ブラス輝く『ブラス・シャウト』
10歳代後半以降、マイルス・ディヴィスが大のお気に入りゆえ、ジャズ・トランペットについては、かなり昔から聴き親しんでいる。
トランペットという楽器の性格上、サックスの様に激情にまかせて、長々とフリーキーに吹き続けることが不得手。肉声よりもキーが高音なので、大きな音はかなり耳障りにもなる。
よって、ジャズ・トランペッターは正統派、純ジャズ志向が大多数。それでいて、音色や吹き方、表現がそれぞれ個性があって、様々なジャズ・トランペットが楽しめる。
Art Farmer『Brass Shout』(写真左)。1959年5月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer, Lee Morgan, Ernie Royal (tp), Julius Watkins (French horn), Jimmy Cleveland, Curtis Fuller (tb), James Haughton (b-horn), Don Butterfield (tuba), Percy Heath (b), Philly Joe Jones (ds), Benny Golson (arr, cond)。
ウォームで端正、唄うがごとく流麗なフレーズが個性のトランペッター、アート・ファーマーのリーダー作。ファーマーを含めトランペットが3本、フレンチ・ホルンが1本、バリトン・ホルンが1本、トロンボーンが2本、チューバが1本の計8本のブラスに、ピアノレス、ベースとドラムが加わった11人編成。アレンジ&指揮は、テナー奏者のベニー・ゴルソン。
サックスとピアノがいない、ブラスがメインのフロント、リズム隊はベースとドラムのみ。なかなか面白い編成だが、アレンジャーが「ゴルソン・ハーモニー」の主、ベニー・ゴルソンが担当している。なるほど、ゴルソン・ハーモニーはブラス・セクションのユニゾン&ハーモニーが一番映えるので、この変則編成には合点がいく。
しかも有名ジャズマンがずらり顔を揃えて、この11人編成のアンサンブルに不足は無い。そんな豪華なバックを従えて、ファーマーだけが、ウォームで端正、唄うがごとく流麗なトランペット・ソロを吹き上げる。
ゴルソン・ハーモニーは、分かり易い、シンプルな、美しいフレーズに一番映える。そういうこともあるのだろう、収録された曲は、有名スタンダード曲ばかり。「Nica's Dream」「Autumn Leaves」「Moanin'」「April In Paris」「Five Spot After Dark」「Stella By Starlight」「Minor Vamp」の6曲。
聴き心地に重点を置いているのか、どの曲もちょっと軽めのアレンジが施されていて、軽快で明るい雰囲気で統一されている。そこに、ゴルソン・ハーモニーでメイン・テーマを印象的に浮き出していてメリハリが効いている。そして、アドリブ・フレーズをウォームで端正、唄うがごとく流麗なトランペットで吹きまくる。
なんだか訳の判らない女性の横顔のオブジェのジャケには「?」ですが、ゴルソンの良く考えた小粋なアレンジと、ファーマーのウォームで端正、唄うがごとく流麗なトランペットの相乗効果がとことん楽しめるスタンダード曲集です。ながら聴きにもいい感じの聴き心地の良い好盤。
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