポジティヴなブロウが魅力的。

この盤、ビル・ハードマンの初リーダー作なんですね。それまでは、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのフロント管を担っていたからなあ。ジャジーでハードバップど真ん中な良い音を出すトランペッターで、リーダー作に恵まれなかったこと、人気盤のサイドマンにも恵まれなかったことが実に残念に思います。
 
 
 
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