2022年7月13日 (水曜日)

チェットにとって超異色な作品

男性ジャズ・ボーカルについては、一に「フランク・シナトラ」、二に「チェット・ベイカー」、そして、三に「メル・トーメ」。この3人がずっとお気に入りである。シナトラは小学校の時代からラジオで聴き親しんでいたので「別格」なのだが、チェット・ベーカーは、ジャズを聴き初めてから、最初に好きになった男性ボーカリストである。

チェットの人生は「破天荒」そのもので、若かりし頃は天才プレイヤーで、ルックスも良く、女にモテモテだったチェット。しかし、麻薬と縁が切れなかった為、その麻薬癖がどんどん深刻になってゆき、1960年代から徐々に、チェットは第一線から消えていった。そして、1970年、マフィアから、トランペッターの命でもある「前歯」を抜かれるという仕置きをされるに至り、休業に至る。

しかし、 1974年に、ミュージシャン仲間や関係者の尽力により復活を果たし、シワシワのおじいちゃんとなってしまったチェットではあるが、そのシワと引き替えに、チェットは、演奏家としての「円熟味」を手に入れた。そして、フュージョン・ジャズにも進出し、CTIレーベルから、名盤『She Was Too Good To Me(邦題:枯葉)』をものにしている。

Chet Baker『You Can't Go Home Again』(写真左)。1977年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Chet Baker (tp), Hubert Laws (fl, piccolo), Paul Desmond (as), Michael Brecker (ts), John Campo (bassoon), Don Sebesky (arr, el-p), Kenny Barron (el-p), Richie Beirach (el-p, clavinet), John Scofield (g), Gene Bertoncini (ac-g), Ron Carter (b), Alphonso Johnson (el-b), Tony Williams (ds), Ralph MacDonald (perc), ここにストリングスが加わる。
 

Chet-bakeryou-cant-go-home-again

 
何だか、錚々たるメンバーである。パーソネルを見渡すと、この盤、フュージョン・ジャズ志向の盤ということが推察される。そして、冒頭の「Love for Sale」と、2曲目の「Un Poco Loco」(LP時代のA面)を聴くと、思わず「仰け反る」(笑)。「ど」が付くほどのジャズ・ファンクのビートにのって、スタンダードの名曲が演奏されるのだ。実にシュールな響きだが、意外とまとまっているのだからジャズは面白い。

こういうジャズ・ファンクが基調の演奏の中で、トニー・ウィリアムスのドラムは大暴れ。マイケルBもジョンスコの「イケイケ」のブロウ。そんな中、当のリーダーのチェットのトランペットは、悠然とした、リリカルで流麗な「チェット節」溢れるブロウを吹きまくるのだから、何が何だか判らない(笑)。それでも、チェットのリリカルなトランペットだけが前面に浮き出てくるのだからジャズは面白い。

しかし、後半(LP時代のB面)の「You Can't Go Home Again」〜「El Morro」はジャズ・ファンクはどこかへ雲散霧消、リリカルそのもの、コンテンポラリーな純ジャズ志向のフュージョンで迫ってくる。この後半の2曲は聴き応えがある。「El Morro」は、スパニッシュ志向の「哀愁旋律」路線であるが、チェットのリリカルなトランペットが実に良く映える。マイケル・ブレッカーのテナーも良好。

CDリイシュー時、なんと16曲が追加されて全20曲の重厚な内容になっているが、LP時代は前半の4曲のみ。この4曲のみが良くて、A面は良い意味で「ハチャメチャな」ジャズ・ファンク、B面は「リリカルな」純ジャズ志向のフュージョン・ジャズ。この対比が面白くて、LP時代は何度かジャズ喫茶で耳にした。とにかく,この盤は、チェットにとって超異色な作品。でも、フュージョン者の方々なら、意外と楽しく聴ける「小粋な好盤」だと思います。
 
 

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2020年12月 6日 (日曜日)

聴き心地満点「ベーカーの休日」

ウエストコースト(米国西海岸)ジャズは「聴かせる」ことに重きを置いているように思える。優秀なアレンジ然り。テーマ部の魅力的なユニゾン&ハーモニー然り。流麗なアドリブ・フレーズ然り。東海岸ジャズの「飛び散る汗と煙」のイメージ、手に汗握る、テンションの高いアドリブとは全く正反対の演奏アプローチ。

Chet Baker『Baker's Holiday』(写真左)。1965年5月、なんとNYでの録音。ちなみにパーソネルは、Chet Baker (flh, vo), Leon Cohen, Henry Freeman, Wilford Holcombe, Seldon Powell, Alan Ross (reeds), Hank Jones (p), Everett Barksdale (g), Richard Davis (b), Connie Kay (ds), Jimmy Mundy (arr)。リーダーのチェット・ベイカーはここではフリューゲルホーンを吹いている。

ソニー・クリス盤の時にもコメントしたが、1965年の録音なので、ジャズの世界では西海岸ジャズ、東海岸ジャズの区別が無くなって、西海岸ジャズ出身のチェット・ベイカーが、東海岸のNYに出向いての録音になったのだろう。但し、演奏のテイストは「西海岸ジャズ」。優れたアレンジで「楽しく聴かせる」ジャズを表現しているところは見事だ。
 
 
Bakers-holiday-1965
 
 
まず、フロントのリード楽器5人でビッグバンドをイメージした、分厚い重厚なアンサンブルを実現している。一聴すると「ビッグバンドがバックかな」と思うのだが、切れ味良くブリリアントな金管楽器の音が薄い。逆に金管楽器の音が薄いので、バックの演奏が柔らく響いて、チェットのボーカルがしっかりと浮かび上がる。アレンジの勝利だろう。

金管楽器はチェットのフリューゲルホーン1本。このチェットのフリューゲルホーンが上手い。ボーカルの上手さは以前から定評があるのだが、チェットはトランペット&フリューゲルホーンを吹かせても上手い。音がしっかりと太く流麗で、切れ味良くブリリアント。速いテクニカルなフレーズは滅多に吹かないが、しっかりと1音1音を丁寧に押さえた、暖かで柔軟なフレーズが実に心地良く耳に響く。

ギターを加えたピアノ・トリオの「リズム隊」も良い伴奏を提供していて、とりわけチェットのボーカルを引き立てていて立派。さすが伴奏上手のハンク・ジョーンズのピアノである。聴かせる「西海岸ジャズ」の雰囲気全開のスタンダード集。リラックスして聴けるジャズ。要所要所でチェットのボーカルがキラリと輝き、要所要所でチェットのフリューゲルホーンがブリリアントに響く。味のある小粋なジャズ盤です。
 
 
 

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2020年10月12日 (月曜日)

掘り出し物のビッグバンド盤 『Chet Baker Big Band』

最近のジャズ盤リサーチはネット・サーフィン中心。特に音楽のサブスク・サイトを定期的に巡回している。意外と最近、リイシュー盤が結構アップされていて、LPやCDの時代にはお目にかかったことの無い「隠れ好盤」が、ヒョコッとアップされていたりする。改めて、ジャズ盤の「裾野」は広いなあ、と感心する。

『Chet Baker Big Band』(写真左)。1956年10月18, 19, 26日の3回に分かれて録音されている。ちなみにパーソネルは以下の通り。

【1956年10月18, 19日の録音】
Chet Baker (tp), Bob Burgess (tb), Fred Waters (as), Phil Urso (as, ts, bs), Bob Graf (ts), Bill Hood (bs), Bobby Timmons (p), Jimmy Bond (b), Peter Littman (ds, 10/18 only), James McKean (ds, 10/19 only)。

【1956年10月26日の録音】
Chet Baker, Conte Candoli, Norman Faye (tp), Frank Rosolino (tb), Art Pepper, Bud Shank (as), Bill Perkins, Phil Urso (ts), Bobby Timmons (p), Jimmy Bond (b), Lawrence Marable (ds)。

この盤、実はあまり期待せずに「チェット・ベイカーがビッグバンドを主宰することあったんや」という興味だけでこの盤を聴き始めた。冒頭の「Tenderly」を聴き始めて「あれっ」と思った。
 
 
Chet-baker-big-band  
 
 
一通り聴き終えて、もう一度、頭から聴き直す。リーダーのチェットのトランペットも良い音出してるのだが、ビッグバンドを構成するメンバーそれぞれが実に良い音出している。3度聴き直して、パーソネルを調査する。それが上記のパーソネル。米国西海岸ジャズの一流どころがズラリ。

続く「Mythe」。ビッグバンドの音が少し変わる。良い演奏なんだが、冒頭の「Tenderly」に比べると、ちょっとレベルが落ちるというか、何かが足らない感じがする。でも、水準以上の良い演奏なんですよ。そして、聴き進めて、7曲目「Darn That Dream」で、また、覇気溢れる、良い音するビッグバンド演奏が戻ってくる。

全10曲聴き終えて、パーソネルを確認して、1曲目「A Foggy Day」、7曲目「Darn That Dream」、そして、10曲目の「Tenderly」の3曲が、米国西海岸ジャズの一流どころがズラリ集まったスペシャルなビッグバンド。チェット・ベイカーのトランペットが素晴らしく良い音で響きます。

残りの7曲も悪く無いですよ。水準以上のビッグバンド・サウンドで、その中でチェット・ベイカーのトランペットが映えに映えます。こんな盤があったなんて。このビッグバンドを録音した経緯なんかも判ったら楽しいでしょうね。掘り出し物の好盤です。
 
 
 

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2019年1月18日 (金曜日)

西海岸のビッグバンドな好盤

米国西海岸ジャズの特徴のひとつは「優れたアレンジ」。ジャズを鑑賞音楽として捉えて、勢い任せの一過性の即興演奏では無く、しっかりとアレンジを施して、良質の鑑賞音楽としてのジャズを世に供給する。これが、1950年代、米国西海岸ジャズの大きな特徴である。事実、優れたアレンジが施された好盤が米国西海岸ジャズには沢山ある。

『Theme Music from "The James Dean Story"』(写真)。「Featuring Chet Baker & Bud Shank」がサブ・タイトルに付く。1956年11月8日の録音。ちなみにパーソネルは、Chet Baker (tp), Bud Shank (as, fl), Don Fagerquist, Ray Linn (tp), Milt Bernhart (tb), Charlie Mariano, Richie Steward (as), Bill Holman, Richie Kamuca (ts), Pepper Adams (bs), Claude Williamson (p), Monty Budwig (b), Mel Lewis (ds), Mike Pacheco (bongos)。

チェットのトランペットとシャンクのアルトの2管をメインに、トランペットとテナーとアルトが2本ずつ、トロンボーン、バリサクが1本ずつ。バックにピアノ・トリオがリズムセクションに就く。総勢13名の小ぶりなビッグ・バンド構成。この13名が、米国西海岸ジャズの最大の特徴の1つである優れたアレンジを施して、ディーンの伝記映画に使用された音楽をお洒落なジャズに仕立て上げたもの。
 

Theme_music_from_the_james_dean_sto

 
まず、フィーチャリングされている、チェットのトランペットとシャンクのアルト・サックスがさすがに素晴らしい。優れたアレンジに乗って、流麗かつ力感溢れるクリアな音で即興演奏を繰り広げている。とにかく上手い。結構、難しいアドリブ展開をしているんだが、事も無げに流麗に吹き上げていくので聴き易いことこの上無い。良い意味で、耳に優しい、耳当たりの良いジャズである。

バックに耳を向けると、クロード・ウィリアムソンの哀愁感漂うピアノが印象的。ジェームス・ディーンは1955年9月30日に亡くなっているので、この盤の録音時には、まだまだディーンに対する追悼の意が強くあったと思うが、この盤でのウィリアムソンのピアノには哀愁が強く漂う。これが意外とジャジーで良い雰囲気なのだ。

そして、バックの管のアンサンブルの中で、突出した音を奏でるペッパー・アダムスのバリサク。このブリッゴリッとしたバリサクの音は、流麗なチェットのトランペットとシャンクのアルトとは全く正反対の音で、この音の対比が優れたアレンジと合わせて相乗効果を生んで、演奏全体のジャズ感を増幅している。優れたアレンジと合わせて、米国西海岸ジャズでのビッグバンドの好盤としてお勧めの一枚です。
 
 
 
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2012年4月 5日 (木曜日)

春爛漫の季節にチェットの歌声

ユッタリとリラックス出来るジャズ・ボーカルを流しながら、うたた寝をするも良し、ユッタリとした気持ちで本を読みふけるも良し、この「春爛漫」な季節って、何故か、オーソドックスなジャズ・ボーカルがピッタリとフィットするんやな〜。

ということで、「春爛漫な季節はジャズ・ボーカル」のお話しの第2弾。春のうららかで長閑な暖かな気候にピッタリの男性ボーカルと言われて、真っ先に浮かぶのが、チェット・ベーカー(Chet baker)。

米国西海岸ジャズの人気トランペッターであり、裏の顔は「筋金入りのジャンキー」。そんな破天荒なトランペッターは米国西海岸ジャズを代表するボーカリストでもある。

そんなチェット・ベーカーのボーカル・アルバムの中で、今日、選んだアルバムは『Chet Baker Sings and Plays』(写真左)。1955年2〜3月の録音。

ちなみにパーソネルは、Chet Baker (vo, tp), Red Mitchell, Carson Smith (b), Corky Hale (harp), Edgar Lustgarten, Kurt Reher, Eleanor Slatkin, Ray Kramer (cello), Bud Shank (fl), Russ Freeman (p), Bob Neel (ds)。当時の米国西海岸ジャズの一流どころのミュージシャンがズラリと並ぶ。

チェットのボーカルは「中性的」。男性ボーカルでありながら、力強さや豪快さは微塵も無い。柔らかで丸くて滑らか。「アンニュイ」という形容がピッタリの「気怠さ」。でもただの「気怠さ」では無い。変な形容なんだが、チェットのアンニュイで中性的なボーカルの背後に、男性ボーカルならではの「力強さ」が漂っているのだ。
 

Chet_sings_plays

 
気怠い雰囲気のボーカルだけど、一本筋が通っているというか、頼りなさげではあるが芯はシッカリしている、という感じが、僕にとっては実に魅力的である。ボーカル・テクニックも水準以上であり、聴いていて疲れない、実に良い雰囲気の男性ボーカルである。

担当楽器のトランペットもなかなかに優秀。オープン・ホーンのマイルスの音色に似た、円やかで滑らかなブロウ。間奏部分のワンフレーズ程度のブロウなんだが、これがなかなかに良い雰囲気なのだ。しかも面白いのは、チェットのトランペットは、ボーカルと同じ響きがする。アンニュイなトランペットの響きは、チェット・ベイカーの無二の個性である。

加えて、チェットのボーカル、は「甘すぎ」で「泣き泣き」なんだが、どうしてなんだか、不思議と飽きが来なくて、何度も繰り返し聴いても平気。チェットのボーカル・アルバムは、知らず知らずのうちにヘビロテになっている(笑)。この『Chet Baker Sings and Plays』も例外では無い。事実、この『Chet Baker Sings and Plays』は今日のヘビロテ・アルバムになっていた(笑)。

全編通して38分弱で、ちょっとアルバムとしては短いかなあとは思うんだが、選曲が良く、アレンジが良い為、アルバム全体で統一感があって飽きが来ない。しかも、チェットのボーカルはなぜか飽きが来ない性質をしているので、2〜3回繰り返し聴いても気にならない。実に不思議なボーカルではある。

『Chet Baker Sings and Plays』において感じられる「微妙な翳り」。ちょっと緩くて、時折、音程が心許なくなる様な、アンニュイなチェットのボーカルによって、陽光降り注ぐ様に健康的な米国西海岸系ピアノ・トリオのアンサンブルに微妙な陰りが生じる。

この「微妙な翳り」が、春の「物憂さ」、春の「寂寞感」、そして春の「隠れた狂気」を感じさせてくれる。春爛漫の季節にチェットのボーカルは、ちょっと危うい。その「儚い危うさ」がチェットのボーカルの魅力なのだ。

この『Chet Baker Sings and Plays』は、チェット・ベイカー入門に最適な一枚だと思う。
 
 
 
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2010年1月22日 (金曜日)

チェット・ベーカーのリリシズム

えらい暖かくなったと思ったら、またまた真冬の気温に逆戻り。これだけ寒暖の差が激しいと、体がもたない。こういう時は、出来る限り平穏に過ごさねばならない。無理をすると、体調を崩すのは目に見えている。用心用心。

さて、平穏に過ごす、ということで、今日のお気に入りは、Chet Baker(チェット・ベーカー)の『Peace』(写真左)である。

1982年2月の録音。パーソネルは、Chet Baker (tp) David Friedman (vib, mar) Buster Williams (b) Joe Chambers (ds)。ヴァイヴのデビッド・フリードマンの参加が目を惹く。バスター・ウイリアムスのベース、ジョー・チェンバースのドラムというリズム・セクションも、当時、若手実力派。ピアノレスというところもこのアルバムの特色。

このアルバムは、バスター・ウイリアムスのベース、ジョー・チェンバースのドラムという、当時、若手実力派のリズム・セクションをバックに、デビッド・フリードマンの、そこはかとなく躍動感のある、知的でリリカルなヴァイヴに触発された、チェットのペットのリリシズムを心ゆくまで堪能できる佳作である。

収録曲を眺めると、実に渋い面持ちのホレス・シルヴァーの「ピース」と、他の5曲は、デビッド・フリードマンのオリジナル。曲の構成から見ると、デビッド・フリードマンのリーダー作か? と思ってしまうのですが、このアルバムは、チェットのアルバムです。
 
 
Chet_baker_peace
 
 
それが証拠に、デビッド・フリードマンがやりたい放題にガンガンにヴァイヴを弾きまくるのですが、そんなフリードマンのヴァイヴに対して、チェットのペットは、フリードマンのヴァイヴを包むように、ピッタリと寄り添うように、淡々とした枯れた味わいをしっかりと含みつつ、「リリシズム溢れる」フレーズを紡いで行きます。チェットのペットがあってこそ、フリードマンのヴァイヴが惹き立つ、という、さすが、老練な百戦錬磨なチェットのペットです。

1970年代、カムバック後、シワシワの「おじいちゃん」となってしまったチェット。そのシワと引き替えに、チェットは、演奏家としての「円熟味」を手に入れた訳ですが、チェットは、このアルバムでは、その「円熟味」の中から「リリシズム」を大放出しています。

このアルバムの収録曲全曲で、チェットのペットとフリードマンのヴァイヴのリリシズム溢れるパフォーマンスを聴くことができます。「リリシズム=抒情性(じょじょうせい)」って判りにくい表現なんですが、このアルバムでのチェットのペットとフリードマンのヴァイヴは、まさに「リリシズム」溢れる演奏だと言えます。

ああ、なんて平穏で優しくて、流れるようなペットの音なんだろう。そこに、これまた、ちょっとホットで流れるようなヴァイヴの音が交わる。熱気溢れる、ダイナミックなジャズも良いが、今回の様なアーティスティックでリリカルなジャズもこれまた良い。今日はこのアルバムのお陰で心は穏やか。でも、外は真冬の寒さである・・・。
 
 
 
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2010年1月19日 (火曜日)

チェット&ペッパー若かりし頃 『Picture of Heath』=『Playboys』

米国西海岸ジャズは、東海岸とは全く違った味わいがある。クールでスマート、端正、良く練られたアレンジ。この3つが、西海岸ジャズの特徴と言えるだろう。

東海岸の様な熱気溢れる、エモーショナルな演奏とは正反対の「クールでスマート」な演奏。東海岸の一発勝負的なジャム・セッション風では無い「リハーサルを積んだ端正」な演奏。職人芸的な「あうん」の呼吸一発のユニゾン&ハーモニーでは無い「良く練られたアレンジ」。西海岸ジャズは、東海岸とは正反対のジャズの雰囲気である。

そんな米国西海岸ジャズは、昔からどうも日本では分が悪い。クールでスマート、端正、良く練られたアレンジなんて特徴は「日本人好み」ではないかと思うのだが、どうも品行方正、優等生的なところが、どうも駄目らしい。日本では、ジャズはちょっと不良チックな音楽、という偏った見方をされることが多いので、品行方正、優等生的なんてことは許されないんだろう。

でも、そんな評価の米国西海岸ジャズも、CDの時代になってから続々と再発されるようになり、最近では、西海岸ジャズの基本的なアルバムは殆ど再発されていて、コレクションに事欠かなくなった。西海岸ジャズって、これはこれで良いもんです。

昔から良く聴くアルバムで『Picture of Heath』(写真左)というアルバムがある。1956年10月の録音。パーソネルは、Chet Baker (tp) Art Pepper (as) Phil Urso (ts) Carl Perkins (p) Curtis Counce (b) Lawrence Marable (ds)。Chet Baker (tp) と Art Pepper (as)、米国西海岸ジャズの両雄の「若かりし頃」の録音である。
 
 
Picture_of_heath
 
 
1970年代、カムバック後、シワシワのおじいちゃんとなってしまったチェットではあるが、そのシワと引き替えに、チェットは、演奏家としての「円熟味」を手に入れた。でも、1950年代の若かりし頃は、それはそれは、絵に描いたような「美男子トランペッター」で、女性ファンをブイブイ言わせていた。

この『Picture of Heath』の演奏を聴いて判るように、チェットのペットは溌剌として、テクニックも素晴らしく、ガッツのある、歌心の溢れるフレーズを連発している。なるほど、東海岸のマイルスと双璧の、西海岸のトランペットの雄であった、ということが本当に良く判る。これで端正な顔立ちなんだから、そりゃ〜女の子にはもてただろうなあ。ただし、ジャンキーであったことが誠に残念ではある。

ペッパーも同じ。この『Picture of Heath』での、ペッパーは好調にアルトを吹き鳴らしており、テクニックはもとより、流麗ではあるが、しっかりと芯のある、程良くマイルドで味わい深いアルトは聴きものである。ペッパーもチェットに負けず劣らず、端正な顔立ちで、女の子にはモテモテだったそうだ。しかし、ペッパーもまた、チェットに負けず劣らず、ジャンキーであったことが誠に残念ではある。

ちなみに、チェットもペッパーも麻薬に溺れて、西海岸ジャズの第一線からの撤退を余儀なくされました。ミュージシャンとして、一番良い時代を麻薬で棒に振ったところまで、この2人はそっくりです。まったく困ったもんです(笑)。

この『Picture of Heath』は、米国西海岸ジャズの良いところを一枚のアルバムに凝縮して伝えてくれる良いアルバムです。ちなみにこれ、昔は、LPのA面、B面を入れ替えて『Playboys』(写真右)というアルバム名で発売されていました。

ちなみに僕は、こちらの『Playboys』の方が馴染みがあります。ジャケット写真も『Playboys』の方が秀逸でしょ(笑)。『Playboys』ジャケのCDも是非とも手に入れたいのですが、日本でも米国でも廃盤みたいで至極残念です(笑)。 
 
 
 
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2009年8月 9日 (日曜日)

暑い夏の昼下がりに「ドラムレス」

昨日から夏休みに入った会社も多いのではないでしょうか。メーカーの方々などは、昨日から来週の日曜日まで、会社挙げての夏期休暇のところが多いんでしょうね。私の本業は基本的にサービス業なので、まとまった夏休みはありません。暑い夏に、まとまった夏休みは羨ましいですね。

さて、今年の夏は激しく蒸し暑い。スカッとした夏の青空が広がる訳でも無く、雲が多く、急に夕立が来たりで、天候不順な夏でもあって、蒸し暑いやら、天気もスカッとしないやら、なんだかストレスの多い今年の夏です。蒸し暑さについては、個人的にかなり苦手で、夏は好きなんですが、蒸し暑さには「からきし弱い」。今年のような厳しい蒸し暑さは体に堪えます。

特に、これだけ厳しい蒸し暑さの夏は、ジャズの鑑賞にも影響が出てきます。とにかく、汗が飛び散るような激しく刺激的なジャズは、どうも蒸し暑い夏には合わないですよね。僕にとっては、激しいドラミングは、蒸し暑い夏には合わないです。蒸し暑い夏の昼下がりに、いくらエアコンの効いた部屋の中とはいえ、激しいドラミングはどうもいけない。シンプルな演奏で、しかもドラムレスの演奏にどうしても手が伸びます。

今日は、朝から激しく蒸し暑い。でも、昼下がりになるとジャズが聴きたくなる。ということで、今日は特別に「ドラムレス」のアルバムをチョイスする。今回は、Chet Baker(チェット・ベイカー)の『Mr. B』(写真左)。パーソネルは、Chet Baker (tp) Michel Graillier (p) Ricardo Del Fra (b)。1983年5月、オランダでの録音である。
 
 
Mr_b
 
 
1973年、麻薬禍からカムバック。カムバック後は、シワシワになったのと引き換えに、別人のようにシンプルにメロディアスに、気持ち良く吹きまくるようになったチェット。そんな、ちょっと柔らかで優しいトーン、流れるようにメロディアスなチェットのペットは、ドラムレス編成の下が「良く映える」。

このアルバムの選曲がなかなか小粋で、よくある企画モノの、誰もが選ぶようなスタンダード曲ではなく、ハービー・ハンコックやチャーリー・ヘイデンなどの楽曲をチョイスした、なかなかに特徴ある1枚となっている。例えば、タイトル曲などは、ハル・ギャルパーがチェットのために書き上げた1曲。ありきたりの企画モノで無いところが、このアルバムの魅力である。

ドラムレス編成の変則トリオ。ドラムレスが故に、柔らかで優しくメロディアスなチェットのペットが実に映える。朗々とソフトに吹き上げていくチェットのペット。冒頭のハービーの名曲「Dolphin Dance」なんて、思わず、しみじみと聴き惚れてしまう。優しいチェットのペットが曲が進むにつれ、しみじみと心に染みて、暑さによりストレスが徐々に解き放たれていく。

晩年にさしかかったチェットのペットも、想像していたより「しっかり」していて、想定外の嬉しさがこみ上げてくる。バックのピアノとベースも大健闘。この『Mr. B』は、意外な隠れ名盤だと思います。蒸し暑い夏にピッタリの「ドラムレス」変則トリオ。エアコンの効いた夏の昼下がりの部屋では、優しいトランペットの音が実に心地良いです。
 
 
 
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2009年8月 1日 (土曜日)

年齢を重ねることによる円熟味

この2日間、いろいろバタバタすることがあってブログは臨時休業に・・・。まあ、事前告知無しの夏休みみたいな塩梅となってしまいました。いや〜まことに面目ない m(_ _)m。

他の音楽ジャンルに比べて、ジャズという音楽は、なぜだか良く判らないが、年齢を重ねることにより円熟味が顕著に出る傾向にある。若い時代は「テクニック」と「勢い」と「野心」にまかせて演奏することが多い。逆に、歳をとると「間の取り方」「余裕のある展開」「塩梅の良い感情移入」等々、若い時代には無かった、年齢を重ねることによる「経験の多さ」から来る、「味」とか「粋」とかの音のニュアンスを表現出来るようになるからだろう。

その「年齢を重ねることにより円熟味」を十分に感じることが出来るアルバムの一枚が、チェット・ベイカー(Chet Baker)の『My Favourite Songs - The Last Great Concert』(写真左)である。

若かりし頃は天才プレイヤーで、ルックスも良く、女にモテモテだったチェット。とにかく、上手かったし、アドリブのフレーズも天才的。しかし、麻薬と縁が切れなかった為、録音によって好不調のバラツキがあり、最高の演奏をコンスタントに残すことは出来なかった。

しかも、その麻薬癖がどんどん深刻になってゆき、1960年代から徐々に、チェットは第一線から消えていった。そして、1970年、マフィアから、トランペッターの命でもある「前歯」を抜かれるという仕置きをされるに至り、休業に至る。

しかし、 1974年に、ミュージシャン仲間や関係者の尽力により復活を果たし、1970年代半ばより、活動拠点を主にヨーロッパに移した。時に年齢は45歳を数え、この復活後のアルバムから、チェットは、ミュージシャンとしての「円熟味」を手に入れる。その最初の成果が『She Was Too Good To Me(邦題:枯葉)』である。それ以降のアルバムでの、チェットのペットは、その円熟味を強く感じることが出来る、実に「味」のある、小粋な演奏が魅力となった。
 
 
The_last_great_concert
 
 
そのチェットのキャリアの最後を飾るライブ・アルバムが『My Favourite Songs - The Last Great Concert』(写真左)である。1988年4月28日、ドイツのライブハウス「Funkhaus」でのライブ録音盤。ちなみにパーソネルは、Chet Baker (tp, vo), Herb Geller (as), Walter Norris (p), John Schroder (g), Lucas Lindholm (b), Aage Tanggaard (ds)。

ストリングスをバックにした叙情的な演奏あり、適度なテンションの中、実に息のあったインプロビゼーションを聴かせるコンボ演奏あり、ビッグバンドをバックにしたゴージャスかつ迫力ある演奏あり、と演奏内容もバリエーション豊か。実に、内容充実のラスト・コンサートである。

とにかく、チェットの円熟味溢れるトランペットが素晴らしい。いつもながらに朗々と唄いながら、陰影、明暗、強弱、硬軟などを、演奏の中に、実に効果的に織り交ぜていく。実に味わい深いチェットのペットは、何時聴いても、実に「心地良い」ものがある。

テクニックについては、当然、若かりし頃の天才的テクニックには及ばない。でも、さすがに年齢の割になかなかのものを聴かせてくれる。ここでのチェットはテクニックと勢いで勝負する年齢のトランペッターでは無い。このアルバムでは、チェットのミュージシャンとしての円熟味を楽しむアルバムだと僕は思う。実に味わい深いチェットのペットである。

ジャケット写真を見ると、美男子だった若かりし頃とは似ても似つかぬ、シワシワのおじいちゃんとなってしまったチェットではあるが、そのシワと引き替えに、チェットは、演奏家としての「円熟味」を得たんだと思う。1988年当時、チェットは59歳。このシワシワのおじいちゃんの面影を「老醜」とみるか「人生の年輪」とみるかであるが、このアルバムの演奏内容を鑑みると、やはり「人生の年輪」と見るべきだろう。
 
 
 
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2009年3月13日 (金曜日)

聴いてみて「あら、ビックリ」

ジャズのアルバムの裾野は広い。ジャズのアルバム紹介本に推薦されているアルバムだけが、ジャズの世界で、優れたアルバムかと言えば、絶対にそうではない。逆に、ジャズのアルバム紹介本に推薦されているアルバムをコレクションするだけで満足するなんて、いわゆる「木を見て森を見ず」というか、「井の中の蛙、大海を知らず」を地でいくようなもの(微笑)。

ジャズのアルバム探索ほど、楽しいものは無い。昔はレコード屋に入って、小一時間くらい、箱を漁って、欲しいレコードをマークして、その中から、予算の範囲内で購入。当時は、スイングジャーナルなどの雑誌のレビューを見て、当たりを付けて、欲しいアルバムを見つけては、その枚数の多さを恨み、なにか基準を見つけて、エイヤッで予算の範囲内の枚数(2〜3枚程度だけれど)を購入する。

そして、そのアルバムを聴いては、「やった〜正解や〜」と思ったり、「あかん、これは判らん、あかん」と思ったり。そして、気に入ったアルバムは「とことん聴き込む」。これが楽しくてたまらない。

今回、そんな楽しさを思い出させてくれたアルバムが、 Chet Baker『Strollin'』(写真左)。エンヤに残したチェット・ベイカーのオリジナル作品の中でも特に人気の高い、1985年に行われたミュンスター・ジャズ・フェスティバルにて実況録音されたドラムレスのトランペット・トリオ編成による素晴らしいライブアルバム。
 
 
Chet_strollin
 
 
僕は、つい最近まで、このアルバムの存在を知らなかった。というか、チェット・ベイカー自体があまり好きじゃなかった、というか聴かず嫌いだった。特に、後年というか晩年というか、1970年代〜1980年代のアルバムは、どうせたいしたことは無い、と完全に聴かず嫌いを地でいっていた。今から思えば、実に恥ずかしい。聴いてみて「あら、ビックリ」の優秀盤である。

チェットのトランペットとフィリップ・カテリーンのギター、ジャン・ルイ・ラシンフォッセのベースという、ドラムレス・トリオ。シワシワになったのと引き換えに、別人のように、味のある、情緒溢れる、実に小粋なトランペットを吹きまくるようになったチェット。このアルバムでも、チェットのペットは実に良い。

そして、フィリップ・カテリーンのギターが素晴らしい。というか、初めて聴いた時、「誰や〜、このギターは」と思わずビビッた。そして、チェットのペットとカテリーンのギターのインプロビゼーションを支えるのが、ラシンフォッセのベース。このベースが凄く効いている。このベースがあって、チェットとカテリーンは味のある、情緒溢れる、自由奔放なインプロビゼーションを繰り広げることができるのだ。

チェットが謎の転落により死去する3年前の素晴らしいライブ・アルバム。これだけの演奏が出来るミュージシャンが、3年後にホテルの窓から転落して死亡するなんて、誰が想像しただろう。でも、このアルバムは白眉。このアルバムが残っているだけでも、僕たちは幸せだ。
 
 
 

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