サム・リヴァースのお蔵入り盤
1966年、ブルーノートはリバティ・レコードに買収されたが、大手レコード会社のリバティ・レコードの意向で、大衆受けする、聴き手のニーズに合わせたポップなジャズ盤をリリースする一方、ブルーノート設立当初からの「これは、と感じた、その時その時のジャズのトレンド、ジャズのスタイルを分け隔て無く記録に残す。そして、ジャズマンの演奏志向を良く理解し、それを最優先に録音する」姿勢は変えなかった。
Sam Rivers『Dimensions & Extensions』(写真左)。1967年3月17日の録音。ブルーノートの4261番。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts, ss, fl), Donald Byrd (tp), Julian Priester (tb), James Spaulding (as, fl), Cecil McBee (b), Steve Ellington (ds)。サム・リバースのサックス&フルート、ドナルド・バードのトランペット、ジュリアン・プリースターのトロンボーン、ジェームス・スポルディングのアルト・サックス&フルートの4管フロントのピアノレスのセクステット編成。
ブルーノートお得意の内容は優れているのに、なぜか録音当時は「お蔵入り」盤である。録音は1967年だが、リリースは1986年。オリジナルのカタログ番号と予定されていたカバーアートワークで発売されている。もともと1967年に発売が予定されていたが、1975年に発売が延期。アンドリュー・ヒルの指揮下で録音されたトラックと組み合わせた2枚組LPセット『インボリューション』(1976年、BN-LA 453-H2)に収録されているが、単独でのリリースは1986年。
内容的には、サム・リヴァースの得意とする「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズがメイン。それも、理路整然とした、カッチリまとまった「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズで、アブストラクトなところや、現代音楽的な無調な展開は全く無い。勿論、フレーズ的にもテクニック的にも「破綻」が無い。「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズの成熟形を聴く思いがする。それほどまでに、理路整然とした、カッチリまとまった内容に惚れ惚れする。
パーソネルを見渡すと、皆、「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズを得意とするメンバーだが、ハードバップ初期から第一線で活躍したベテランのドナルド・バードがトランペットで頑張っているのが、意外と言えば意外。それでも、聴いていると、キッチリとリヴァースの考える「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズに適応しているのだから立派である。
「コールマン流」から明らかに外れた音色と気質が、サム・リヴァースの「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズの個性。この録音がなぜ約10年もの間、お蔵入りになったのか、理解に苦しむのだが、大手リバティ・レコード傘下のブルーノートでは、売上に貢献しそうにない「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズは敬遠されたのかも知れない。しかし、内容は一級品。1960年代の「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズの代表盤として、いつまでも聴き継がれていくべき逸品である。
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