2023年9月14日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・265

この盤はジャズ者初心者の頃、バイト代を叩いて買った思い出の「名盤」。

当時、ブルーノートのLPは値が張った。他のレーベルでは「廉価盤」と銘打って、LPの通常の値段の千円ほど安い、手に入れやすい価格の盤があったのだが、ブルーノートにはそれが無い。

学生時代のバイト代では、ブルーノートのLPは1ヶ月に1枚がせいぜい。他のLPも買いたいので、これは「廉価盤」で数枚買う、という感じで、ブルーノートのLPは、ジャズ者初心者の僕にとっては、特別な存在だった。

Kenny Burrell『Midnight Blue』(写真左)。1963年1月8日の録音。ブルーノートの4123番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Stanley Turrentine (ts), Major Holley (b), Bill English (ds), Ray Barretto (conga)。

リーダーのバレルのギターとタレンタインのテナーがフロント2管の、コンガ入り、キーボードレスのクインテット編成。バレルのギターとタレンタインのテナーの相性が抜群で、2つの楽器の相乗効果で、漆黒ファンクネスがだだ漏れ。
 

Kenny-burrellmidnight-blue

 
ブルージーでアダルト・オリエンテッドなファンキー・ジャズ。バレルの漆黒ギターとタレンタインの漆黒テナーが、アーバンな夜の雰囲気を醸し出す。コンガが良いアクセントとなった小粋な曲もあって、アルバム全体を通して、大人のファンキー・ジャズをとことん楽しむ事が出来る名盤。

とにかく、バレルのギターが良い。ブルージーでファンクネス濃厚。そして、どこか洗練された都会的な雰囲気が底に流れている。タイトルの「Midnight」が言い得て妙。都会の深夜のブルージーで漆黒な雰囲気がアルバム全体を覆っているのだ。

この盤は理屈で、蘊蓄で聴く名盤では無い。この盤は雰囲気で、直感で聴くべき名盤である。

特に、CDリイシュー時のボートラ含め、1963年1月8日のセッションの全てを欲しい。セッション全曲、捨て曲無し。充実仕切ったバレル・クインテットのセッションの全てを味わい尽くして欲しい。

この盤は、ジャズ者初心者、ジャズを聴き始めて2年位で手に入れた盤だが、まず、このジャケットに惚れた。そして、LPに針を落として、冒頭の名演「Chitlins con Carne」でドップリ感じ入り、そのまま、一気に聴き切った後、直ぐにA面の戻して、繰り返し聴き直した思い出のある名盤。

ジャズ者初心者でもこの盤の良さが直ぐに判る、ジャズ者初心者にとても優しいジャズ名盤である。
 
 

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2023年6月16日 (金曜日)

ポップなタレンタインのテナー

ブルーノートの4100番台は、ジャズの「多様化」の時代にアルバムをリリースしている訳だが、聴き手のニーズに応じて、しっかりと「多様化」に対応している。このブルーノートの4100番台は、そんな「多様化」に対応した様々な演奏スタイルや演奏志向のアルバムがズラリとラインナップされている。

Stanley Turrentine『Hustlin'』(写真左)。1964年1月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott (org), Kenny Burrell (g). Bob Cranshaw (b), Otis Finch (ds)。シャーリー・スコットのオルガンはベースラインを弾かないので、この盤ではベーシストが存在する。リーダーのタレンタインのテナーとバレルのギターがフロントの変則クインテット編成。

タレンタインは、当時の細君、シャーリー・スコットのオルガンと共演を始めた頃から、演奏の志向を「ポップなファンキー・ジャズ」に舵を切っている。もともとは、ファンクネス濃厚でソウルフルな漆黒テナーでブイブイさせていたんだが、スコットと組んでからは、黒さが軽快さに変わり、明るいファンクネスを纏った、ポップでソウルフルなテナーに変化している。
 

Stanley-turrentinehustlin

 
タレンタインのテナーの個性がポップでコマーシャルなテナーに若干、変化しているのだが、硬派でソウルフルな雰囲気はしっかり残っているので、単なる「イージーリスニング・ジャズ」なテナーに陥っていない。しかし、黒さが軽快さに変わることで、タレンタインのテナーの重厚さが少し薄れて、何だか浮かれている様な感じがするのが、気になると言えば気になる(笑)。

もともとスコットのオルガンはライトでポップ。そして、もともと漆黒アーバンなバレルのギターは、タレンタインに合わせて軽快ファンキーなギターに早変わり。ポップで軽快なギターでバレンタインのテナーを引き立てている。それでも、アドリブ展開などはキッチリとメンスとリーム系の純ジャズっぽく、硬派でジャジーな展開になっているところはさすがと言えばさすがである。

ポップでキャッチャーな「ソウル・ジャズ」な盤として、キッチリまとまっていて、聴いていて心地が良い。手に汗握るスリリングな即興演奏は望めないが、この盤の持つ軽快さと明るいファンクネスは、聴き手にジャズの「楽しさ」を教えてくれているようだ。硬派なテンション高いハードバップでは無いが、聴いていて心地良く楽しい「ソウル・ジャズ」な盤として意外と聴き応えがある。
 
 

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2023年5月17日 (水曜日)

聴いて楽しいソウル・ジャズ盤

ブルーノートの4100番台をカタログ番号順に聴き直しているのだが、この4100番台は演奏されるジャズについて、バリエーションが豊か。1962年から1965年までにリリースされたアルバム群なんだが、成熟したハードバップを起点にした「ジャズ多様化」の時代の傾向をもろに反映しているカタログには感心することしきり、である。しっかりと当時のジャズ演奏のトレンドを把握していて、それに見合った内容のアルバムをリリースする。さすがはブルーノート・レーベルである。

Stanley Turrentine『A Chip Off The Old Block』(写真左)。1963年10月14 & 21日の録音。ブルーノートの4150番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Blue Mitchell (tp), Tom McIntosh (tb, tracks 6 & 7), Charles Davis (bs, tracks 6 & 7), Shirley Scott (org), Earl May (b), Al Harewood (ds, tracks 1–5), Ben Dixon (ds, tracks 6 & 7)。

タレンタインのテナー、ミッチェルのトランペット、シャーリー・スコットのオルガン、アール・メイのベースは2セッション共通。1963年10月14日の録音(tracks 6 & 7)では、トロンボーンとバリトン・サックスが追加されてフロント4管、ドラムがベン・ディクソンが担当したセプテット編成。1963年10月21日の録音(tracks 1-5)では、タレンタインのテナー、ミッチェルのフロント2管のまま、ドラムだけがアル・ヘアウッドが担当したクインテット編成。
 

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タレンタインは、ジャズ多様化の時代に「ポップスとしてのジャズ」を選択した様で、この盤では、ポップでライトなソウル・ジャズを気持ちよさそうに吹きまくっている。ライトでファンキーなスコットのオルガンも、そんな雰囲気にピッタリで、トランペットのミッチェルもそれの合わせて、ライトでファンキーな明るいトランペットで応じている。いわゆる「ライトで聴いて楽しいソウル・ジャズ」といった内容なのだ。

特に、タレンタインのテナー・サックスは、もともとは「こってこてのファンクネス滴る、思い切りジャジーで漆黒なテナー」だった。どこかオールド・スタイル風の「ディープなブルージーさ」も醸し出しながら、ブブブブ〜ッと重厚な漆黒テナーでブイブイ言わせていたんだが、この盤では「ライトでスッキリとした、ファンクネス香るソウルフルなテナー」に変化してきている。しかし、これが実に良い雰囲気なのだ。いわゆる「聴き手の立場に立った」聴いて楽しいソウル・ジャズで統一されている。

ファンキー・ジャズをポップにして、アーバンで明るいアレンジが施され、聴いて楽しいソウル・ジャズ。特にブルース・ナンバーとバラード・ナンバーの出来が良く、リーダーのタレンタインのテナーを筆頭に、参加メンバー、皆、好調でとても良いパフォーマンスを発揮している。タレンタインのポップな一面をクローズ・アップした、気楽に楽しめる好盤です。
 
 

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2023年4月 8日 (土曜日)

味のあるスコットのオルガン

ブルーノート・レーベルは、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの卓越した本質を見抜く感性のもと、当時からオルガン・ジャズに長けていた。オルガンの醸し出すファンクネスとグルーヴが聴き手にしっかりと訴求する、ということを見抜き、1950年代、1500番台のジミー・スミスの重用から、オルガン・ジャズをしっかりと録音してきた。

Stanley Turrentine『Never Let Me Go』(写真左)。1963年1月28日と2月13日の録音。ブルーノートの4129番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott (org), Major Holley (b, tracks 1-5 & 7), Sam Jones (b, tracks 6 & 8), Al Harewood (ds, tracks 1-5 & 7), Clarence Johnston (ds, tracks 6 & 8), Ray Baretto (congas)。

スタンリー・タレンタインの単独名義のリーダー作だが、当時、夫婦だったスタンリー・タレンタインとシャーリー・スコットの共演盤になる。2つのセッションからの選曲で、ベースとドラムが、それぞれのセッションで異なるジャズマンが担当しているが、音の大勢に影響は無い。逆に、レイ・バレットのコンガの参加が、タレンタインとスコットの持つファンクネスを増幅していて、実に効果的。

音の傾向としては、タレンタインお得意の「どっぷりソウルフルで骨太なファンキー・ジャズ」では無く、スコットの「明るくポップで軽快なファンキー・ジャズ」な雰囲気が強い。夫婦の共演だが、どちらかと言えば、細君のシャーリー・スコットのオルガンの個性を活かす方向のアレンジで、この盤はまとめられている。夫君のタレンタインが細君のスコットの音の個性に寄り添う恰好になっている。
 

Stanley-turrentinenever-let-me-go

 
つまり、この盤では、明るくポップで軽快なタレンタインのテナー・サックスが聴ける訳で、太くて低音をブライアントに響かせるソウルフルなテナーが、明るくポップで軽快なオルガンの醸し出すリズム&ビートに乗って唄うのだ。意外とキュートでライトなテナーを吹くタレンタイン。やはり一流のテナーマン、演奏テクニックの引き出しの多さに感心する。

シャーリー・スコットのオルガンは、フット・ペダルでベースラインを代替することはしないので、この盤のセッションではベーシストが必ず入っている。やはり、低音のリズム&ビートを司る専門のベースが入っている分、演奏全体のベースラインが多彩で、なかなか内容の濃い、テクニックの高いファンキー・ジャズに仕上がっている。「明るくポップで軽快なファンキー・ジャズ」だが、しっかりと音と対峙する鑑賞に耐える内容なのには感心する。

軽快に飛ばすスタンダード曲の「Without A Song」、歌心溢れるタレンタインのテナーとグルーブ感溢れるスコットのオルガンが出色の出来の、ミュージカル「ジプシー」の挿入曲の「You'll Never Get Away From Me」、スコット作のタイトル曲も良い出来。収録された全ての曲が明るくポップで軽快なファンキー・ジャズ」としてまとめられていて、アルバム全体の統一感も良好。

スタンリー・タレンタインの単独名義のリーダー作だが、シャーリー・スコットのオルガンの個性、「明るくポップで軽快なファンキー」な個性がしっかり記録された好盤。当時、夫君だったタレンタインも、そんなスコットの個性を引き立たせる側に回っていて好演。なかなか味わい深い「オルガン・ジャズ」盤です。
 
 

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2023年3月28日 (火曜日)

BNのお蔵入り音源「4122番」

 

ブルーノート・レーベルは、有名なカタログとして、1500番台、そして、4000番台〜4300番台があるが、ブルーノートって几帳面だったんだなあ、と思うのは、この有名なカタログ番号に「飛び番」がないこと。きっちりとそれぞれのカタログ番号に100枚のアルバムが、それぞれしっかりと割り当てられている。これには感心することしきりである。

Stanley Turrentine『Jubilee Shout!!!』(写真左)。1962年10月18日の録音。ブルーノートの4122番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Tommy Turrentine (tp), Kenny Burrell (g), Sonny Clark (p), Butch Warren (b), Al Harewood (ds)。

タレンタイン兄弟、スタンリーのテナー、トミーのトランペット、そして、バレルのギターがフロントのセクステット編成。実はこの盤、カタログ番号、ジャケットまで用意されていて「お蔵入り」になった盤になる。世の中に出たのは1986年になる。録音から22年もの間、倉庫に眠っていた訳で、当時のブルーノートでは、ままあること。

お蔵入り音源だから、内容的に問題があったり劣ったりしているのか、と思うのだが、この盤についても、何回聴いても「お蔵入り」になった理由が判らない。内容的には、タレンタイン兄弟の2管+バレルのギターがフロントを張った、スッキリとしたハードバップな演奏に仕上がっている。

1962年の録音なので、ジャズは多様化の時代に差し掛かりつつあって、この盤の様な、スッキリハッキリした典型的なハードバップな演奏は、古くなっていたのかもしれない。まあ、アルバムってコストをかけてリリースするからには売れないといけないからなあ。当時のブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンはそういう判断をしたのかもしれない。
 

Stanley-turrentinejubilee-shout

 
しかし、今の耳で聴くと、とっても聴き心地の良い、スッキリハッキリとしたハードバップ演奏なんですよね。それぞれの楽器の演奏も、テクニック的にも歌心的にも優れていて、リズム&ビートもカッチリまとまっていて、それぞれの収録曲のアレンジも良好。成熟、完成したハードバップ演奏と言ってもよい位、実に出来の良いパフォーマンスにほとほと感心する。

タレンタインのテナーは、どっぷりファンキーなんだが、意外と軽快。デビュー当時の様な重厚感はちょっと後退して、スッキリハッキリ、そして流麗にフレーズを吹き上げていく。ちょっとライトにポップになったと言っても良いくらいの軽快さ。しかし、これが実に良い雰囲気なのだ。このタレンタインの軽快なテナーがこの盤の一番の聴きどころだろう。

フロントの他のメンバー、トミーのトランペット、バレルのギターも好調。ソニー・クラークのピアノを中心とした、ワーレンのベース、ヘアウッドのドラムのリズム・セクションも快調にリズム&ビートを供給している。本当に、この盤、スッキリハッキリした典型的なハードバップな演奏がてんこ盛りなのだ。

つまりは、この盤、今の耳で聴くと、なんで「お蔵入り」になったのかが皆目判らない内容で、まあ、これはブルーノートでは、ままあること、なので、「お蔵入り」音源だから、どこかに内容的に問題があるぞ、とか、どこかに劣った部分があるぞ、とかで聴き耳をたてると疲れるだけです(笑)。でも、アルフレッド・ライオンが生きていたら、この盤の「お蔵入り」の理由、しっかりと訊いてみたいものである。
 
 

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2022年2月 4日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・227

スタンリー・タレンタインは、ダンディズム溢れる、ファンキー&ソウルフルなテナー・サックス奏者。兄にトランペッターのトミー・タレンタインがいる。長い名前なので、スタンリー・タレンタインは「スタタレ」、トミー・タレンタインは「トミタレ」と省略して呼んでいる。

スタタレのテナー・サックスは個性が強い。1曲聴けば、スタタレと判る、骨太でブレの無い、こってこてファンキーで「黒い」テナー。フレーズを吹けば、歌心満点のブロウで、こってこてソウルフル。ストレートな吹きっぷりの「どテナー」である。スタタレのテナーを聴けばいつも「全くジャズらしいテナーやなあ」と思うのだ。

が、何故か我が国では人気はイマイチ。ジャズに精神性を求める向きが強い我が国では、スタタレの様な、こってこてファンキー&ソウルフルな判り易いテナーは「俗っぽい」とか、「ポップ過ぎる」とか言われて、硬派なジャズ者であればあるほど、スタタレのテナーを遠ざけてきた。でもなあ、スタタレのテナーほど、ジャズっぽいテナーは無いんだけどなあ、というのが、僕の本音。

Stanley Turrentine『That's Where It's At』(写真左)。1962年1月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Les McCann (p), Herbie Lewis (b), Otis Finch (ds)。ソウル・ジャズなピアニスト、レス・マッキャンのトリオがリズム・セクションに付いた、スタタレのテナーがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」な編成。
 

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バックにレス・マッキャンのピアノが控えているので、アルバム全体の雰囲気は「ソウル・ジャズ」。硬派なジャズ者の方々が聞けば眉をひそめそうだが、そこはブルーノート・レーベル。過度に俗っぽくならず、過度にポップにならず、真摯でアーティスティックな「ソウル・ジャズ」に仕上げているところは流石である。

もともとスタタレのテナーは「ファンキー&ソウルフル」なので、レス・マッキャンのトリオをバックにしても、違和感は全くない。どころか、ばっちりフィットしている。レコーディングの為の急造カルテットとは思えない、素敵な一体感がこの盤の魅力の1つ。こういうところも、さすがはブルーノート、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの敏腕の成せる技である。

しかも、スタタレのワンホーン・カルテットなので、スタタレのテナーの個性がしっかり確認出来る。そういう意味でも、バックのリズム・セクションが、ソウル・ジャズなピアニスト、レス・マッキャンのトリオであることに意味があって、マッキャンのソウル・ジャズな要素に、スタタレのテナーの個性である「ファンキー&ソウルフル」がしっかり反応している。

この盤、意外と「隠れた名盤」だと思うんだけど、どうだろう。真摯でアーティスティックな「ソウル・ジャズ」の好例として、我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』では息の長い、長年のヘビロテ盤で、時々、思い出しては聴いています。ジャケットもいかにもブルーノートらしい、アーティスティックな、味のあるデザインで「グッド」ですね。
 
 
 
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2021年11月 5日 (金曜日)

何とも微笑ましいエピソード

当時、カラー写真のジャケットは珍しい。しかも、お洒落なスーツを身を纏い、薔薇の花束を持っている。なんだか、趣味の悪いポップスLP盤のジャケットかな、と思うんだが、タイポグラフィーはしっかり決まっている。タイポグラフィーの決まり方から、まさかこれってブルーノートのアルバムなのと思う。

写真の「主」は、ジャズを聴き始めて4〜5年も経てば、すぐに判るはず。そう「スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine )」である。しかもタイトルが「最愛の人」。は〜ぁ、何だこの盤。とパーソネルを見れば、何となく理由が判ってきた。そう、この盤、当時の新婚ホヤホヤのタレンタイン夫妻に向けての、アルフレッド・ライオンからの「結婚のお祝い」盤なのだな、きっと(笑)。

Stanley Turrentine『Dearly Beloved』。1961年6月8日の録音。ブルーノートの4081番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott as Little Miss Cott (org), Roy Brooks (ds)。オルガンのシャリー・スコットは、契約上の問題で「リトル・ミス・コット」とクレジットされている。
 

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スタンリー・タレンタインとシャーリー・スコットは1961年に結婚している。1971年に離婚するまで、魅力的な内容の共演盤を多数残しているが、この盤はその最も初期のものだろう。もともと、スタンリー・タレンタインのテナーはオルガンと相性が良いのだが、この盤を聴いて判るのは、当時の細君、シャーリー・スコットのオルガンとの相性が抜群なのだ。息もピッタリ、アドリブ・フレーズの雰囲気も同傾向。はぁ〜、ご馳走様です(笑)。

スタンリー・タレンタインのテナーは、ややもすれば「ファンクネス過多」になりがちなのだが、意外とポップなスコットのオルガンがそれを「中和」している。ストレートなスコットのオルガンの音に、タレンタインが呼応しているようにも感じる。確かにこの盤のタレンタインは意外と「明るい」。ちょっと「ハッピー・スインガー」な要素が見え隠れして、聴き易くなっている。

ちなみに、ジャケットはシャリー・スコットに花を買っている嬉しそうなスタンリー・タレンタインのポートレイトだそうだ。ブルーノート・レーベルって「粋」なことするなあ。当時のスタンリー・タレンタインは、ブルーノートのハウス・ミュージシャンの位置づけ。総帥プロデューサーのライオンからすれば「家族同然」だったのだろう。何とも微笑ましいエピソードではないか。
 
 
 
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2021年9月 4日 (土曜日)

スタンリー・タレンタインの本質

スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)は、漆黒ファンキーなソウルフル・テナー奏者。「漆黒ファンキーでソウルフル」なテナーと言えば、オールド・スタイルのヴィブラートの効いたテナーを想起するのだが、タレンタインのテナーはストレート。コルトレーンと同じカテゴリーの、当時として新しいジャズ・テナーのカテゴリーなのだが、何故か、我が国では人気が低い。

タレンタインのテナーは「漆黒ファンキーでソウルフル」なテナー。スタジオ録音のテナーについては、歌心満点の判り易い、情緒溢れるテナーを吹く。ちょっとポップでコマーシャルな響きがするので「ストレート・アヘッドでない」と評価されたのか、タレンタインのテナーは俗っぽくて濃い、などと揶揄されることもあった。

Stanley Turrentine『Up at "Minton's", Vol. 1&2』(写真)。 ブルーノートの4049&4070番。1961年2月23日、NYの「Minton's Playhouse」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Grant Green (g), Horace Parlan (p), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。タレンタインのテナー1ホーンがフロント。バックのリズム隊は、ギター入りのピアノ・トリオ。
 

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このライヴ盤を聴けば、スタンリー・タレンタインのテナーの印象がガラリと変わる。どこまでもストレート・アヘッドな吹きっぷり。ストレートで力感溢れる骨太な音色。コードにもモードにも楽々適応する優れたテクニック。そんなアーティスティックでストレート・アヘッドなテナーに、もともとの個性である「漆黒ファンキーでソウルフル」な味わいが加味される、それはそれは聴き応えのある、ダンディズム溢れるテナー・サックスである。

加えて、バックのギター入りのピアノ・トリオが凄く良い。間を活かしたシングル・トーンがファンキーなパーランのピアノ。硬派でパッキパキ・ファンキーなグリーンのギター。モーダルで新しい響きを宿したタッカーのベース&ヘアウッドのドラム。ストレート・アヘッドなリズム&ビートの中に、強烈に漂うファンクネス。タレンタインの個性である「漆黒ファンキーでソウルフル」をしっかりと支える。

この「ミントンズのタレンタイン」を聴けば、タレンタインのテナーの印象はガラリと変わる。タレンタインのテナーの本質は「ストレート・アヘッドでダンディー」。そこに「漆黒ファンキーでソウルフル」な個性が加味される。タレンタインの本質を記録したライヴ盤。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼、恐るべし、である。
 
 
 
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2021年8月26日 (木曜日)

少しポップな漆黒ファンクネス

スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)は、漆黒ファンキーなテナー・サックス奏者。夜のアーバンな雰囲気濃厚、こってこてファンキーなテナー・サックスが個性。どっぷりジャジーなテナー・サックスだが、ストレートな吹きっぷりは当時としては「新しい響き」。コルトレーンが絶対的存在の我が国では、このタレンタインですら「古いテナー」として、あまり人気が無かった様に思う。

Stanley Turrentine『Comin' Your Way』(写真左)。1961年1月20日の録音。ブルーノートの4065番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Tommy Turrentine (tp), Horace Parlan (p), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。カタログ番号まで振られたのに、録音当時は「お蔵入り」。リリースされたのは1987年になってからである。

この盤、聴けば聴くほど、どうして録音当時「お蔵入り」になったか、理解に苦しむ。ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンに直接訊いてみたいくらいだ。内容的には、ほど良くポップで、ほど良く軽快。演奏の雰囲気も幾分か明るく、聴いていて、何だか気持ちが明るくなる様な、ポジティヴな雰囲気のファンキー・ジャズである。
 

Comin-your-way

 
タレンタイン兄弟のフロント2管が好調。弟のスタンリー・タレンタインのテナー・サックスが実に良い音を出している。こってこてファンキーなテナー・サックスだが、意外と軽快な吹き回しで、そのフレーズにはポップな雰囲気がそこはかとなく漂う。兄のトミー・タレンタインのトランペットは溌剌としていてブリリアントな音色が素敵。テクニック的にはそこそこだが、味のあるフレーズを叩き出してくるところは見事。

そして、ホレス・パーランのピアノをメインとしたリズム・セクションが良い。スインギーでメロディアスではあるが、ハードバップ後期のモーダルな雰囲気が漂う、意外と先進的なリズム・セクションで、ややもすればポップに傾く、タレンタイン兄弟のフロント2管をしっかりと硬派でクールなファンキー・ジャズに留めている。

タレンタイン兄弟のフロント2管とこのパーランのリズム隊との相性が抜群で、聴き応え十分である。特に冒頭の「My Girl Is Just Enough Woman for Me」から「Then I'll Be Tired of You」、5曲目の「Someone to Watch Over Me」から「Stolen Sweets」などのジャズ・スタンダード曲がとても良い雰囲気で味わいがある。小粋なジャズとして、小粋なテナー・サックス盤として、お勧めの好盤である。
 
 
 
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2021年1月19日 (火曜日)

漆黒ソウルフルなタレンタイン 『Blue Hour』

「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」と、「ど」の3連発が付くほどの「滴り落ちるファンクネス」が個性のテナー、スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)。タレンタインは「ブルーノート御用達」。ブルーノート・レーベルのハウス・サックス奏者といっても良い。生涯のリーダー作の半数がブルーノート・レーベルからのリリース。

Stanley Turrentine with The Three Sounds『Blue Hour』(写真左)。1960年6月29日と12月16日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。後のブルーノート・レーベルのハウス・サックス奏者とピアノ・トリオの共演。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオン、なかなか小粋なマッチアップをする。

もともと、スリー・サウンズのリーダー・ピアニスト、ジーン・ハリスのピアノはファンキー&ブルージー、そしてソウルフル。バックを担うリズム隊の2人、シンプキンスのベース、ドゥディのドラムも「こってこてファンキー」。「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」と、「ど」の3連発が付くほどの「滴り落ちるファンクネス」が個性のタレンタインのテナーを引き立てるのに恰好のリズム・セクションである。
 
 
Blue-hour  
 
 
冒頭の「I Want a Little Girl」から、こってこてのファンクネス全開。ゆったりと吹き上げるタレンタインのテナーは「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」。やり過ぎじゃないかと思えるくらいのファンクネス。オールド・スタイルとコルトレーン・スタイルの「間(あいだ)」をいくタレンタインのテナー。この「オールド・スタイル」を踏襲する部分がとりわけ「ソウルフル」。

バックのリズム・セクションがスリー・サウンズというのが完璧に効いている。ファンクネス&ソウルフルの相乗効果で、タレンタインのテナーは全編に渡って「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」。ジャケットのようにブルーに染まる、タレンタイン渾身のブロウが映える5曲。コンプリート盤も良いが、この盤は当初のオリジナル盤の5曲を聴いて欲しい。

この盤はタレンタインの「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」の個性が最大に発揮された好盤。逆にこれ以上に「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」に振れることは無い。タレンタインの「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」度合いの最高地点を記録した『Blue Hour』。リラックスして、じっくりと聴き込みたいですね。出来たら、まずまずのレベルのステレオ装置で。
 
 
 

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