山下洋輔トリオ”Dancing 古事記”
山下洋輔トリオが早稲田大学本部のバリケードの中で演奏する「バリケードの中のジャズ」という、当時のテレビの企画での演奏を録音したもの。学園紛争という「取り巻く時代」の話は全く抜きにして、純粋に、当時の「山下洋輔トリオ」のパフォーマンスのみをここでは語りたい。
山下洋輔トリオ『Dancing 古事記』。1969年7月「早稲田大学本部キャンパス8号館B1F」での録音。ちなみにパーソネルは、山下洋輔 (p), 中村誠一 (ts, ss), 森山威男 (ds), 彦由常宏 (演説 on trk.1) 。記念すべき「山下トリオ」のデビュー作。1971年、麿赤児と立松和平の自主制作LPとして発売。
冒頭、学園紛争名物「アジテーション」。今の人達にはなんだこれ、だろう。僕達には懐かしい響き。こういうアジテーションが学園紛争で前面に立っていた「闘士」達の主張のスタイルだった。で、続いて「テーマ」に弾き継がれる。ここからが、山下洋輔トリオの真骨頂。のっけから、山下トリオは疾走する。
山下洋輔のピアノは、いきなり「全力疾走」。凄まじいパワー、凄まじい指回し。緩み無く、拠れも無い。正確無比にフリーで創造的なフレーズを、全力疾走で弾きまくる。それに絡む森山威男の、これまた凄まじいドラミング。山下と森山のフリーでありながら整然としたインタープレイの中、中村誠一のサックスが乱入参戦。3者混然一体となった、凄まじい、フリーでありながら整然とした、即興演奏インタープレイが暴風雨の様に吹き荒れる。
続いて「木喰(もくじき)」。出だしのスピリチュアルで耽美的な、ゆったりとしたフレーズが美しい。そして、徐々に、山下トリオの真骨頂、3者混然一体となった、凄まじい、フリーでありながら整然とした、即興演奏インタープレイの音世界に突入していく。このアドリブ・フレーズの嵐における「イマージネーションの豊かさ」は特筆に値する。
無手勝流に、気の向くままに即興演奏インタープレイをしているのでは無い。しっかり、理路整然とイマージネーションを広げ、それをフリーな音に落とし込んで、即興インタープレイに展開する。フリーの演奏とはいえ、その演奏展開は「理知的」。そこが良い。
それと、以前からこれは強く感じているが、トリオを形成する3人のジャズマン。演奏力が半端ない。テクニック、歌心、正確さ、どれをとっても超一流の演奏力。この半端ない演奏力が、理知的で理路整然とした、フリーな即興インタープレイを可能としている。そして、この理知的で理路整然とした、フリーな即興インタープレイこそが、山下洋輔トリオの唯一無二の個性なのだ。
「ジャズ・ピアニスト、山下洋輔、年内で演奏活動一時休止 休養へ」のニュースが流れて、案漠たる気持ちに包まれている。報告文の最後に「長年にわたる山下洋輔へのご注目・応援、ありがとうございました」と書かれているのが気になる。そして、思わず、山下洋輔のパフォーマンス、和フリー&スピリチュアルな音世界を聴き直してみたくなった。その第一弾が、この『Dancing 古事記』であった。名盤である。
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