ハッピー・スイングなライヴ盤
ニューヨークはグリニッチ・ヴィレッジのジャズクラブ「Smalls Jazz Club」は、お馴染みの大御所から若手有望株まで、様々なミュージシャンが、夜毎ホットで多彩な演奏を繰り広げている、現代の名門ジャズ・クラブ。
2005年の再オープン後、2007年、ジャズ・ピアニストのスパイク・ウィルナーが音楽監督を務め、同クラブでのライヴ音源をアーカイブ化~CDリリースするために「Smalls Live」レーベルを設立、この「Smalls Jazz Club」でのライヴ音源を次々にリリースしている。
Harold Mabern『Live at Smalls』(写真左)。2012年6月22–23日、NYの「Smalls Jazz Club」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Harold Mabern (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。多弁でR&B志向の「現代のファンキー・ピアニスト」のレジェンド、ハロルド・メイバーンのピアノ・トリオでのライヴ録音盤。
メイバーンのピアノは、ブルージーでゴスペルチックな和音の響きが特徴。その特徴を前提にバップなピアノをダイナミックに弾きこなす。米国ルーツ・ミュージックの響きがノスタルジックに響く。高速速弾きの演奏から、情感豊かなバラード演奏まで、幅広くバリバリと弾きこなす、高度なテクニシャンでもある。
メイバーンのピアノは、とにかく音数が多い。ブロックコードの応酬から、付帯音をあしらった、音数の多いテーマの装飾。バックのファンズワーズのドラミングは、「おかず多用」のファンキーなドラミング。
そして、音数の多いピアノとドラムが弾き進めるフレーズの「間」を埋める様な、ウェーバーのウォーキング・ベース。しかし、この音数の多さが、このトリオの演奏の、雰囲気良好な爽快感、疾走感につながるのだから、ジャズ演奏は面白い。
冒頭の「Alone Together」の導入部、最初の2分間のピアノ・ソロを聴けば、メイバーンのピアノの特徴が良く判る。手数の多い、装飾音の多い、それでいて、嫌味にならず耳障りにならない、高速バップなピアノ。
とにかく、メイバーンのピアノは「ご機嫌な」ピアノ。ゴスペルチックなハッピー・スインガー。そんなメイバーンのピアノがラストの「Afro Blue」まで、爽快感を振り撒いて疾走する。
特に5曲目「Boogie For Al McShann」から、続く「Sesame Street」(人気子供番組の曲で有名)の流れは聴きもの。ブギウギ調のピアノソロをガンガンに弾きまくり、「Sesame Street」をむっちゃ格好良い4ビート・ジャズに仕立て上げて、これまたガンガンに、ゴスペルチックでハッピー・スインギーなピアノで「キメまくる」。
良いライブ盤です。メイバーンは1936年3月生まれで、このライヴ演奏時は76歳。これだけの大ベテランの年齢なら、バップなフレーズにノスタルジックな雰囲気が漂いそうなものだが、このライヴ盤演奏では古さは全く感じない。
どころか、新しい響きに満ちている。アレンジが優れているのだろう。とにかく、メイバーンのライヴ・パフォーマンスは聴いていてとても楽しい。ハッピー・スインガーの面目躍如である。
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