2023年8月28日 (月曜日)

The 3 Soundsのお蔵入り優秀盤

スリー・サウンズ(The 3 Sounds)は、ブルーノート・レーベル唯一のお抱えピアノ・トリオ。メンバーもブルーノートが選んで、ブルーノートがデビューさせている。スリー・サウンズのアルバムはその活動期間中のリリースとして30枚を超えるが、途中、ヴァーヴやマーキュリー・レコードやその傍系のライムライトからもアルバムを7〜8枚ほどリリースしたが、ブルーノートからのリリースが主。

ただし、スリー・サウンズの音作りは、リーダーのピアノのジーン・ハリスに委ねられていて、軽妙でハイ・テックニックなトリオ演奏をベースに、聴いて楽しいシンプルで判り易い音作り、ドライブ感溢れる、硬派で端正でファンキーなサウンドは、このジーン・ハリスによって育まれたもの。

The 3 Sounds『Out Of This World』(写真左)。1962年2月4日、3月7ー8日の録音。ブルーノートの4197番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ちなみにこの盤はブルーノートお得意の「何故かお蔵入り」盤。録音当時はリリース見送り、4年後の1966年になってようやく陽の目を見ている。
 

The-3-soundsout-of-this-world  

 
1962年の『Hey There』の後、何故かお蔵入りが続いた音源の中のひとつで、契約上の何かがあったかで、4年間、倉庫に眠っていた音源。聴けば判るが、聴いて楽しい、シンプルで判り易い、ドライブ感溢れ、硬派で端正でファンキーなスリー・サウンドの個性がこの盤に充満している。この音源の前後のセッションの演奏内容と比べて遜色が無いどころか、切れ味とアーティステックな雰囲気という点では、この周りのスリー・サウンドの中で、一二を争うほどの優れた内容である。

カクテル・ピアノ、ラウンジ・ピアノの類の演奏だが、決して、イージーリスニング志向では無い。かなり硬派でダイナミズム溢れるアーバンなアレンジが施されていて、決して「ながら聴き」に向いたトリオ演奏ではない。基本はファンキー・ジャズだが、アレンジがストイックでハイテクニック前提でアーティステック。意外と尖った内容に思わず耳を奪われる。

何があったか知らぬが、この盤の音源は「何故かお蔵入り」盤として扱われる様な無い様ではない。スリー・サウンズの成熟した完成形の様な音作りと展開が素晴らしい。アレンジが優秀で、ジャズ・スタンダード曲も新しい響きを宿していて新鮮に感じる。シンプキンスとダウディのリズム隊も堅実な素晴らしいリズム&ビートを供給していて立派。スリー・サウンズの優秀盤として、もう少し再評価されても良い盤かと思う。
 
 

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2023年5月30日 (火曜日)

ソウルフルなスリー・サウンズ

スリー・サウンズ(The 3 Sounds)は、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの肝いりで結成された、ブルーノートお抱えの企画型ピアノ・トリオ。スタンダード曲をメインに、ファンキーで端正でハイ・テクニックなトリオ演奏が魅力で、ピアノ・トリオとしての実力は相当なものがある。しかし、我が国では何故か人気が無い。

The 3 Sounds『Black Orchid』(写真左)。1962年3月7ー8日の録音。ブルーノートの4155番。ちなみにパーソネルは、ene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。初出のLPの時は全8曲。CDでのリイシューで、ボートラが大量7曲(6曲のものもある)追加されている。が、この『Black Orchid』を語る上では、初出LPの8曲に絞ることにする。

もともとスリー・サウンズの演奏の基本は「ファンキー・ジャズ」。スタンダード曲がメインの演奏でも、しっかりと「ファンキー・ジャズ」なアレンジを施されていて、ファンキーで端正でハイ・テクニックなトリオ演奏が、スリー・サウンズの個性として定着している。
 

The-3-soundsblack-orchid 

 
スリー・サウンズは、スタンダード曲がメインの演奏なので、イージーリスニング志向のピアノ・トリオと勘違いされることが多いが、どのアルバムでも良いから聴いてみると、それは大きな勘違いといういうことが良く判るのではないか。意外と硬派なハードバップな演奏を展開している。そんなファンキー・ジャズ志向のスリー・サウンズが、この盤ではしっかりとソウル・ジャズ志向にシフトしている。

テクニックをひけらかす様な速い曲はひとつも無い。ミッド・テンポな落ち着いた演奏から、スロー・バラードな演奏でこの盤は埋められている。もともとファンクネス漂うトリオ演奏だが、このファンクネスの濃度が濃くなって、テンポはミッド・テンポ、ゴスペル風なフレーズも見え隠れして、この盤の雰囲気は、カラッとしたライトでアーバンなソウル・ジャズ志向なピアノ・トリオといった感じ。

ゆったりとしたテンポの演奏がメインで、難解なモーダルな展開や複雑なコードチェンジなど全く無く、ゆったりとしたテンポで、判り易いフレーズ展開で、カラッとしたライトでアーバンなソウル・ジャズを展開している。ファンクネスの濃度は高く、唄うが如くのフレーズはとことんソウルフル。「聴き手のニーズ」に呼応したブルーノートの4100番台のアルバムが、ここにもある。
 
 

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2023年3月26日 (日曜日)

スリー・サウンズの音の変化

ブルーノートの4100番台の聴き直しを再開した。4100番台のカタログをチェックしていたら、まだまだ、当ブログにアップしていない盤がかなりあることに気がついた。どうも、4000番台について、全てのアルバムの記事をアップして、全部終わった気になったとみえる(笑)。で、この盤から再開である。

The Three Sounds『It Just Got To Be』(写真左)。1960年12月13–14日の録音、1963年のリリース。ブルーノートの4120番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノートのお抱えピアノ・トリオ「スリー・サウンズ」の好盤。従来の聴き易い、ストレート・アヘッドなピアノ・トリオから、新しいイメージへの変化の兆しが聴ける。

それまでは、ストレート・アヘッドでハードバップなピアノ・トリオ。アレンジが優れていて、スタンダード曲をライトに聴き易く仕立て上げていて、とても趣味の良い、小粋で聴き応えのある盤をリリースしてきた。が、ここに来て、リーダーのピアニスト、ジーン・ハリス(写真右)は、この「スリー・サウンズ」の音を、ファンキー・ジャズからソウル・ジャズへの転換を図りだしている。

録音が1960年12月なので、この転換については判断が早い方。1960年終わりと言えば、まだソウル・ジャズは兆しがあるくらい。リリースが伸びて1963年6月にになったのも頷ける。1963年6月であれば、ソウル・ジャズが流行始めた頃なので、このリリース時期については合点がいく。
 

The-three-sounds_it-just-got-to-be

 
冒頭の「One For Renee」から、ファンキー・ジャズが基本で、そこかしこにソウル・ジャズの雰囲気が漂う演奏でダンサフル。もともとのスリー・サウンズが持っていた「アレンジ良好で趣味の良い、小粋で聴き応えのある」雰囲気はそのままに、ソウルフルなイメージが濃厚になっている。

ジーン・ハリスのピアノのフレーズは、躍動感がさらに増し、ファンクネスが濃厚になり、グルーヴ感が増強されている。ソウル・ジャズへの転換の準備はすっかり整っている様なソウルフルなピアノ。もともとファンキーなピアノを弾くが、オフビートのタッチが強調されていて、ソウル、もしくはR&B基調のピアノに変化し始めている。

そして、シンプキンスのベースとダウディー のドラムのリズム隊は、もともとファンキーなリズム&ビートを叩きだしていたが、この盤ではそこにソウルフルなグルーヴ感が追加されていて、ソウルフルなピアノに転身しつつあるハリスのピアノを、効果的にサポートし鼓舞している。

このファンキー・ジャズからソウル・ジャズへの転換は、このスリー・サウンズのメンバー3人の能力の高さと優秀なアレンジ力が故に出来ること。新しいイメージを3人の共通の認識として、それぞれが新しいイメージへの転換を図っていて、それが「板につきつつある」。それが、この盤の「聴きどころポイント」だろう。聴き心地が良いトリオ盤です。
 
 

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2022年2月24日 (木曜日)

スリー・サウンズのアレンジの妙

僕がジャズを聴き始めた頃、今を去ること40数年前になるのだが、その頃から、ブルーノートの企画型ピアノ・トリオ「The Three Sounds(スリー・サウンド)」の人気はイマイチだった。理由はいろいろあったらしいが、僕が記憶しているのは、レーベルが作った企画型のトリオだから、ブルーノートのドル箱トリオで商業主義のコマーシャルなトリオだから、スタンダード曲ばかり演奏していてオリジナリティーが無い、とかで、とにかく、ケチョンケチョンだった記憶がある。

ブルーノート・レーベルのドル箱トリオだったことは事実みたいで、オルガンのジミー・スミスの双璧の「ドル箱」トリオだったそうだ。とにかく判り易い内容、聴き心地の良いスタンダード曲をメインに演奏し、ラウンジ・ミュージックとしても、イージー・リスニングとしても聴くことの出来る「イージーさ」が米国ではウケて、我が国ではウケない理由なのかもしれない。

The Three Sounds『Hey There』(写真左)。ブルーノートの4102番。1961年8月13日の録音。改めて、ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ジャズの「多様化」の時代に差し掛かった、ブルーノートの企画型ピアノ・トリオの優秀盤である。
 

Hey-there

 
ラウンジ・ミュージックとしても、イージー・リスニングとしても聴くことの出来る「イージーさ」というが、このトリオの一番優れている点は「アレンジの妙」である。この盤も収録曲は全てスタンダード曲。しかも、俗っぽい「You Are My Sunshine」や「Stompin' at the Savoy」が入っていて、曲名だけみれば、これはもうイージー・リスニングなトリオ演奏なのか、と思うのだが、スリー・サウンズはそうはならない。

とにかく、アレンジが優れている。俗っぽい曲もしっかりしたアレンジで、硬派なファンキー・ジャズに仕立て上げられている。そう、この盤、優れたアレンジで、ちょっとマニアックなものから俗っぽいものまで、スタンダード曲を硬派なファンキー・チューンに変身させている。ネットリとソウルフルに陥ること無く、切れ味の良い、明快なファンキー・ジャズに留めているところが「良い」。

スリー・サウンズって、我が国の人気の無い理由は全く当たらないと思う。スタンダード曲ばかり演奏していてオリジナリティーが無いなんて言うが、このアレンジの優秀性は、自作曲を演奏するオリジナリティーに匹敵するレベルだと思う。そう、スリー・サウンズの最大の個性であり、最大の武器が、この「優れたアレンジ能力」なのだ。
 
 
 
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2021年12月27日 (月曜日)

どスタンダード曲の 3 Sounds

ブルーノート・レーベルには、意外とピアノ・トリオ盤が少ない。もともと、米国人はフロント管が入ったジャズ盤を好む傾向があったらしく、ピアノ・トリオが地味という理由で、あまりウケが良く無かったそうだ。逆に我が国では、結構、ピアノ・トリオは好まれる。ブルーノート・レーベルはイマイチだ、と評するジャズ者の方々は、意外とこの「ピアノ・トリオの少なさ」を指摘する。

が、そこはさすがに、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオン。これはというピアニストには、ピアニストの個性が良く判る、優れた内容の「トリオ盤」を制作している。そして、レーベルとしての企画型のピアノ・トリオ「スリー・サウンズ」をプロデュースしている。

The 3 Sounds『Here We Come』(写真左)。1960年12月13–14日の録音。ブルーノートの4088番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルのプロデュース、唯一のお抱えピアノ・トリオ「The 3 Sounds(スリー・サウンズ)」である。
 

Here-we-come

 
収録曲を見ると「どスタンダード曲」のオンパレードなので、ちょっと引く。この盤こそ、売らんが為のポップなイージーリスニング風のトリオ盤なのでは、と危惧する。が、そこはレーベルとしての企画型のピアノ・トリオ「スリー・サウンズ」。決して、イージーリスニング風のトリオ演奏には陥らない。

まず、それぞれの「どスタンダード曲」に施されるアレンジが意外と「プログレッシヴ」。これだけ「ドスタンダード」だと、ちょっとポップで甘めの聴き易いアレンジをしがちだが、スリー・サウンズは違う。結構、新しい響きで、聴き応えのある、切れ味の良いアレンジを施している。これはいつ聴いても流石だなあ、と思う。

レーベルが企画したピアノ・トリオだからといって、売らんが為のポップなイージーリスニング風のトリオと誤解しては損をする。そこはさすがブルーノート、唯一の企画型ピアノ・トリオ、普通のアプローチで来るわけが無い。確かに、このピアノ・トリオは意外と「プログレッシヴ」。そういうところにも、ブルーノート・レーベルの矜持を感じる。
 
 
 

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2021年9月27日 (月曜日)

硬派で先進的なスリー・サウンズ

The 3 Sounds(スリー・サウンズ)。1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルの最初の黄金時代に、唯一レーベルで企画されたピアノ・トリオ。人気ピアノ・トリオとなり、ブルーノート・レーベルの「ドル箱」となった訳だが、我が国では何故か人気がイマイチ。

この「企画された」ところが作為的と捉えられたのか、スタンダード曲中心の判り易い演奏が「俗っぽい」捉えられたのか、何故か人気、評価共にあまり高く無い。あろうことか、このピアノ・トリオの持つ個性と先取性を全く確認せずに「聴く価値無し」のレッテルを貼るのにはビックリした。

The 3 Sounds『Feelin' Good』(写真左)。1960年6月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。鉄壁のピアノ・トリオ。収録曲全8曲中、2曲が有名スタンダード曲、1曲がスリー・サウンドのリーダー、ジーン・ハリス作。他の5曲が「ミュージシャンズ・チューン」。
 

Feelin-good

 
この5曲の「ミュージシャンズ・チューン」の演奏が、この盤のハイライト。ジャズマンが作った、ジャズマンが好んで演奏した曲で、映画音楽曲などをスタンダード化した曲よりも、ジャズを知っているジャズマンが書いた曲の方がジャズとして演奏するのに向いている。コードの扱いとか、リズム&ビートの扱いが、ジャズ演奏を前提として書かれているからであろう。

スリー・サウンズによる、この5曲の「ミュージシャンズ・チューン」の演奏は、当時のジャズの演奏スタイル&内容の先端を行くもので、とても聴き応えがある。スタンダード曲中心のコマーシャルな演奏をイメージして聴くと「火傷する」。筋金入りの硬派なハードバップ演奏あり、モーダルな自由度の高い演奏あり。この盤でのスリー・サウンズは、アーティスティックであり、先進的であり、ストイックである。

演奏全体に適度なテンションが漲り、テクニックは高レベル、切れ味の良い端正な、当時の最先端のハードバップ演奏が繰り広げられる。スリー・サウンズに張られた「コマーシャルで判り易い素人向けのピアノ・トリオ」というレッテルを、全面的に払拭する快作である。以前は入手し難い盤だったが、今では、音楽のサブスク・サイトに音源がアップされている。お勧めのピアノ・トリオ盤である。
 
 
 
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2021年6月21日 (月曜日)

スリー・サウンズの好盤の一枚

1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルの最初の黄金時代、唯一のピアノ・トリオを企画し、ブルーノートの人気ピアノ・トリオに押し上げ、ブルーノートの「ドル箱」となったのが「the 3 sounds(スリー・サウンズ)」。我が国ではこの「企画された」ところが作為的に捉えられたのか、スタンダード曲中心の判り易い演奏が「俗っぽい」捉えられたのか、何故か人気、評価共にあまり高く無い。

the 3 sounds『Moods』(写真左)。1960年6月28日の録音。ブルーノートの4044番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルの「お抱え」ピアノ・トリオ、スリー・サウンズのスタンダード集である。ちなみに、艶めかしいジャケットの女性は、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの細君であるルース夫人。

このアルバムだけは、スリー・サウンズのアルバムの中で、我が国のジャズ盤紹介本やジャズ雑誌のピアノ・トリオの特集によく挙がるアルバムである。選曲もスタンダード曲がメイン。とりたてて、スリー・サウンズが他のアルバムと比べて、レベルの高い演奏を繰り広げている訳でも無い。アルバム・ジャケットも女性の横顔だけという平凡なもの。なのに我が国ではスリー・サウンズの代表盤の様に扱われている。
 

Moods-the-3-sounds

 
改めて、この盤のスリー・サウンズの演奏は、他のアルバムと比べても、その演奏レベルは同等。判り易くシンプルな展開、それでいて、演奏テクニックは高く、やっていることは意外と難度が高い。ただ、演奏の雰囲気がとても判り易くシンプルなので、カクテル・ピアノっぽいトリオ演奏と誤解されやすい。それでもこの盤は「スリー・サウンズの代表盤」として、もてはやされる。

恐らく、選曲が「どスタンダード曲」が目立つので、例えば「Love for Sale」「On Green Dolphin Street」「Li'l Darlin'」「Things Ain't What They Used to Be」などだが、ジャズ者初心者向けにピッタリだと、昔の評論家の方々が考えたのかも。

でも、ソニー・スティットの「Loose Walk」や、クリフォード・ブラウンの「Sandu」など、渋い内容のミュージシャンズ・チューンが選曲されていたりで、この辺りはジャズ者初心者向けとは思えないんですけどねえ。

この盤、スリー・サウンズの代表盤という位置づけでは無く、他のスリー・サウンズと同様の、判り易くシンプルな展開の「極上のピアノ・トリオ演奏」がギッシリ詰まっています。この盤も「スリー・サウンズの好盤の一枚」という位置づけでしょうか。
 
 
 

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  ・Santana『Inner Secrets』1978

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  ・イエスの原点となるアルバム

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  ・この熱い魂を伝えたいんや

 
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2021年5月23日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・91

最近、好んで聴き直しているピアノ・トリオがある。「The 3 Sounds」である。アルフレッド・ライオン率いるブルーノート・レーベルの企画型のピアノ・トリオ。ブルーノート・レーベルは意外とピアノ・トリオ盤が少ない。そんな中で、この「The 3 Sounds」は、トリオ名義のアルバムが20枚程度、リリースされている。如何に破格の扱いの売れっ子ピアノ・トリオであったことが窺い知れる。

ただ、我が国では何故か人気が低い。ピアノ好き、ピアノ・トリオ好きの日本人ジャズ者の方々の中でも、何故か人気が薄い。スタンダード曲中心で「商業臭さ満載」と感じているのか、軽妙で聴いて楽しい「判り易さ」がいけないのか、どうにも我が国のジャズ者の方々からは人気が無い。しかし、最近やっと、ネット上で再評価される兆しが見えてきた。

The 3 Sounds『Good Deal』(写真左)。1959年5月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルから4枚目のトリオ盤になる。トリオの3人が腕を組んで街を歩く写真をあしらったジャケット。メンバーの表情が生き生きとしていて、充実した内容が想像出来る良いジャケットである。
 

Good-deal
 

一言で言うと、The 3 Soundsの実力が遺憾なく発揮された、素晴らしい内容のトリオ盤である。収録曲全8曲中、6曲がスタンダード曲。しかも、聴いて楽しい、シンプルな曲が多く収録されていて、収録曲を見ただけでは、このトリオ盤、イージーリスニング風のライトでカクテルなトリオ盤に思えて、なかなか触手が伸びないのは理解出来る。

しかし、聴けばその印象は「吹っ飛ぶ」。活きの良いスイング感が程好い、ブルース・テイスト芳しいトリオ演奏がてんこ盛り。しかも、トリオのメンバー、三人三様、そのテクニックの限りを尽くして、ドライブ感溢れる、端正で軽妙でファンキーなアドリブ展開を披露する。それにしても実に「上手い」。上質のトリオ演奏であり、ハードバップな逸品である。

ジャズ盤紹介本などでは、まず紹介されることが無い盤であるが、どうして、その内容は「超一級品」。僕は「The 3 Sounds」の代表作の一枚と評価している。録音のバランスも良く、ブルーノート・サウンドの見本の様な音世界がこの盤にギッシリ詰まっている。今までの評価の低さは忘れて、是非聴いていただきたい逸品である。
 
 
 

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  ・Journey『Infinity』1978

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  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

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  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
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2021年5月18日 (火曜日)

軽妙で聴いて楽しいトリオ

ブルーノート・レーベルが企画したピアノ・トリオ「The 3 Sounds(スリー・サウンズ)」。職人肌のメンバーが集結したピアノ・トリオであるが、ピアノ好きの我が国では何故か人気が低い。ジャズの老舗レーベルが「企画した」のが気に入らないのか、スタンダード曲中心で「商業臭さ満載」なのが気に入らないのか、良く判らないが、確かに「人気が低い」。

確かにジャズ・ピアノ入門本などでも、スリー・サウンズのアルバムは1枚程度しか紹介されない。ブルーノートの1500番台〜4300番台の間には 20枚程度のアルバムをリリースしていて、どのアルバムも僕の耳には「水準以上」のレベルのピアノ・トリオの演奏だと思うんですけど。こういうところが、我が国のジャズ盤評論の不思議なところ、である。

The 3 Sounds『Bottoms Up!』(写真左)。ブルーノートの4014番。1958年9月と1959年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p, celeste), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。収録曲全8曲中、6曲目の「Jinne Lou」のみ、ジーン・ハリスの自作、以外の7曲はスタンダード曲で占められている。
 
 
Bottoms-up  
 
 
このスタンダード曲の演奏、アレンジが秀逸なのが、この盤の特徴。冒頭の「Bésame Mucho」を聴けばそれが良く判るが、アレンジと演奏力次第では「チープ」な演奏に陥り易いラテン調のスタンダード曲が、お洒落で粋なアレンジと燻し銀的な渋くて流麗なテクニックで、なかなかシュッとして軽妙な演奏に仕上げている。

7曲目の「Nothing Ever Changes My Love for You」など、ちょっとカリプソ調のアレンジに乗って、スリー・サウンズの個性である「軽妙」なパフォーマンスを展開、この「軽さ」が絶妙で、ピアノ・トリオの演奏が「重く」ならずに、シンプルで軽妙に仕上がっているところが、この「スリー・サウンズ」の良いところ。

軽妙でハイ・テックニックなピアノ・トリオである「スリー・サウンズ」。そんなトリオの個性が手に取るように判るアルバムがこの『Bottoms Up!』。聴いて楽しい、シンプルで判り易い「スリー・サウンズ」の面目躍如。ジャケット・デザインも洒脱で、僕にとってこの「スリー・サウンズ」、大好きなピアノ・トリオの1つです。
 
 
 

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2021年3月20日 (土曜日)

ブルーノートの企画型トリオ。

ブルーノート・レーベルには、意外と「ピアノ・トリオ」盤が少ない。総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンが、ピアノをフロント楽器の一翼を担う楽器では無く、リズム・セクションの一部と捉えていたのか、ピアノだけが主役の「ピアノ・トリオ」盤の作成が他のレーベルに比べて少ない。ピアニストがリーダーの盤も管を加えて、カルテットやクインテット、はたまたセクステットの編成で録音することが多い

『Introducing the 3 Sounds』(写真左)。1958年9月16, 18日の録音。ブルーノートの1600番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p, celeste), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。トリオ名「The Three Sounds」。ブルーノート・レーベルで唯一の「お抱え」ピアノ・トリオである。あの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの手になる「企画型」トリオである。

時代はジャズが人気音楽ジャンルだった頃。ブルーノート・レーベルの運営も軌道に乗り、ここで一発売らんが為の企画を打ち出したのではなかろうか。このピアノ・トリオ、当時、最先端だったモード奏法やファンキー・ジャズなど眼中に無い。最初から最後まで、徹頭徹尾、絵に描いた様な、ハードバップ志向のピアノ・トリオ演奏なのだ。


Introducing-the-three-sounds

 
選曲もスタンダード曲やトラディショナルな曲がメイン。演奏も4分台の曲が多く、長くても6〜7分で押さえる。つまりは気軽に聴いて楽しむのに好適な演奏内容なのだ。しかも、端正で安定、明快なタッチとミッド・テンポが中心の、十分にリハーサルを重ねた、とてもお行儀の良いインタープレイの数々。即興性が希薄なので、硬派なジャズ者の方々からは概ね受けが悪い(笑)。

ジーン・ハリスのピアノは、そこはかとなくファンクネスが漂う端正なピアノ。アドリブ展開に破綻が無く、タッチは正確。アンドリュー・シンプキンスのベースは堅実&安定、ビル・ダウディのドラムは小粋で誠実。絵に描いた様な、教科書の様なピアノ・トリオ。いかにもブルーノート・レーベルらしいなあ、と思う。

あまりに端正で優等生的なピアノ・トリオなので、ピアノ・トリオ好きな我が国なのに人気はイマイチ。これだけ完成度の高いピアノ・トリオなのに、ジャズに何を求めているのやら(笑)。このスリー・サウンズのトリオ演奏については外れはありません。どの「スリー・サウンズ」版を手にしても、その中には極上のピアノ・トリオ演奏がてんこ盛りです。決して、避けて通ることなかれ、の好盤です。
 
 
 

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