2025年11月 1日 (土曜日)

ルーさんのモータウンへの挑戦

本作は、1968年にトランペッターのブルー・ミッチェル、オルガン奏者のチャールズ・アーランド、ギタリストのジミー・ポンダーと録音した作品だが、冒頭の「Say It Loud – I'm Black and I'm Proud」を聴けば、たちどころに判る。この盤は、ルーさんの「R&B志向、モータウン志向のソウル・ジャズ&ジャズ・ファンク」である。

Lou Donaldson『Say It Loud』(写真左)。1968年11月6日の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as, vo), Blue Mitchell (tp), Charles Earland (org), Jimmy Ponder (g), Leo Morris (ds)。JB(James Brown)に共感して、カヴァSay It Loud (I'm Black and I'm Proud)ーしてタイトルに冠したと思われ、R&B志向、モータウン志向を協力に押し出した、ルーさんのソウル・ジャズ。

リズム&ビートが「とーん・と−ん・とんとんとんとん」といった、モータウン独特のリズム&ビートに乗って、ルーさん流のソウル・ジャズが展開される。結構、ネットでは酷評されているんだが、爆発的なグルーヴが無い、作られたファンク・ミュージックとか散々に揶揄されているんだが、これはこれで正解なんだけど。

この盤でも、ルーさんは、モータウン志向に走ってはいるけれど、演奏の根っこは「モダン・ジャズ」。モータウンにどっぷり填まれば、体の良いジャズ・ファンクのリズム&ビートを拝借した「イージーリスニング音楽」になってしまう、ことを危惧した結果だと思っている。そう、この盤の根底に流れているのは、ソウル・ジャズであり、ジャズ・ファンク、あくまで「ジャズ」なのだ。

だから、モータウン風の曲のカヴァー演奏になると、腰が動くほどのファンクネスは無いし、グルーヴ感も無い。この盤の根底に流れているのは「ジャズ」であり、爆発的なグルーヴが無い、作られたファンク・ミュージックと言われても仕方が無い内容。
 

Lou-donaldsonsay-it-loud

 
でも、ジャズとして、ハードバップとして捉えると、モータウンって、こうなるのか、というプロトタイプ的内容。演奏内容、演奏レベルに問題があるのでは無い。モータウンをジャズでカヴァるって、いう行為が無茶だということ、無理がある行為だということを、このアルバムは教えてくれる。

冒頭の「Say It Loud (I'm Black and I'm Proud)」のカヴァー演奏が、モータウンのジャズ化の限界だろう。これ以上に、グルーヴを爆発させ、ファンクネスを濃くしたら、モータウンの「イージーリスニング音楽」になってしまう。

ルーさんはジャズマン。このカヴァー演奏でも、しっかり、ジャズに軸足を置いたまま、モータウンのジャズ化にチャレンジしたのではないか、と睨んでいる。

とにかく、有名スタンダード曲、ハードバップとモード・ジャズにこそ、ピッタリと合致した「Summertime」や「Caravan」を、モータウン志向のソウル・ジャズで解釈するのは、あまりに無謀であった。

これは、明らかにプロデュースの誤り。もしかしたら、ルーさんがやりたい、ときかなかったかもしれないが、これがフランシス・ウルフの限界だったのだろう。

この盤は、ルーさんがいかに「純ジャズ」畑のジャズマンだったかを再認識させてくれる。どんなアレンジの演奏にだって、ルーさんは、ジャズに軸足を残したまま、いろいろなアレンジにチャレンジした。ルーさんの純ジャズ志向のジャズマンとしての矜持を感じさせてくれる盤である。
 
 

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2025年8月28日 (木曜日)

サイケなフィル・アップチャーチ

多くの有名セッションに参加してきた百戦錬磨のセッションマン、フィル・アップチャーチ(Phil Upchurch)。1941年7月19日、米国イリノイ州シカゴ生まれのギタリスト兼ベーシスト。ジャズ、クロスオーバー&フュージョンのみならず、ソウル、R&Bの数々の名盤に参加してきた、超一流のセッション・ギタリストである。

Phil Upchurch『Upchurch』(写真左)。1969年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Phil Upchurch (g), Donny Hathaway (p), Louis Satterfield (b), Morris Jennings (ds), Bobby Christian (perc), James Mack Singers (vo), Charles Stepney (arr, cond)。フィル・アップチャーチの4枚目のリーダー作。

1969年という時代を反映した、とても「サイケデリック」なアレンジが施された、クロスオーバー・ジャズ&ファンクなアップチャーチのエレギが個性的。当時の「サイケ」なアレンジの特徴の1つ、ディープでシャープなエコーがかかっているところが、今の耳には新鮮に響くから不思議である。
 
Phil-upchurchupchurch  
 
プロデュースを後に、あのアース・ウィンド&ファイアの躍動感溢れるホーン・アレンジでも知られる、名編曲家であるチャールズ・ステファニーが担当しているが、確かに、このアルバムでも、アップチャーチのサイケなギターに、不思議な「躍動感」を感じる。そして、その躍動感が「ファンキー」。サイケなアレンジでのファンクネスは、このアレンジによるところが大きい。

あのサイモン&ガーファンクルの名曲「America」を、このサイケデリックでファンキーなクロスオーバー・ジャズ志向のアレンジでカヴァーしているところがユニーク。決して駄作&凡作の類では無く、サイケデリックでファンキーな雰囲気濃厚な中に、名曲「America」の流麗で印象的なフレーズがしっかり浮かび上がる。このバックの「サイケ&ファンキー」と、フロントのアップチャーチのエレギの「流麗で印象的なフレーズ」の対比が素晴らしい。

このアルバム、とても「サイケデリック」なアレンジが施された、クロスオーバー・ジャズ&ファンクなアップチャーチのエレギが気に入るか or 入らないか、で評価は変わるとは思うが、フィル・アップチャーチのエレギ自体は、その個性は変わず、ブレが無い。アップチャーチのエレギを愛でる上では、全く問題の無い、聴き応えのあるアルバムだと僕は思う。
 
 

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2025年8月16日 (土曜日)

ハンガリーの怪人ギターの好盤

Gabor Szabo =「ガボール・ザボ」と読む。不思議な響きの名前である。ハンガリーの怪人。ブダペストの生まれ。ジャズ、ポップ、ロック、ハンガリー音楽を融合させたスタイルがユニークな、ハンガリー系アメリカ人のギタリストである。国籍不明、ジャンル不明な、硬質でロックっぽい、ちょっと「ヘタウマ」なギターが個性。

1956年のハンガリー動乱の後、米国カリフォルニア州に移住、1958年から1960年までボストンのバークリー音楽大学で学び、その後チコ・ハミルトン楽団で活動。チコのバンドを脱退以降、インパルス・レコードと契約、リーダー作を数々リリースしていく。

Gabor Szabo『High Contrast』(写真左)。1970年12月と1971年2月の録音。ちなみにパーソネルは、ábor Szabó (g), Bobby Womack (g), Mark Levine (p), Wolfgang Melz, Phil Upchurch (b), Jim Keltner (ds), Felix "Flaco" Falcon (congas), Carmelo Garcia (tom-tom, Timbales), Rene Hall (string arr), The Shadow (a.k.a.Tommy LiPuma) (tambourine, perc, record producer)。

不思議な響きのギター全開。従来からの聴き馴れたジャズ・ギターの音色がしない。アドリブ展開やフレーズも従来のジャズ・ギターのそれでは無い。独特の展開、独特なフレーズ。マイナー調な響きがエキゾチックで、ジャジーっぽさが無い。どちらかと言えば、欧州の民俗音楽的な響きがする。
 

Gabor-szabohigh-contrast
 

この『High Contrast』は、ザボのギターの個性が手に取るように判る。とにかく、ギターの音がユニークで、従前の純ジャズっぽさは全く無い。パッキパッキ硬質で欧州の民俗音楽的な響きは、どちらかと言えば、プログレッシヴ・ロック系のギターの音だったりする。しかし、これが結構、癖になる。

冒頭に、1976年にジョージ・ベンソンが大ヒットさせることになる「Breezin'」のオリジナル・バージョンが収録されている。これが結構、話題に鳴っているみたいだが、ベンソンの「Breezin'」の骨格の様な演奏が実に潔い。この印象的なフレーズを持った楽曲に漂う、欧州の民俗音楽的な響きが、ザボの演奏では色濃く、このオリジナル・バージョンもなかなかに聴き応えがある。

ラテン・テイストを醸しだすジャズ・ロックあり、ジャズ・ファンクあり、ソウルフルなフュージョンあり、バラエティーに富んだ内容だが、ザボの怪人ギターが一本筋を通していて、アルバム全体に統一感がある。そして、その統一感を確固たるものとし、この盤で、ザボのギターを映えに映えさせるプロデュースを、プロデューサー名人、トミー・リピューマがその力を存分に発揮している。

ザボの怪人ギターが相当に癖があるので、従来の純ジャズ・ギターが全て、というジャズ者の方々には、異端も異端、認めたくないギターだろうが、このギターの音色、フレーズも「ジャズ」である。ソウル・ギターの大御所ボビー・ウーマックとの共演も好要素として作用していて、良い感じ。この盤、硬派なクロスオーバー&フュージョンなアルバムとして、なかなか聴き応えのある内容です。 
 
 

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2025年7月 2日 (水曜日)

”ウルマーのジャズファンク” 再聴

レココレ2025年7月号の特集「ジャズ/フュージョン・ギターの名演・洋楽編」。モダン・ジャズ、クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇の中の名盤・好盤の中で、ギターに特化して評価できるアルバムをピックアップして紹介している特集記事で、これが意外と興味深い内容。

当ブログでは、その「ジャズ/フュージョン・ギターの名演・洋楽編」で紹介されているアルバムの中から、再聴したい盤、当ブログで記事にしていない盤をピックアップしてご紹介している。

James Blood Ulmer『Are You Glad to Be In America?』(写真左)。1980年1月17日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、James Blood Ulmer (g, vo), David Murray (ts), Oliver Lake (as), Olu Dara (tp), Billy Patterson (Spaceman Patterson) (rhythm-g, track 4), Amin Ali (el-b), G. Calvin Weston, Ronald Shannon Jackson (ds)。

久しぶりに聴いた。再聴である。オーネット・コールマンを師とする鬼才ギタリスト、ジェームス・ブラッド・ウルマ―の1980年作。しかし、出てくる音は「マイルスのジャズ・ファンクから、おどろおどろしい、ダークなファンクネスを差し引いて、あっけらかんとしたファンクネスだけを残した、「脳天気」なエレクトリック・ジャズ・ファンク。
 

James-blood-ulmerare-you-glad-to-be-in-a

 
ハードではあるが、ファンクネスがドップリ染み込んでいて、リズム&ビートが効きまくり、グルーヴ感が半端無い。それはそれは凄まじいエレギである。鉈で薪をガシガシとシャープに割っていくような、ビートが明確でしっかりしたリフ。

一聴して、すぐに「ジェームス・ブラッド・ウルマ―のエレギやな」と判るほどの強烈な個性のエレギ。ジャズ、ファンク、ハードロック、ブルース、それぞれの濃い部分を混ぜ合わせた熱いエレギが鳴っている。録音当時は、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズが流行だったが、この盤の音世界は、そんなフュージョン・ジャズの流行の音とは真逆の音世界。

ウルマーのジャズファンク疾走エレギに、アリのブリブリなベース、官能的で圧巻なデヴィッド・マレイのテナー・サックス、オリバー・レイクのアルト・サックスが絡んで来て、正確で呪術的なダブル・ドラムと渾然一体となり、独特の「脳天気」なエレクトリック・ジャズ・ファンクなグルーヴが「凄まじい」。

この盤の音世界は、今の耳で聴き直すと、現代の躍動感溢れスリリングな「スピリチュアル・ジャズ」の先駆け。 今の耳にも、古さは全く感じない。ジェームス・ブラッド・ウルマ―のエレギの個性と「凄まじさ」を感じるに最適なアルバムだと思う。ちなみに、ジャケットの種類が、リリース・タイミングによって、幾つもあるようなので、気をつけられたい。 
 
 

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2025年7月 1日 (火曜日)

クレマーのジャズ・ファンク

ちょっと癖の強い、他のレーベルにないファンキー&ソウルフル濃厚な盤が多くリリースされている、そんなアーゴ&カデット・レーベルの好盤をピックアップして聴き直してきたが、いよいよラストである。以前の記事については、ブログの右列、カテゴリーの「Argo & Cadetレーベル」を参照いただければ、と思います。

John Klemmer『Blowin' Gold』(写真左)。1969年の作品。ちなみにパーソネルは、John Klemmer (ts), Pete Cosey (g), Richard Thompson (p, org), Phil Upchurch (b), Morris Jennings (ds)。ジャンルをはみ出したような実験盤を多くリリースしたカデットのサブ・レーベルからリリースされたアルバム。

ジョン・クレマーは、サイケデリックなジャズ作品で著名なシカゴ出身のテナーマン。このアルバムは、硬派で重量級のジャズ・ファンクがメインの音志向のジョン・クレマーのリーダー作。ぼんやり聴いていると、マイルスの硬派で重厚なジャズファンクを聴いているような気分になる。ただ、フロントにマイルスのトランペットがいない。逆に、クレマーのテナーがいる。
 

John-klemmerblowin-gold

 
クレマーのテナーは電気増幅されており、これも、マイルスの電気増幅されたトランペットに通じるものがある。なんか、リズム&ビートもマイルスのジャズ・ファンクに通じるものがあり、なんでやろ、と思って、パーソネルを見たら、あらら。マイルスの『アガ・パン』のリズム&ビートwを支えた超絶変態ギタリスト、ピート・コージーが参加しているではないか。

まだまだ温和で大人しめのピート・コージーではあるが、彼独特のペニャペニャなノイジーなエレギは既に存在している。このコージーのエレギのリフが、マイルスのジャズ・ファンクを想起させるのだろう。ただし、マイルスのジャズファンクほどには、シャープでソリッドでヘビーではないけれど....。ちょっと俗っぽくて「もったり」しているところが、このアルバムのリズム&ビートの「玉に瑕」なところではある。

独特なアレンジが痺れる、レノン=マッカートニーの名曲中の曲「Hey Jude」のカヴァーが良い味を出している。ジャズ・ファンクに染め上げたジミヘン 「Third Stone From The Sun」等のカヴァーも良い味を出していて、当時、マイルスがジミヘンのカヴァーをやったら、こんな感じになってたのかなあ、と想像すると、なかなかに面白い。
 
 

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2025年5月28日 (水曜日)

バードの考える ”ポスト・バップ”

前作『Blackjack』は、それまでの純ジャズの演奏トレンドの数々を上手くブレンドした、ブルーノート志向の「硬派なソウル・ジャズ」だった。その『Blackjack』から僅か4ヶ月後の録音。再び、ブルーノート志向の「硬派なソウル・ジャズ」を連発するのか、と訝しく思ったが、聴いてみて「これはちょっと違うぞ」。

Donald Byrd『Slow Drag』(写真左)。1967年5月12日の録音。ブルーノートの4292番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Sonny Red (as), Cedar Walton (p), Walter Booker (b), Billy Higgins (ds, vocals on "Slow Drag")。前作『Blackjack』(1967年1月録音)から、わずか4ヶ月後に録音されたドナルド・バードのリーダー作。ソニー・レッド、別名シルベスター・カイナーと組んだ3枚目の作品。

まず「Drag」は、”麻薬”では無い。”麻薬”は「Drug」。調べてみると「Drag」とは、ラグのメロディ(=これを ”Drag” というらしい。足を引き摺るように踊るラグタイムの踊りのメロディ)。「Slow Drag」で、ゆったりとしたラグタイムの踊りのメロディ、って感じでしょうか。とにかく「麻薬」では無いので(笑)。

ドナルド・バードは「機を見て敏なる」変化するトランペッター。バランス感覚と方向感覚に優れ、その時代毎の大衆の音のニーズ、その時代毎のジャズの演奏トレンドを敏感に察知し、それを自らのジャズに反映させてきた。その優れた適応力と表現力がこの盤にも溢れている。いわゆる、当時の「ポスト・バップ」の最先端の音世界の一つ。
 

Donald-byrdslow-drag

 
もうここには「硬派なソウル・ジャズ」は無い。緩やかな、ユルユルで粘りのあるファンクネスが横溢するソウル・ジャズ。ジャズ・ファンク一歩手前の、ブラック・ファンクを小粋に取り込んだソウルフルなジャズ。そして、そのグルーヴに、そこはかと漂う、ちょっと怪しげな「サイケデリック」な響き。そして、ブラック・ファンクの重要な音要素「アーシー」な響きがビートにしっかり反映されている。

そう、この『Slow Drag』の音世界は、フレーズはソウル・ジャズ、リズム&ビートは、ファンクネス濃厚+アーシーなファンク・ビート、ブラック・ファンクなリズム&ビートに、ソウルフルなジャズが乗っかった、ゆったりとした、ちょっと退廃的な雰囲気がする音世界。そこに、当時のロック&ポップスに漂い始めていた「サイケデリック」な音要素を忍ばせている。当時の「ポスト・バップ」な音世界として、かなり野心的な内容だと僕は感じる。

ドナルド・バードのトランペットとソニー・レッドのアルト・サックスのフロント2管は好調を維持、バードのアーシーかつブルージー、ブリリアントで端正な吹き回しは安定のパフォーマンス。辛辣なトーンのレッドのアルト・サックスはまさに「ポスト・バップ」。

モードとフリーとソウル・ジャズが混在したフレーズを、ブラック・ファンクなリズム&ビートが底から支える。不思議な響きの、一旦ハマったらとことん癖になる、ドナルド・バードの「ポスト・バップ」な音世界である。
 
 

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2025年5月12日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・284

Oz Noy(オズ・ノイ)。もう一丁、である。NYアンダーグラウンド的なギター・サウンドが芳しい、イスラエル出身でNYで活躍するギタリスト。相当に「尖った」、良い意味での「変態」ギター。コンテンポラリーな、極端にぶっ飛んだエレギ。そんなオズ・ノイのギター・サウンド&ミュージックが個性。

Oz Noy『Oz Live』(写真左)。2002年5月12, 19日, 6月23, 30日、NYのクラブ「Bitter End」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Oz Noy (g), Reggie Washington (b, trk.: 2-6, 8-10), James Genus (b, trk: 1,7), Will Lee(b, trk: 11), Keith Carlock (ds, trk: 1-,3, 5-7,10), Anton Fig (ds, trk: 4,8,9,11)。オズ・ノイの当時のパーマネント・トリオでのライヴ録音になる。

さすがライヴ録音の音源である。オズ・ノイのギターの個性が良く判る。個性が良く判る。現代のジャズ・エレギの先端を行く、かなり個性的な響きのエレギ。ライヴにおいても、ギター・サウンドの音のバリエーションが豊か。エフェクトやアタッチメントを駆使してはいるが、ライヴが故、演奏に支障を来さないよう、エフェクトやアタッチメントのバリエーションを厳選したパフォーマンスに仕上げている。
 

Oz-noyoz-live

 
ギターのフレーズは「ストレート&シンプル」。他の個性的なジャズ・ギタリストの様に、素敵に捻れたところは少ないが、心地よくファズがかかって、素敵に「くすんだ」エレギの音と響きは、オズ・ノイならではの「くすみ」。速いフレーズでは音が重なることは無く、綺麗に一音一音が、はっきりクッキリ聴こえるところは「爽快感抜群」。

バックのベース&ドラムのリズム隊もパフォーマンス良好。ドラムはバリエーション豊かに、ポリリズミックに叩きまくる。このドラムがオズ・ノイのエレギに良好に絡んで、オズ・ノイのエレギを引き立て、鼓舞している。ベースはライン弾きに徹しているが、このベースのハジき出すベース・ラインが、オズ・ノイのエレギの低音の隙間を埋めて、音全体の重厚感を飛躍的に高めている。

バックがキーボードレスなところが、効果的に「活きる方向」に作用している。ジャズ・エレギの「ジェフ・ベック」という異名を取っているらしいが、このライヴ音源を聴くと、その異名の謂れがとても良く判る。NYアンダーグラウンド的なギター・サウンドをベースとした、ジャムバンド的な要素を含んだ、ジャズ・ファンク~ジャズ・ロックな音世界。実に格好良くて、とにかく「シビれる」。
 
 

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  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

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2025年4月28日 (月曜日)

グラント・グリーンの白鳥の歌

独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなギタリスト、グラント・グリーン。彼の活動後期は、イージーリスニング・ジャズ志向のリーダー作をリリースしている。

それぞれ内容のあるイージーリスニング・ジャズ志向のリーダー作だったと思うが、一般にはウケが悪かった。そして、1979年1月31日、NYで、ジョージ・ベンソンのブリージン・ラウンジでの演奏会に出席していた際、車内で心臓発作を起こし倒れ、そのまま、帰らぬ人となった。43歳であった。

Grant Green『The Main Attraction』(写真左)。1976年3月19日の録音。1976年のリリース。CTI/Kudoレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

Grant Green (g), Burt Collins, Jon Faddis (tp), Sam Burtis (tb), Hubert Laws (fl), Michael Brecker, Joe Farrell (ts), Ronnie Cuber (bs), Don Grolnick (el-p, clavinet), Steve Khan (rhythm-g), Will Lee (el-b), Andy Newmark (ds), Carlos Charles (conga, perc), Sue Evans (perc), Dave Matthews (arr, cond)。

パーソネルを見渡せば、クロスオーバー&フュージョン・ジャズ畑の名うてのミュージシャンがズラリ。実に豪華な面々で、出てくる音は、典型的な「CTIサウンド」。そう、このグラント・グリーンのリーダー作は、CTIからのリリース。プロデューサーは、クリード・テイラー、アレンジ&指揮はディヴ・マシューズ。

CTIサウンドに乗ったグラント・グリーンのパッキパキ硬派で、こってこてファンキーなギター。これがCTIサウンドに実に良く合う。まるで、ウエス・モンゴメリーのCTI盤を聴くが如く、ジョージ・ベンソンのCTI盤を聴くが如く、格別上等のクロスオーバー&フュージョン志向の硬派な純ジャズ・ギターを聴くことが出来る。
 

Grant-greenthe-main-attraction

 
演奏の雰囲気は、ジャズ・ファンク+ソウル・ジャズ。フュージョン・ジャズ志向のソフト&メロウなバックの演奏に乗って、独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなグリーンのギターが、ソウルフルに唄いまくる。ソフト&メロウなバック演奏と、パッキパキ硬派でこってこてファンキーなグリーンのギターとの対比が良好。

1曲目のタイトル曲「The Main Attraction」のイントロのブラス・セクションのユニゾン&ハーモニーからして、ソウルそして、R&B志向のこってこてファンキーな響き。そして、出てくるメインの演奏は、適度にユルユルのR&B志向のソウル・ジャズ&ジャズ・ファンク。この1曲だけで20分弱の大作なのだが、ユルユルのR&B志向のソウル・ジャズ&ジャズ・ファンクだが、だれることなく、腰が揺れるが如く、足踏みをするが如く、極上のソウル・ジャズ&ジャズ・ファンクが展開される。

2曲目の「Future Feature」は、モータウンが入った、完璧硬派なソウル・ジャズ。R&B志向のブラス・セクションのユニゾン&ハーモニーが実に重厚ファンキー。ヒューバート・ロウズのフルートもファンキー&ソウルフル。スティーヴ・カーンのリズム・ギターのカッティングもファンク濃厚、そこに、思い切りソウルフルな、独特のシングルトーンでパッキパキ硬派で、こってこてファンキーなグリーンのギターが唄いまくる。

ラストの3曲目「Creature」は、フェンダー・ローズの音とファンキーなフルートの音がソウルフル、そこに、独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなグリーンのギターが絡む。どっぷりソウルフルでR&Bでスローな展開はクセになる。

実は、この『The Main Attraction』が、グラント・グリーンのメジャー・リリースにおける遺作になる。体調が優れなかったので仕方がないが、このCTI/Kudoレーベルでのアルバム制作をどんどん推し進めて欲しかった。それほど、このジャズ・ファンク+ソウル・ジャズをベースにした典型的な「CTIサウンド」に、グリーンのギターは合う。しかし、このアルバムのリリースの2年ほど後に、グリーンは帰らぬ人になってしまう。実に惜しい早逝であった。
 
 

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2025年3月10日 (月曜日)

エレ・ジャズ・ファンクな名盤

ロバータ・フラックを「発掘」し、デビューさせるなど、1970年代のニュー・ソウルの隆盛を陰で支えたジャズ・ピアニスト、レス・マッキャン。そんなニュー・ソウルから影響を受け、その要素をソウル・ジャズに融合、クロスオーバー&ソウル・ジャズな音志向にステップアップしていった。

Les McCann『Layers』(写真左)。1972年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Les McCann (ac-p, el-p, syn, clavinet, ds, timpani), Jimmy Rowser (ac-b, el-b, bells, perc), Donald Dean (ds, bells, perc), Buck Clarke (congas, ds, bongos, blocks, bells, perc), Ralph MacDonald (congas, bells, perc)。

ニュー・ソウルから影響を受けたソウル・ジャズ作品を70年代に多く残しているレス・マッキャン。この『Layers』は、そんな中でも、白眉の出来のクロスオーバー&ソウル・ジャズ盤である。とにかく、どっぷりとソウルフルでメロウ。トロトロのファンクネス。ここまでくれば、1970年代半ば以降の「エレクトリック・ジャズ・ファンク」の先駆けと言っても良いだろう。
 

Les-mccannlayers

 
冒頭の「Sometimes I Cry」から、エレ・ジャズ・ファンク全開。浮遊感タップリのエレピ&シンセの音が実にソウルフル。しっかりと音の底に、濃厚なファンクネスを感じる。「Let's Gather」「Anticipation」と短い小粋でソウルフルなパフォーマンスが続いて、どっぷりグルーヴィーなジャズ・ファンク「The Dunbar High School Marching Band」が熱演。

メロウで静謐な「Soaring (At Dawn) Part I」。メロウな熱演が続く。トロトロなジャズ・ファンク「The Harlem Buck Strut Dance」。次々とメロウなナンバーが続く。メロウなエレピが芳しい、印象的なスローな演奏「Before I Rest」、シンセが鳴り響く、ジャジーでグルーヴィーな「Let's Play ('til Mom Calls)」「It Never Stopped In My Home Town」が続く。ラストはラテン・ムード漂うメロウなナンバー「Soaring (At Sunset) Part II」。

ニュー・ソウルから影響を受けたソウル・ジャズ作品の中での白眉の出来。この「エレクトリック・ジャズ・ファンク」に眉をひそめる硬派なジャズ者の方々もいるだろう。しかし、これもジャズ。モダン・ジャズの歴史の中で、燦然と輝くジャズの演奏トレンド「ソウル・ジャズ」。その濃厚でトロトロ&メロウなグルーヴ感は「ジャズ」でしか出せない。隅に置けない名盤である。 
 
 

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2025年2月21日 (金曜日)

クロスオーバーなドラミングです

演奏の「音」を決める重要要素の一つを担っているのが「ドラム」。意外と認識されていないが、ドラミングの音が、その演奏全体の「ジャンル」や「志向」を決定づける大きな要素になっている。

そんなャズ/フュージョンにおける「ドラム」にスポットを当てて、楽曲評論をする。レコード・コレクターズ 2025年2月号の特集は「この曲のドラムを聴け! ジャズ/フュージョン編」。これは実に興味深い特集。

Alphonse Mouzon『Mind Transplant』(写真左)。1974年12月、ロサンゼルスでの録音。翌年1975年のリリース。

ちなみにパーソネルは、Alphonse Mouzon (ds, vo, syn, el-p, org, arr, cond), Jerry Peters (el-p, org), Tommy Bolin, Lee Ritenour (g), Jay Graydon (g, voice bag on "Snow Bound", programming), Henry Davis (el-b)。アルフォンス・ムゾーンの初リーダー作になる。

クロスオーバー&フュージョン・ジャズは、8ビート主体のリズム&ビートがメインなので、4ビートの様に、おかずの入れ方や間の取り方などの個性を織り込むことが難しい。フィルインやポリリズムなど、叩き方のテクニックとグルーヴにその個性を求める傾向が強く、逆に、ドラミングの雰囲気によって、その楽曲の「音の傾向」や「音の志向」が決定付けられることが多い。
 

Alphonse-mouzonmind-transplant

 
リーダーのアルフォンス・ムゾーンはドラマー。ウェザー・リポート、ラリー・コリエルとの活動でも知られる、ジャズ・ロック、クロスオーバー・ジャズにおける屈指のドラマー。ムゾーンのドラミングは、ハイハットの使い方が印象的な、ドコドコ叩きまくるビリー・コブハムと同類の「千手観音ドラミング」。コブハムよりグルーヴ感が濃い。

そんなドラミングが冒頭のタイトル曲「Mind Transplant」の出だしから炸裂する。グルーヴ感濃厚の「千手観音ドラミング」。ジャジーなビート感より、ロックなビート感が強く漂い、アルバム全体の演奏の印象は、ジャズロックというよりは、明らかに「クロスオーバー・ジャズ」である。電気楽器を活用して、ジャズとロックの融合、クロスオーバーな音世界。そんな音世界を、ムザーンのドラミングが濃厚にしている。

英国ハードロックの雄、ディープ・パープルのギタリストを務めた、トミー・ボーリンの参加が効いた、明確にロック・テイストな、クロスオーバー・ファンクな「Happiness Is Loving You」や、ムザーン自身のヴォーカルが意外とイケる「Some Of The Things」など、クロスオーバー・ジャズな音志向な中でも、少しロックに軸足を移した楽曲がなかなかユニークで格好良い。

ジャジーなグルーヴは仄かに残しつつ、基本はロックに少し軸足を移した、ジャズとロックの「クロスオーバーなジャズ」の佳作と言える。そして、このアルバムの音志向を色濃くしているのが、リーダーのムザーンの「千手観音ドラミング」である。
 
 

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