2022年12月22日 (木曜日)

バッキング上手のケイブルス

しばらく、お休みしていたのだが、ジョージ・ケイブルス(George Cables)のリーダー作の聴き直しを再開した。というのも、以前はサブスク・サイトには、ケイブルスのリーダー作が5〜6作はアップされているのだが、他のアルバムは対象外。CDにもなっておらず、廃盤状態の盤が多数で、ケイブルスのリーダー作の聴き直しを中断した。

しかし、最近、サブスク・サイトでケイブルスのリーダー作を検索したら、出てくる出てくる。ケイブルスのリーダー作の中で、スティープルチェイス・レーベルからのリリースが9作あって、この全てがアップされているのを確認した。他のアルバムと併せて、ケイブルスのリーダー作の3分の2程度をサブスクでカヴァー出来るので、聴き直し再開と相成った訳である。

George Cables『Cables' Vision』(写真左)。1979年12月17–19日の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (ac-p, el-p), Freddie Hubbard (flh), Bobby Hutcherson (vib), Ernie Watts (ts, fl), Tony Dumas (ac-b, el-b), Peter Erskine (ds), Vince Charles (perc)。

フレディ・ハバードのフリューゲルホーンとアーニー・ワッツのテナー、そして、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブの3楽器がフロント、バックのリズム隊は、リーダーのケイブルスのピアノとベース+ドラムにパーカッションが入った4人。総勢7名のセプテット構成。

ケイブルスは電子ピアノも弾いていて、ちょっとフュージョン寄りの演奏もあるが、コンテンポラリーな純ジャズ志向といった雰囲気なので、目くじらを立てるほどのことは無い。逆に、電子ピアノを硬派に弾きまくっていて、ケイブルスって電子ピアノもイケるなあ、と感心したほど。
 

George-cablescables-vision

 
ケイブルスのアコースティック・ピアノは、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが個性。適度に硬質ではあるが、マッコイ・タイナーの様にガーンゴーンと叩く様な硬質さでは無い。「しなやかな硬質さ」と表現したら良いだろうか。そして、シーツ・オブ・サウンドほど多弁では無いが、モーダル・ジャズほど間を活かすことは無い。

この盤では特に、ケイブルスのピアノの「伴奏上手」なところが聴ける。しなやかで硬質なピアノでフロントをサポートする訳だが、ケイブルスはバックに回った時には「多弁」を封印する。逆に、モーダルなフレーズを弾き回しなかで、間を活かしたピンプロに徹して、フロント楽器とバッキングのフレーズがぶつかることが無い。職人芸的なバッキングに、思わず身を乗り出して聴き耳を立てる。

このバッキングが、フロントにとって快適なのか。それは、あの高テクニック+多弁なハバードのトランペットが気持ちよさそうに抑制したフレーズを聴かせてくれていることから、そして、ワッツのテナーとハッチャーソンのヴァイブが何時になく、熱い躍動感に溢れていることから、ケイブルス率いるリズム隊のサポートが抜群なことが良く判る。

米国では人気が高く、リーダー作は40枚を超える。伴奏上手でもあるため、サイドマンとしての他のリーダー作への参加も多い。それでも、我が国ではケイブルスのピアノは全く人気が無い。が、リーダー作を聴き漁るうちに、ケイブルスの優秀な個性に気がついて、僕のお気に入りのピアニストの1人となっている。やはりジャズは自分の耳で聴いて、自分で良し悪しを判断するに限る。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて        

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新。

   ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 

   ・四人囃子の『Golden Picnics』
 
 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2021年9月18日 (土曜日)

ケイブルスの最新トリオ盤です

ジョージ・ケイブルス(George Cables)は、Art Pepper And George Cables 『Goin' Home』で、初めて知った。1982年のリリースなので、リアルタイムで体験している。ファンキーで多弁で切れ味の良いケイブルスのピアノは、しっかりと印象に残った。以来、ケイブルスのピアノは「お気に入り」である。

George Cables『Too Close for Comfort』(写真左)。2020年9月9日、NYの「Sear Sound」の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Essiet Essiet (b), Victor Lewis (ds)。NYブルックリン出身の大ベテラン・ジャズ・ピアニスト、ジョージ・ケイブルスが、長年活動を共にしているエシェット・エシェット、ビクター・ルイスと組んだピアノ・トリオ作。

ケイブルスのピアノはファンキーで多弁。シーツ・オブ・サウンドの様な多弁さでは無い、アドリブ・フレーズが高速でよ唄う、そんな多弁さである。そんな多弁なフレーズに、ドップリとファンクネスを漂わせて、バリバリ弾きまくる。ケイブルスのピアノは、デビュー当時から現在まで、ずっとブレる事無く、一貫している。弾きっぷりは切れ味良く、多弁なフレーズを弾ききった後の爽快感は抜群。
 

Too-close-for-comfort-george-cables

 
収録曲を見渡すと、全10曲中、ケイブルスのオリジナル曲が4曲、ジャズマンズ・チューン、スタンダード曲のほか、NYで活躍中の日本人ピアニスト、海野雅威の作品も収録されている。ケイブルスは自作曲であれ、スタンダーズ曲であれ、一貫して「多弁でファンキーで切れ味の良い」ピアノで弾きまくる。そう、ケイブルスのピアノは「弾きまくる」のだ。これが意外に耳につかない。優れたテクニックとポジティヴな歌心が成せる技である。

ケイブルスのピアノの弾きっぷりは、この盤の録音時76歳なのだが、円熟の極みというよりは、どこか年齢に似合わず「若く明るい」弾きっぷりなのだ。ただ、じっくり聴いていると、多弁な弾きっぷりではあるが、節回しやチェンジ・オブ・ペースに、どっしりとした「余裕」を感じる。これが、ケイブルスのピアノの良いところ。この「余裕」が、小粋な「タメ」に通じて、多弁なフレーズが「明るくジャジー」に響く。聴き心地がとても良い。

長年活動を共にしてきたエシェットのベース、ルイスのドラムも好調で、ガッチリとケイブルスのピアノをサポートし、引き立たせているのは立派。変に捻ったり、変に革新的に走らない、大ベテランならではの、シンプルで躍動感のあるピアノは安定感と安心感が抜群。最近リリースされたピアノ・トリオ盤の中でも、かなり優秀な内容の「隠れ好盤」です。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2021年5月29日 (土曜日)

ケイブルスのソロ・ピアノ盤

この人もジャズ・ピアノ好きの我が国で人気が低い、というか、存在感が薄いピアニストである。George Cables(ジョージ・ケイブルス)。1944年生まれなので、確かにハードバップが衰退し、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズが全盛の1975年が初リーダー作なので、恐らく、初リーダー作をリリースしたことは、我が国では気に止められることは無かったと思われる。

それでも、米国では人気が高く、リーダー作は40枚を超える。伴奏上手でもあるため、サイドマンとしての他のリーダー作への参加も多く、アート・ペッパー、ボビー・ハッチャーソン、フランク・モーガン、バド・シャンクなど、1970年代にも生き残ったメインストリーム系の純ジャズの担い手との共演がメイン。ジャズマンからしても、サイドマンに誘いたくなるような「一流ジャズ・ピアニスト」だったみたい。

George Cables『Person to Person』(写真左)。1995年4月5日、デンマークのジーランにある「SteepleChase Digital Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p)。ケイブルスのソロ・ピアノ盤になる。ソロ・ピアノという演奏フォーマットは、そのピアニストの個性と資質が明快に判る演奏フォーマットで、この盤を聴けば、ケイブルスのピアノの個性と資質をしっかりと確認することが出来る。
 

Person-to-person-georgecables
 

ケイブルスのピアノは、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが個性。適度に硬質ではあるが、マッコイ・タイナーの様にガーンゴーンと叩く様な硬質さでは無い。「しなやかな硬質さ」と表現したら良いだろうか。そして、シーツ・オブ・サウンドほど多弁では無いが、モーダル・ジャズほど間を活かすことは無い。

そんなケイブルスのピアノがこのソロ盤に詰まっている。全12曲中、8曲がスタンダード曲なので、特に、このスタンダード曲において、それぞれのスタンダード曲のケイブルスなりの解釈が明快になって、ケイブルスの個性が前面に押し出ている。冒頭の「My Funny Valentine」を聴くとその個性が良く判る。適度に多弁で、適度にしなやかなで硬質なタッチで弾き回す「バレンタイン」は何故か、新しい音の響きがあって面白い。

このソロ・ピアノ盤を聴いて、やはり、何故、我が国で、ケイブルスのピアノは人気が薄いのか、またまた良く判らないなった。若干「黒い」適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが魅力。ケイブルスは1944年生まれなので、今年で77歳。この盤の録音時が51歳。レジェントなジャズマンとして、良質のジャズ・ピアノとして再評価が待たれるピアニストの1人である。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・Journey『Infinity』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.03.06 更新

  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2021年2月14日 (日曜日)

ケイブルスの初リーダー作です。

ジャズにとって1970年代は「大変革」の時代だったと思う。それまで、アコースティック楽器がメインの、4ビートのスインギーな演奏が基本だったが、1970年代は、エレクトリック楽器の台頭、そして、8ビートの採用とそれまでのジャズの基本、ジャズの常識が根本的に覆された時代だった。

それでも、旧来の4ビートのスインギーな演奏が基本である「メインストリーム・ジャズ」、いわゆる「純ジャズ」はしっかり存続していて、今の耳で振り返ると、なかなかの内容の好盤が沢山残っている。1970年代はクロスオーバー〜フュージョン・ジャズの時代だったというが、その傍らで「メインストリーム・ジャズ」もしっかり存続している。1970年代は、更なる多様化が進んだ時代とした方が座りが良い。

George Cables『Why Not』(写真左)。1975年10月7日、ロサンゼルスでの録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Tony Dumas (b), Carl Burnett (ds)。ジョージ・ケイブルスの初リーダー作。ピアノ・トリオ編成。ジョージ・ケイブルスは1944年生まれ。録音時は31歳。今年77歳になるが、まだ現役で活躍しているレジェンド。
 
 
Why-not  
 
 
ケイブルスは時代が純ジャズにとって不遇の時代であったが故に、色々と損をしている。これだけの力量を持ったピアニストであれば、20歳台前半に初リーダー作をリリースしていても良いのだが、31歳にしてやっと、である。それでも記するところがあったのだろう、収録曲全てがケイブルスのオリジナル。その中でも、Jazz Messengersに提供した「Dark Side-Light Side」、軽快なラテン・ビートが楽しい「Quiet Fire」などはとても良く出来た曲だと思う。

また、この盤、内容的に優れていて、ケイブルスの「モーダルなピアノであるが難解では無く、ファンキーでメロディアスな右手」がしっかり確認出来る好盤である。良く聴くと全曲、モーダルなアプローチがなされている感じなのだが、ケイブルス自作曲がキャッチャーな旋律を持っているのと、ケイブルスの右手がメロディアスなのが相乗効果で、モーダルな演奏にありがちな難解さが無い。

全曲、ノリの良い演奏が楽しい。アタッチメントで増幅されたであろうベースと、バッタバタでやたら手数の多いドラムが玉に瑕ではあるが、そんな1970年代っぽいリズム隊を従えて、ケイブルスのピアノは快調に「飛ばして」いる。ジャズの名盤紹介に登場するような盤では無いと思うが、ピアノ・トリオ盤として、肩肘張らずに楽しめる好盤だと思う。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.02.09 更新。

  ・『TOTO』(宇宙の騎士) 1977

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.02.09 更新

  ・Yes Songs Side A & Side B

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.02.09 更新。

  ・そしてタツローはメジャーになる
 
 
Matsuwa_billboard
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 

2020年5月12日 (火曜日)

ケイブルスのピアノを楽しむ

ステイホームの状態になって、はや2ヶ月になる。ステイホームなので、家にいることが多い。まとまった時間がとれるので、ネットをウロウロして、いろいろと今まで聴いたことのなかったジャズ盤を漁っている。これがまあ、結構あって、本当にジャズの裾野は広いなあ、と改めて感心している。

ジョージ・ケイブルスの名前が目に留まった。お気に入りのピアニストの一人である。初リーダー作が1975年と、純ジャズ不遇の時代に頭角を現したので、我が国では意外と人気が無い。それでも、リーダー作や、アート・ペッパー、ボビー・ハッチャーソン、バド・シャンク等との共演で、なかなか良い味を出していて、意外と隅に置けないピアニストである。

彼のピアノは、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが特徴。適度に硬質ではあるが、マッコイ・タイナーの様にガーンゴーンと叩く様な硬質さでは無い。「しなやかな硬質さ」と表現したら良いだろうか。そして、コルトレーンの十八番「シーツ・オブ・サウンドほど」多弁では無いが、モーダル・ジャズほど間を活用することは無い。
 
 
Looking-for-the-light  
 
 
George Cables『Looking for the Light』(写真左)。2003年1月27日、2月1日の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Gary Bartz (ss, as), Peter Washington (b), Victor Lewis (ds)。基本はカルテット。一部、トリオ演奏とピアノソロが入っている。 エリック・サティの「Gymnopedie」とキャロル・キングの「Will You Still Love Me Tomorrow?」のカヴァーが目を引く。

ケイブルスの敬愛するジャズマンは「コルトレーンとタイナー」。レベルの高いモーダルな奏法は、この二人を真摯に追いかけた結果だろう。そして、敬愛する同業者であるピアニストは「アート・テイタム」。そう、彼のピアノの個性である「適度に硬質、適度に多弁」はテイタムが起源なのだ。そして、思索的で思慮深いアドリブ展開は、ケイブルスのオリジナル。聴いていて、安定感があり、耳当たりがとても良い。

ケイブルスのピアノはスインギーで思索的。とても落ち着いた雰囲気で、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションを展開する。カルテット編成での、ゲイリー・バーツのサックスもモーダルで、良い雰囲気を醸し出している。アルバム・ジャケットだけが「味もしゃしゃらもない 」のが玉に瑕だが、内容的には、ケイブルスのピアノをじっくり楽しめる「隠れ好盤」。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて     【更新しました】2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

 ★ まだまだロックキッズ       2020.04.19更新。

  ・レッド・ツェッペリン Ⅰ

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
Matsuwa_billboard  

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

2013年9月30日 (月曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・37

ジョージ・ケイブルス(George Cables)。1944年11月生まれ。今年で69歳になるベテラン・ピアニスト。アート・ブレイキーやソニー・ロリンズ、デクスター・ゴードンなどのサイドメンを務める。僕は、復帰後のアート・ペッパーとの共演で、彼の名とプレイを知った。

彼のピアノは、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが特徴。適度に硬質ではあるが、マッコイ・タイナーの様にガーンゴーンと叩く様な硬質さでは無い。「しなやかな硬質さ」と表現したら良いだろうか。そして、シーツ・オブ・サウンドほど多弁では無いが、モーダル・ジャズほど間を活かすことは無い。

マイルスとコルトレーンが創り上げたジャズのスタイルを、適度に聴き易く、適度にスローダウンした個性。しなやかな硬質さを持ったタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションは、聴いていて、実に端正であり、実に「雅」であり「粋」である。とにかく、聴いていて楽しい、「メインストリーム・ジャズ」をバッチリ感じさせてくれるピアノである。

そのケイブルスのピアノを感じるのに相応しいアルバムが、このGeorge Cables『Night and Day』(写真左)。1991年5月の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Cecil McBee (b), Billy Hart (ds)。セシル・マクビーのベース、ビリー・ハートのドラム。1991年当時、実に素晴らしい人選です。

そして、このアルバム、選曲が良い。この選曲を、まず、ピアノ・トリオで聴くことが出来るということが素晴らしく、加えて、ジョージ・ケイブルスのピアノで堪能出来るというとことが素晴らしい。その選曲と作曲者を全て以下に挙げておく。
 

George_cables_night_day

 
1. I thought about you [James Van Heusen / Johnny Mercer]
2. Night and day [Cole Porter]
3. Very early [Bill Evans]
4. I love you [Chuck Dukowski / Gordon Jenkins / Jerry Jeff Walker]
5. Three view of a secret [Jaco Pastorius]
6. Ebony moonbeams [George Cables]
7. Grear is here [Mickey Bass]
8. Doxy -- [Sonny Rollins]

1曲目の「I thought about you」や、2曲目の「Night and day」、5曲目の「I love you」などのスタンダード曲でのプレイが好調。ジョージ・ケイブルスのしなやかな硬質さを持ったタッチと適度に多弁なインプロビゼーションが、実に良い雰囲気を醸し出している。聴いていて惚れ惚れする。

そして、おおっこれは、と耳をそばだてるのは、5曲目の「Three view of a secret」。1970年代から80年代に活躍した伝説のエレベ奏者ジャコ・パストリアスの名曲中の名曲。ニュー・スタンダード曲。これが実に良い。

曲自体素晴らしいのだが、その名曲に負けずに、その名曲を更に惹き立たせるケイブルスのピアノ。マクビーのベース。ハートのドラム。この「Three view of a secret」のピアノ・トリオでの名演の一つの挙げられるべき、素晴らしい演奏。

ミュージシャンズ・チューンである、ビル・エバンスの作曲の「Very early」や、ソニー・ロリンズの「Doxy」も、なかなか考えられたアレンジと展開で、ピアノ・トリオの演奏としては白眉の出来である。

良いピアノ・トリオ盤です。極めてオーソドックスなプレイですが、そこは1991年の録音。1960年代から1970年代のハードバップ演奏とは、ちょっとアプローチの異なるアレンジで、アルバム全体の演奏として、そこはかとない、新しい響きを感じます。聴けば聴くほど味がでる、「スルメ」の様なピアノ・トリオ盤です。ジョージ・ケイブルスの代表盤としてもお勧めです。
 
 
 
★大震災から2年半。決して忘れない。まだ2年半。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

その他のカテゴリー

A&Mレーベル AOR Bethlehemレーベル Blue Note 85100 シリーズ Blue Note LTシリーズ Blue Noteの100枚 Blue Noteレーベル Candidレーベル CTIレーベル ECMのアルバム45選 ECMレーベル Electric Birdレーベル Enjaレーベル Jazz Miles Reimaginedな好盤 Pabloレーベル Pops Prestigeレーベル R&B Riversideレーベル Savoyレーベル Smoke Sessions Records SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio TRIX Venusレコード Yellow Magic Orchestra 「松和・別館」の更新 こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アイク・ケベック アキコ・グレース アジムス アストラッド・ジルベルト アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アラン・ホールズワース アル・ディ・メオラ アントニオ・サンチェス アンドリュー・ヒル アンドレ・プレヴィン アート・アンサンブル・オブ・シカゴ アート・ファーマー アート・ブレイキー アート・ペッパー アーネット・コブ アーマッド・ジャマル アール・クルー アール・ハインズ アーロン・パークス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イリアーヌ・イリアス インパルス!レコード ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウォルフガング・ムースピール ウディ・ショウ ウラ名盤 エグベルト・ジスモンチ エスビョルン・スヴェンソン エスペランサ・スポルディング エディ・ハリス エメット・コーエン エリック・アレキサンダー エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルヴィン・ジョーンズ エンリコ・ピエラヌンツィ エンリコ・ラヴァ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カート・ローゼンウィンケル カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キャンディ・ダルファー キング・クリムゾン キース・ジャレット ギラッド・ヘクセルマン ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスチャン・マクブライド クリスマスにピッタリの盤 クリス・ポッター クリフォード・ブラウン クルセイダーズ クレア・フィッシャー クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ケイコ・リー ケニーG ケニー・ギャレット ケニー・ドリュー ケニー・ドーハム ケニー・バレル ケニー・バロン ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ ゴンサロ・ルバルカバ ゴーゴー・ペンギン サイケデリック・ジャズ サイラス・チェスナット サザンロック サド・ジョーンズ サム・ヤヘル サム・リヴァース サンタナ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 シェリー・マン シダー・ウォルトン シャイ・マエストロ シャカタク ジェイ & カイ ジェイ・ジェイ・ジョンソン ジェフ・テイン・ワッツ ジェフ・ベック ジェラルド・クレイトン ジェリー・マリガン ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジム・ホール ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルトサックス ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナーサックス ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・バリトン・サックス ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ベース ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジャック・デジョネット ジャン=リュック・ポンティ ジュニア・マンス ジュリアン・ラージ ジョエル・ロス ジョシュア・レッドマン ジョナサン・ブレイク ジョニ・ミッチェル ジョニー・グリフィン ジョン・アバークロンビー ジョン・コルトレーン ジョン・コルトレーン on Atlantic ジョン・コルトレーン on Prestige ジョン・スコフィールド ジョン・テイラー ジョン・マクラフリン ジョン・ルイス ジョン・レノン ジョーイ・デフランセスコ ジョージ・ケイブルス ジョージ・デューク ジョージ・ハリソン ジョージ・ベンソン ジョー・サンプル ジョー・パス ジョー・ヘンダーソン ジョー・ロヴァーノ スタッフ スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーヴ・カーン スティーヴ・ガッド スティーヴ・キューン ステイシー・ケント ステップス・アヘッド スナーキー・パピー スパイロ・ジャイラ スピリチュアル・ジャズ スムース・ジャズ スリー・サウンズ ズート・シムス セシル・テイラー セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タル・ファーロウ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チェット・ベイカー チック・コリア チック・コリア(再) チャーリー・パーカー チャールズ・ミンガス チャールズ・ロイド チューリップ テッド・カーソン テテ・モントリュー ディジー・ガレスピー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デイヴィッド・ベノワ デオダート デクスター・ゴードン デニー・ザイトリン デュオ盤 デューク・エリントン デューク・ジョーダン デューク・ピアソン デヴィッド・ボウイ デヴィッド・マシューズ デヴィッド・マレイ トニー・ウィリアムス トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 トリオ・レコード ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ナット・アダレイ ニルス・ラン・ドーキー ネイティブ・サン ネオ・ハードバップ ハロルド・メイバーン ハンク・ジョーンズ ハンク・モブレー ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック ハービー・マン ハーブ・アルパート ハーブ・エリス バディ・リッチ バド・シャンク バド・パウエル バリー・ハリス バーニー・ケッセル バーバラ・ディナーリン パット・マルティーノ パット・メセニー ヒューバート・ロウズ ビッグバンド・ジャズは楽し ビッグ・ジョン・パットン ビリー・コブハム ビリー・チャイルズ ビリー・テイラー ビル・エヴァンス ビル・チャーラップ ビル・フリゼール ビル・ブルーフォード ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファラオ・サンダース ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フォープレイ フュージョン・ジャズの優秀盤 フランク・ウエス フランク・シナトラ フリー フリー・ジャズ フレディ・ローチ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブライアン・ブレイド ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブルー・ミッチェル ブレッカー・ブラザーズ プログレッシブ・ロックの名盤 ベイビー・フェイス・ウィレット ベニー・グリーン (p) ベニー・グリーン (tb) ベニー・ゴルソン ペッパー・アダムス ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ティモンズ ボビー・ハッチャーソン ボビー・ハンフリー ボブ・ジェームス ボブ・ブルックマイヤー ポップス ポール・サイモン ポール・デスモンド ポール・ブレイ ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス( ボックス盤) マイルス(その他) マイルス(アコ)改訂版 マイルス(アコ)旧版 マイルス(エレ)改訂版 マイルス(エレ)旧版 マックス・ローチ マッコイ・タイナー マハヴィシュヌ・オーケストラ マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・5 マンハッタン・ジャズ・オケ マンハッタン・トランスファー マーカス・ミラー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モンティ・アレキサンダー モード・ジャズ ヤン・ガルバレク ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ユッコ・ミラー ラテン・ジャズ ラムゼイ・ルイス ラリー・カールトン ラリー・コリエル ラルフ・タウナー ランディ・ブレッカー ラーズ・ヤンソン リッチー・バイラーク リトル・フィート リンダ・ロンシュタット リー・コニッツ リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レイ・ブラウン レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロイ・ハーグローヴ ロック ロッド・スチュワート ロニー・リストン・スミス ロバート・グラスパー ロン・カーター ローランド・カーク ローランド・ハナ ワン・フォー・オール ヴィジェイ・アイヤー ヴィンセント・ハーリング 上原ひろみ 僕なりの超名盤研究 北欧ジャズ 古澤良治郎 吉田拓郎 向井滋春 和ジャズの優れもの 和フュージョンの優秀盤 四人囃子 国府弘子 増尾好秋 夜の静寂にクールなジャズ 大村憲司 大江千里 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 小粋なジャズ 尾崎亜美 山下洋輔 山下達郎 山中千尋 敏子=タバキンBB 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 日野皓正 書籍・雑誌 本多俊之 松岡直也 桑原あい 欧州ジャズ 歌謡ロック 深町純 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 英国ジャズ 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 阿川泰子 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー