ブルーノートらしい「バレル盤」
創立以降、ジャズの潮流が変わりつつあった1968年までにリリースされたアルバムから、レコード・コレクターズ誌の執筆陣が選んだ「ブルーノートのベスト100」。レコード・コレクターズ 2024年11月号に載った特集記事なんだが、これがなかなかに興味深くて、順に聴き直してみようと思い立った。今日は「第5位」。
Kenny Burrell『Midnight Blue』(写真左)。1963年1月8日の録音。ブルーノートの4123番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Stanley Turrentine (ts), Major Holley (b), Bill English (ds), Ray Barretto (conga)。リーダーのバレルのギターとタレンタインのテナーがフロント2管の、コンガ入り、キーボードレスのクインテット編成。
やっと「第5位」で、何から何までブルーノート・レーベルらしいアルバムがランクインした。まずタイトルの「Midnight Blue」と、このタイトルを印象的なタイポグラフィーであしらった、デザイン・センス抜群のジャケット。タイトルもジャケットもとにかく、とても「ブルーノートらしい」。
アルフレッド・ライオンがブルーノートの総帥プロデューサーだった時代、ブルーノートのアルバムには必ず「ブルース曲」が入っていた。ライオンの指示である。ブルーノートの音の基本は「ブルース」。
このケニー・バレルのリーダー作には、「洗練されたブルース・フィーリング」が横溢している。そして、そのブルース・フィーリングが、伝説の録音技師、ルディ・ヴァン・ゲルダーの手になる「ブルノート仕様の音」に映えに映える。
ブルージーでアダルト・オリエンテッドなファンキー・ジャズ。バレルの漆黒ギターとタレンタインの漆黒テナーが、アーバンな夜の雰囲気を醸し出す。コンガが良いアクセントとなった小粋な曲もあって、アルバム全体を通して、大人のファンキー・ジャズをとことん楽しむ事が出来る名盤。
ブルーノートのハウス・ミュージシャンの二人、バレルのギターとタレンタインのテナーの相性が抜群で、このフロント2管の相乗効果で、漆黒ファンクネスがだだ漏れ。どこか洗練された都会的な雰囲気が底に流れている。都会の深夜のブルージーで漆黒な雰囲気がアルバム全体を覆っている。
ブルーノートらしい演奏良し、ブルーノートらしい録音良し、ブルーノートらしいジャケット良し。「三方良し」のブルーノートらしい、ブルーノートらしさ満載のケニー・バレルの名盤。「ブルーノートのベスト100」の第5位は納得、である。
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