2025年5月16日 (金曜日)

唄うケニー・バレルは素敵です

ジャズには「異色盤」と呼ばれる、こんなアルバムあったんや、なアルバムがある。本職の楽器以外に、玄人裸足の別の楽器があって、それをメインにしたリーダー作とか、純ジャズ志向の硬派なジャズマンが、いきなりフュージョン志向のリーダー作を出したり、とか、「異色盤」のバリエーションには事欠かない。 

Kenny Burrell『Weaver of Dreams』(写真左)。1960年10月18日 - 1961年6月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g, vo), Bobby Jaspar (ts), Tommy Flanagan (p), Joe Benjamin, Wendell Marshall (b), Bill English, Bobby Donaldson (ds)。ボーカル入りのクインテット編成。

ボーカル入りのクインテット編成(5人編成)って、ボーカル入りだとセクステット編成(6人編成)じゃないのか、と直感的に感じる方は、ジャズに精通した「ジャズ者ベテラン」。

確かに、このセッションの楽器編成は、バレルのギター、ジャスパーのテナー、トミフラのピアノ、ベンジャミン or マーシャルのベース、イングリッシュ or ドナルドソンのドラム、の5楽器。ここにボーカルが入るから「6人編成」が正解、では無いのである。

実は、この盤でのボーカルは、漆黒アーバン&ブルージーなギタリスト、ケニー・バレル本人。つまり、ケニー・バレルがギターとボーカルを兼任しているのだ。ケニー・バレルが唄えるなんて、僕はこのアルバムを聴くまで、全く知らなかった。
 

Kenny-burrellweaver-of-dreams

 
全く知らなかった、として、この盤を初めて聴いた時、いきなりボーカル入りの「I'll Buy You a Star」が出てきて、まず「ああ、このアルバムって、ケニー・バレルの伴奏上手をアピールするアルバムかな」と思い、このボーカル、なかなか味があって上手い。誰だろう、この男性ボーカル、と思いつつ、全く、思い当たる節が無い。

「Weaver of Dreams」「The More I See You」「I'm Just a Lucky So-and-So」「A Fine Romance」「Until the Real Thing Comes Along」「That Old Feeling」「If I Had You」「Afternoon in Paris」「Like Someone in Love」など、渋い小粋なスタンダード曲を、丁寧にウォームにアーバンに唄い上げていく、上質なボーカル。

バレル本人が唄っていると知ったのは、このアルバムを聴き終えて、どうにもこのボーカルの主が判らなくて、降参とばかりにライナーノーツを見て、パーソネルを確認した時。いや〜、バレルがこんなに歌が上手いとは思わなかった。脱帽である。

バレルのボーカルを支えるバック・バンドの演奏も小粋。バレル本人の漆黒アーバン&ブルージーなギター、トミフラの伴奏上手のいぶし銀ピアノ、ジャスパーの寄り添う様な優しく力強いテナー、堅実なベース&ドラムに乗って、極上の、ボーカルを支え盛り立てる「伴奏上手な」バッキングが心地よく、思わず心がホンワカする。

これだけ、ボーカルが上手いのだから、もっとボーカルがメインのアルバムを出したら良いのに、と思うのだが、バレルはそうはしない。そこにバレルのギタリストしての強烈な矜持を感じる。でもまあ、それにしても、バレルのボーカルは上手い、良い。この盤、癒しの好盤として、今でも時々、CDプレイヤーのトレイに載ったりする。
 
 

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2025年5月 6日 (火曜日)

もう一つのバレル&スミス盤

漆黒ブルージー&アーバンなバップ・ギタリスト、ケニー・バレル。バレルは人気のジャズ・ギタリストで、かなりの数のリーダー作を残している。その中で、バレルのリーダー作には「企画盤」が多い。人気ジャズマンとの共演あり、人気作曲者の楽曲に特化したトリビュートあり、特に大手のレーベルにおいて「企画盤」の制作が多い。

Kenny Burrell & Jimmy Smith『Blue Bash』(写真左)。1963年7月16, 25–26日の録音。Verveレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Jimmy Smith (org), Vince Gambella (g, tracks 1 & 7), Milt Hinton (b, tracks 2–4 & 6), George Duvivier (b, track 5), Bill English (ds, track 5), Mel Lewis (ds, tracks 2–4 & 6)。

漆黒ブルージー&アーバンなバップ・ギタリスト、ケニー・バレルと、ジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミスとの共演。ジミー・スミスは自己主張が強く、ダイナミックで豪快な弾き回しで、共演者をものともしない、唯我独尊なところがあるのだが、バレルとの相性は良かった様で、以前に『Home Cookin'』や『Midnight Special』(Blue Note, 1961年)、この2枚の名盤を残している。
 

Kenny-burrell-jimmy-smithblue-bash

 
そんなブルーノートでの良き共演の感覚のまま、大手のヴァーヴに移って、このバレルとスミスの二人は再び共演を果たした。大手ヴァーヴなので、アルバムの音の傾向は「売れるファンキー・ジャズ」。ジャズのマニアだけでなく、一般の音楽好きにも訴求する、小粋でお洒落で聴き応えのある「売れるファンキー・ジャズ」を目指しての音志向である。

大手レーベルの、そんな商業ジャズ志向のニーズに、バレルとスミスは堅実に応えている。バレルはスミスの、スミスはバレルの、お互いの音をしっかり聴きながら、お互いの音を引き立てる。そんな大人の職人芸的なパフォーマンスを繰り広げていて、良い感じの、ギターとオルガンがお互いを主役として引き立てあった、大人でブルージーでアーバンなファンキー・ジャズを展開している。

「売れるファンキー・ジャズ」を目指す上で、スミスのオルガンが、バレルのギターの個性である「漆黒ブルージー&アーバン」に合わせたところが、この盤の聴きどころ。伴奏上手のバレルのギター、伴奏上手のスミスのオルガンが聴けるところが、実に味わい深い。ブルーノートの共演の諸作と比肩する、なかなか小粋な内容の、バレルとスミスの共演盤である。
 
 

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2025年5月 5日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・283

ケニー・バレルは、米国ミシガン州デトロイトの出身。バレルのギターは、しっかりと芯のある太さがあって硬質な音。硬質の音でありながら、紡ぎ出すフレーズはしなやか。そして、黒くてブルージーな質感が特徴。これぞジャズ・ギターの音、って感じが、僕には「大のお気に入り」。ケニー・バレルは、マイ・フェイバリット・ギタリストの一人。

Kenny Burrell『A Night At the Vanguard』(写真左)。1959年9月16日、NYの「Village Vanguard」でのライヴ録音。Argoレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Richard Davis (b), Roy Haynes (ds)。漆黒ブルージー&アーバンなギタリスト、ケニー・バレルのNYのビレバガでのライヴ録音盤。

冒頭、バレルの自作曲&スタンダード曲の「All Night Long」から始まるバレルのライヴ。冒頭から、バレルのバップ・ギター全開。黒くてブルージー、それでいて、どこか小粋で洒落ていて都会的。バレルの個性全開。バックのリズム隊のサポートも良好。太くソリッドで堅実なディヴィスのベースに、硬軟自在、変幻自在、緩急自在なヘインズのドラム。
 

Kenny-burrella-night-at-the-vanguard

 
そんなバックの好サポートを得て、バレルは気持ちよさそうにブルージーなギターを弾き進めていく。意外と企画盤の多いバレルだが、このライヴ盤はストレート。企画っ気は全く無し。バレルの原点であるバップなギターを飾りっ気無しに、ストレートに弾きまくる。これがこのライヴ盤の一番の良さ。バレルの基本的な個性がしっかり聴き取れる。

選曲が親しみ易いのもこのライヴ盤の良いところ。2曲目のアップテンポの「Will You Still Be Mine」や、続く「I’m Fool to Want You」の唄ものスタンダード曲での、バレルの弾き回しがセンス良く小粋。バレルは唄ものが得意と見た。「I’m Fool to Want You」のラテン風のアレンジも捻りが効いている。モンク作のユニークな曲「Well, You Needn’t」も、バレルはこともなげに、サラリと小粋に弾き切ってしまう。

ピアノや管の無い、ギター・ベース・ドラムのシンプルなトリオ演奏だからこそ、メロディーとハーモニーを一手に担うバレルのギターの個性と良さが手に取るように判る、という内容。演奏全体のリラックスした雰囲気も好印象。ギター、ベース、ドラムの三者が、まさに三位一体となり創り出しているサウンドは極上。ジャズ・ギターの名盤の一枚でしょう。
 
 

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2025年4月 7日 (月曜日)

バレルとレイニーの2本のギター

ジャズ・ギターといえば、僕にとってのアイドルは、モダン・ジャズ・ギターで言うと、ウエス・モンゴメリー、ケニー・バレル、グラント・グリーン。ニュー・ジャズ・ギターで言うと、パット・メセニー、渡辺香津美、ジョン・スコフィールドに、ジョン・アバークロンビー。最近、ケニー・バレルのリーダー作をせっせと聴き直しているところ。

Kenny Burrell, Jimmy Raney『Two Guitars』(写真左)。1957年3月5日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell, Jimmy Raney (g), Donald Byrd (tp), Jackie McLean (as), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。

ケニー・バレル(写真右)とジミー・レイニーの2本のギターに、ドナルド・バードのトランペットとジャキー・マクリーンのアルト・サックスがフロント2管。マル・ウォルドロンのピアノに、ダグ・ワトキンスのベース、アート・テイラーのドラムのリズム・セクション。総勢7人のセプテット編成。

やっつけセッションが多いプレスティッジにしては、とても整った企画盤。優れたハードバップなクインテットをバックに、二人のギタリストが、それぞれの個性を振り撒き弾きまくる。そして、この7人編成のメンバー全員が、当時、一流のジャズマンばかりが大集合。当然、出てくる音は「一流のハードバップ」。特に、バックを司るクインテットの好演は聴き逃せない。
 

Kenny-burrell-jimmy-raneytwo-guitars

 
タイトルが「Two Guitars」という割に、バードのトランペットにも、マクリーンのアルト・サックスにも、ソロ・パートをしっかりと与えていて、しかも、この二人のパフォーマンスが好調ときた。マルのピアノは、マルのピアノの個性をガンガンに振り撒き、ワトキンスは重量ベースをブンブン唸らせ、テイラーのドラムは小粋にリズム&ビートを叩き出す。

大きくフィーチャされた二人のギタリスト、バレルとレイニー、スタイルの違う二人の共演は、もちろん申し分ない。ブルージーなバレルとメロディアスなレイニー。双方、持ち味を活かして、ぶつかることなく、しっかりと相手の音を聴きながら、それぞれの個性的なギターをガンガンに弾きまくる。ハードバップ・ギターの良いところがてんこ盛り、という印象。

6曲目のワトキンス作「This Way」では、二人のギターの掛け合いが楽しめる「ギター・バトル」を堪能することが出来る。ギター・バトルとはいえ、丁々発止と渡り合うというよりは、和気藹々に絡み合うって感じで、これが実に良い雰囲気。ほんとにこの二人は、このジャム・セッションを楽しんでるなあ、という温かい感じがこの盤の良いところの一つ。

やっつけ録音、やっつけ編集の得意なレーベル、プレスティッジにしては、ほどよくプロデュースされ、かっちりまとまった内容にはちょっとびっくり。おそらく、録音メンバーそれぞれが、しっかりとした矜持を保ちつつ、バレルやバード辺りがリーダーシップをとりながら、バンド全体でセルフ・プロデュースした結果ではないか、と僕は想像している。
 
 

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2025年4月 6日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・280

米国ジャズの拠点は、ニューヨーク、ロスアンゼルスだけで無い。デトロイト、シカゴ、フィラデルフィアも米国ジャズの拠点として有名である。デトロイトもシカゴもフィラデルフィアも、後にニューヨークに進出して有名になったジャズメンの若かりし頃の活動拠点として有名である。

Kenny Burrell『Jazzmen Detroit』(写真左)。1956年4月30日、Hackensack, N.Yでの録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Pepper Adams (bs), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b), Kenny Clarke (ds)。

リーダー格のケニー・バレル(写真右)のギターと、ペッパー・アダムスのバリトン・サックス(バリサク)がフロント、トミー・フラナガン(トミフラ)のピアノ、ポール・チェンバース(ポルチェン)のベース、ケニー・クラークのドラムがリズム隊のクインテット編成。

タイトルが「デトロイトのジャズマン達」。バレルとフラナガンはデトロイト生まれ、デトロイト育ち。アダムスはミシガン州ハイランドパーク(デトロイトの飛地)生まれ。チェンバースはピッツバーグ生まれのデトロイト育ち。

クラークだけがピッツバーグ出身。クインテットの5人中、4人がデトロイト出身と言って良い。クラークだけがデトロイトとは縁が無いが、まあ「誤差範囲」か(笑)。
 

Kenny-burrelljazzmen-detroit

 
デトロイトのジャズは「アーバンでブルージーな」ジャズ。フロントのバレル、アダムス共に、録音当時、20歳半ばの若きジャズマン。二人の共通の個性、後の「アーバンでブルージーでアーシー」な個性が、この盤に既に溢れている。

基本はハードバップだが、ニューヨークのものとも、ウエストコーストのものとも雰囲気が異なる。この二人のフロントが牽引する「都会的なブルース・フィーリング」が芳しい。デトロイト・ジャズならではの雰囲気。

加えて、トミフラのピアノが「エレガントでソフィスティケイト」。加えて、伴奏上手なトミフラの面目躍如、流麗でジャジーでどこかアーシーな弾き回しが、フロントの「デトロイト・ジャズ」な雰囲気に彩りを添える。

そして、ポルチェンのベースとクラークのドラムのリズムが、小粋で、こてこてジャジー。このリズム・セクションの醸し出すビートが、デトロイト・ジャズの「肝」の部分をしっかりと担っている。

アダムスのバリサクが一番元気。続いて、バレルのギターがいつになく躍動感があって、溌剌としたアーバンでブルージーな雰囲気を振り撒いて好調。バンド全体のまとまりが絶妙で、トミフラ=ポルチェン=クラークのリズム・セクションの洒脱なパフォーマンスが、演奏全体を引き締め、演奏全体を盛り立てる。良きジャズ、良きハードバップである。
 
 

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2024年11月17日 (日曜日)

ブルーノートらしい「バレル盤」

創立以降、ジャズの潮流が変わりつつあった1968年までにリリースされたアルバムから、レコード・コレクターズ誌の執筆陣が選んだ「ブルーノートのベスト100」。レコード・コレクターズ 2024年11月号に載った特集記事なんだが、これがなかなかに興味深くて、順に聴き直してみようと思い立った。今日は「第5位」。

Kenny Burrell『Midnight Blue』(写真左)。1963年1月8日の録音。ブルーノートの4123番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Stanley Turrentine (ts), Major Holley (b), Bill English (ds), Ray Barretto (conga)。リーダーのバレルのギターとタレンタインのテナーがフロント2管の、コンガ入り、キーボードレスのクインテット編成。

やっと「第5位」で、何から何までブルーノート・レーベルらしいアルバムがランクインした。まずタイトルの「Midnight Blue」と、このタイトルを印象的なタイポグラフィーであしらった、デザイン・センス抜群のジャケット。タイトルもジャケットもとにかく、とても「ブルーノートらしい」。

アルフレッド・ライオンがブルーノートの総帥プロデューサーだった時代、ブルーノートのアルバムには必ず「ブルース曲」が入っていた。ライオンの指示である。ブルーノートの音の基本は「ブルース」。
 

Kennyburrellmidnightblue_1

 
このケニー・バレルのリーダー作には、「洗練されたブルース・フィーリング」が横溢している。そして、そのブルース・フィーリングが、伝説の録音技師、ルディ・ヴァン・ゲルダーの手になる「ブルノート仕様の音」に映えに映える。

ブルージーでアダルト・オリエンテッドなファンキー・ジャズ。バレルの漆黒ギターとタレンタインの漆黒テナーが、アーバンな夜の雰囲気を醸し出す。コンガが良いアクセントとなった小粋な曲もあって、アルバム全体を通して、大人のファンキー・ジャズをとことん楽しむ事が出来る名盤。

ブルーノートのハウス・ミュージシャンの二人、バレルのギターとタレンタインのテナーの相性が抜群で、このフロント2管の相乗効果で、漆黒ファンクネスがだだ漏れ。どこか洗練された都会的な雰囲気が底に流れている。都会の深夜のブルージーで漆黒な雰囲気がアルバム全体を覆っている。

ブルーノートらしい演奏良し、ブルーノートらしい録音良し、ブルーノートらしいジャケット良し。「三方良し」のブルーノートらしい、ブルーノートらしさ満載のケニー・バレルの名盤。「ブルーノートのベスト100」の第5位は納得、である。
 
 

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2024年1月 6日 (土曜日)

「バレル & コルトレーン」再聴

コルトレーンの共演盤はフリー&スピリチュアル志向のものは「それなり」に評価されているが、ハードバップ時代の共演盤については評価が芳しくない傾向にある。特に、20世紀の我が国の評論にその傾向が強い。どうも、コルトレーンには「共演」が許されていない感じなのだ(笑)。

『Kenny Burrell & John Coltrane』(写真左)。1958年3月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), John Coltrane (ts), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。ケニー・バレルのギターとジョン・コルトレーンのテナーが2管フロントのクインテット編成。

そもそも、ギターとテナー。音の線の細いギターと音が太くて力感のあるテナー。そもそも、フロントとして相立ち、相入れることが出来るのか。漆黒ブルージーでアーバンなバレルのギターと、豪快でエモーショナルで光速切れ味の良いコルトレーンのテナー。ムードで聴かせるバレルとテクニックで聴かせるコルトレーン。聴く前は、合わないよなあ、と感じる。

冒頭の1曲目「Freight Trane」では、いつもより音量を上げたバレルのギターを全く気にせず、我が道を往くテナーのコルトレーン。この曲ではまだ「良好な一体感」は無い。しかし、これは「我が道を往来たがる」コルトレーンの性格によるものではないか。

2曲目の「I Never Knew」、3曲目の「Lyresto」と聴き進めていくと、コルトレーンがバレルに歩み寄るのが判る。コルトレーンが、シーツ・オブ・サウンド風に光速に吹きまくるのでは無く、、歌心溢れるブルージーなテナーとなって、ブルージーなバレルの漆黒ギターに合わせ始める。いい感じの共演フロントになってくる。
 

Kenny-burrell-john-coltrane

 
そして、4曲目の優しいバラード曲「Why Was I Born?」。この演奏、コルトレーンとバレルのデュオなのだが「絶品」。いつもより音量を上げて音が太くなった、漆黒ブルージーでアーバンなバレルのギターの伴奏に乗って、コルトレーンが歌心溢れる優しいテナーを奏でる。

すると、代わって、漆黒ブルージーでアーバンなバレルのギターが、いつになく「しっとり」と語りかける。「絶品」。この演奏を聴くだけの為に、このアルバムを手に入れても良い位の名演である。

以前、ジャズ盤紹介本で、この盤ってミスマッチの極致の様に書かれていた記憶があるが、本当に自分の耳でしっかり聴いた上での評論だったのだろうか。頭で考えるとバレルとコルトレーンはミスマッチの様に感じるが、聴いてみると実は相性は良い。

バレルとコルトレーン、どちらも優れた一流ジャズマン。フロントに相立ったら、相手の音をしっかり聴きながら、良好なマッチングに持ち込もうとするのがプロと言うものだ。このバレルとコルトレーンの共演盤は正式にリリースされている。アマチュアの我々が聴いて「ミスマッチの極致」などとは決して思わない。

このバレルとコルトレーンの共演盤。バレルとコルトレーンの相性は良いです。迷うことなく聴くことをお勧めします。こういう、フロントのパートナーに寄り添うコルトレーンも聴き応え十分です。
 
 

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 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2024.01.04 更新

    ・米国西海岸ロックの代表的バンドのひとつ イーグルスの記事を移行中。

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2023年9月14日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・267

この盤はジャズ者初心者の頃、バイト代を叩いて買った思い出の「名盤」。

当時、ブルーノートのLPは値が張った。他のレーベルでは「廉価盤」と銘打って、LPの通常の値段の千円ほど安い、手に入れやすい価格の盤があったのだが、ブルーノートにはそれが無い。

学生時代のバイト代では、ブルーノートのLPは1ヶ月に1枚がせいぜい。他のLPも買いたいので、これは「廉価盤」で数枚買う、という感じで、ブルーノートのLPは、ジャズ者初心者の僕にとっては、特別な存在だった。

Kenny Burrell『Midnight Blue』(写真左)。1963年1月8日の録音。ブルーノートの4123番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Stanley Turrentine (ts), Major Holley (b), Bill English (ds), Ray Barretto (conga)。

リーダーのバレルのギターとタレンタインのテナーがフロント2管の、コンガ入り、キーボードレスのクインテット編成。バレルのギターとタレンタインのテナーの相性が抜群で、2つの楽器の相乗効果で、漆黒ファンクネスがだだ漏れ。
 

Kenny-burrellmidnight-blue

 
ブルージーでアダルト・オリエンテッドなファンキー・ジャズ。バレルの漆黒ギターとタレンタインの漆黒テナーが、アーバンな夜の雰囲気を醸し出す。コンガが良いアクセントとなった小粋な曲もあって、アルバム全体を通して、大人のファンキー・ジャズをとことん楽しむ事が出来る名盤。

とにかく、バレルのギターが良い。ブルージーでファンクネス濃厚。そして、どこか洗練された都会的な雰囲気が底に流れている。タイトルの「Midnight」が言い得て妙。都会の深夜のブルージーで漆黒な雰囲気がアルバム全体を覆っているのだ。

この盤は理屈で、蘊蓄で聴く名盤では無い。この盤は雰囲気で、直感で聴くべき名盤である。

特に、CDリイシュー時のボートラ含め、1963年1月8日のセッションの全てを欲しい。セッション全曲、捨て曲無し。充実仕切ったバレル・クインテットのセッションの全てを味わい尽くして欲しい。

この盤は、ジャズ者初心者、ジャズを聴き始めて2年位で手に入れた盤だが、まず、このジャケットに惚れた。そして、LPに針を落として、冒頭の名演「Chitlins con Carne」でドップリ感じ入り、そのまま、一気に聴き切った後、直ぐにA面の戻して、繰り返し聴き直した思い出のある名盤。

ジャズ者初心者でもこの盤の良さが直ぐに判る、ジャズ者初心者にとても優しいジャズ名盤である。
 
 

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    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

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2021年6月 5日 (土曜日)

バレルを心ゆくまで愛でる盤

ケニー・バレルというギタリスト、僕は大好きである。最初に彼のギターを聴いたのは、1980年頃、『Guiter Forms(ケニー・バレルの肖像)』だったと思う。邦題通り、様々な編成でバレルのギターの魅力を引き出した好盤なのだが、このバレルのギターが良かった。僕は「漆黒ファンキーなアーバン・ギター」と形容している。

Kenny Burrell With Art Blakey『On View At The Five Spot Cafe』。1959年8月25日、NYの「Five Spot Cafe」でのライヴ録音。ブルーノートの4021番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Art Blakey (ds), Bobby Timmons (p), Roland Hanna (p), Tina Brooks (ts), Ben Tucker (b)。 リーダーはギターのバレルとドラムのブレイキーの双頭リーダー盤。バレルのギター、ブルックスのテナーの2人がフロントのクインテット編成。

パーソネルを見渡すと、とても個性の強いメンバーが集められている。漆黒ファンキーなアーバン・ギターのバレルに、大胆かつ繊細なドラマーのブレイキー、どっぷりとブルージーなテナーのブルックス、ハードバップ・ベースの名手のタッカー。そして、ピアノは、明快なファンキー・ピアニストのティモンズと、典雅なピアノ職人のハナの2人を使い分けている。
 

On-view-at-the-five-spot-cafe
 

このメンバーはとってもブルーノートらしいラインナップ。そして、ブルーノートらしいブルースなサウンドが充満している。バレルのギターはファンネス溢れ、滴るようにブルージー。どのソロ・パフォーマンスも申し分無し。ピアノが明快なファンキー・ピアニストのティモンズだと、バレルの「ファンクネス」が強調され、ピアノが典雅なピアノ職人のハナだと、バレルの「アーバン」な雰囲気が強調されるのが面白い。

双頭リーダーのブレイキーについては、その「ドラミングの妙」に感心する。このライブでのバンド・サウンドの要である「ファンクネス」と「アーバン」そして「ブルージー」をしっかり踏まえて、ドラミングを最適化している。決して仰々しくフロントを鼓舞することは無い。逆に趣味良く粋なドラミングで、バンド・サウンド全体をしっかりとコントロールしているように感じる。

「Birk's Works」におけるバレルのギターとティモンズのピアノの「ファンクネス」な絡み、バレルの自作曲「36-23-36」のアーバンでブルージーな展開が良い感じ。テナーのブルックスも好調で、タッカーのベースは盤石。ジャケット・デザインも、バレルの横顔のアップを半分切り取った印象的なもので「グッド」。バレルの「漆黒ファンキーなアーバン・ギター」を心ゆくまで愛でることが出来る好ライヴ盤です。
 
 
 

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2021年3月10日 (水曜日)

正統なオールスター・セッション

ブルーノート・レーベルには、他のレーベルにある「オールスター・セッション」が無い。他のレーベルでは、時間の空いているジャズマンをワッと集めて、適当に打ち合わせさせて、即本番に入ってテープを回し、著しい破綻が無ければギャラを払って「はい終わり」、そしてそれを即アルバム化。という「オールスター・セッション」があるのだが、ブルーノートには無い。

Kenny Burrell『Blue Lights: Vol.1 & Vol.2』(写真左)。1958年5月14日の録音。ブルーノートの1596番、1597番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Louis Smith (tp), Tina Brooks, Junior Cook (ts), Duke Jordan (p, vol.1), Bobby Timmons (p, vol.2), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。

パーソネルを見渡せば、ブルーノート・レーベルのお抱えジャズマンばかり、オールスター・セッションの様相である。演奏を聴けばそれが良く判る。ギターのケニー・バレルがリーダーだが、演奏内容はメンバーそれぞれが持ち回りでメインを張っている感じ。バレルのギターはどちらかと言えば、バックに控えて、しっかりとフロントを支えている雰囲気なのだ。

 
Blue_lights

 
演奏内容をじっくり吟味すれば、ブルーノートの十八番である「しっかりとリハーサルを積んだ」ことが窺い知れる。アレンジもしっかりとしている。個々のアドリブ・パフォーマンスも充実している。総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンがしっかりとセッションの手綱をコントロールしているイメージなのだ。これは、他のレーベルによくある「お気楽なオールスター・セッション」などでは無い。

しかし、面白いのは演奏全体の雰囲気が「アーバンで夜の雰囲気で、とてもジャジー」。そこはかとなく、クールなファンクネスも漂う。これって、バレルのギターの雰囲気そのもの。そういう意味では、リーダーがバレルなのは妥当なところかも。この「バレル」チックな雰囲気の中で、ルイ・スミス、ティナ・ブルックス、ジュニア・クックが元気に吹き上げ、ジョーダン、ティモンズのピアノがクールにフロントをバッキングする。

他のレーベルの「オールスター・セッション」とはスタンスとアプローチが全く異なる、ブルーノート・レーベルならではの、由緒正しき正統な「オールスター・セッション」。内容充実、聴き応え十分。さすがはブルーノート、さすがは総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオン、である。
 
 

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