シンタックスの最初の成果 『Sand』
アラン・ホールズワースのアルバムを聴いていると、ホールズワースって、クロスオーバー&フュージョンなジャズ・ギターの範疇だが、アレンジを聴いていると、プログレッシヴ・ロック濃厚なものも多々あって、さすが英国らしい、ジャズとロックの境界が曖昧な、英国独特のクロスオーバー&フュージョン・ジャズの個性をしっかり引き継いでいるなあ、と思うのだ。
Allan Holdsworth『Sand』(写真左)。1987年の作品。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g, SynthAxe), Alan Pasqua (key), Gary Husband (ds, tracks 1, 3), Chad Wackerman (ds tracks 4, 5, perc track 6), Jimmy Johnson (b, except track 6), Biff Vincent (b, track 6), John England (sound effects)。
ギター・シンセサイザー「シンタックス」に手を染めた最初のリーダー作『Atavachron』に続くアルバム。この盤、この「シンタックス」については、かなり使いこなした、効果的な弾き回しが印象的なアルバムに仕上がっている。さすが、ギターが基本のシンセである「シンタックス」。ばりばりギタリストのホールズワーズからすると、フレーズが作り易いのだろう、エレギの延長線上にあるシンセの「シンタックス」を効果的に弾き回している。
アルバム全体の雰囲気は、シンタックスを大々的に活用した、プログレッシヴ・ロック風のクロスオーバー・ジャズ。ロックというにはフレーズが複雑で、リズム&ビートはジャジー。音全体の作りは、間違いなく「ホールズワース」ワールドが展開されている。独特の捻れた変態エレギに、シンタックスの独特のシンセ・フレーズが拍車をかけて、「ホールズワース」ワールド濃厚になっている。
この辺りのホールズワースの音世界って、英国出身のジャズマンらしく、ロックとジャズの境界が曖昧で、プログレとエレ・ジャズが混じり合った、ホールズワース独特の音世界になっている。そんな独特の音世界を的確に表現するには「シンタックス」は必要不可欠な楽器だったのだろう。プログレとエレ・ジャズの融合。そして、そのプログレ・テイストの音を表現するホールズワースの「捻れ変態エレギ」と「捻れ変態シンタックス」。その最初の納得いく成果がこのアルバムだろう。
アルバム全体を覆う、どこかクールで落ち着いた雰囲気が、このアルバムの完成度を物語る。シンセ独特の音だけに囚われると、シンセはキーボード系のシンセで十分、となるのだが、ギタリスト独特の手癖とフレーズを反映したシンセの音は、キーボード系のシンセでは出せない。ホールズワースはギタリスト。ギタリストがシンセの響きを欲するなら「シンタックス」は必須の楽器。それを、この『Sand』は証明している様に感じている。
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