ジャズ喫茶で流したい・277
1980年代は「純ジャズ復古」の時代。1970年代後半からのフュージョン・ジャズの大ブームの後、その反動だったのか、1985年にEMI傘下で復活したジャズ・クラブ「ブルーノート」がニューヨークのタウンホールで開催した「ワン・ナイト・ウィズ・ブルーノート」をキッカケに、純ジャズ復古の大号令がかかった。
Dizzy Gillespie『New Faces』(写真左)。1985年の作品。GRPレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp), Branford Marsalis (ts, ss), Kenny Kirkland (p), Lonnie Plaxico, Lincoln Goines (b), Robby Ameen (ds), Steve Thornton (perc)。ブランフォード・マルサリス、ケニー・カークランド、ロニー・プラキシコ、録音当時のニュー・フェイスを迎えてのディジー・ガレスピー晩年の好盤。
ビ・バップの生みの親の一人である、ディジー・ガレスピー。そんなモダン・ジャズの巨人が新世代と共に創作したネオ・ハードバップな好盤。名匠デイヴ・グルーシンのプロデュース。明らかに、1950年代のビ・バップ、ハードバップとは雰囲気が違う、1980年代のネオ・ハードバップのパフォーマンスがこの盤に詰まっている。
純ジャズ復古のトレンドを受けて、フュージョン・ジャズがメインのGRPレーベルが、デイヴ・グルーシンのプロデュースで製作した「ネオ・ハードバップ」な内容なのだが、これがなかなか充実しているから面白い。演奏全体の基本は「モード」。そして、まず、巨匠ディジー・ガレスピーのトランペットが実にモダンな響き。音はベテランな雰囲気の余裕ある吹奏なのだが、出てくるフレーズが新しい。
1950年代の手垢の付いたフレーズでは無い。そして、ブランフォードのテナーが効いている。明らかに新しい響きを湛えたモーダルなテナー。しかし、ガレスピーが、このブランフォードのテナーに相対して、互角なインタープレイを展開しているのにはビックリである。ビ・バップの創始者、レジェンド・ガレスピー恐るべし。
リズム・セクションでは、カークランドが、とても新鮮なモーダル・フレーズを連発しながら、新旧フロントを支え、鼓舞する。そして、プラキシコのブンブン唸るベースが、アメーンのドラムとソーントンのパーカッションが、インタープレイの底をしっかりと支える。
このプラキシコのベースがあってこそ、アメーンのドラムとソーントンのパーカッションがあってこそ、新旧フロントの極上のネオ・ハードバップなインタープレイが展開されるというもの。
今まで、ジャズ盤紹介に上がったのを見たことが無いアルバムですが、初めて聴いた時は思わずビックリ、極上の1980年代のネオ・ハードバップのパフォーマンスが展開されていて、思わず何回も聴き直した記憶がある。1980年代のGRPのネオ・ハードバップなんて、と聴かず嫌いで敬遠するなかれ。この盤、なかなかイケる内容のネオ・ハードバップ初期の好盤だと思います。
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