「バップ・ピアノ」の不断の深化
1950年代から綿々と弾き継がれている「バップ・ピアノ」。70年以上も弾き継がれているので、もう発展性は無いのかと、思いきや、21世紀に入っても、不断の「深化」を続けている。そんな不断の「深化」の一翼をになっているピアノ・トリオが「ビル・チャーラップ・トリオ」。このトリオの新ライヴ盤がリリースされている。
Bill Charlap Trio『And Then Again』(写真左)。2023年9月9日、NYの「The Village Vanguard」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Bill Charlap (p), Peter Washington (b), Kenny Washington (ds)。現代のバップ・ピアノの名手、ビル・チャーラップのレギュラー・トリオのライヴ録音。
チャーラップ・トリオのホーム・グラウンドである、ニューヨークのヴィレッジ・バンガード(ヴィレバガ)でのライヴ録音。チャーラップ・トリオは、ヴィレバガでのライヴ録音盤を多く残していて、それぞれの盤の内容にハズレが無い。この新作ライヴ盤もヴィレバガでのライヴなので、聴く前から期待満々である。
選曲はスタンダード曲がメイン。正攻法なアレンジで、気持ちよく、有名スタンダード曲中心に弾き進めていく。さすがに、長年連れ添ったレギュラー・トリオの3人、息のピッタリ合った、適度にリラックスしたホットなパフォーマンスが「ニクい」。まず破綻がない。オーソドックスな演奏なのだが、結構、小粋なやり取りをしている。
チャーラップのバップ・ピアノの見事さは「通常運転」。ピーターとケニーの「ワシントン」リズム隊は、表現力&テクニック上々、上質でオーソドックスなリズム&ビートを供給する。
従来からのバップなピアノ・トリオなんだが、まず、チャーラップのピアノのセンスが良い。旧来からのバップ・ピアノだが、紡ぎ出されるフレーズは、様々な工夫と変化があって、現代のバップ・ピアノとして、要所要所で、新しい響きが聴けるのは素晴らしい。バップ・ピアノもまだまだ「伸びしろ」があるんやなあ、と至極感心である。
ピーターとケニーの「ワシントン」リズム隊については、僕の大のお気に入りのリズム隊の一つで、オーソドックスな演奏なんだが、要所要所で、小粋な弾き回しと、阿吽の呼吸のインタープレイが見事で、今までに無い、堅実なリズム隊のリズム&ビートを聴かせてくれる。そして、チャーラップのバップ・ピアノに対して、ガッチリとタイミングばっちりのサポートが清々しい。
冒頭、ケニー・バロン「And Then Again」のバイタルなインタープレイに始まり、オーソドックスだが小粋なアレンジが見事にハマった、有名スタンダード曲「All The Things You Are」、続く「‘Round Midnight」など、現代で最高の「バップ・ピアノ・トリオ」の名演ライヴを追体験することが出来る好盤である。
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