BNのR&B志向のソウル・ジャズ
軽快ファンキーなピアノ・トリオとジャズ・オーケストラとの共演なので、こってこてのイージーリスニング・ジャズかと思いきや、こってこてのソウル・ジャズ。それも、どっぷりR&B志向の、こってこてのソウル・ジャズに仕上がっている。
The Three Sounds and The Oliver Nelson Orchestra『Coldwater Flat』(写真左)。1968年4月10–12日、ハリウッドでの録音。ブルーノートの4285番。ちなみにパーソネルは、以下の通り。ブルーノートのお抱えピアノ・トリオのブルー・サウンズと、オリヴァー・ネルソン率いるジャズ・オーケストラとの共演盤である。
Gene Harris (p, org), Andrew Simpkins (b), Donald Bailey (ds), 以上, The Three Sounds。Oliver Nelson (arr), Bobby Bryant, Conte Candoli, Buddy Childers, Freddy Hill, Melvin Moore (tp), Lou Blackburn, Milt Bernhart, Billy Byers, Pete Myers (tb), Ernie Tack (b-tb), Anthony Ortega, Frank Strozier (as), Plas Johnson, Jay Migliori, Tom Scott (ts), Bill Green (bs), Lou Singer (timpani), Ken Watson (perc), 以上, The Oliver Nelson Orchestra。
スリー・サウンズの音は、もともと、1967年、ブルーノートにカムバックした時のアルバム『Vibrations』(ここをクリック)で、ソウル・ジャズ志向になっていたが、この盤では、そのソウル・ジャズ志向に拍車がかかって、R&Bの音要素をばっちり取り込んでいるので、恥ずかしいくらいの、こってこてなソウル・ジャズ盤に仕上がっている。但し、よく見たら、録音場所はハリウッド。スタジオも、ヴァン=ゲルダーのスタジオでは無い。つまり、この盤の録音は、従来の「ブルーノートの音」とは異なるところにある。
オリヴァー・ネルソン率いるジャズ・オーケストラ自体が、ネルソンのアレンジに乗って、こってこてR&B志向のソウルフルなジャズオケになっているので、まず、このジャズオケのソウルフルなR&B志向の音が、この盤の「キモ」になっている。冒頭のクインシー・ジョーンズ作の「Lonely Bottles」の前奏から、こってこてソウルフル。ジャズオケもピアノ・トリオも、俗っぽい位にソウルフル。
聴き進めると、R&Bのリズム&ビートがメインなのが判る。そんなR&B志向にどっぷり浸かりながら、当時のポップ曲「"The Look of Love」「Georgia(我が心のジョージア)」「Last Train to Clarksville(恋の終列車)」などを、ばりばりソウルフルに快演する。主役のスリー・サウンズも、負けずにソウルフルなピアノ・トリオ演奏を展開する。ジャズオケとピアノ・トリオとの、ソウル・ジャズの相乗効果。
但し、この盤の弱点は、このR&B志向のこってこてソウルフルなジャズオケが前面に出すぎていて、主役のスリー・サウンズのピアノ・トリオを食ってしまっているところ。これは録音バランスの問題だと思うんだが、何とかならなかったのだろうか。それとも、当時、大衆受けの良い、R&Bのリズム&ビートとグルーヴを浮き立たせるために、わざとこのバランスにしたのだろうか。
ブルーノートの4200番台も後半に来ると、硬派でメインストリーム志向のモードや、フリー&アヴァンギャルドなジャズがあるかと思えば、明らかに一般大衆向けのイージーリスニング・ジャズや、この盤の様な、R&B志向のソウル・ジャズがあったりで、ジャズ盤の内容についての「振れ幅」が大きくなっている。これが4200番台後半の面白いところでもあり、悩ましいところでもある。
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