1970年の骨太なポスト・バップ
ジョン・コルトレーンの黄金のカルテットを支えたエルヴィン・ジョーンズが、1970年代の幕開けに提示したポリリズミックで豪快なポスト・バップの佳作。編成を見ると、当時の流行を感じるが、ピアニストをあえて入れず、フランク・フォスターとジョージ・コールマンの強力なサックス2本をフロント2管として、フロント管のインプロの自由度を広げている。
Elvin Jones『Coalition』(写真左)。1970年7月17日「Van Gelder, Englewood Cliffs, NJ」での録音。ブルーノートの4361番。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), George Coleman (ts), Frank Foster (ts, b-cl), Wilbur Little (b), Candido Camero (conga, tambourine)。
ピアノの和音に縛られないため、自由でスピリチュアルなインプロが展開される、とされた、当時のポスト・バップの演奏における「編成のトレンド」を感じて、思わず苦笑い。ピアノレスであれば良い、ということではないんだけどなあ(笑)。
エルヴィンは特定の固定バンドを模索している過渡期で、この盤は、チャレンジ、若しくは実験の雰囲気がある。タイトルの「Coalition(連携・合同)」による化学反応を期待したのかもしれない。カウント・ベイシー楽団などで活躍した、当時、ベテランのフランク・フォスターと、マイルス・デイヴィス・クインテット出身の若手中堅のジョージ・コールマン、二人の世代の違うサックス奏者をコラボさせている。
エルヴィンの「アンビデクストラス(両利き)」な超絶ドラミングに徹している。右手でシンバルのキープをしながら、左手・左足(ハイハットやタム)で全く別の複雑な3連符のアクセントを叩き出す、コルトレーン時代に培ったポリリズムが完全に独立・進化している。
ここにキャンディド・カメロのコンガが加わり、エルヴィンをリズムをキープする役目から解放する。エルヴィンは「ドラムセット全体を使って対話(メロディを叩く)する」ような、より自由で凄まじい手数を繰り出して、第3のフロント楽器として、フロント2管のフォスターとコールマンのテナーに絡みまくる。
このドラムがフロントの一部となって、他のフロント楽器と絡むところがユニーク。エルヴィンの超絶技巧なテクニックだからこそ、これが出来る。
そして、絡まれた2管フロントであるが、ジョージ・コールマンの「正確無比なテクニックと、都会的でキレのあるハードバップ・スタイル」と、フランク・フォスター:の「太くブルース感あふれるトーンで、アーシー(大地っぽさ)やスピリチュアルなアプローチ」との音のコントラスト、時に美しくハモり、時に激しくバトルする姿は興味深い。
が、ポスト・バップとしての、限りなく自由度の高いモード時々フリーという演奏内容としては、今一歩ということろか。エルヴィンの自由度の高いドラミングが参入しての、3つのフロント楽器の、限りなくフリーに近いモーダルなインタープレイについては、発展途上というところか。今一歩の成熟を期待する、チャレンジブルな内容であることは事実。1970年の骨太なポスト・バップの一枚。
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