”Un Poco Loco” 3連発に想う
1939年、ブルーノートの創立以降、ジャズの潮流が変わりつつあった1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノートらしい内容、音、響き。そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第9位」。
『The Amazing Bud Powell Vol.1』(写真左)。ちなみに録音日とパーソネルは以下の通り。1951年5月1日の録音、ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), Curley Russell (b), Max Roach (ds)。1953年8月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), George Duvivier (b), Art Taylor (ds)。 バド・パウエルのピアノ・トリオ集。
このピアノ・トリオの演奏、以前から「名盤中の名盤」とされる訳だが、そうだろうか、と常々思っている。この盤の冒頭の「Un Poco Loco」3連発。これを聴いて感銘を受けなければ、もはや未来永劫、ジャズを理解することは出来ない、などと極論を述べる評論家もいた。この極論を間に受けて、「Un Poco Loco」3連発を聴き続け、結局、よ〜判らんとジャズを諦めた人もいた。
このトリオ演奏は「ビ・バップ」。バド・パウエルの「ビ・バップ」。ベースとドラムは「忠実なリズム&ビートのキープ役」。主役のバド・パウエルが、その「忠実なリズム&ビートのキープ役」をサポートを得て、心ゆくまで、即興演奏を展開する。
しかし、この即興演奏の凄さについては判りにくい。一般の人々には特に判りにくい。クラシック・ピアノをある程度極めた、ピアノを弾くテクニックの難易度が理解できる人だけが、このバドの即興演奏の凄さを体感できる。一般の人にとっては、フレーズはあんまりメロディアスではないし、変にマイナーに転調するし、一言で言って「キャッチャー」なピアノ演奏では決してない。
よって、この冒頭の「Un Poco Loco」3連発を聴いて、何にも判らない、といって、もはや未来永劫、ジャズを理解することは出来ない、なんてことは決してない、と僕は思っている。
この「Un Poco Loco」3連発は、バドの即興演奏のバリエーションの展開の仕方がよくわかるのと、やはり、ピアノを弾く、というテクニックが並外れている、ということが良く判る、優れもののパフォーマンスである。ただし、即興演奏のバリエーションの展開の仕方、ピアノを弾くテクニックが並外れている、というのは一般の人には大変判りにくい代物である。
このアルバムの存在意義は、やはり「ビ・バップのピアノ・トリオの代表的演奏の良好なサンプルの一つ」をしっかりと記録していることだろう。ビ・バップ・ピアノの祖、バド・パウエルの良好なトリオ演奏のサンプルを確認したければ、この盤を聴けば良い。そういう意味で、この盤は貴重である。しかし、ブルーノートのベスト100の「第9位」という順位については疑問が残る。
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