2024年10月 3日 (木曜日)

唯一無二な ”マハヴィシュヌの音”

ジョン・マクラフリン率いるマハヴィシュヌ・オーケストラは、マクラフリンがマハヴィシュヌを結成する前に所属していた、トニー・ウィリアムス率いるライフタイムと、よく一緒くたに語られるが、マハヴィシュヌとライフタイムは全く「音の志向」が異なる。

ライフタイムは、エレクトリックな「限りなく自由度の高い」モード・ジャズから、エレクトリックなフリー・ジャズ。ライフタイムの音の志向は「フリー」。片や、マハヴィシュヌは、ジャズとロックの融合からのジャズロック。そこにクラシックの要素や英国プログレッシヴ・ロックのテイストを取り入れた、マハヴィシュヌの音の志向は「クロスオーバー」。

Mahavishnu Orchestra『Visions of the Emerald Beyond』(写真)。邦題『エメラルドの幻影』。 1974年12月4日から12月14日まで、NYの「エレクトリック・レディ・スタジオ」で録音。その後、1974年12月16日から12月24日まで、ロンドンの「トライデント・スタジオ」でミックスダウンされている。

ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g, vo), Jean-Luc Ponty (vin, vo), Ralphe Armstrong (b, vo), Narada Michael Walden (perc, ds, vo, clavinet), Gayle Moran (key, vo)。ジャズ・エレギのイノベーター&レジェンド、ジョン・マクラフリン率いるマハヴィシュヌ・オーケストラの4枚目のアルバム。

今回の『Visions of the Emerald Beyond』を聴くと、マハヴィシュヌの音の志向である「クロスオーバー」を強く感じることができる。
 

Visions-of-the-emerald-beyond

 
この盤では、ジャン=リュック・ポンティのバイオリンが大々的にフィーチャーされている。このバイオリンを聴いていると、英国プログレのキング・クリムゾンのデヴィッド・クロスや、伊プログレのPFMのマウロ・パガーニのヴァイオリンを想起する。もともと、欧州ではジャズとプログレッシヴ・ロックとの境界が曖昧で「クロスオーバー」している。

マクラフリンのエレギだって、英国プログレや和蘭プログレ、伊プログレでのエレギのテイストに強烈な影響を与えているようで、欧州のエレクトリック・ジャズとプログレッシヴ・ロックとの境界が曖昧なのは、エレギもバイオリンと同じ。そういう意味で、マハヴィシュヌの音は「欧州プログレとのクロスオーバー」な傾向にあると僕は睨んでいる。

そういう考察抜きにも、この盤でのマハヴィシュヌの音世界は唯一無二。エレクトリック・ジャズのモーダルな展開をベースに、ジャズロックやプログレの要素を交えた音世界は迫力満点。訴求力抜群。

お得意の「インドの瞑想モード」で始まるジャズロックあり、トライブ感溢れるジャズロックあり、流麗なプログレ調ジャズロックあり、グルーヴ感抜群のジャズファンクあり。マハヴィシュヌのジャズロックをベースとした「クロスオーバー」な音世界が満載。

『エメラルドの幻影』。いかにも、当時の日本のCBSソニーらしい、気恥ずかしい、赤面ものの邦題である(笑)。クロスオーバー・ジャズの名盤につける雰囲気の邦題やないよね。ジャケのイラストは、既出のアルバムとの統一感があって良い感じなんですが,,,。まあ、邦題は横に置いておいて、中身の演奏を堪能したいと思います(笑)。
 
 

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2024年9月27日 (金曜日)

ライフタイムの「フリーの成熟」

そういえば、トニー・ウィリアムスって、フリー・ジャズが好きだったな。そんな思い出がある。マイルス楽団にいた頃も、親分マイルスのいないところで、フリーなドラミングに走ったり、自らのリーダー作では、公然とフリー・ジャズを展開して、とにかく「ブイブイ」言わせていた。

The Tony Williams Lifetime『(Turn It Over)』(写真左)。1970年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Tony Williams (ds, vocals on "This Night This Song", "Once I Loved", "A Famous Blues"), John McLaughlin (g, vocals on "A Famous Blues"), Larry Young (org), Jack Bruce (b, lead vocals on "One Word")。

そんなトニー・ウィリアムスが主宰する「ライフタイム」の第2弾。内容的には、先のライフタイムのデビュー作の、電気エフェクトがかかったエレギとオルガンをフロントにした「先進的なフリー・ジャズ」は変わらない。というか、グッと洗練された「成熟イメージ」。

ベース・ラインの強化を狙ったのか、英国の伝説のブルース・ロック・グループ「クリーム」から、ジャック・ブルースをベーシスト兼ボーカル担当として招聘している。

確かに、デビュー作では、ベース・ラインはオルガンのラリー・ヤングが担当していたのだが、まず、右手でフリーなフレーズを弾きながら、定型のベース・ラインを供給するなんて出来ないので、実は影が薄かった、というか、放棄されていたイメージがある。
 

The-tony-williams-lifetimeturn-it-over

 
この2作目では、ジャック・ブルースがエレベで定型のベース・ラインを供給しているので、トニー+マクラフリン+ヤングのフリーな展開の底に、どっしりとした安定感がある。この辺りが、グッと洗練された「成熟イメージ」として、耳に響くのだろう。

しかし、ロック畑のブルースが、よくここまで、フリーな演奏のベース・ラインを弾きこなせるなあ、と感心する。英国では「ロックとジャズの境界が曖昧」だが、ブルースのエレベのプレイを聴いていて、それが良く判る。

この盤の特徴として、ボーカル入りのナンバーが多く採用されていること、があげられる。ボーカルの雰囲気は「サイケデリック」

。当時、流行だったサイケデリック・ロックからの影響だろうが、フリー・ジャズにサイケデリック、当時、米国で、若者中心に人気のあった「フリーとサイケ」の組み合わせ、そのものを反映しているところが、なんだか「抜け目が無い」。が、先進的なフリー・ジャズが、信条の「ライフタイム」としては、あまり成功しているとは思えない。

この盤は、トニー・ウィリアムスが主宰する「ライフタイム」の音世界である、電気エフェクトがかかったエレギとオルガンをフロントにした「先進的なフリー・ジャズ」の成熟を聴くことが出来る。逆に言うと、これ以上の発展は難しいくらいの成熟度である。実際に、次作ではメンバー構成がガラッと変わることになる。
 
 

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2024年9月26日 (木曜日)

トニーの先進的なフリー・ジャズ

トニー・ウィリアムスのドラミングがお気に入りだった。純ジャズのドラミングも、クロスオーバーでのドラミングも、どちらも僕にとっては「お気に入り」。超ハイテクニックで叩きまくるが、どれだけ速く叩こうが、複雑に叩こうが、リズム&ビートはしっかりとキープされ、独特のデジタルチックなグルーヴもしっかり確保されている。フロント楽器によって、叩き方、叩く内容を変化させる器用さも素晴らしい。

The Tony Williams Lifetime『Emergency!』(写真左)。1969年5月の録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Tony Williams (ds, vo), Larry Young (org)。早逝のウルトラ・テクニカルなレジェンド・ドラマー、トニー・ウィリアムスが立ち上げたトリオ「Lifetime」のデビュー盤。

ギターに、ジョン・マクラフリン。マハヴィシュニヌ・オーケストラを立ち上げる前の「ライフタイム」への参加である。オルガンに、ラリー・ヤング。「オルガンのコルトレーン」と形容された、オルガンで、シーツ・オブ・サウンドとモーダルなフレーズを弾きまくる猛者である。ドラムには、もちろん、トニー・ウィリアムス。

ところで、この盤、「フュージョン・ジャズの先駆け」とか、「クロスオーバー・ジャズの発祥」などと評価されているが、僕は違うと思う。

まず、聴き手のニーズに合わせて、ソフト&メロウを基調とした、R&Bなどと融合したフュージョン・ジャズの先駆け、とは全く異なる内容だと思う。このライフタイムの演奏は、ソフト&メロウなんて論外だし、R&Bの影のかけらもない。何をもって、フュージョン・ジャズの先駆けと評価するのか、全く理解できない。

そして、基本ジャズとロックの融合がメインのクロスオーバー・ジャズの発祥、については、エレギを使用しているところはロックに似ているが、演奏全体のリズム&ビートは「ジャズ」の域を出ていない。それぞれの楽器のフレーズだって、ロックっぽいものは全く無い。ジャジーなフレーズがてんこ盛りである。
 

The-tony-williams-lifetimeemergency

 
冒頭のタイトル曲「Emergency」を聴くと、この演奏って、フュージョン・ジャズでもなければ、クロスオーバー・ジャズでも無い。この演奏は、電気エフェクトがかかったエレギとオルガンをフロントにした「先進的なフリー・ジャズ」である。

トニー・ウィリアムスのフリーなドラミングには、一定のリズム&ビートとグルーヴがキープされていて、このトニーのドラミングのビートに乗ってフリーに演奏することが「最低限のルール」のようで、トニーのドラミングがしっかりしているので、意外とフリー・ジャズな演奏に聴こえないのだが、この盤全体の演奏は「フリー・ジャズ」である。

そして、そんなトニーのドラミングに乗って、ギターのマクラフリンも、オルガンのヤングも「フリー・ジャズな演奏」を展開するが、二人のフリーな演奏は、限りなく自由度の高いモーダルなフレーズからスタートして、その延長線上の先でフリーに展開する手法に則っているので、意外とメロディアス。聴き通すことに「苦痛は伴わない」。

激情に駆られて、無手勝流に吹きまくる、馬の嘶きの様なフリーキーな吹奏とは一線を画する、マクラフリンとヤングならではのユニークなもの。

フリー・ジャズな演奏が基本なのだが、ビートとグルーヴがしっかりしているのと、フロント楽器のフレーズがモードから派生してフリーに展開する手法をとっているので、「聴かせる音楽」として成立しているのが、このライフタイムのフリー・ジャズの特徴であり個性である。

しかし、当時、これだけ尖った内容の電気エフェクトがかかったエレギとオルガンをフロントにした「フリー・ジャズ」をアルバム化したなあ、と感心する。

そして、このアルバムを制作&リリースしたのは、1950年代から、聴き手のニーズに合わせて「聴かせるジャズ」「聴いて楽しいジャズ」を制作してきた、大手ジャズ・レーベルの「ヴァーヴ」というから、驚きである。

しかし、よくヴァーヴがこんなに尖ったフリー・ジャズな盤を制作したなあ。当時の「時代」がそうさせたのだろうか。
 
 

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2024年7月27日 (土曜日)

マクラフリンの初期の名盤です

ジャズ・エレギのイノベーター&レジェンドの一人、ジョン・マクラフリン。彼は、ギタリストのキャリアの中で、何度か、そのスタイルを大きく変えている。いわゆる「進化」するタイプのギタリストで、その「進化」の跡は、後継に対して、一つの「スタイル」として定着している。

John McLaughlin『My Goal's Beyond』(写真)。March 1971年3月、NYでの録音。John McLaughlin (ac-g), Charlie Haden (b), Jerry Goodman (vln), Mahalakshmi (tanpura), Dave Liebman (fl, ss), Billy Cobham (ds), Airto Moreira (perc), Badal Roy (tabla)。

マクラフリンのソロ3作目。全編アコースティック・ ギターによる演奏がメイン。アルバム構成としては、LP時代のA面は、インド音楽への傾倒を露わにした、マクラフリンの新しいスタイルの演奏。マクラフリンの精神的指導者であるインドの導師、 シュリ・チンモイに捧げられている。B面は、マニアックなミュージシャンズ・チューンや自作曲を演奏している。

まず、当時のマクラフリンの最初の「進化」である、インド音楽への傾倒。とはいえ、完全にインド音楽している訳では無くて、インド音楽とジャズロックの「クロスオーバー」な演奏と形容するのがしっくりくる。ただ、ジャズロックがメインの演奏に、インド音楽のフレーズとビートが濃厚に漂い、インド音楽とジャズロックの融合は「成功」している。

ジェリー・グッドマンのバイオリン、デイヴ・リーブマンのフルート&ソプラノ・サックスが効果的に、深淵で幽玄なスピリチュアルな響きを撒き散らし、バダル・ロイのタブラがインド音楽志向のリズム&ビートを一手に引き受ける。ヘイデンのベース、コブハムのドラム、モレイラのパーカッションが、ジャズロックなリズム&ビートをしっかりとキープする。
 

John-mclaughlinmy-goals-beyond

 
そんなインド音楽とジャズロックの「クロスオーバー」な演奏をバックに、マクラフリンのアコギがスピリチュアルに飛翔する。インド音楽のストレンジな響きに流されない、切れ味の良い、スピリチュアルなマクラフリンのアコギの響き。このマクラフリンのアコギがこのインド音楽の雰囲気濃厚な演奏をジャズロックに仕立て上げている。

LP時代のB面の演奏も実に興味深い。最初の1曲目「Goodbye Pork Pie Hat」は、英国ロックのオールド・ファンは懐かしさに駆られると思う。あのジェフ・ベックの名演の基になったであろう、このマクラフリンのアコギのパソーマンス。アレンジが後のジェフ・ベックの演奏とほとんど同じ。アコギでの切れ味良いスピリチュアルな弾き回しは、明らかにジェフ・ベックのエレギの演奏を上回る。

LP時代のB面は、2〜3分の小品ばかりだが、マクラフリンのアコギのパフォーマンスは申し分ない。このB面のアコギのパフォーマンスの優れた内容がマクラフリンの基本的個性であり、マクラフリンがジャズロック&クロスオーバー・ジャズのギター・レジェンドである所以だろう。ところどころ、コブハムによる様々なシンバルのアクセントが効果的に加わるところもなかなか「ニクい」アレンジである。

このアルバムでのジャズロック&クロスオーバー・ジャズでの「バイオリン」の導入は、英国のプログレッシヴ・ロックにも影響を与えた様で、ロバート・フリップ率いる、第3期キング・クリムゾンのバイオリンの導入にも繋がっている、と言われる。それも納得の「効果的なヴァイオリンの導入」も見事。

マクラフリンのエフェクトを駆使したエレギよりも、この盤でのアコギのパフォーマンスに、とことん感じ入ります。インド音楽への傾倒も興味深い内容ですが、僕は、この盤でのマクラフリンのアコギのパフォーマンスに、ギター・レジェンドとしての「凄み」をビンビンに感じます。
 
 

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2024年7月26日 (金曜日)

サイケデリックなジャズ・ロック

ジョン・マクラフリンのエレギは、ジャズに軸足をしっかり残した、先鋭的で革新的なエレギで唯一無二。ジャズ色の強いクロスオーバーなエレギなので、何故か我が国では人気は高くないが、ジャズ・エレギのイノベーターの一人として、絶対に無視できない。

John McLaughlin『Devotion』(写真左)。1970年2月の録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (el-g), Larry Young (org, el-p), Billy Rich (b), Buddy Miles (ds, perc)。ジョン・マクラフリンのソロ・リーダー作の2作目になる。

パーソネルを見渡すと、お気に入りのプログレッシヴなオルガン奏者、ラリー・ヤング。そして、ジミ・ヘンドリックスと共演歴のあるビリー・リッチ。ジミ・ヘンドリックスのバンド・オブ・ジプシーのドラマーであった、バディ・マイルス。ジミヘンゆかりのリズム隊が目を引く。

そして、この盤を聴くと、思わずニヤリ。これって「ジミヘン」やん。マクラフリン流のジミヘン・フレーズの嵐。演奏の基本は「サイケディック・ロック」をベースとしたクロスオーバー・ジャズ。

ジミヘンと共演歴のあるベースとドラムのリズム隊が「バンド・オブ・ジプシー」風のリズム&ビートを叩きまくって、演奏全体のサイケ色、ジミヘン色を色濃くしている。
 

John-mclaughlindevotion

 
1970年2月の録音なので、まだ、ジミヘンは存命していた時期の録音になる(ジミヘンは1970年9月にオーヴァードーズが原因で急逝している)。そういう意味では、この盤は、マクラフリンによる「ジミヘンへのオマージュ」を表明した企画盤とも解釈出来る。

さすがはマクラフリンといったエレギの弾き回しで、ジミヘンのオマージュ的な音作りではあるが、ジミヘンそっくりでは全く無い。ギターの基本テクニックはマクラフリンの方が上。

ロック的なグルーヴはジミヘンだが、マクラフリンはジャズロック的なグルーヴで応戦している。マクラフリンの弾き回しは端正で規律的。ジミヘンの弾き回しは適度にラフで直感的。アタッチメントによる音の加工も、両者、似て非なるもの。

マクラフリンのエレギとヤングのオルガンのフレーズは完全に「モード」。サイケ色に彩られたモーダルなフレーズをマクラフリンとヤングは弾きまくる。マイルスのアルバムやトニー・ウィリアムスのライフタイムでブイブイ言わせていた「呪術的でアブストラクトに捻れた」切れ味の良い、サイケデリックなフレーズの嵐。

適度なテンションも張っていて、サイケ色が強いながら、演奏全体は整っていて、理路整然としている。カッチリまとまった、しっかり作り込まれたサイケデリック・ジャズロックである。

音の雰囲気はいかにも「英国的」。ブリティッシュなサイケデリック・ロックの音の雰囲気や、プログレッシヴ・ロックの音の雰囲気をしっかりと漂わせている。こういうところが、英国のジャズロック、クロスオーバー・ジャズならでは個性であり、僕はとても気に入っている。
 
 

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2024年7月24日 (水曜日)

プログレッシヴなジャズ・ロック

John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)。英国出身のジャズ・ギタリスト。ジャズ・ロック〜クロスオーバーなエレギを基本とするテクニシャンで、ジャズ・ギタリストの歴史の中でも、重要なポジションを占めるバーチュオーゾである。

マイルスの「In a Silent Way」から「On the Corner」まで、エレギ中心に参加、当時の「エレ・マイルス」のビートを形成する上で、重要な役割を担ったギタリストである。

この人のエレギは凄い。とにかくテクニックがもの凄い。そして、音色のバリエーションが凄い。そして、出てくるフレーズの自由度が相当に高い。アル・ディ・メオラと並んで、ジャズ・ロックなエレギの最高峰。

John McLaughlin『Extrapolation』(写真)。1969年1月18日、ロンドンの「Advision Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), John Surman (bs, ss), Brian Odgers (b), Tony Oxley (ds)。

ジャズロックなギタリストの鬼才、ジョン・マクラフリンの初リーダー作。マクラフリンが、トニー・ウィリアムス・ライフタイムに参加する為に渡米する前にロンドンで録音され、当時の英国における先鋭的な若手のジャズ・ロックなミュージシャンが参加している。
 

John-mclaughlinextrapolation

 
米国ジャズには絶対に無い「先鋭的」な音世界。元々、ロックとジャズの境界線が曖昧な英国ジャズ・シーン、この盤は、ジャズから表現した「プログレッシヴ・ロック」。マクラフリンのエレギの音は、当時、プログレッシヴ・ロックで活躍していたギタリストが奏でる音と同質なもの。

ただ、出てくるフレーズは、モードであり、フリーであり、バップ。この辺りが「ジャズ」に軸足が乗ったジャズロックなギタリストと形容される所以だろう。サウンドの質は実に英国的。ソフト・マシーンや、キング・クリムゾンを聴いている様な、渋い黄昏色のキラキラした、湿度の高い、哲学的でスピリチュアルな「音の色」。

バリサク&ソプラノ担当のジョン・サーマン、ベースのブライアン・オッジス、ドラムのトニー・オックスレイという、当時の英国における先鋭的な若手のジャズ・ロックなミュージシャンが、幾何学的に8ビート的に強烈にスイングする。バップから、シーツ・オブ・サウンドからモードと、当時の先進的なジャズの演奏トレンドをジャズロックでガンガンやるのだから堪らない。

主役のマクラフリンのギターは、それはそれは凄まじいもの。サーマンのサックスとの超高速ユニゾンをはじめ、ソロの弾き回しやカッティングも、切れ味鋭く、相当にスリリング。テクニックは相当に高度、速弾きをしても破綻は全く無い。

バンド全体のサウンドは、プログレッシヴなジャズ・ロック。フレーズやリズム&ビートは、モードであり、フリーであり、バップ。いかにも英国ジャズらしい音世界。そして、マクラフリンのギタリストとしての「途方も無い力量」が良く判る秀作である。
 
 

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2022年8月28日 (日曜日)

土曜日の「Super Guitar Trio」

1981年のリリースで、アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアという3人のギタリストによる、アコースティック・ギター3本だけの演奏を収録したライヴ盤があった。

超絶技巧なフュージョン系ギタリスト二人と、超絶技巧なフラメンコ・ギターの雄、3人でのライヴ・パフォーマンス。この3人の名前を見ただけでも「フュージョン(融合)」な取り合わせを感じて、今の耳で聴いても、素晴らしいライヴ・パフォーマンスの記録である。

そのライヴの記録とは『Friday Night In San Francisco(邦題:スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !)』(写真右)。 超絶技巧の限りを尽くした、目眩くアコギの弾きまくり。それが1人では無く、3人がかりでやるのだから、そのパフォーマンスたるや、それはそれは、ど迫力で呆れるばかりのハイテクニックの嵐。

1981年と言えば「フュージョン・ジャズ」の全盛期のピーク。もともと、フュージョン・ジャズはギターが人気で、そのギターは超絶技巧、目眩く速弾きフレーズの弾きまくりが「目玉」。そんなフュージョン・ギターの最高峰の演奏が、この『スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !』であり、そんなライヴ盤が、フュージョン・ジャズの全盛期のピークにリリースされ、人気を博した。ジャズの歴史の中で、象徴的なライヴ盤だった様な気がする。

Al Di Meola, John McLaughlin, Paco De Lucia『Saturday Night in San Francisco』(写真左)。1980年12月6日、米国サンフランシスコのウォーフィールド劇場でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola, John McLaughlin, Paco De Lucia (g)。超絶技巧ギタリスト3人のライヴ・パフォーマンスの記録になる。
 

Saturday-night-in-san-francisco_1

 
先にご紹介した『Friday Night In San Francisco(邦題:スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !)』は、このライヴ盤が録音された前日のライヴ音源。録音場所は同じ「米国サンフランシスコのウォーフィールド劇場」。今回リリースされたライヴ音源は、既出の『スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !』の収録日の翌日、全く同じメンバー・会場でのライヴ録音の音源になる。

しかし、こんな音源が21世紀になって発掘されるとは驚きである。この6日の公演はこれまで録音されていないと思われていたのだが、アル・ディ・メオラ所有の16トラックのテープを見直し、12月6日の公演から未発表の8曲を見つけ出した、のこと。なんせ、12月5日の公演で演奏した当の本人達も、第二夜を演奏したことを覚えてなかったらしい。よく発掘したもんだ。

さて、内容的にはどうか、と聴けば、12月5日の『Friday Night In San Francisco』の伝説的パフォーマンスと勝るとも劣らない、素晴らしいパフォーマンスが展開されてるから、二度驚き、である。

曲のレベルも遜色無い。例えば、「金曜日版」の出だしが「Mediterranean Sundance」に対して、この「土曜日版」の出だしが「Splendido Sundance」と、全曲、同じハイレベルの楽曲が並んでいる。

特に、この「土曜日バージョン」は、3人それぞれのソロ・パフォーマンス、無伴奏のソロ曲が3曲、記録されている。しかし、3人のギター・テクニックの凄まじさたるや、感動を通り超して、呆れるほどの超絶技巧さ。しかも、歌心が溢れ、即興性の高いインタープレイは見事という他は無い。
 
 

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2022年5月10日 (火曜日)

モントルーのマクラフリン集です

昨日、ジョン・マクラフリンのアルバムについて語った訳だが、ちょうど、もう一枚、マクラフリン関連のライヴ盤があることに気がついた。しかし、マクラフリンは、1942年生まれなので、今年で80歳の大台に乗る。21世紀に入ってからも、過激でダイナミックで尖ったエレギの「トップ集団」をキープしているのは凄い。

John McLaughlin & The Mahavishnu Orchestra『John McLaughlin: The Montreux Years』(写真左)。1984~2016年 歴代モントルー・ジャズ・フェスティヴァル出演時のライヴ音源を収録したベスト盤的内容。1984年のマハヴィシュヌ・オーケストラを率いての演奏から、1987年のパコ・デ・ルシアとのライヴ、そして新しい所では 2016年のフォース・ディメンションを率いてのライヴまでが収録されている。

マクラフリン自らが、膨大なライヴ音源の中から、選曲と編集を手掛けているらしく、演奏内容はどの曲もピカイチ。マクラフリン本人のエレギ・アコギはもとより、共演者のパフォーマンスもピカイチ。どの演奏も「どれだけ凄い人選をしてるん」と呆れるほどの、エモーショナルでダイナミックで尖り具合である。いかに、モントルー・ジャズ・フェスでの演奏は内容が濃かったか、である。
 

John-mclaughlin_the-montreux-years

 
マハヴィシュヌ・オーケストラ、シャクティ、スーパー・ギター・トリオ、ファイヴ・ピース・バンドなどの、その時代毎の先端を行くグループやユニットで活躍してきたマクラフリンだが、このモントルー・ライヴを聴いていると、これだけ個性の強いギターでありながら、バンドや共演者が異なれば、個性のベースはそのままに、しっかりとそのバンドの目指す音世界や共演者と目指す音世界に合わせて「音や弾き方」を微妙に変えているのには感心する。

特に「マハヴィシュヌ・オーケストラ」名義の演奏は、1970年代、一世を風靡したマハヴィシュヌでのエレギの音を忠実に再現している、というか、テクニック的に深化しているのが凄い。パコ・デ・ルシアとの共演では、あの「スーパー・ギター・トリオ」の時と同じ、アコギの音がブワーッと広がって、「ああ、これこれ、この音」と懐かしく思い出される。エレギ、アコギの音を聴いて、その時のバンドや共演者がすぐに浮かぶって、やっぱり凄い。

マクラフリンのギターの歴史を、モントルーのライヴ音源で振り返るって、やっぱり良い企画ですね。音もかなり良いし、演奏内容は充実してる、で聴き応え十分。やっぱり、マクラフリンって凄いな、って改めて思いました。脱帽です。
 
 

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2022年5月 9日 (月曜日)

未だ過激で捻れるマクラフリン

アラン・ホールズワースの初リーダー作を聴いていて、やっぱり、クロスオーバー系のジャズ・エレギって、ロックよりもバカテクで、ロックよりも尖っていて捻れていないとな、と思った次第。と同時に、やわなロック・ファンはついてこられない、過激でダイナミックで尖ったエレギの始祖「ジョン・マクラフリン」の名前が浮かんだ。で、ライブラリーを漁っていたら、好適な盤に出くわした。

John McLaughlin & The 4th Dimension『The Boston Record』(写真左)。2013年6月22日、米国ボストンの「Berklee Performance Center」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Gary Husband (key), Etienne M'Bappe (b), Gary Husband, Ranjit Barot (ds), Ranjit Barot (voice)。

2013年に行われノースカロライナ、ニューヨーク、トロントなど8カ所を廻ったツアーのボストン公演の演奏を収めたライブ盤になる。ギター、キーボードに、ベース、そして、部分的にダブル・ドラムの厚みのある編成。マクラフリンは1942年生まれなので、録音当時71歳(!)。往年のハードで捻れたエレギに磨きがかかって、大迫力のパフォーマンスである。とても70歳を過ぎた翁とは思えない。
 

John-mclaughlin-the-4th-dimensionthe-bos

 
キーボードのゲイリー・ハズバンドは「Allan Holdsworth Group」などで活躍、ベースのエティエンヌ・ムバッペは「The Zawinul Syndicate」などで活躍、そして、ドラムのランジット・バロットはジョン・マクラフリンから「ドラムの最先端の1つ」と評価されるインド人打楽器奏者。現代の最先端のエレクトリック・ジャズをやる上で、申し分の無いラインナップである。

マクラフリンは、若かりし頃、1960年代後半から1970年代の尖りまくった、他の追従を許さないハードなエレギに、約半世紀の年を経て、成熟と余裕、そして更なるバカテクをかまして、このライブで弾きまくっているから凄い。アドリブ・フレーズは大らかに尖って展開し、他の楽器とのインタープレイは更に過激に立ち回る。それでいて、聴き心地は良好で、決して耳に五月蠅くない。成熟と安定のエレ・ジャズである。

ホールズワースが鬼籍に入り、ジョンスコとパットがやや大人しくなって、過激でダイナミックで尖ったエレギ・ギターの担い手もマイナーな存在になりつつある昨今、この大御所マクラフリンが「この過激さ、この捻れ具合」は脱帽もの。スピリチュアルな側面も充実していて、まだまだ現役。逆に、若手ギタリストの奮起を促す様な、素晴らしいパフォーマンスの記録である。
 
 

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2021年9月19日 (日曜日)

マクラフリン、5年振りの新作

1975年1月、マイルス・デイヴィスが来日、途方も無いエレクトリック・ジャズを展開。FMでその実況録音を聴いて以来、エレクトリック・ジャズが大のお気に入りである。クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックでのエレクトリック・ジャズが大好物。更に、エレクトリックな純ジャズにおいては、もう諸手を挙げて大のお気に入りである。

John McLaughlin『Liberation Time』(写真左)。2021年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g, p), Sam Burgess, Etienne Mbappe, Jerome Regard (b), Vinnie Colaiuta,Nicolas Viccaro (ds), Jean-Michel Aublette (b, ds), Gary Husband (key), Roger Rossignol,Oz Ezzeldin (p), Ranjit Barot (ds, vo), Julian Siegel (ts)。

クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックにおけるエレギのレジェンド、ジョン・マクラフリンの5年振りのスタジオ・アルバムになる。ジョン・マクラフリンは、1942年生まれなので、今年で79歳。もう大ベテランの域を過ぎて、レジェンドの域に達している。僕が、ジョン・マクラフリンのエレギに出会ったのは、マイルスの『Bitches Brew』。クロスオーバーでプログレッシヴ、切れ味抜群でパワフルなエレギは聴いて直ぐにお気に入りになった。
 

Liberation-time-ohn-mclaughlin

 
今回の新作も、パワフルなグルーヴ、超絶技巧な弾き回し、適度に捻れて適度にプログレッシヴなマクラフリンのエレギは健在。1曲目の「As the Spirit Sings」から無茶苦茶に格好良いエレギを披露してくれる。うむむ、何時も何時の時代もマクラフリンのエレギは裏切らない。全編に渡って、往年のマクラフリンのエレギが疾走する。これで、今年79歳か。素晴らしいの一言。

今回の新作には、アコースティックなジャズの雰囲気も入っていて「粋」。マクラフリンはピアノを弾いていて、マクラフリンのピアノ・ソロの短曲2曲、4曲目の「Mila Repa」と、6曲目の「Shade of Blue」は、とても余芸とは思えない位に美しい響き。パワフルでグルーヴィー、超絶技巧な弾き回しの曲の合間の「一服の清涼剤」である。

マハヴィシュヌ・オーケストラ、シャクティ、スーパー・ギター・トリオ、ファイヴ・ピース・バンド等々、数々の伝説的グループを生み出してきた、クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックにおけるエレギのレジェンド、ジョン・マクラフリン。今回は、ザ・フォース・ディメンションを率いての5年振りのスタジオ盤。傑作である。
 
 
 
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